2011-12-28

アドルノ『自律への教育−講演およびヘルムート・ベッカーとの対話一九五九〜一九六九年 』

自律への教育-講演およびヘルムート・ベッカーとの対話一九五九~一九六九年
Erziehung zur Mündigkeit: Vorträge und Gespräche mit Hellmut Becker
1959 bis 1969

アドルノ テオドール・W.【著】;原 千史;小田 智敏;柿木 伸之【訳】
Theodor W. Adorno (Autor), Gerd Kadelbach (Herausgeber)
初版発行日2011/12/10
判型A5判ページ数232ページ定価3360円(本体3200円)ISBNコード 978-4-12-004315-4
ISBN:9784120043154
ISBN:4120043150

■内容紹介

学校における教育、そしてメディアを通じた教育はいかにあるべきか。4つの講演と4つのインタヴューからなる本書は、教育やメディアに関心を寄せる人たちはもちろん、アドルノの思想に初めて触れる人たちによって、今なお読み継がれている。実践に対して禁欲的と見られてきた従来のアドルノ像に修正をせまる重要な記録でもある。


■目次
1 過去の総括とは何を意味するのか
2 哲学と教師
3 テレビと教育
4 教職を支配するタブー
5 アウシュヴィッツ以後の教育
6 教育は何を目指して
7 野蛮から脱するための教育
8 自律への教育

2011-11-22

『マニエリスムのアメリカ 』

出版社 南雲堂
著者 八木 敏雄
価格 5,250円(税込)
発売日 2011年11月18日
ページ数 500P
ISBN 9784523293194 (4523293198) C-CODE 3098
サイズ A5ハードカバー

■内容紹介
アメリカ文学再考! 神によって創造された「自然」の模倣をやめ、神の創造そのものを模倣する技法をマニエリスムと呼ぶならば、それこそがアメリカン・エクリチュールの流儀だ!


■目次
序章 アメリカン・マニエリスムとは何か?
1 花開くアメリカン・ルネサンス
2 アメリカン・エクリチュール
3 アメリカン・インディアン
4 アメリカン・マニエリスム
5 消尽と変身の文学
年譜的書誌
あとがき
索引

高山宏オススメ『ドイツ文学の短い歴史』Die kurze Geschichte der deutschen Literatur. Hanser, München; Wien 2002

ハインツ・シュラッファー 著
和泉雅人/安川晴基 訳
四六判・330頁
ISBN978-4-8102-0065-2
2,940円 (本体2,800円)
単行本: 334ページ
出版社: 同学社 (2008/08)
ISBN-10: 4810200655
ISBN-13: 978-4810200652
発売日: 2008/08
商品の寸法: 18.8 x 13 x 1.4 cm

Die kurze Geschichte der deutschen Literatur. Hanser, München; Wien 2002


■内容紹介
ドイツの作家は文学で稼いで生きていたわけではない。
文学のために生きていたのである。
 2002年に出版された本書は、発売と同時にドイツの読書界にセンセーションを巻き起こした。「ドイツ文学」は「千年以上にわたる歴史ではなく、きっかり200年、1750年から1950年までの歴史しか持たない」との主張は、ドイツ文学研究者を挑発しただけでなく、メディアお抱えの文芸評論家などの痛いところをもついた。著者の直弟子フュルンケースの解説と、基礎的なドイツ文学のデータを含む、多数の訳注を付した。文学史の流れが一目で分かる年表付き。

■目次
第1章 「ドイツ的」とは何か
第2章 うまくいかなかった始まり
 見失われた中世
 遅れてきた近世
第3章 うまくいった始まり―十八世紀
 牧師の息子たち、美神の息子たち
 新しい言語
 不滅のポエジー
第4章 進展、回帰、終焉
 進展―十九世紀
 回帰と終焉―二十世紀
第5章 文学の歴史

■訳者等
フュルンケース,ヨーゼフ
慶應義塾大学大学院文学研究科独文学専攻教授

和泉 雅人
慶應義塾大学大学院文学研究科独文学専攻教授

安川 晴基
慶應義塾大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

2011-11-21

産經新聞 2011年11/13(日)に掲載された書評

■絶望名人カフカの人生論
 飛鳥新社 フランツ・カフカ著、頭木弘樹編集、頭木弘樹翻訳 価格:¥1,500
 評 天沼春樹(ドイツ文学者)

テオドール・W・アドルノ(細見和之訳)『始まりの本 哲学のアクチュアリティ 初期論集』

始まりの本 哲学のアクチュアリティ 初期論集
四六変型判 タテ191mm×ヨコ130mm/200頁
定価 3,150円(本体3,000円)
ISBN 978-4-622-08345-0 C1310
2011年11月10日発行

■目次
哲学のアクチュアリティ
自然史の理念
哲学者の言語についてのテーゼ
音楽アフォリズム

DIE AKTUALITAT DER PHILOSOPHIE/
DIE IDEE DER NATURGESCHICHTE/
THESEN UBER DIE SPRACHE DES PHILOSOPHEN/
MUSIKALISCHE APHORISMEN

訳者あとがき

■内容紹介

初期アドルノの根幹であり、現代思想の原点をなす1920年代の画期を伝える重要な二講演「哲学のアクチュアリティ」「自然史の理念」を軸に、初めての邦訳「哲学者の言語についてのテーゼ」、長短44の断片「音楽アフォリズム」を収録する。初期の重要論考4編、はじめての公刊。

「哲学に与えられているものといえば、存在者の謎めいた形象およびその不可思議な絡まり合いから、一瞬生じては消えてゆく、さまざまな暗示のみです。哲学の歴史とは、このような形象の絡まり合いの歴史にほかなりません。だからこそ、哲学には「成果」というものが与えられていません。だからこそ、哲学はたえず新たに始めなければなりません。だからこそ、哲学は以前の時代に紡がれたどんなわずかの糸もなしで済ますわけにはゆきません。ひょっとすればその糸は、件の暗号を一つのテクストに変容させてくれる、罫線を補ってくれるかもしれないのですから。」


■テオドール・W・アドルノ
Theodor W. Adorno
1903年ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。同市の大学およびウィーン大学に学び、フランクフルト大学で講義していたが、ナチス政権時代、イギリスを経てアメリカに亡命、1949年帰国。翌年から同大学教授。ホルクハイマーとともに研究所を再建した。哲学・社会学・美学の領域を統合しながら、フランクフルト学派の代表的思想家として知られるいっぽう、アルバン・ベルクについて作曲を学び、作曲を重ねたほか、現代音楽に関する理論および批判を展開した。著書『キルケゴール』(1933、みすず書房1998)『啓蒙の弁証法』(ホルクハイマーと共著、1947、岩波文庫2007)『新音楽の哲学』(1949、平凡社2007)『ミニマ・モラリア』(1950、法政大学出版局1979)『プリズメン』(1955、ちくま学芸文庫1996)『認識論のメタクリティーク』(1956、法政大学出版局1995)『不協和音』(1956、平凡社ライブラリー1998)『文学ノート』(1958、1961、1968、みすず書房2009[全2巻])『マーラー』(1960、法政大学出版局1999)『音楽社会学序説』(1961、平凡社ライブラリー1999)『三つのヘーゲル研究』(1963、ちくま学芸文庫2006)『批判的モデル集』(1963、1969、法政大学出版局1971[全2巻])『楽興の時』(1964、白水社1979)『本来性という隠語』(1964、未來社1992)『否定弁証法』(1966、作品社1996)『アルバン・ベルク』(1968、法政大学出版局1983)。没後に編集刊行されたものとして、『美の理論』(1970、河出書房新社2007)『ヴァルター・ベンヤミン』(1970、河出書房新社1972)『ベートーヴェン』(1993、作品社1997)。また、『アドルノ=クシェネク往復書簡』(みすず書房1998)、『ベンヤミン/アドルノ往復書簡』(晶文社1996)『社会学講義』(作品社2001)『道徳哲学講義』(作品社2006)『否定弁証法講義』(作品社2007)など、書簡集や講義の一部も禹訳されている。ほかに渡辺裕編『アドルノ
音楽・メディア論集』など日本での独自編集の本もある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。


■細見和之
ほそみ・かずゆき
1962年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了、現在
大阪府立大学人間社会学部教授。博士(人間科学、大阪大学)。ドイツ思想専攻、詩人。主な著書に『アドルノ』(講談社)『アドルノの場所』『ポップミュージックで社会科』(以上、みすず葛房)『アイデンティティ/他者性』『言葉と記憶』『ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」を読む』(以上、岩波書店)『「戦後」の思想』(白水社)『永山則夫』(河出書房新社)。主な訳者に、べンヤミン『パサージュ論』全5巻(共訳、岩波現代文庫)、アドルノ『否定弁証法講義』(共訳、作品社)、ヨーナス『生命の哲学』(共訳、法政大学出版局)、ローゼンツヴァイク『救済の星』(共訳、みすず書房)。主な詩集に『言葉の岸』(思潮社)『ホッチキス』(書肆山田)『家族の午後』(澪標)など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

2011-11-10

小澤京子『都市の解剖学』(ありな書房、2011)。都市論であり身体論であり文学論でもある、きわめて刺激的な本。

都市の解剖学 建築/身体の剥離・斬首・腐爛
ANATOMIA URBIUM : Separatio, Decapitatio, Corruptio Aedeficiorum / Corpotium
toshinokaibougaku

小澤京子:著, 田中純:解題
発行:ありな書房
A5判 264ページ 上製
定価:4,800円+税
ISBN 978-4-7566-1119-2 C0070
奥付の初版発行年月:2011年10月 書店発売日:2011年10月07日

■内容紹介

ピラネージ、カナレット、ルドゥー、ユベール・ロベール、そしてゴーティエ/ユイスマンスへ、建築/身体の表層を剥がし、あるいは切り刻んで組みあわせ、あるいはおぞましい下層を浮かびあがらせ、皮膚/骨格の、外/内のあわいを、可視/不可視の境界を、実在/不在の幻界を無効にする、イメージの想像力の視覚化/表象を追う。

解題から。「このテクストの身体、本書という「言葉の建築」の皮膚上に、著者はいくつかの紋章を結晶化した血膿──肌に咲く硬質の薔薇──のように象嵌したのだと考えてみたい。建築史の解剖的ブラゾン、あるいは、都市表象の剥離模型(エコルシェ)。」

視線という擬似的なメスによって、皮膚を剥がされつつある都市――本書を貫くのは、このイメージである。ここで言う皮膚とは、単なる被覆物や表層の擬人的メタファーではない。内部と外部とが互いに絶えず陥入しあい、可視的なものと不可視のものとが反転をくりかえす、撞着と葛藤のトポスである。表層の崩落は、終焉の予兆であり、あるいは凋落と頽廃の反映である。カナレットの描いたヴェネツィア、ピラネージが再現しようとした古代ローマ、……ルドゥーが不遇の晩年に夢見たユートピア、フランス革命期のアポカリプティックな建築表象、そして一九世紀文学が描きだした比喩としての腐爛の皮膚と血膿。ここで問題となるのは、建築や身体そのものではなくそのイメージである。

