2010-06-22

『闘う小説家バルザック』

闘う小説家バルザック
芳川泰久
ISBN4-7967-0219-9
1999年5月
2800円
四六判上製304頁
エディション: 単行本
出版社: せりか書房
出版日: 1999/05
ISBN-10: 4796702199
ISBN-13: 978-4796702195

19世紀初めパリのパサージュを通行する群衆の中に小説の登場人物と読者を発見し、彼らの欲望が織りなす近代社会の縮図を全く新しい知的パラダイムのもとに描いたバルザックの創造の秘密に迫る

バルザックは、現代的なジャーナリズムや出版業界の勃興(ぼっこう)期に身を置き、小説家という新たな「職業」を生きた人間だった。評伝ではなく、出版・パリ・解剖学・三角測量など、核となるテーマや想像力の根源から解明する手法が新鮮。

折しも二百年生誕を機に、日本で五月二十日の誕生日にあわせたかのように、芳川泰久『闘う小説家バルザック』(せりか書房)、石井晴一『バルザックの世界』の二著が出、鹿島茂・山田登世子編バルザック『人間喜劇』コレクション(藤原書店)の第一回『ペール・ゴリオ』の新訳も出た。さらに大矢タカヤス編になるバルザック『人間喜劇』全作品あらすじもその別巻として刊行された。まことににぎわしいバルザックの復権の様である。


目次

1830年〈パリもの〉の誕生
私生活の発見
小説のパサージュ
両性具有—sexualit´eの顕現
「動物」はいかに分類線を横断するか
遠征—異種との遭遇
解剖小説家
活字鋳造・植字・組版
地上を天上に折り畳む論理
〔ほか〕

2010-06-21

2010年6/20(日)に掲載された書評

■カフカ Classics in Comics
ヴィレッジブックス 西岡兄妹、フランツ・カフカ著 池内紀訳 価格:¥1,365
評 中条省平(学習院大学教授)
■カフカ自撰小品集
みすず書房 フランツ・カフカ著 吉田太郎訳 価格:¥2,940
評 中条省平(学習院大学教授)

T・G・マサリク『ロシアとヨーロッパ ロシアにおける精神潮流の研究 』

ロシアとヨーロッパ—ロシアにおける精神潮流の研究 (1)
ISBN4-915730-34-4 C0022
A5判上製376頁
定価5040円(本体4800円+税)
2002.10

チェコの思想家T・G・マサリク(1850-1937)はロシア研究家としても名高く、そのロシア研究の集大成が本書である。この著作は、ロシア精神史研究の古典として知られ、各国語に訳されており、邦訳も、第1、2巻については、かつてみすず書房から『ロシア思想史』の題名で出されている(現在は絶版)。今回の邦訳は、まだ日本語に訳されていない第3巻を含めた全3巻を、プラハのマサリク研究所が厳密な校訂を経て刊行したチェコ語版(1995-6
年)から訳したものである。

第1部「ロシアの歴史哲学と宗教哲学の諸問題」では、ロシア精神を理解するための前提として、ロシア国家の起源から第一次革命に至るまでのロシア史を概観する。第2部「ロシアの歴史哲学と宗教哲学の概略」では、チャアダーエフからゲルツェンまでの思想家たちを検討する。

* 目次

+ はしがき
+ 序 ロシアとヨーロッパ——ロシアの僧侶
1. ロシアの歴史哲学と宗教哲学の諸問題
1. 「聖なるルーシ」——第三のローマとしてのモスクワ
2. ピョートルの改革。ロシアとヨーロッパの結合
3.
フランス革命後の神権政治的反動と、セヴァストーポリに臨んでのその敗北。政治的、哲学的革命の始まり。(エカテリーナ二世——ニコライ一世)
4. 一八六一年の農奴解放と行政改革
5.
束の間の自由主義の後の、ニコライ体制の復活と継続。——テロリズム的ゲリラ革命の発展と、その犠牲者としてのアレクサンドル二世。——強化された神権政治的反動とその反テロリズム。日本との戦争における神権政治的反動の敗北
6. 最初の大衆革命と憲法の始まり。反革命
7. ロシアの歴史哲学と宗教哲学の諸問題(総括)
8. ロシア研究のための文献
2. ロシアの歴史哲学と宗教哲学の概略
1.