都市の解剖学 剥離・切断・露出 | 小澤京子
Urban Anatomy: Exfoliation, Amputation, and Exposure | Kyoko Ozawa
掲載『10+1』 No.40 (神経系都市論 身体・都市・クライシス) pp.218-224
http://db.10plus1.jp/backnumber/article/articleid/633/

■目次
序 章 建築の解剖学──その皮膚と骨格
第1章 都市の「語り」と「騙り」──カナレットのヴェネツィア表象にみる都市改変の原理
第2章 「起源」の病と形態の闘争──ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージによる古代ローマ表象
第3章 適合性と怪物性──クロード=ニコラ・ルドゥーの両極的性質
第4章 建築の斬首──フランス革命期の廃墟表象における瞬間性と暴力性
第5章 石の皮膚、絵画の血膿───一九世紀文学における「病める皮膚」のモティーフ
エピローグ 眼差しのディセクション

参考文献
解 題 廃墟の皮膚論──あるいは、紋章の解剖/解剖の紋章 田中純
あとがき
人名索引

■著者
小澤京子(オザワキョコ)

都市表象文化論の若手研究者
1976年8月 生
東京大学( 法学部 第2類) 1999 (卒業)
東京大学 修士( 超域文化科学専攻表象文化論コース) 2004 (修了)

修士論文
2003(平成15)年度
小澤 京子 18世紀ヴェネツィアの都市表象:カナレットのヴェドゥータが内包する都市観の変貌
http://repre.c.u-tokyo.ac.jp/programs/master.html


ブルゴーニュ大学 修士( 美術史) 2008 (修了) フランス

仏ブルゴーニュ大学修士(第2学年)論文, 2008年10月
«L'origine contaminée et les conflits des figures : La représentation
de Rome chez G.B. Piranesi»


東京大学 博士( 総合文化研究科 超域文化科学専攻 表象文化論コース) 2010 (単位取得満期退学)
東京大学21世紀COE「共生のための国際哲学研究センター」リサーチアシスタント(2006年4月-2007年3月)
東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」リサーチアシスタント(2009年10月-2011年3月)
東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」特任研究員(2011年4月-)
表象文化論学会広報委員(2010年-)
日仏美術学会実行委員(2011年-)

田中純(タナカジュン):日本の都市表象論の第一人者 表象文化論全般を専門にする

2011-11-09

民魂の音を聴く——東欧ユダヤ民族音楽〈クレズマー〉と現代世界

「民魂の音を聴く——東欧ユダヤ民族音楽〈クレズマー〉と現代世界」

チラシ:http://gcoe.hus.osaka-u.ac.jp/111127workshop1.pdf

<趣旨>
 来る11月27日(日)、神戸ユダヤ文化研究会並びに大阪大学
との共催企画として、東欧ユダヤ民族音楽〈クレズマー〉の調べを
とともに、踊りあり、トークあり、コンサートありという盛り沢山
のイベントを開催いたします。
 第1部「イディッシュダンス・ワークショップ」では、ベルリン
にてユダヤ舞踏家の下で研鑽を積まれている吉田佐由美さんを講師
にお迎えして、オルケステル・ドレイデルの生演奏をバックに、東
欧ユダヤ・ダンスの舞を参みなさんにも実体験していただきます。
 第2部「『クレズマーの文化史』を横断する」では、黒田晴之さ
ん(松山大学)の新著『クレズマーの文化史——東欧からアメリカ
に渡ったユダヤの音楽』(人文書院)の刊行を記念して、音楽評論
家の平井玄さん、チンドンからクレズマーまで弾きこなすクラリ
ネット奏者の大熊ワタルさん、サントリー学芸賞を受賞した『中東
欧音楽の回路』の伊東信宏さん(大阪大学)をゲストに、東欧ユダ
ヤ民族音楽〈クレズマー〉の現状と展望について縦横無尽に語って
いただきます。
 第3部は今回の目玉企画として、国内外で知る人ぞ知る世界音楽
隊シカラムータの特別編成「ジンタらムータ」によるライヴ演奏を
存分に堪能していただきます。コンサートの終盤には、即席生え抜
きの「イディッシュ・ダンス隊」の飛び入り参加で大団円を迎える
かも?
 3・11の原発震災による〈大破局〉[khurbm]の年、〈修復〉
[tikun]に向けたささやかな機会になればと願っています。
 ぜひお見逃しなく!

<日時>2011年11月27日(日)13:00〜18:30

<場所>大阪大学(豊中キャンパス)
  21世紀懐徳堂スタジオ(イ号館・2階)
    会場地図:http://21c-kaitokudo.osaka-u.ac.jp/access

≪参加無料・事前登録不要≫

<主催>神戸ユダヤ文化研究会、大阪大学グローバルCOEプログ
ラム「コンフリクトの人文学国際研究教育拠点」、「イディッシュ
語文化圏における芸術活動の研究」(文部科学省科学研究費:基盤
研究B)、大阪大学MCE研究会

<プログラム>

◆12:30 開場

◆13:00〜15:15
�.イディッシュダンス・ワークショップ
  講師:吉田佐由美
  演奏:オルケステル・ドレイデル
     樋上千寿(クラリネット)
     白石雅子(アコーディオン)

◆15:30〜17:00
�.「クレズマーの文化史」を横断する
  ゲスト:平井玄
      大熊ワタル
      伊東信宏
      黒田晴之

◆17:10〜18:40
�.ジンタらムータ・コンサート
  演奏:ジンタらムータ
     大熊ワタル(クラリネット)
     佐藤芳明(アコーディオン)
     磯部舞子(バイオリン)
     ギデオン・ジュークス(テューバ)
     こぐれみわぞう(ちんどん太鼓)

<プロフィール>

・吉田佐由美
ベルリン在住、グラフィックデザイナー。イディッシュ・ダンスを
Walter Zev Feldman, Michael Alpert, Helene Domergueら欧米第
一線のダンサーに師事。クレズマー音楽&イディッシュ・ダンスを
最もよく知る数少ない日本人の一人。

・オルケステル・ドレイデル
リーダーの樋上千寿が、シャガールの描く楽士が奏でる音楽を追究
する中でクレズマーに出会い、2003年春に白石雅子と結成。シャ
ガール芸術の源泉のひとつとなったイディッシュ文化との関連で伝
統的なクレズマー音楽を紹介する演奏&講演活動を続けている。

・平井玄
1952年新宿生まれ。群衆思想/音楽文化論。中学でロックを棄て、
ジャズの深海に溺れる。40歳で浮かび上がるとクレズマーの小舟に
救われる。今夏、ロンドン暴動でソニーの倉庫が炎上した。そこか
ら音楽を考え直したい。著書に『愛と憎しみの新宿』『千のムジ
カ』『ミッキーマウスのプロレタリア宣言』『引き裂かれた声』
『暴力と音』『破壊的音楽』『路上のマテリアリズム』など。

・大熊ワタル
シカラムータ/ジンタらムータの他、ソウルフラワーモノノケサ
ミットや演劇とのコラボなど幅広い活動。ロックバンドでの活動開
始後、20代半ばでチンドン屋に弟子入りし、クラリネットを街頭で
修行。東京のシーンでクレズマーを演奏した最初期の一員でもあ
る。

・伊東信宏
1960年生まれ。大阪大学文学部、同大学院修了。大阪大学大学院文
学研究科教授(音楽学)。博士(文学)。著書に『バルトーク』、
『中東欧音楽の回路』(サントリー学芸賞)など。朝日新聞、
NHK-FMなどで解説、批評を担当。

・黒田晴之
松山大学経済学部教員。なぜか20世紀中頃のドイツ文学をいつもア
ウトサイダー(ヤーン、カネッティ、H・フィヒテ)から追ってい
る。ただいまの脳内サウンドシステムでは、ダブとクラウトロック
をクレズマーに接続させる。第37回ドイツ語学文学振興会奨励賞を
受賞。著書に『クレズマーの文化史——東欧からアメリカに渡った
ユダヤの音楽』など。

・ジンタらムータ
チンドン・ジンタをバックボーンに、ロック・ジャズの最前線で世
界の街頭音楽をシャッフルし、実験性・即興性がシンクロした独自
の祝祭的音楽で、国内外で評価の高い「シカラムータ」。そのア
コースティック版・出前ユニットがジンタらムータ。地中海〜バル
カン〜東欧や、中南米などの民衆音楽を中心に、オリジナル曲も交
えて、コンサート会場だけでなく、街頭パレードや、結婚式のパー
ティーなど、神出鬼没で活動する。

2011-11-07

『ファルスの世界 15〜16世紀フランスにおける「陽気な組合」の世俗劇』

川那部和恵
2011年度学術振興会助成
版型:A5
ページ:330
価格:4,410(本体4,200+税)円
発行日:2011年11月25日
ISBN978-4-86327-160-9
Cコード:C3076
渓水社

■目次

はじめに

1 概説

 一 ファルスとは何か
  (一)世俗劇とファルス
  (二)世俗劇の五つのジャンル
  (三)ジャンルにまつわる問題
 二 世俗劇の起源と成立
  (一)「新生の諸ジャンル」
  (二)ファルスの起源
  (三)その他のジャンルの起源
 三 ファルスの笑いと時代
  (一)三つの笑い
  (二)ルネサンスの祝祭的笑い
  (三)ルネサンス知識人と笑い
  (四)笑いと「救済」
 四 ファルスの上演現場
  (一)資料について
  (二)上演の機会
  (三)上演の場所
  (四)役者と作者
  (五)観客
 五 上演集団「陽気な組合」
  (一)バゾッシュ(高等法院職員組合)王国 Royaume de la Basoche(パリ)
  (二)呑気な子どもたちEnfants-sans-Souci(パリ)
  (三)阿呆の母とその歩兵隊Mere Folle et son lnfanterie Dijonnaise(ディジョン)
  (四)コナールの僧院Abbaye des Conards(ルーアン)
 六 世俗劇のテキスト
  (一)一六世紀の四大選集
   1 『トレップレル選集』/2『大英博物館選集』/3『コーアン選集』/4『ラ・ヴァリエール写本』
  (二)現代の校訂版選集


2 作品と解題

 一 『市価で/にタマゴをわたすマユエ』
  解題
  (一)二つのテキスト
  (二)登場人物について
   1 人物定型バダン/2 愚か息子と母/3 町のごろつき
  (三)笑いの技法
   1 身振りによる笑い/2 意味のとり違いの笑い/3 構造的な笑い「だました奴がだまされる」
 二 『洗濯桶』
  解題
  (一)テキスト
   1 古版/2 現代版
  (二)成立の背景
   1 あらすじ/2 『洗濯桶』は写実劇か/3 素材の問題
  (三)作品の意図
   1 父権的社会のただ中で/2 妻の抵抗とフェミニズムの芽/3 母の平和主義
  (四)洗濯桶と巻紙
   1 巨大な洗濯桶/2 二部構成の中で
 三 『全世界のモラル』
  解題
  (一)テキスト
   1 写本・校訂本/2 制作年代/3 作者と上演団体
  (二)登場人物・ジャンル
   1 人物名の訳語について/2 ジャンルの曖昧さ
  (三)作品の解釈をめぐって——寓意劇を読み解く
   1 変装劇/2 社会批判/3「全世界」の意味するもの
 四 『地獄の悪魔に魂をもっていかれた粉屋』
  解題
  (一)テキスト
   1 写本・校訂本/2 アンドレ・ド・ラ・ヴィーニュ(一四五七頃─一五二七頃)
  (二)セール市における初演
   1 「上演報告書」/2 『盲人とびっこのモラリテ』
  (三)農夫から粉屋へ
   1 ファブリオーの伝統/2 なぜ粉屋か
  (四)幕間劇として
   1 聖と俗/2 悪魔狂言
 五 『酒盛りの陽気な説教』
  解題
  (一)テキスト
  (二)「分割された」説教
  (三) 饗宴と聖なるもののパロディ
  (四) パロディ説教の構造
 六 『三人のギャランと一人のバダン』
  解題
  (一)テキスト
   1 写本・校訂本/2 作品のジャンル/3 作・上演/4 制作年
  (二)バダンと「阿呆」の王国
  (三)道化裁判
  (四)「コカーニュの国」構想
  (五)ユートピア世界への旅

 おわりに
 主要参考文献
 和出一覧
 索  引

『作品は「作者」を語る—アラビアン・ナイトから丸谷才一まで』

ソーントン不破直子・内山加奈枝(編著)
2011年10月
3000円(税込)
四六判並製・334頁
装丁:矢萩多聞
ISBN 9784861102929

■内容

ロラン・バルト以後の「作者」とは何か?
『百年の孤独』に深い影響を与えた『アラビアン・ナイト』、ヘミングウェイの身体性が抜きがたく刻み込まれた『ニック・アダムズ物語』、時空を越えた幽霊としての作者を示した丸谷才一『輝く日の宮』など、8つの視点から「作者」を探究する。

■目次

第1章 『アラビアン・ナイト』—「作者の死」とシェヘラザードの語り 【小泉 泉】
第2章 ヒエロニモの沈黙—『スペインの悲劇』における作者と権力 【佐藤達郎】
第3章 模倣と剽窃の異国ロマンス—アメリカ・ジャポニスム小説と「作者」 【中地 幸】
第4章 夏目漱石が現代批評に与える「生きたもの」—『こころ』における主体と倫理 【内山加奈枝】
第5章 メタフィクション「大きな二つの心臓のある川」を書いたのは誰か?—ヘミングウェイと「作者」の身体 【小笠原亜衣】
第6章 リチャード・ライト『ブラック・ボーイ』が語る「作者」像 【升田光子】
第7章 ジェフリー・ダーマーを描くことはできるのか?—ジョイス・キャロル・オーツの『生ける屍』における作者観 【森井美保】
第8章 「作者」という幽霊、「読者」という未来—丸谷才一『輝く日の宮』の作者観 【ソーントン不破直子】


■著者

小泉 泉(こいずみ・いずみ)
日本女子大学、跡見学園女子大学、武蔵野大学、首都大学東京非常勤講師
佐藤達郎(さとう・たつろう)
日本女子大学文学部英文学科准教授
中地 幸(なかち・さち)
現在都留文科大学文学部英文学科教授
内山加奈枝(うちやま・かなえ)
日本女子大学文学部英文学科講師
小笠原亜衣(おがさわら・あい)
玉川大学工学部ソフトウェアサイエンス学科准教授
升田光子(ますだ・みつこ)
日本女子大学、慶応義塾大学非常勤講師
森井美保(もりい・みほ)
山梨学院大学、東京都市大学、日本女子大学非常勤講師
ソーントン不破直子(そーんとんふわ・なおこ)
日本女子大学名誉教授

英国十八世紀文学叢書 [全6巻]

十八世紀から「文学」の全てが始まった

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英国近代文芸の原点は十八世紀にあり、「古典」の呼び名にふさわしいタイトルが綺羅星のごとく並ぶ。
小説の始祖といわれるデフォーやリチャードソンが活躍しただけではない。
スウィフトの『ガリヴァー旅行記』は世界中で知らぬ人がない読み物となり、
さらにはゴシック小説、黒人文学も出現し、ポルノグラフィの古典まで密かに書かれた。
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 [2011年12月下旬刊行開始 ・初回2冊同時配本]


「あの人はついに本性を現したのです」——英国小説はユウワクで幕を開ける。

【第1巻 メロドラマ】
パミラ ——淑徳の報い
サミュエル・リチャードソン 〔著〕  原田範行 〔訳〕

四六判 上製 770頁/予価5,775円(本体5,500円+税)
ISBN 978-4-327-18051-5 C0397

2011年12月21日発売予定

 英国小説の出発点といわれる作品のひとつ。美しく無垢なメイドが、紳士面をして近づいてきた若主人のセクハラにあい、監禁されてしまう。貞操を守るための必死の闘いを、登場人物の手紙のみで綴り、そのスリリングな展開は今なお十分に面白く読める。大胆な現代風の新訳で刊行する。


奇跡、幻影、魔法、予知夢——あらゆる超自然が信じられていた、暗黒の時代の物語

【第4巻 ゴシック】
オトラント城
ホレス・ウォルポール 〔著〕  千葉康樹 〔訳〕

崇高と美の起源
エドマンド・バーク 〔著〕  大河内 昌 〔訳〕

四六判 上製 350頁/予価3,360円(本体3,200円+税)
ISBN 978-4-327-18054-6 C0397

2011年12月21日発売予定

 『オトラント城』は最初のゴシック小説であり、今日のホラー小説の原点である書。格調は損なわずに斬新な新訳で刊行する。『崇高と美の起源』は、そのゴシック美学をはじめて理論化したエッセイ。


[続  刊]

【第2巻 諷刺】 ガリヴァー旅行記  ジョナサン・スウィフト 〔著〕  高山 宏 〔訳〕

【第3巻 災厄のドキュメンタリー】 ペストの記憶  ダニエル・デフォー 〔著〕  武田将明 〔訳〕

【第5巻 マイノリティ】 イクイアーノの生涯の興味深い物語  久野陽一 〔訳〕

【第6巻 ポルノグラフィ】 エロチカ・アンソロジー  小林章夫 〔編訳〕

ニューヨークに拠点を置く名門 のノードラー画廊(1857年設立)が1869年〜1946年に刊行した展覧会カタログ 898冊が、デジタル化されオンラインで公開

ニューヨークに拠点を置く名門
のノードラー画廊(1857年設立)が1869年〜1946年に刊行した展覧会カタログ
898冊が、デジタル化されオンラインで公開


http://libmma.contentdm.oclc.org/cdm/landingpage/collection/p15324coll8

ニューヨーク市内美術図書館連合の横断検索サイト(nyarc/arcade)
http://tinyurl.com/4yomehd
で、表示されている
knoedler digital project
という語に続けて作家名などを入れると検索しやすいようです。

『シオニズムの解剖 現代ユダヤ世界におけるディアスポラとイスラエルの相克』

著者 臼杵 陽 監
赤尾 光春 編
早尾 貴紀 編
出版年月日 2011/10/10
ISBN 9784409230473
判型・ページ数 A5
定価 本体4,200円+税


■内容紹介

近代ヨーロッパの「ユダヤ問題」から今現在につづく「パレスチナ問題」まで

ディアスポラとイスラエルのねじれを読み解き近現代世界の民族紛争の理解に多くの視点を示す。

近年、ユダヤ人の歴史や文化に関する研究は日本でも発展の一途を辿っているが、シオニズムを中心に扱った研究となると意外にも少ない。現代イスラエルをめぐる諸問題については、中東紛争やパレスチナ人が置かれた深刻な状況に対する関心の高まりから、それ相応の理解が進んでいるのはたしかだ。しかし、イスラエルという「ユダヤ人国家」を生み出した思想・政治運動としてのシオニズムに関する一般の理解は、その歴史的重要性にもかかわらず、いまだに初歩的な段階に留まっていると言わざるを得ない。そこで本書が第一の課題とするのは、シオニズムをとりまく諸問題を多角的に読み解き、近現代のユダヤ理解におけるこうした不均衡を問い直すことである。(本書「序章」より)

■目次
序章 シオニズムを解剖する 赤尾光春・早尾貴紀

� 帝国の衰退とユダヤ政治の展開
忘れられた世代と場所 鶴見 太郎
「イディッシュ労働者」運動としてのブンド 西村 木綿
民族自治から主権国家へ 森 まり子

� ホロコーストからイスラエル建国へ
アメリカ・ユダヤ人とシオニズム 池田有日子
カタストロフィ・シオニズム 野村 真理

� ナクバという遺産
国家の起源にどう向き合うか 金城 美幸
〈イスラエルの原罪〉を書けるか 村田 靖子

� 入植のエートスとイデオロギー
一〇〇度目の流刑地としてのエレツ・イスラエル 赤尾 光春
死と贖いの文化——フロンティアのメシア主義者 今野 泰三

� ユダヤ文化産業におけるヘゲモニーとカウンター・ヘゲモニー
シオニズムの映画的表象 四方田犬彦
クレズマーはシオニズム(と資本主義)に抵抗するか ? 平井  玄

� 現代思想とイスラエル問題
バイナショナリズムの思想史的意義 早尾 貴紀
現代思想におけるシオニズムと反シオニズム 合田 正人

日本におけるシオニズムへの関心の端緒 臼杵 陽

2011-10-31

"Ornament und verbrechen" 訳書

タイトル 装飾と犯罪 : 建築・文化論集
責任表示 アドルフ・ロース[著]
責任表示 伊藤哲夫訳
個人著者標目 Loos,Adolf (1870-1933) 詳細
個人著者標目 伊藤, 哲夫 (1942-)‖イトウ,テツオ
版表示 新装普及版
出版地 東京
出版者 中央公論美術出版‖チュウオウコウロンビジュツシュッパン
出版年 2011.5
形態 270p ; 22cm
内容細目 ウィーン・プラターの旧万国博覧会、ロトンダ展示会場において展示された室内空間について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 デラックスな馬車について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 建築材料について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 被覆の原則について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ポチョムキンの都市 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 女性と家 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 建築における新・旧の二つの方向 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 馬具職人 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ウィーンにおける最も素晴らしい内部空間、最も美しい貴族の邸館、最も美しいが近々取り壊しの運命にある建築物、最も美しい新建築、最も美しい散歩道
/ アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 住居の見学会 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 余計なこと(ドイツ工作連盟) / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 文化の堕落について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 装飾と犯罪 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ミヒャエル広場に面して立つ建物についての二つの覚え書とその補章 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 建築について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 私の建築学校 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ベートーヴェンの病める耳 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 カール・クラウス / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 郷土芸術について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ペーター・アルテンベルクとの別れにあたって / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 住まうことを学ぼう! / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 シカゴ・トリビューン新聞社社屋 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 アーノルト・シェーンベルクと同時代人達 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 近代の集合住宅 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ヨーゼフ・ファイリッヒ / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 オスカー・ココシュカ / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 訳註・解説
ISBN 978-4-8055-0658-5
入手条件・定価 3500円

『師弟のまじわり Lessons of the Masters』

師弟のまじわり

Harvard University Press
THE CHARLES ELIOT NORTON LECTURES
Lessons of the Masters


ジョージ・スタイナー
高田 康成 訳
■体裁=四六判・上製・カバー・288頁
■定価 3,150円(本体 3,000円 + 税5%)
■2011年10月27日
■ISBN978-4-00-023499-3 C0098


■内容紹介
人類の知の歴史は,同時に教える者と教わる者の歴史でもあった.知の伝達にあたって,師は誰に何をどのように受け渡そうとするのか.弟子は師に対していかに臨み,何を求めるのか.権威と反逆,敬愛と嫉妬,信頼と裏切り…….古今の例を自在に引きながら,教育という場に生まれる数々のドラマを描きだしたユニークな文化史.