9. P・J・チャアダーエフ。正教の神権政治に対するカトリックの神権政治
10. スラヴ主義。正教の神権政治のメシアニズム。スラヴ主義と汎スラヴ主義
11. 西欧主義。V・G・ベリンスキー
12. 西欧主義とスラヴ主義との統合。アポロン・グリゴーリエフ
13. アレクサンドル・ゲルツェン。哲学的、政治的急進主義
+ 訳者あとがき
+ 人名索引


ロシアとヨーロッパ—ロシアにおける精神潮流の研究 (2)
# 単行本: 508ページ
# 出版社: 成文社 (2004/06)
# ISBN-10: 4915730352
# ISBN-13: 978-4915730351
# 発売日: 2004/06
# 商品の寸法: 21.2 x 15.6 x 3.8 cm

ISBN4-915730-35-2 C0022
A5判上製512頁
定価7245円(本体6900円+税)
2004.06

チェコの思想家T・G・マサリク(1850-1937)はロシア研究家としても名高く、そのロシア研究の集大成が本書である。この著作は、ロシア精神史研究の古典として知られ、各国語に訳されており、邦訳も、第1、2巻については、かつてみすず書房から『ロシア思想史』の題名で出されている(現在は絶版)。今回の邦訳は、まだ日本語に訳されていない第3巻を含めた全3巻を、プラハのマサリク研究所が厳密な校訂を経て刊行したチェコ語版(1995-6
年)から訳したものである。

第2部「ロシアの歴史哲学と宗教哲学の概略」(続き)では、バクーニンからミハイローフスキーまでの思想家たち、反動家たち、より新しい思想潮流を検討する。第3部第1編「神権政治対民主主義」では、西欧哲学と比較したロシア哲学の特徴を析出し、ロシアの歴史哲学的分析を行う。

* 目次

2. ロシアの歴史哲学と宗教哲学の概略(続き)
2.

14. M・A・バクーニン。革命的アナーキズム
15. リアリズムとニヒリズム。チェルヌィシェフスキーとドブロリューボフ、ピーサレフ
3.

16. ラヴローフとミハイローフスキー。いわゆる社会学的な主観主義者
4.

17. 公的な神権政治の理論家たち——カトコーフ、ポベドノースツェフ、レオーンチエフ
18. ウラヂーミル・ソロヴィヨーフ——神秘主義としての宗教
5.

19.
現代の社会主義——マルクス主義と社会民主主義。マルクス主義とナロードニキ主義。マルクス主義における危機。宗教問題——社会革命党
20. 現代のアナーキズム——P・クロポトキン。アナーキズムと社会主義
21. 自由主義
22. 革命主義の危機によせて——宗教問題
3.

1. 神権政治対民主主義——革命の問題
23. ロシア哲学における認識論の問題
24. ロシア哲学の宗教問題
25. 神権政治対民主主義
26. 民主主義と革命
27. 聖なるルーシ——ロシアの修道僧とフォイエルバッハ
+ 人名索引


ロシアとヨーロッパ—ロシアにおける精神潮流の研究 (3)
# 単行本: 474ページ
# 出版社: 成文社 (2005/09)
# ISBN-10: 4915730360
# ISBN-13: 978-4915730368
# 発売日: 2005/09
# 商品の寸法: 21 x 15.4 x 3 cm

ISBN4-915730-36-0 C0022
A5判上製480頁
定価6720円(本体6400円+税)
2005.08

チェコの思想家T・G・マサリク(1850-1937)はロシア研究家としても名高く、そのロシア研究の集大成が本書である。この著作は、ロシア精神史研究の古典として知られ、各国語に訳されており、邦訳も、第1、2巻については、かつてみすず書房から『ロシア思想史』の題名で出されている(現在は絶版)。今回の邦訳は、まだ日本語に訳されていない第3巻を含めた全3巻を、プラハのマサリク研究所が厳密な校訂を経て刊行したチェコ語版(1995-6
年)から訳したものである。

第3部第2編「神を巡る闘い——ドストエフスキー」は、本書全体の核となるドストエフスキー論であり、ドストエフスキーの思想を批判的に分析する。第3編「巨人主義かヒューマニズムか——プーシキンからゴーリキーへ」では、ドストエフスキー以外の作家たちを論じる。

* 目次

3.