When we talk about education today, we tend to avoid the rhetoric of
"mastery," with its erotic and inegalitarian overtones. But the
charged personal encounter between master and disciple is precisely
what interests George Steiner in this book, a sustained reflection on
the infinitely complex and subtle interplay of power, trust, and
passions in the most profound sorts of pedagogy. Based on Steiner's
Norton Lectures on the art and lore of teaching, Lessons of the
Masters evokes a host of exemplary figures, including Socrates and
Plato, Jesus and his disciples, Virgil and Dante, Heloise and Abelard,
Tycho Brahe and Johann Kepler, the Baal Shem Tov, Confucian and
Buddhist sages, Edmund Husserl and Martin Heidegger, Nadia Boulanger,
and Knute Rockne.

Pivotal in the unfolding of Western culture are Socrates and Jesus,
charismatic masters who left no written teachings, founded no schools.
In the efforts of their disciples, in the passion narratives inspired
by their deaths, Steiner sees the beginnings of the inward vocabulary,
the encoded recognitions of much of our moral, philosophical, and
theological idiom. He goes on to consider a diverse array of
traditions and disciplines, recurring throughout to three underlying
themes: the master's power to exploit his student's dependence and
vulnerability; the complementary threat of subversion and betrayal of
the mentor by his pupil; and the reciprocal exchange of trust and
love, of learning and instruction between master and disciple.

Forcefully written, passionately argued, Lessons of the Masters is
itself a masterly testament to the high vocation and perilous risks
undertaken by true teacher and learner alike.

■訳者・高田康成の紹介文

同じ事柄でも,それを学ぶ先生によって,その事柄はまったく異なる見え方をするものです.個人的体験で恐縮ですが,小津次郎先生に出会う幸運がなかったならば,私はシェイクスピアの研究者にはなりませんでしたし,その反対に,ある師の存在ゆえにその分野に対する興味が失せてしまったという経験もあります.同様の体験は,誰にでもありましょう.
 師弟関係というのは,つまり,両者の間で伝承される事柄と,両者の間に醸成される人間的な親和力との,繊細にして微妙な組み合わせから成ります.ただし,伝承される事柄を中心にした師弟関係は,制度的にも明確であるのに対して,親和力に依拠した師弟関係は,恋愛関係に似て,心の深奥に触れるにもかかわらず,客観的にそれを保証するものがありません.しかも,師弟関係は本質的に封建的な上下関係という権力構造をもちます.
 ここから,師弟間の美談もさることながら,おぞましくも醜悪な人間模様が繰り広げられることになります.翻ってしかし,人類の文明と文化は,師弟関係という事態を抜きにして考えることはできません.とすれば,歴史を遡って,この抜きさしならぬ事態を考察してみたらどうかという誘惑に駆られます.しかしその容易でないことは,誰の目にも明らかです.
 ご存じジョージ・スタイナーが,晩年の一作品として書き上げた本書は,その興味深くも困難な主題を扱って,あたかも一篇の詩であるかの如く,美しく歌い上げます.

■目次
謝辞

第一章 起源の存続
第二章 火の雨
第三章 偉大な師
第四章 思考の師匠
第五章 新世界にて
第六章 不老の知性

結語
訳者あとがき
人名索引

Introduction

1. Lasting Origins

2. Rain of Fire

3. Magnificus

4. Maîtres à Penser

5. On Native Ground

6. Unaging Intellect

Afterword

Index


■著者
ジョージ・スタイナー(George Steiner)
1929年生まれ.文芸批評家.ジュネーヴ大学比較文学教授,ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジ・エクストラオーディナリー・フェローを歴任.英仏独語とギリシア語・ラテン語に通じ,古典古代から現代までの文学・哲学・芸術・科学にわたる該博な知識を駆使して旺盛な執筆活動を展開する.邦訳著書に,『マルティン・ハイデガー』(岩波書店),『言語と沈黙』(せりか書房),『青ひげの城にて』(みすず書房),『バベルの後に』(法政大学出版局)ほか多数.

高田康成(たかだ やすなり)
1950年生まれ.東京大学大学院博士課程中退.専攻,英文学・表象古典文化論.東京大学大学院総合文化研究科教授.著訳書に,『キケロ――ヨーロッパの知的伝統』(岩波新書),『クリティカル・モーメント――批評の根源と臨界の認識』(名古屋大学出版会),Classics
and National Cultures (Oxford University
Press,共著),イーグルトン『文芸批評とイデオロギー』(岩波書店),グリマル『キケロ』(白水社),ドロンケ『中世ヨーロッパの歌』(水声社)ほか.

『退屈 息もつかせぬその歴史』

退屈
息もつかせぬその歴史

[原題] BOREDOM : A Lively History

ピーター・トゥーヒー 著 篠儀 直子 訳
201109刊/四六判/246頁
C0010 定価2310 円(本体2200 円)
ISBN978-4-7917-6621-5

■内容紹介


退屈はもっともありふれた、もっとも価値のある感情。
古代キリスト教の隠者のエピソードから、有名なデューラーの銅版画、サルトルの
『嘔吐』、さらに最新の脳科学や動物行動学の成果まで、古今東西ありとあらゆる事例をもとに語られる、人間と退屈のまったく退屈しない物語。

In the first book to argue for the benefits of boredom, Peter Toohey
dispels the myth that it's simply a childish emotion or an existential
malaise like Jean-Paul Sartre's nausea. He shows how boredom is, in
fact, one of our most common and constructive emotions and is an
essential part of the human experience.

This informative and entertaining investigation of boredom—what it is
and what it isn't, its uses and its dangers—spans more than 3,000
years of history and takes readers through fascinating neurological
and psychological theories of emotion, as well as recent scientific
investigations, to illustrate its role in our lives. There are
Australian aboriginals and bored Romans, Jeffrey Archer and caged
cockatoos, Camus and the early Christians, Dürer and Degas. Toohey
also explores the important role that boredom plays in popular and
highbrow culture and how over the centuries it has proven to be a
stimulus for art and literature.

Toohey shows that boredom is a universal emotion experienced by humans
throughout history and he explains its place, and value, in today's
world. Boredom: A Lively History is vital reading for anyone
interested in what goes on when supposedly nothing happens.

■目次

序文

1 退屈を位置づける

2 慢性的退屈とその仲間たち

3 人間、動物、監禁状態

4 真昼の消耗

5 退屈に歴史はあるか

6 退屈へと帰還する長い歩み

文献
謝辞
訳者あとがき

人名索引
図版一覧

■著者

[著者] ピーター・トゥーヒー(Peter Toohey)
西洋古典学者。モナシュ大学(オーストラリア)卒業、トロント大学(カナダ)で博士号取得。現在、カルガリー大学(カナダ)芸術学部ギリシア・ローマ学科教授。著書に
Melancholy,Love,and Time : Boundaries of the Self in Ancient
Literature、Epic Lessons : An Introduction to Didactic Poetry など。

[訳者] 篠儀直子(しのぎ・なおこ)
名古屋大学大学院(西洋史学)・東京大学大学院(表象文化論)を満期退学後、東京大学などで非常勤講師。訳書に、『フレッド・アステア自伝』、『グローバル権力から世界をとりもどすための13人の提言』、『ネット・バカ』、『寄生虫のはなし』(ともに青土社)など多数。

2011-10-27

「カフカ」というバンド

カフカ are
Daishi Fujii : Drums , Chorus
Naoya Yoshimi : Bass , Chorus
Kouta Kaneko : Vocal , Guitar (L-R)

http://www.ka-fu-ka.net/

高橋悠治『カフカノート』『カフカ/夜の時間——メモ・ランダム』(2011年10月21日発行)

『カフカノート』
A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/224頁
定価 3,360円(本体3,200円)
ISBN 978-4-622-07640-7 C0073
2011年10月21日発行

■内容紹介
「この本はカフカのノートブックから集めた36の断片の束であり、カフカについてのノートでもある。1990年の批判版全集のテクストにより、ドイツ語原文と日本語のどちらでも上演可能。日本語訳は、パラグラフ、句読点、歌の場合は音節数もできるだけ原文に近づけた」

構成・作曲を手がけた舞台「カフカノート」にむけて書かれたスコア、対訳台本、制作ノートを収録。
カフカはピアニスト高橋悠治をささえる影の思索者。すすみ、停まり、曲がり、途絶えてはまたつづく、その書きかたをなぞるように翻訳されたカフカ。ことばの向こうにカフカの姿が見えてくる。

■目次
I カフカノート(スコア)

II 掠れ書き(制作ノート)
「カフカノート」の準備
カフカのことばを歌う
「カフカノート」の作曲
テクストと音楽……遅延装置
「カフカノート」の後に

III カフカ断片(対訳台本)


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『カフカ/夜の時間——メモ・ランダム』
A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/208頁
定価 3,360円(本体3,200円)
ISBN 978-4-622-07641-4 C0073
2011年10月21日発行


■内容紹介

夜のこわさ。夜でないこわさ。
ひとことでいい。もとめるだけ。空気のうごきだけ。きみがまだ生きている、待っているというしるしだけ。いや、もとめなくていい。一息だけ。一息もいらない。かまえだけ。かまえもいらない。おもうだけで。おもうこともない。しずかな眠りだけでいい。
……………カフカ

はじまりは病室の闇で読んだカフカ。読みなおされ、書きなおされ、翻訳しなおされてゆくカフカとの濃密な時間が、まじりけのないことばで書き留められている。高橋悠治の書きかた、音楽のつくりかたの秘密にみちた一冊。

晶文社より出版された初版(1989年)に「「カフカ」ノート 2」を加え、「新版へのあとがき」を付して新たに刊行。

■目次
夜の時間(カール・クラウス)


病気・カフカ・音楽
「カフカ」ノート 1
可不可
「カフカ」ノート 2

 ii
明恵上人 夢記切(声明のために)
レナード・バーンステインの「平和のためのミサ」によせて
水牛 1
水牛 2
パイクラッパー——ナムジュン・パイクの「風呂敷天下」

 iii
「馬の頭は永遠に向った」作曲ノート
音に向かって
メモ・ランダム
グレン・グールドの死の「意味」?
ランダム・アクセス・メモリーとなった音楽
「カルメンという名の女」(ゴダール)
写真集「ベイルート」(ゾフィー・リステルヒューバー)
「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」(ストローブ=ユイレ)
「緑のアリが夢見るところ」(ヘルツォーク)

あとがき
新版へのあとがき

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■著者 高橋悠治 たかはし・ゆうじ ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
1938年東京に生まれる。作曲家・ピアニスト。桐朋学園短期大学作曲科中退。柴田南雄、小倉朗、ヤニス・クセナキスに作曲を師事。ドイツを経てニューヨークに渡り、コンピュータによる作曲を研究、そのかたわら欧米各地で演奏活動を行う。1973年に一柳慧、柴田南雄、武満徹、林光、松平頼暁、湯浅譲二とともにグループ「トランソニック」を組織、季刊誌「トランソニック」を編集。1978年タイの抵抗歌を日本に紹介するために水牛楽団を結成し、月刊「水牛通信」を発行。現在はウェブサイト「水牛」http://www.suigyu.com/内で執筆。CDに『バッハ:ゴルトベルグ変奏曲』『クセナキス&メシアン:ピアノ作品集』『solo』『モンポウ:沈黙の音楽』『ブゾーニ:ソナティナ集』『高橋悠治』1-4『猫の歌』(歌:波多野睦美、2011)など。著書に『音の静寂
静寂の音』(平凡社、2004)『きっかけの音楽』(みすず書房、2008)『高橋悠治
対談選』(ちくま学芸文庫、2010)『カフカノート』(みすず書房、2011)など。

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■2冊の刊行を記念したトークイベント「カフカ×高橋悠治×保坂和志 わたしたちの書きかた/つくりかた」

2011年10月22日(土)、神楽坂から神保町に移ってきたスタジオ・イワトにて

それぞれの作品から、創作する意志の根底に通い合うものがあるのがわかる。
ふたりのなかにはいつもカフカがいる、というわけで、「カフカ×高橋悠治×保坂和志 わたしたちの書きかた/つくりかた」のトークが実現したのでした。
高橋さんのピアノ伴奏と声楽家・波多野睦美さんによる「夜の時間」(作曲:高橋悠治、ことば:カール・クラウス)の演奏で始まったこの日。
ことばが表すイメージをなぞるように言葉を選びながら問いかけあう2時間は、あっという間に流れていきました。そのごく一部をご紹介します。

* 保坂: (「文學界」の連載「カフカ式練習帳」のことを考え始めていた)2008年は、僕がはじめて高橋さんに直にお目にかかった時で。
そのシューベルトのコンサートの時に、譜めくりの人がめくりそびれたんですよね。
実際に「カフカ式練習帳」が始まったのは、譜めくりをめくりそびれた人を書きとめたことが始まり。
で、なにかと縁が深い(笑)。


* 高橋: やっぱり、人の失敗の方が面白いわけですよね。
ピアニストっていうものは、暗譜して弾くというのがいつからか常識になってるんですよね。
だけどその前(19世紀中頃以前)はどうしたかというと、自分でめくってた。
それで、めくるときに手が離れるから止まると、お客さんはそれを待っていた。
だからあわててパッとか、めくりそこなうとか、そういうことはあり得なかったんですよ。
落ち着いてめくって、また次をやればいいわけです。

* 保坂: カフカの書いたものを読んでると、自分で文章書く時に接続詞を使うことがすごい嫌な感じがするんですよ。
なぜかっていうと、何か書いて、「しかし」とか「だから」ってすると、次に書く内容は「しかし」に該当する内容になっちゃう訳ですよね。
接続詞っていうのは、読者のためにというよりも、書いている自分を救うというか、ちょっと安心させるためについ使っちゃうんじゃないか。
書いている自分に「すこし文章を俯瞰できる位置に自分はいるんだぞ」って安心させるための訓練を子供の時から受けてるから。
だから、最近、できるだけ接続詞っていうのを使いたくないんですよね。
だけど、使わないと不安なんですよね。
それは読者に対する不安っていうんじゃなくて、自分に対する不安なんだと思うんですよね。
でも、あんまり使わないで書いてたら、頭がおかしくなっちゃうかなって気もするんですよ。(…)

* 高橋: 音楽でいうとね、20世紀の初めに、並列式のつくり方っていうのができたと思うんですがね。
ストラビンスキーとかそうなんだけど。
その前のマーラ—とかブルックナーとかワーグナーとかそういうものは、連続してうねりながらどっかへ行く。
そういういことではなくて、ひとつのものがあって、途切れて、違うものが出てきて、そういうようなつくり方ですよね。
それは入れ替えてもいいわけだけど。
入れ替え自由ってことになると、20世紀の中ごろ、たとえばケージとか、これやって、これやって、その逆でもいいし、あるいはやらなくてもいいし、そういうチョイスがあるみたいな。
だけどそれは演奏する側、あるいは作曲する側のチョイスで、音楽聞く側にはチョイスがない訳ですよ。

* 高橋: カフカは事柄の中心からいきなり始まるって言われるでしょ。
中心から始めちゃった場合、そこから出ていくしかないでしょ、そういうやり方っていうのは新しいんですか?


* 保坂: 知らないです。(笑)


* 高橋: 伝統的なやり方っていうのはあるんですよね、書院づくりというのがある。
部屋があって、部屋を出ると別の部屋があって、その度に違う空間に入っていくわけです。
全体というものがない、部分しかない。
それから回遊式庭園。それは池のまわりをめぐっていって、茂みがあって、別の風景になる。
だからそれはけっこう伝統的なつくり方でもあるっていう。

* 保坂: 小説は、ヌーヴォーロマンとかごく一部をのぞいてすごく保守的で。
音楽とか美術にくらべてすごく狭い。


* 高橋: そうですかね? それは保坂さんがっていうことでしょ?
自分がみんなであるっていう幻想がどこかにあるわけでしょ?
だから書いていられるわけでしょ?

* 保坂: カフカがほとんど点も打たずにバーッと書きつづけた。
万年筆のすべりをすごく気にしたっていうぐらいで。
『判決』を一晩で書くというのはものすごい早いんですよね。
カフカの場合には、カフカが書いた早さで読者は読めるのかなって。
よく、「もっと読者のことを考えよ、書き手の思うように書くだけじゃないんだ」みたいな言いかたを小説に対してするんです。
だけど、どんなに書き手が読者のことを考えていないかのようであっても、読者はとにかく小説として完成されたものを読めるわけだから、それはもう十分読者の側に立ってるんですよね。
それはカフカが一気に書くっていうことを考えるまでは考えなかったことなんだけど。
もし、これからパソコンで小説を書く場合に、パソコンの容量がすごく増えたら、著者が書いていく通りの時間で読者は小説が見れるんですよね、読めるっていうか。(…)

* 高橋: 即興演奏するでしょ。
弾いてる速度で作ってるとも言える訳ですよ。
字を書くよりも音を出してる方が、手は簡単だけど。
カフカの書くものを、原稿の写真版とかで見ててね、こうペンが動いていく、その速度で書いているっていうことは、もうすでに読者の側にそれが立ってるっていうふうに思うんですけどね。
たとえば入眠時幻覚がありますよね。
彼が役所勤めから帰ってきて、散歩かなんかして、疲れて。
疲れきってなきゃいけないんだよね、それは。
それはね、疲れきってないといけないと思うんです。
疲れきってないと、身体が抵抗している。
自由になれない。
ちょっと話がずれますがね、クセナキスの曲を弾く時にね、ちょっと普通じゃ弾けないような感じで難しい訳でしょ、それをある速度でやっている。
そうするとコントロールよりちょっと上の何かが起こるわけ。
そうするとね、もう疲れきっちゃうわけですよ。
で、疲れきったときに手がすごくよく動くようになるわけ、軽くなってね。
そうした時にはじめて弾けるようになるんですよ。
だからね、コントロールしてやろうと思っている、その時はできないわけ。
だからね、たぶんイメージが浮かぶのだって、疲れきって、横になって、眠りかかった時に浮かぶものというのは、机に向かって、書こうとして、何かを思い浮かべて、ってそういうレベルじゃないわけですよ。
そこで書き出すわけでしょ、書き出すと今度手が動き出して、それでなんだか知らないけど話ができていく。
それでそれに付いて行く。「作家がペンについていく」って言い方しますよね。
「随筆」ってことばがあるでしょう。
だからそういうものなんですよね。
なんか、こう、思ってちゃいけないわけ。
それで、そういうことは、割と音楽的なアイデアだと思うんですよ。
演奏するときにこうやろう、なんて思ってちゃいけないわけ。
そのままなにも考えずにやらないと、なにもできなくなるのね、自分の考えに縛られて。
だから普通と逆というようなことになるんだけど、ものを論じる人っていうのは、そうやってあれこれ考えてから対象を論じようとするから、分からないんじゃないかと思うんですよ。
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『音楽と数学』でセイレーン神話を実証的に検証し、ポジターノの沖合、「セイレーンの島」と呼ばれるガッリ諸島である実験をした

フリードリッヒ・キットラー、2011年10月18日没

「ムーサ、ニンフ、そしてセイレーン」CD(ドイツ語)
Musen, Nymphen und Sirenen
mit Friedrich Kittler
Konzeption und Regie: Klaus Sander
Erzähler: Friedrich Kittler
Aufnahme und Schnitt: Anja Theismann
Mastering: Piethopraxis Tonstudio Köln
Produktion: supposé 2005

Audio-CD, 56 Minuten
ISBN-10: 3-932513-64-9
ISBN-13: 978-3-932513-64-0
Euro 18,00

BESTELLUNG

"Zwei Münder vereinigen sich zu einer schönen Sangstimme. Weil sie
alles wissen und weil sie alle Lust versprechen,die möglich ist, soll
Odysseus das Schiff anlegen, an der Insel. Das sind die beiden
Sirenen,die in der späteren ikonographischen Tradition auf den Vasen
immer drei sind und immer schreckliche Mischwesen: oben Jungfrauen mit
Busen, unten Krallen und Vögel - bei Homer sind es einfach zwei schöne
Nymphen."
Friedrich Kittler betreibt experimentelle Philologie, bereist die
Sireneninseln und verlebendigt so die Geschichte des Odysseus. Er
erzählt von den honigsüß summenden Stimmen der Frauen, der Geburt der
Musen, den Ausschweifungen Kirkes, läßt Göttinnen auftreten, Huren und
Nymphen - über allem aber schwebt Musik und die Erotik der
Mathematik... Es geht um Verzauberung und die Grausamkeit der
Verführung, um das "Lächeln im unsterblichen Gesicht" (Sappho) und das
Fortdauern des Namens durch die Zeiten, bis er heute seinen Eintrag im
"Sprechbuch" findet. Kittler beschwört unser griechisches Erbe,den
Ursprung aller Wissenschaften.