+ まえがき
2. 神を巡る闘い——ロシア問題の歴史哲学者としてのドストエフスキー
+ ドストエフスキーの伝記
+ ドストエフスキーの公式
1. ニヒリズム——アナーキズム的無神論
2. ゾシマ——宗教哲学(ニヒリズムを克服するロシアの修道僧)
3. フォイエルバッハ対修道僧
4. 大審問官
5. 異端者ゾシマ——懐疑主義者ドストエフスキー
6. 哲学と教養
7. 宗教と道徳I
8. 宗教と道徳II(カラマーゾフ主義)
9. 殺人と自殺
10. ドストエフスキーの公式は誤っている
11. ロシアの全人
12. 人間性と民族性。民族性と宗教
13. ショーヴィニズム。人名の浪費
14. ロシア的性格
15. ロシアとヨーロッパ
16. 外交政策——内政に勝る外交
17. 内 政
18. ツァーリズム
19. ベリンスキーからウヴァーロフへ

3. 巨人主義かヒューマニズムか——プーシキンからゴーリキーへ
+ ロシア文学と世界文学におけるドストエフスキー
1. A・S・プーシキン
2. オネーギン——ファウスト
3. G・G・バイロン
4. ミュッセのローラ
5. M・J・レールモントフ
6. N・V・ゴーゴリ
7. I・A・ゴンチャローフ
8. I・S・トゥルゲーネフ
9. L・N・トルストイ
10. デカダン派
11. M・ゴーリキー
+ 結論
+ 断片
+ マサリクとロシア——ヨーロッパから見たロシア——石川達夫
+ 人名総索引

2010-06-12

「埼玉大学リベラル・アーツ叢書」3冊、非売品

ピーター・M・ディリー『英国のエンブレムと物質文化 シェイクスピアと象徴的視覚性 』(伊藤博明訳編)
シモナ・チュピチ+リディヤ・メレニク『アート×ポリティックス×ナショナル・アイデンティティ──ユーゴスラヴィアの近代芸術をめぐって』(井口壽乃編)
ミランカ・トーディチ+金子隆一+加須屋明子『写真×プロパガンダ×デザイン』(井口壽乃編)

埼玉大学図書館
http://home.lib.saitama-u.ac.jp/

埼玉大学大学院文化科学研究科
http://wwwnew.kyy.saitama-u.ac.jp/gs/

埼玉大学教養学部
http://wwwnew.kyy.saitama-u.ac.jp/

2010-06-11

高山宏『ふたつの世紀末』

税込価格: ¥2,520 (本体 : ¥2,400)
出版 : 青土社
サイズ : 20cm / 297p
ISBN : 4-7917-5669-X
発行年月 : 1998.11
# 単行本: 297ページ
# 出版社: 青土社; 新装版版 (1998/10)
# ISBN-10: 479175669X
# ISBN-13: 978-4791756698
# 発売日: 1998/10

奇形の庭園をさまよい歩き、厄災画や廃墟イメージの死臭に酔いしれ、速度とスペクタクルに我を忘れた18世紀末。現代の私達の世紀末もこの反復なのかもしれない。膨大な資料を駆使して描く世紀末論。86年刊の新装版。

パニックの美学。「終末」の原風景。畸形の庭園を逍遙し、厄災画や廃墟イメージの死臭に酔いしれ、眩暈を誘う速度とスペクタクルに我を忘れた18世紀末
—。現代の我らの世紀末もまた眼差しの刺戟を求め、「驚異」の数々を世界の果てまで渉猟した、18世紀末の偏奇な感性の反復にすぎないのではないか。厖大な資料を駆使して描く全く斬新な世紀末論。

2010-06-10

田中純『政治の美学—権力と表象』(東京大学出版会、2008.12)

田中純『政治の美学』

東京大学出版会,2008年


ISBN978-4-13-010109-7, 判型:A5, 624頁

税込5250円/本体5000円

政治的暴力が美化される情動の論理を,芸術や学問と政治が交差する領域において探求する表象文化論のスリリングな実践.政治的情動と官能的な美が共犯関係を結ぶ過程を,テクスト分析・イメージ分析によって探る.時代論,政体論,結社論,表象論の四部構成.