Prof. Dr. Friedrich Kittler, geboren 1943, Literaturwissenschaftler
und Inhaber des Lehrstuhls für Ästhetik und Geschichte der Medien am
Institut für Ästhetik der Humboldt-Universität zu Berlin.

Stimmen der Kritik:

"Der Berliner Kulturwissenschaftler Friedrich Kittler ist nach Italien
gereist, auf die Sireneninseln, und hat dort, wie er behauptet, die
Philologie nach 2800 Jahren endlich einmal auf eine experimentelle
Basis gestellt 'statt immer nur auf eine Textwichserei'." (Berliner
Zeitung)

"Das Hörbuch ist die Einführung des Punk in die deutsche Philosophie
beziehungsweise Philologie. Kittler liest keinen wohl formulierten
Text stur betont daher, er erzählt, was ihn an Odysseus, den Sirenen
und dem griechischen Denken fasziniert und warum er sich auf die Reise
der Empirie begeben hat. Man sollte das Kennzeichen "Punk" hier aber
nicht mit den berühmten drei Akkorden, die endlos hintereinander
geschrammt werden, verwechseln. Kittler ist überaus belesen, der
griechischen Sprache so mächtig, daß er bekanntere Philosophen wie
Theodor W. Adorno oder Michel Foucault in Nebensätzen als Laien der
griechischen Sprache entlarvt. Kittlers technische Fähigkeiten sind
die eines Jazzmusikers, um im Musikbild zu bleiben, dem auch nach 56
Minuten Spiel die machbaren Ideen nicht ausgehen. Punk meint vielmehr
im Zusammenhang dieses großartigen Hörspiels, das es erlaubt, einem
Denker bei seiner Arbeit zuzuhören, daß er mit dem geprochenen Text
des Hörspiels hinter die geschliffene Schrift zurückgeht, oder auch
die Art und Weise, wie er das Einfache, das Klare griechischen Denkens
unter dem Schleier von 2000 Jahren christlicher Verblendung
hervorholt." (Cord Riechelmann, mare)

"Lust und Wissen sind für Friedrich Kittler eins, weshalb er die
Wissenschaft wieder erotisieren will - ein Unterfangen, bei dem man
nur viel Glück wünschen kann. Jedenfalls ist es ein Vergnügen, Kittler
über den im Griechischen versagenden Adorno spotten oder ein Fragment
Sapphos interpretieren zu hören. Mit Alexander Kluge gesprochen: Für
alle Neu- wie Altgierigen: ein Muß!" (Knut Cordsen, Bayern 2 Radio)

"Das Hörbuch, auf dem er mit hörbarer Begeisterung Sapphos einziges
vollständig erhaltenes Gedicht rezitiert, führt vorzüglich in Kittlers
Griechenland ein." (René Aguigah, Literaturen)

"Kittler zitiert, rekapituliert, rekonstruiert, ja, er reanimiert die
Geschichte des Odysseus und die ihn umschwirrenden Gestalten wie die
Nymphen und die Sirenen. Auf seiner Reise zu den Sireneninseln dringt
Kittler mit scharf geschliffenem Bohrer direkt ins Hirn der
altertümlichen Literatur ein, die, so sein Credo, in der griechischen
Variante das Erbe aller Menschen und den Ursprung der Wissenschaften
in sich trägt. Er hat die Angst vor der Berührung mit den hehren
Künsten des Altertums und seiner nachfolgenden Protagonisten
entheiligt. Alleine deshalb lohnt es sich schon, ihm eine Stunde lang
zuzuhören." (Klaus Hübner, Jazzthetik)

"Mit diesem Sprechbuch, wie Kittler es nennt, geht er hinter die
geschliffene Schriftsprache zurück, zum mündlichen Erzählen, woraus
alle Literatur entstanden ist. Anders als sein Kollege Peter Wapnewski
mit seinen Nacherzählungen des Nibelungenlieds und anderer
mittelalterlicher Epen, liest Kittler keinen wohl formulierten Text
ab. Er strolcht auf Seitenwegen durch die griechische Mythologie und
erzählt gegen jeden Lehrplan, was ihn an den griechischen Helden,
ihren Göttern und dem antiken Denken fasziniert. Beiläufig, im
Konversationston, plaudert er vor sich hin, zündet sich eine Zigarette
an, trinkt, verfertigt hörbar die Gedanken beim Reden, gönnt sich
Pausen, ganz so, als säße er am Tisch unter Freunden. Geschliffen
Scharfes mischt sich mit krausem Kauderwelsch. Dabei geht es um nichts
weniger als um die griechische Variante des Erbes der Menschheit und
den Ursprung der Wissenschaften. Es ist amüsant, man fühlt sich gut
unterhalten. Kittler benimmt sich wie ein Archäologe, der ein paar
Scherben gefunden hat, und so tut, als ließen sie sich zu einer Tasse
zusammensetzen. Am Ende steht da ein ganzes Service, man schmeckt
förmlich die Getränke, hört die Gespräche, sieht ganze Gastmähler vor
sich. Das ist fröhliche Wissenschaft!" (Edelgard Abenstein,
Deutschlandradio Kultur)

"Einer der aufregendsten Denker dieser Tage ist der Berliner
Medien-Professor Friedrich Kittler, dessen aktuelles Projekt den
Sirenen gilt. Die Medienwissenschaft werde ihm langsam langweilig,
erklärt er auf Musen, Nymphen und Sirenen. Vor einiger Zeit reiste
Kittler nach Italien, um nachzuweisen, dass Odysseus an der Insel der
Sirenen nicht nur vorbeischipperte, sondern dortselbst an Land ging.
Und davon erzählt er nun in angenehm plauderndem Tonfall, als säße man
bei Wein und Zigaretten am Tisch und machte sich mit ihm einen schönen
Abend. Kittlers intellektuelle Verve, seine Graecomanie und sein
Talent zum blitzenden Kurzschluss sind über die Maßen faszinierend."
(Katrin Schuster, Freitag)

アドルフ・ロース(Adolf Loos, 1870-1933)全著作集日本語版刊行運動開始

書名:アドルフ・ロース著作集1『虚空へ向けて』
著者:アドルフ・ロース
翻訳:加藤淳  監修:鈴木了二・中谷礼仁  訳注:早稲田大学中谷研究室
解題:ヴァルター・ループレヒター(Dr.Walter Ruprechter) 解題訳:安川晴基
編集発行:編集出版組織体アセテート

世紀末ウィーンに鳴り響く悪態のマッス!
20世紀建築史上もっとも倫理的な建築家による犯罪的文化論。
非建築のかなたへ。

「刑法125条から133条にいたる条文は僕たちにとってもっとも信頼できるモード誌だ」
                         ────「淑女のモード」より


2011年刊行予定

1898年、世紀末ウィーン。後に20世紀建築史に深いトラウマを与えることになる建築家アドルフ・ロースは、いまだ建築家ではなかった。
装飾を断罪した初の近代建築理論といわれる「装飾と犯罪」はどのように育まれたのか?
「紳士のモード」「淑女のモード」など、「装飾と犯罪」にならぶ重要論文を収録したアドルフ・ロース初期論文集が日本語版初登場。世紀転換期のウィーンから、一世紀にわたり眠り続けてきたモダニズムのパンドラ。
編集出版組織体アセテートによる、ロース全著作集日本語版刊行運動開始。

◆アドルフ・ロースとはだれか
◆「虚空へ向けて(INS LEERE GESPROCHEN)」とは?
◆なぜ非建築論か?

◆アドルフ・ロースとはだれか



アドルフ・ロース(Adolf Loos, 1870-1933)
19世紀末から20世紀初頭にかけ、ウィーンを中心として活動した建築家。
同時に世紀末ウィーンにおける近代文化の批判者としての側面をもった。初期モダニズム建築の巨匠となるコルビュジェやミース、ライトらより一世代前の生まれ。
1908年に執筆された論文「装飾と犯罪」(Ornament und
Verbrechen)は、装飾を犯罪行為と言い切り、その過激さゆえにロースを一躍有名にした。到来する近代に対する洞察の圧倒的鋭さによって後に多大な影響を与えたにもかかわらず、あるいはその早さゆえか、ロースはモダニズム移行期の人物として常に過小評価されてきた。

1870年、モラヴィアの地方都市ブルノに生まれる。ドレスデン工科大学に学ぶが一年で中退。シカゴ・コロンビア万国博覧会訪問のため1893年単身渡米。皿洗いや新聞記者の見習いなど、様々な職種で食いぶちを稼ぎながらアメリカに滞在する。1896年、三年間のアメリカ滞在の後、イギリスを経てオーストリアへ帰国。ウィーンにて建築家としてのキャリアを開始するが、この頃同時に建築にとどまらず広く文化・芸術・風俗を批判する批評家として活動し始める。アメリカ・イギリス滞在中に得た知見を紹介しつつ、爛熟したウィーンの世紀末文化を批判した。→続きを読む


◆「虚空へ向けて(INS LEERE GESPROCHEN)」とは?



アドルフ・ロースの著作は現在ドイツ語圏において三巻本の全集として刊行されている。
それらはロースの生前に著者自身のセレクションのもとに出版された論文集二冊、および死後にそれ以外の遺稿を集めた補稿集である。編集出版組織体アセテートでは今後これらすべての著作を、売っては発行資金を回収しながら継続的に発行する予定としている。
本書『虚空へ向けて』の底本Ins Leere
Gesprochenは主に1897年から1900年までのわずか4年、それもロースの批評家としてのキャリアの最初期に書かれた論文を集めたものであり、ロースの存命中に発行された(1921)。
1898年、アメリカから帰国した後、設計の仕事の傍らにぼちぼちと批評の仕事をこなしていた27歳の青年ロースに大きな仕事が舞い込む。この年、ウィーンでは1848年3月の革命??つまり皇帝フランツ・ヨーゼフの即位50周年を記念する展覧会が開催される。ロースはこの一大国家事業のレビューを半年にわたり連載する機会を得るが、この連載こそが本書『虚空へ向けて』のヴォリュームの中心をなすものである。ウィーンにおける都市生活を近隣諸国に知らしめるという国揚的な性格をもった展覧会のレビューという条件も手伝い、結果からみれば論考の題材となったのは工芸、家具、インテリア、そしてファッションといった、当時転換期にあったウィーンの近代的都市生活を「装う」様々な意匠についてであった。
執筆当時、ロースは本書『虚空へ向けて』のタイトルを現在とは別のもの、『近代的神経とその装い』として構想していた。数々の非建築的題材のなかでも、当時のロースの関心を最も占めていたのは明らかにファッション(=モード)の問題であり、そしてそれは後のロースの問題構成を一挙にカバーする題材だった。ロースにとってモードは近代的神経の症候を最も端的に表す指標であった。→続きを読む

◆『虚空へ向けて』目次

 ●はすべて本邦初訳
 初版への序文...●  Vorwort Zur Erstausgabe...●
 第二版への序文...●  Vorwort Zur Zweiteausgabe...●
 美術工芸学校の学校展覧会...●  Schulausstellung Der Kunstgewerbeschule...●
 オーストリア美術館におけるクリスマス展示...●  Weihnachtsausstellung Im Österreichischen Museum...●
 美術工芸の展望1...●  Kunstgewerbliche Rundschau I...●
 美術工芸の展望2...●  Kunstgewerbliche Rundschau II...●
 オーストリア美術館におけるイギリス派...●  Die Englischen Schulen Im Österreichischen Museum...●
 ジルバーホフとその界隈...●  Der Silberhof und Seine Nachbarschaft...●
 紳士のモード...●  Die Herrenmode...●
 新しい様式とブロンズ産業...●  Der Neue Stil Und Die Bronze-INDUSTRIE...●
 室内...●  Interieurs...●
 ロトンダの室内  Die Interrieurs In Der Rotunde
 椅子...●  Die Sitzmöbel...●
 ガラスと陶土...●  Glas und Ton...●
 デラックスな馬車  Das Luxusfuhr Werk
 鉛管工...●  Die Plumber...●
 紳士の帽子...●  Die Herrenhüte...●
 靴...●  Die Fussbekleidung...●
 靴職人...●  Die Schuhmacher...●
 婦人のモード...●  Damenmode...●
 建築材料  Die Baumaterialien
 被覆の原則  Das Prinzip der Bekleidung
 下着...●  Wäsche...●
 家具...●  Möbel...●
 1898年の家具...●  Die Möbel Aus Dem Jahre 1898...●
 印刷工...●  Buchdrucker...●
 オーストリア美術館における冬期展覧会...●  Die Winterausstellung Im Österreichischen Museum...●
 オーストリア美術館の散策...●  Wanderungen Im Österreichischen Museum...●
 ウィーンのスカラ座...●  Das Scala-theater In Wien...●
 メルバとのステージ・デビュー...●  Mein Auftreten Mit Der Melba...●
 ある貧しい裕福な男について...●  Von Einem Armen, Reichen Manne...●
 あとがき...●  Nachwort...●

◆なぜ「非建築」論か?

講演をもとにした論文「装飾と犯罪」は、モダニズム建築における装飾の排除を言明したものとして一般に理解されがちであるが、しかしこの理解はロースの思考の射程にとっては片手落ちである。なぜならロースの著作において、いわゆる建築論の比率はきわめて少ないからである。「建築家」ロースの言葉を、非建築論として再読することが求められている。
「装飾と犯罪」で、ロースは日用品からの装飾の排除を説いた。しかしそれは、芸術における装飾の根源性と、同時にそれが避けがたいことを彼が深く意識していたからである。造形芸術の起源を犯罪者の刺青や便所の卑猥な落書きに求めるロース。彼はそれをヒトに本来的な、エロティックな衝迫として認めつつ、しかし同時にそれを近代人においては克服されるべき欲動として断罪する。人間の本性を超えようとする超人理論としての「装飾と犯罪」。近代芸術における装飾をめぐる問題はロースによってケリをつけられたどころか、この論文によって初めて設定されたといってよい。→続きを読む


◆翻訳者プロフィール

加藤淳(かとう・じゅん)
フリーライター/慶応大学文学部卒。ベルリン工科大学中退。在ベルリン10年。通訳、翻訳、現地コーディネーターなど職業を転々として2008年春帰国。虚空へ向けて時代のアドルフロースを彷彿とさせる人物。10年の肉体的知性にもとづき渾身の翻訳活動を開始。


◆監修者プロフィール

鈴木了二(すずき・りょうじ)
建築家。鈴木了二建築計画事務所主宰。早稲田大学教授/1944年東京都生まれ。1968年早稲田大学理工学部建築学科卒業。竹中工務店、槇総合計画事務所を経て、1977年早稲田大学大学院修了後、fromnow建築計画事務所を設立。1983年鈴木了二建築計画事務所に改称。現在、早稲田大学教授。1977年「物質試行37
佐木島プロジェクト」で日本建築学賞作品賞を受賞。また2005年、本書の対象である「物質試行47
金刀比羅宮プロジェクト」が第18回村野藤吾賞に輝く。美術家とのコラボレーションや映画の制作も行う。ICC企画展「バベルの図書館」において「物質試行39
Bibiloteca」(1988)、16mmフィルム「物質試行35
空地・空洞・空隙」(1992)。主な著書に「建築零年」(2001)や「非建築的考察」(1998)ほか。

中谷礼仁(なかたに・のりひと)
早稲田大学理工学術院建築学科准教授/1965年生まれ。歴史工学。特異な活動で知られる建築史家.近世大工書の編纂,古代から現在までの土地形質の継続性と現在への影響の研究,最近では90年前に今和次郎が訪れた民家すべてを再訪し,その変容を記録する活動を主宰.編集出版組織体アセテートを作り,レアで普遍的な他人の著作を刊行.著書に『セヴェラルネス
事物連鎖と人間』(鹿島出版会,2005) 『国学・明治・建築家』(一季出版、1993) など.


◆解題者プロフィール

ヴァルター・ループレヒター(Walter Ruprechter)
首都大学東京都市教養学部教授/1952年オーストリアMatrei
Osttirol生まれ。1972年インスブルック工業専門学校建築学専攻。アビトゥアー(大学入学資格)取得。1973-1983年ウィーン大学でドイツ文学、美術史、(歴)史学を学ぶ。博士学位を取得し卒業。出版社Medusa.Berlin
.Wienの企画・編集に携わる。1985-1987年日本大学講師。1987-1992年
ウィーン大学講師。1992年より現職。出版物に関しては、オーストリア現代文学、オーストリア文化史(ウィーン近代を中心に)、文化交流の現象と理論(特に日本と西洋の間をめぐって)についての論文を執筆。出版物に、オーストリア現代文学「文化学的転回のトポスとしての「日本の家」研究ー西洋と日本を結ぶ建築家の言説」(2009年度-2010年度)。


◆解題訳者プロフィール

安川晴基(やすかわ・はるき)
千葉工業大学社会システム科学部助教/1973年広島県生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科独文学専攻博士課程単位所得退学。2004-2007年、ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生としてベルリン自由大学博士課程に在籍。専攻、ドイツ文学。

2011-10-24

『絶望名人 カフカの人生論』

著者 フランツ・カフカ 著
頭木 弘樹 編訳
http://ameblo.jp/kafka-kashiragi/
出版年月日 2011/10/20
ISBN 9784864101158
判型・ページ数 4-6・240ページ
# 単行本
# 出版社: 飛鳥新社
# 言語 日本語
# ISBN-10: 4864101159
# ISBN-13: 978-4864101158
# 商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 2.4 cm

■内容説明
「絶望の名言集」

将来に、世の中に、自分の弱さに、結婚に、人づきあいに、不眠に、学校に、そのほかありとあらゆることに絶望したときに読む本!

カフカの絶望の言葉には、不思議な魅力と力があります。読んでいて、つられて落ち込むというよりは、かえって力がわいてくるのです。——編・訳者まえがきより

「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」——カフカ

右ページにカフカの文章、左ページに編訳者の頭木さんによる解説という形式で、見開き完結。

カフカの文章は、短いものは2-3行、長いもの8-9行程度


■目次

・頑張りたくても頑張ることができない
・手にした勝利を活用できない
・人生のわき道にそれていく
・気苦労が多すぎて、背中が曲がった
・散歩をしただけで、疲れて三日間何もできない
・やる気がすぐに失せてしまう
・死なないために生きるむなしさ
・親からの見当違いな励まし
・教育は害毒だった
・会社の廊下で、毎日絶望に襲われる
・愛せても、暮せない

ほか

2011-10-20

川村二郎氏のカフカ短編(掌編)評価

仏文等に比較して「ドイツ文学における短編小説」の特色を述べた文章の中で
カフカの「掌編」を大絶賛

ドイツの短篇小説(川村二郎)『ドイツ短篇24』所収
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タイトル ドイツ短篇24
タイトルよみ ドイツ タンペン ニジュウシ
出版地 東京
出版者 集英社
出版年 1971
形態 390p ; 20cm
シリーズ名 現代の世界文学
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ドイツ短篇24 / 川村二郎 [ほか] 訳<ドイツ タンペン 24>. -- (BN02613662)
東京 : 集英社, 1971.11
390p ; 19cm. -- (現代の世界文学)
別タイトル: Moderne Deutsche Erzählungen
著者標目: 川村, 二郎(1928-2008)<カワムラ, ジロウ>

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ドイツ短篇24 / 川村二郎編<ドイツ タンペン 24>. -- (BN01081590)
東京 : 集英社, 1987
390p ; 19cm. -- (現代の世界文学) -- 新装版
ISBN: 4087730808(新装版)
別タイトル: Moderne deutsche Erzählungen
著者標目: 川村, 二郎(1928-2008)<カワムラ, ジロウ>

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目次

暦物語(ヘーベル著 川村二郎訳)
拾い子(クライスト著 中田美喜訳)
秋の惑わし-一つのメールヘン(アイヒェンドルフ著 高橋英夫訳)
狂ってゆくレンツ(ビューヒナー著 手塚富雄訳)
死人に口なし(シュニッツラー著 岩淵達治訳)
バソムピエール元帥綺譚(ホフマンスタール著 福田宏年訳)
ユリアン(カスナー著 円子修平訳)
ある愛の物語(ハインリヒ・マン著 佐藤晃一訳)
駅長ファルメライアー(ロート著 渡辺健訳)
誕生日(ベン著 飯吉光夫訳)
狂人(ハイム著 飯吉光夫訳)
ホテルの階段(ヴェルフェル著 小栗浩訳)
トゥンのクライスト(ヴァルザー著 城山良彦訳)
断食芸人(カフカ著 城山良彦訳)
ポルトガルの女(ムージル著 福田宏年訳)
ささやかな幻滅(ヘルマン・ブロッホ著 松本道介訳)
マルス(ランゲッサー著 渡辺健訳)
北極星と牝虎(ヤーン著 種村季弘訳)
カサンドラ(ノサック著 小栗浩訳)
縛られた男(アイヒンガー著 高本研一訳)
ぼくの緑の芝生(グラス著 高本研一訳)
郵便屋シュヴァルの大いなる夢(ヴァイス著 種村季弘訳)
薄暗がりを愛する男(アンデルシュ著 高本研一訳)
ベーレンドルフ(ボブロウスキ著 藤川芳朗訳)
ドイツの短篇小説(川村二郎)

2011-10-19

『ベルリン 地下都市の歴史』(ベルリンチカトシノレキシ)