目次

I 一九七〇年代のナチ・テロル・ロック ——時代論

序「ファシズムの美学」再考 ——スーザン・ソンタグ「魅惑するファシズム」

美と腐敗 猥褻な理想と暴力のエロス化


1 キッチュな黙示録 ——ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』

ヒトラー映画『没落』 死のキッチュとその累乗 集団的記憶の徹底操作——ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』(一)
導入部の分析——ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』(二) 人形による悲哀劇——ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』(三)
審美主義の逆説


2 白い恐怖、赤い亡霊 ——クラウス・テーヴェライト『男たちの妄想』と一九七〇年代ドイツ

観客のまなざしとファシズム──パゾリーニ『サロ、あるいはソドムの一二〇日』 堤防としての身体──テーヴェライト『男たちの妄想』(一)
生まれきらなかった男たち——テーヴェライト『男たちの妄想』(二) もうひとつの皮膚──テーヴェライト『男たちの妄想』(三)
歴史認識と無意識──テーヴェライト『男たちの妄想』(四) 自伝から同時代史へ 赤軍派の亡霊 「抽象急進主義」と芸術


3 自殺するロックンロール ──デヴィッド・ボウイにおけるロック・イデオロギー

ロック・イデオロギーの「呼びかけ」 分身という戦略──『ジギー・スターダスト』 ロックの「時間」と「夢」
総合芸術作品のメディア力──『ダイアモンドの犬たち』 ロックの臨界点──『ロウ』


第I部・結び──亡霊的権力あるいは権力の亡霊


II 権力の身体 ——政体論

序 権力の三つの身体 ——聖体から革命の身体へ

聖体の超実在性 国家という怪物の身体 理想的身体とその脆さ


1 ギリシア幻想の身体 ——ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンと古代の模倣

禁忌の土地 完全な身体というファンタスム 寓意的解体のまなざし 古代を「もどく」


2 レヴィヤタン解剖 ——カール・シュミットにおけるイメージ・表象・身体

カール・シュミットのイコノロジー 時間の政治的イコノグラフィー 表象の過剰補償 近代的政治の身体あるいは肉 獣人としての主権者の肖像


3 子午線のデザイン ——カール・シュミット『大地のノモス』

ヨーロッパの美的政治とその解体 子午線の彼方──シュミットとコジェーヴ


4「英霊」の政治神学 ——橋川文三と「半存在」の原理

二つの生命 幽顕思想と祖霊信仰 天皇制政治神学の教理問答 「死のメタフィジク」と「死に損い」——橋川文三の思想的根拠(一)
「超越者としての戦争」——橋川文三の思想的根拠(二) 「美」に抗する「歴史」——橋川文三の思想的根拠(三)


第II部・結び──芸術家という「王」たち


III 男たちの秘密 ——結社論

序 男性結社のエロス ——三島由紀夫と結社論の諸問題

恋する結社 ドイツにおける男性結社論の系譜 脆弱な男性性 稚児と幼童天皇 絶対者との契り


1 主権の秘密 ——オットー・ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』とその周辺

『年齢階梯制と男性結社』から『古ゲルマンの青年入社式と男性結社』へ
社会・文化的症候としての神話学──ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』(一)
エクスタシー的儀礼からの国家秩序の生成──ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』(二) ギンズブルグによるヘフラー批判とその盲点
狼たちの結社——ヘフラー周辺の議論から カネッティの群衆論と『ゲルマン人の祭祀秘密結社』


2 戦士の到来 ——社会学研究会とジョルジュ・デュメジル

秘密結社と「冬の風」 戦士と魔術師──一九三〇年代のデュメジル(一) 生ける神話──一九三〇年代のデュメジル(二)
聖社会学と「政治の審美化」 戦士の罪──デュメジルとクラストル


3 亡命者たちの山 ——日本における男性結社論の系譜

「無縁」な者たちの「組合」——中沢新一『芸術人類学』からの遡行(一) 王と山伏──中沢新一『芸術人類学』からの遡行(二)
『古日本の文化層』と「日本とゲルマンの祭祀秘密結社」 新羅花郎とその変容 亡命の民たち


第III部・結び──保田與重郎『萬葉集の虗藭』とカントロヴィッチ「秘密のドイツ」


IV 建築と政体 ——表象論

序 建築空間の政治学 ——ミース、アールト、ル・コルビュジエ

帝国・小国・遊牧民


1 近代というナルシス ——ル・コルビュジエの遡行的問い

水上のユートピア パルテノン神殿と建築の決定的瞬間 幾何学と起源 建築と表象


2 小国民の建築 ——アルヴァ・アールトの「小さな人間」

建築の戦い 小国民の政治と芸術 ヘテロトピア・触覚性・遊牧民


3 ファシズムの表象 ——ジュゼッペ・テラーニの倒錯的合理主義

裏返された「ガラスの家」──カーサ・デル・ファッショ 古代との闘争——ダンテウム 建築と政治


4「どうしようもないもの」との葛藤 ——堀口捨己における日本・近代・建築

「様式なき様式」の形容矛盾 庭という夢の舞台 パルテノンの女神 「ほのかなる かそけきもの」へ


第IV部・結び──ナルシスたちの闘争と逃走


エピローグ


附録

年表

書誌・フィルモグラフィ・ディスコグラフィ

図版一覧

索引

ゲーテ ボヘミアの森

74歳のゲーテが19歳の女性にフラれて、馬車の中で「マリーエンバートの悲歌」を書いた。

「『マリーエンバートの悲歌』と訳されるからおごそかだが、マリーエンは『マリアの』といった意味だ。聖母マリアである。バートは温泉、『悲歌』の原語『エレギーエン』はエレジーのドイツ語。観音温泉エレジー、つまりは『湯の町エレジー』である。
 ついでながら温泉町マリーエンバートの恋は一八二三年のことである。ナポレオンの没落のあと帝国全土にわたり、宰相メッテルニヒによる監視体制がととのっていた。湯治町にはワケありな人物が出入りするので、とりわけ監視の目が厳しい。老ゲーテの恋愛のことも、当局に報告が届いていた。当局の指示は『特に調査の要なし』。老人が小娘にいいよってフラれたという、笑うべき一件として処理されたらしいのだ。」
池内紀『ゲーテさん こんばんは』

『ゲ−テ地質学論集 〈鉱物篇〉』

ちくま学芸文庫
ゲ−テ地質学論集 〈鉱物篇〉

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲ−テ 木村直司
筑摩書房 (2010/06 出版)

502p / 15cm / 文庫判
ISBN: 9784480092939

地球の生成と形成を探って岩山をよじ登り洞窟を降りる詩人。鉱物・地質学的な考察や紀行から、新たなゲーテ像が浮かび上がる。文庫オリジナル。

収録作品 ページ
形態学的序論 27−96
ハルツ山地 99−119
テューリンゲンの森 120−141
ボヘミアの森 142−208
地球の生成理論 233−285
山々の観相学的考察 286−339
岩石の水成論と火成論 340−399
地層構造学的試論 400−430


ゲーテ全集 新装普及版 第14巻(全15巻)
自然科学論
■ 著者名: ゲーテ /著
木村直司 /訳
前田富士男 /訳
野村一郎 /訳
高橋義人 /訳
永野藤夫 /訳
轡田収 /訳
■ カテゴリ名:書籍/全集・著作集
■ 発刊日:2003年06月05日
■ 判型:B6判
■ ページ数:562
■ 税込価格:2,100 円(本体 2,000 円)
■ ISBNコード:978-4-267-01674-5
■ Cコード:0398
目次:
科学方法論 木村直司訳
形態学序説 前田富士男訳
植物学 野村一郎訳
動物学 高橋義人訳
地質学 永野藤夫訳
気象学 轡田収訳
色彩論 木村直司訳
訳注
解説
付・ゲーテの自然科学文献書誌

2010-06-09

『ウィーン—多民族文化のフーガ』

書名: ウィーン 多民族文化のフーガ
うぃーん たみんぞくぶんかのふーが

ISBN(10/13桁): 978-4-469-21328-7

著者名: 饗庭孝男、伊藤哲夫、加藤雅彦、小宮正安、西原稔、檜山哲彦、平田達治
著(あえばたかお、いとうてつお、かとうまさひこ、こみやまさやす、にしはらみのる、ひやまてつひこ、ひらたたつじ)

定価: 2,520円(四六判・370頁)

都市形成と文化醸成のダイナミズムを探る
内容説明:
ヨーロッパの十字路に位置するウィーン。そこは、各地から多様な文化が流れ込み独自の融合を遂げた文化形成の舞台となった。多民族の文化がフーガのようにからみ合い、いかにして20世紀をリードした豊穣なポリフォニック文化が形成されたのか。都市形成と文化醸成のダイナミズムを多彩な視点から解明する。

主要目次: まえがき

オーストリア=ハンガリー帝国地図

1910年頃のウィーン主要部地図

1 多民族文化の都(加藤雅彦)
一 混血都市ウィーン
二 ウィーン宮廷へ豊穣の西欧文化
三 ドナウ多民族帝都
四 世紀末文化の多民族性

2 ウィーンの都市空間と建築(伊藤哲夫)
一 古代ローマ期——ゲルマンに対する防衛拠点
二 ロマネスク期——ヨーロッパ交易の十字路として発展
三 ゴティク期——帝国の宮廷都市へ
四 ルネサンス期——トルコとの戦いと宮廷の整備
五 バロック期——繁栄する多民族の帝都
六 新古典主義・ビーダーマイヤー期——勃興する市民が支えた都市文化
七 近代都市形成期——世紀末文化が花開いたメトロポリス

3 ウィーン・バロック——その形態と思考(饗庭孝男)
一 感性の祝宴としてのバロック
二 ウィーン・バロックの呼び水——反宗教改革と対トルコ戦の勝利
三 ウィーン・バロック建築探訪
四 バロック期に培われたウィーン人の死生観
五 イタリア人芸術家に先導され、独自の定着をみたウィーン・バロック

4 「音楽の都」ウィーンの秘密——宮廷と「多民族」音楽都市(小宮正安)
一 ウィーン・フィルの「調和」
二 帝国の音楽
三 「宮廷音楽家」列伝
四 壁の中の音楽
五 「音楽都市」のトポロジー
六 ドイツ音楽の中心として

5 劇場都市ウィーンとオペラの世界——ジングシュピール文化の形成を中心に(西原 稔)
一 オペラという理想
二 ウィーンのオペラ様式の成立
三 モーツァルトとオペラ

6 学際都市ウィーン(檜山哲彦)
一 新たな時代の風
二 閉塞する伝統に挑む
三 強靱な自己観察が切り拓く新たな時代

7 文化メトロポーレ・ウィーンの光と影——シュニッツラーの作品に映し出された十九世紀末ウィーン(平田達治)
一 城塞都市から文化メトロポーレへ
二 世紀末の円形都市ウィーンを舞台にした『輪舞』

あとがき
写真・図版出典一覧
著者紹介

ウィーンは古来ヨーロッパにおける東西南北を結ぶ交通の要衝に位置し、ローマ帝国の北辺の前線基地としてローマとゲルマンの接点となったことから始まり、近世にはオスマン・トルコと西欧キリスト教世界が対峙したときの最前線となり、冷戦時代には東西両陣営の接点ともなった。そこでは、ゲルマン、スラヴ、イタリア、ハンガリー、トルコなどの文化が、食生活など日常的なレベルでもまじりあい、さらに宮廷を通してブルグントやスペイン、フランスの文化も流れ込んだ。異文化がせめぎあう中にあって、それらが共存し融合するための舞台という役どころが、まるでこの都市の遺伝子のようになってしまっているかのようにすら見える。本書は、こうした多彩な要素がからみあった文化が生み出されたウィーンの文化土壌がいかなるものであり、そこで都市の遺伝子がどのように発現したのかを、「多民族文化」をキーワードに、分野を異にする七人の執筆者の視点から探ったものである。(『まえがき』より一部抜粋)

この本の
キーワード: オーストリア、ハンガリー、ドナウ、西欧文化、バロック、オペラ、文化メトロポーレ、宮廷都市、音楽都市、劇場都市、学際都市、円形都市、城塞都市

『チェコ民族再生運動 —— 多様性の擁護,あるいは小民族の存在論 ——』

■体裁=A5判・上製・函入・528頁
■定価 12,075円(本体 11,500円 + 税5%)
■2010年5月27日
■ISBN978-4-00-023861-8 C3022

著者の紹介文
http://www.kobe-u.ac.jp/info/book/1005_03.htm

目次(pdf)
http://www.iwanami.co.jp/.PDFS/02/2/0238610.pdf

より詳細な概要については石川達夫のホームページ (http://web.cla.kobe-u.ac.jp/staff/ti/index)
を参照されたい。また、岩波書店のホームページ
(http://www.iwanami.co.jp/hensyu/tan/index_t.html) で最初の30ページを無料閲覧できる。

2010-06-08

千葉雅也氏の論文

・「待ち伏せる存在——ジル・ドゥルーズのスピノザ/ライプニッツ解釈における動物の問題」
『フランス哲学・思想研究』 第13号、日仏哲学会、pp. 128-136、2008年
http://wwwsoc.nii.ac.jp/sfjph/journal.html

・「動き過ぎてはいけない——ジル・ドゥルーズと節約」
『レゾナンス』 第3号、 東京大学教養学部フランス語部会、pp. 88-89、2005年
http://langue-fr.c.u-tokyo.ac.jp/resonances/resonances03/resonances2004_note_j.pdf

・「喪のリトルネロ——ジル・ドゥルーズにおいて、出来事の手前に」
『SITE ZERO/ZERO SITE』 第0号、 メディア・デザイン研究所、pp. 96-124、2006年
http://site-zero.net/contents/vol0/post_10/

『メディアと文学が表象するアメリカ』

著者
山下 昇 編著 入子文子/森岡裕一/石田依子/石塚則子/秋田淳子/丹羽隆昭/渡辺克昭/西山けい子/塚田幸光/森あおい/片渕悦久/山本秀行/田口哲也/ヤリタミサコ

メディアと文学が表象するアメリカ

規格
46判/400頁/定価3,990円

ISBN
978-4-269-73018-2

ジャンル

* アメリカ関連

レベル
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メディアアメリカ文学
メディアの発展はアメリカとアメリカ人をいかに変えたか。文学はその変化をいかにとらえて表現したか。またメディアの発展はいかに文学を変えたか。メディアとアメリカ文学の親密性を解剖する本邦初のアメリカ・メディア文学論。
書籍内容 Contents

序章 共振/交錯するメディアとアメリカ文学 山下昇

第1部 メディアとしての文学/文学のなかのメディア
第1章 ホーソーンの<みた>二つのイングランド 入子文子
第2章 ボトルと奴隷 森岡裕一
第3章 『大統領の娘』に描かれた人種意識 石田依子
第4章 シャーロット・パーキンス・ギルマンのメディア戦略 石塚則子
第5章 『レディーズ・ホーム・ジャーナル』における電話 秋田淳子
第6章 イエロー・キャブと回転木馬 丹羽隆昭
第7章 9・11と「灰」のエクリチュール 渡辺克昭

第2部 交錯するメディアと文学
第8章 ポーと映画 西山けい子
第9章 エレファント・イン・ザ・ズー 塚田幸光
第10章 トニ・モリスンとマーガレット・ガーナー物語 森あおい
第11章 ウェブサイトは作者をどう投影するか 片渕悦久
第12章 マイノリティのソロ・パフォーマンスにおけるメディアと身体 山本秀行
第13章 現代詩とポピュラーミュージック 田口哲也
第14章 現代詩とスポークンワードについて ヤリタミサコ

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