著編者: ディートマール・アルノルト、フリーデル・ザルム、イングマール・アルノルト著、DietmarArnold原著、FriederSalm原著、IngmarArnold原著
訳者: 中村康之訳
ISBN: 9784887217935
価格(税込): ¥3,990
判頁: A5判/258頁
刊行: 2011年9月
東洋書林
原書名:Dunkle Welten
Bunker, Tunnel und Gewölbe unter Berlin
(ベルリンの地下にある、退避壕・掩蔽壕、トンネル、アーチ・丸天井・円天井)

■概要
冥界からの新たな誘い・・・。
好評の地下都市シリーズ、舞台はいよいよナチスの影を色濃く残すドイツ・ベルリンへ!諜報員、工作員が跋扈する「隠密活動の首都」ではいったい何がおこなわれていたのか?秘密墓所、装甲室、火薬庫、貯水場、幽霊駅、気送管郵便などといった、ヨーロッパの最先端をいく古都の内奥を巡る現代の「ダンテ」たち。

ヴァイマール文化の精華たる首都に設えられた地下建造物は、防空という至上命令の下、市全域に根を張る史上最大の要塞へと変貌した。
ナチス第三帝国の心臓部、米ソ対立の最前線となり、地の底から世界を揺るがした20世紀を象徴する闇の牙城を踏査する。

Die geheimnisvollen dunklen Welten unter Berlin sind für die
Öffentlichkeit nicht zugänglich und selbst den Verantwortlichen der
Stadt geben sie mitunter Rätsel auf. Viele Dokumente gingen im Krieg
verloren, so daß immer wieder neue unterirdische Anlagen auftauchen.
Die Autoren des Buches haben es sich mit ihrem Verein »Berliner
Unterwelten« zur Aufgabe gemacht, Licht in dieses Dunkel zu bringen.
Sie durchforschten in- und ausländische Archive, befragten Zeitzeugen
und erkundeten vor Ort Bahnhöfe ohne Gleisanschluß, Verbindungsgänge
ohne Ausstieg und Betonkolosse ohne jede Funktion. Sie erzählen die
Geschichte der vielfältigen Nutzung des Berliner Untergrundes und
berichten dabei von Gruften und Brauereikellern genauso wie von
Kanalisationsschächten, Rohrpostleitungen, Bunkern und »Blinden
Tunneln«.

■目次

ベルリン地下世界入門
第1章 建築基礎と土台
第2章 「出口なきトンネル」と行き止まりの軌道
第3章 地下壕と爆弾
第4章 瓦礫の山と逃亡トンネル
第5章 地下の闇社会
第6章 変革と新たな次元
エピローグ
解説・池内 紀
索引
参考文献

■原書 目次
7 Alfred Kernd'l: Geleitwort (1997)
8 Ingeborg Junge-Reyer:
Vorwort zur 8. Auflage (2007)
10 Otto Schmelzer (1896):
Das Buddeln will nicht enden
12 Dietmar Arnold: Mein erster Einstieg
14 Leitfaden durch die Berliner Unterwelten

■19 Fundament und Grundung
20 Graben und Befestigungen
22 Kasematten und Pulvermagazine
23 Wasserspeicher und Filtergewolbe
25 Brauereikeller und Weinschanken
29 Vom Rinnstein zur Kanalisation
43 Rohrpost . die kleine U-Bahn Berlins
45 Gruften und Denkmale

■58 ≫Blinde Tunnel≪ und tote Gleise
59 AEG-Versuchstunnel in Wedding
61 Spreetunnel Stralau . Treptower Park
63 Der Lindentunnel fur die
Strasenbahn
65 Erste ≫Unterpflasterbahnprojekte≪
66 Das U-Bahnnetz entsteht
(1896.1919)
81 Die zweite Bauphase der U-Bahn
(1920.1930)
87 U-Bahnbau im ≫12jahrigen Reich≪
(1933.1945)
91 Die U-Bahn in der gespaltenen Stadt
(1945.1961)
93 Neue Tunnel und ≫Phantomlinien≪
(1961.1989)
95 ≫Blinde Tunnel≪ bei der S-Bahn
98 Fusganger- und Autotunnel

■101 Bunker und Bomben
113 Das ≫Fuhrer-Sofortprogramm≪
118 Attentate aus dem Untergrund
120 Beton gegen Bomben
132 Rustungsindustrie unter der Erde
137 Endkampf im Tunnel
140 ≫Fuhrerbunker≪ und Anlagen
an der Wilhelmstrase

■146 Trummerberge und Fluchttunnel
148 Bunkerzertrummerung und Ubererdung
152 Kalter Krieg und neue Bunker
162 ≫Ruf nicht mehr an!≪ . die Post nach 1945
164 Berlin . Hauptstadt der Agenten
166 ≫Subversive Wuhlereien≪
170 ≫Geisterbahnhofe≪
172 Flucht mit der U-Bahn

■175 Unterwelt im Untergrund
175 ≫Tresoreinbruch≪ in der Literatur
177 Tresoreinbruch in der Realitat
181 Der Zehlendorfer Tunnelcoup
184 Die Beutetouren von ≫Dagobert≪

■186 Umbruche und neue Dimensionen

■208 Epilog

218 Anmerkungen
227 Literaturverzeichnis
230 Abbildungsnachweis
231 Personenregister
232 Sachregister
(mit Strasen- und Ortsangaben)
239 Zu den Autoren


■著者
アルノルト,ディートマール[アルノルト,ディートマール][Arnold,Dietmar]
1964年生まれ。ベルリン工科大学で都市・地域計画を専攻。1997年に社団「ベルリン地下世界」を設立、筆頭理事長となる

アルノルト,イングマール[アルノルト,イングマール][Arnold,Ingmar]
1967年生まれ。ベルリン自由大学およびフンボルト大学卒。社団「ベルリン地下世界」の共同設立者で、研究部門を担当

ザルム,フリーデル[ザルム,フリーデル][Salm,Frieder]
1962年生まれ。ベルリン市立光学・写真技術専門学校で学び、1986年よりフリーのカメラマン。主に記録用、宣伝用の写真を手がけ、地下壕をテーマとしたドキュメンタリー映画も撮影している

中村康之[ナカムラヤスユキ]
1963年山口市生まれ。金沢大学文学部文学科卒。社内翻訳者として特許・法務翻訳に携わったのち、ドイツ語翻訳者として独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

2011-10-18

『建築のエロティシズム—世紀転換期ヴィーンにおける装飾の運命』

タイトルからはわかりにくいが、カフカ研究者必携の書
田中純先生の、円熟の結晶、ご本人が自負しているとおり、
世紀転換期ウィーンの「少なくとも時代の核と見なしうるような文化現象の精髄については、ここで凝縮して示しえた」!!
という本です

カフカ作品では、『訴訟』の猥雑さ、『流刑地』の装飾についてもちろん触れており
『カフカの衣装』(アンダーソン)を「瞠目すべき研究」としている

ロースとカフカ、ヴァイニンガーとカフカ、「独身者の機械」
など、カフカ研究の立場からみれば、なにも目新しい指摘はないかもしれない

けれども、ウィーン在住でモード記事を書いていた女性ミレナとの交際、
かたや「ベルリン」という、もうひとつの一大中心地との関係までも含めて
「カフカのエロティシズム」を、このくらいの密度で書けたら・・・


『建築のエロティシズム—世紀転換期ヴィーンにおける装飾の運命』
著者: 田中 純 【著】
出版社: 平凡社
発売日: 2011年10月
発行形態: 新書
ISBN: 9784582856118
(458285611X)
税込価格: 819円

■内容紹介
一九世紀末から二〇世紀初頭のヴィーンを舞台に、装飾がそこで担った意味の分析を通じて、近代建築のエロティシズムを考察した意欲作。

19世紀末から20世紀初頭のヴィーンを舞台に、装飾が担った意味の分析から、建築のエロティシズムを考察。ロース、フロイト、カフカ、ヴィトゲンシュタイン等、文学・芸術・思想が織りなす論理にこそ建築の官能性は宿る。


■目次

はじめに


第1章 オーストリアの終焉 聖なる春のヴィーン

価値真空の装飾
様式の問題
技術との対決
反撃する建築家
眼の停止点
旧世界の墓碑のために


第2章 建築家のダンディズム アドルフ・ロース

ダンディの法
婦人服のモード
カルマの館
モードの終わり?


第3章 反フェミニストの遺書 オットー・ヴァイニンガー

「性と性格」
セックスしかない女、セックスを超越した男
女は存在しない
女としてのユダヤ人
ロースとヴァイニンガー


第4章 装飾と犯罪 アドルフ・ロース2

ダンディによるオタク批判
装飾と性衝動
ダンディとしてのわれわれ
ロース・ハウスのスキャンダル
装飾の犯罪学
カフカにおける「装飾と犯罪」


第5章 装飾としてのペニス ジークムント・フロイト

フェティシズムの構造
装飾と去勢
超自我の生成
倒錯者の戦略


第6章 両性具有の夢 アドルフ・ロース3

女性的な剰余空間
被膜の原理と写真嫌い
文字の去勢
破壊する建築家


第7章 恐るべき子供たち1 オスカー・ココシュカ

アルマとの恋愛体験
フェティッシュとピグマリオン
人形愛という狂気
皮剥ぎと女の欲望


第8章 恐るべき子供たち2 ルードヴィッヒ・ヴィトゲンシュタイン

ヴィトゲンシュタインの建築
扉と窓の明晰化
独身者と花嫁
法と倫理のエロティシズム


おわりに

ガラスのペニス
装飾の運命


あとがき

2011-10-17

「カフカの小説のような、構造が全部ぬけたテントの梁(はり)みたいな小説が好きなんだ。外から見ただけでは中身がまったく想像できない作品。一つ一つのイメージはとても明瞭なんだが、横に並んでいたものがいつの間にか縦に見えてくる迷宮のような作品だ」

「カフカの小説のような、構造が全部ぬけたテントの梁(はり)みたいな小説が好きなんだ。外から見ただけでは中身がまったく想像できない作品。一つ一つのイメージはとても明瞭なんだが、横に並んでいたものがいつの間にか縦に見えてくる迷宮のような作品だ」

安部公房——自由、無国籍な「世界文学」(忘れがたき文士たち)
2011/10/16日曜 日本経済新聞 朝刊 23ページ 1871文字
記事署名:編集委員 浦田憲治

1991年12月20日、東京・新宿の京王プラザホテル内の、会員制クラブで、安部公房さんにじっくり話を聞いたことがあった。7年ぶりに長編小説『カンガルー・ノート』を刊行したばかりだった。
 安部さんは大江健三郎さんと並んで日本のノーベル文学賞の有力候補だった。代表作『砂の女』はフランスで日本人として初めて最優秀外国文学賞を受賞し、勅使河原宏監督が手がけた映画はカンヌ映画祭で審査員特別賞に輝いた。『壁』『他人の顔』『燃えつきた地図』などの主要作品はほとんど外国で翻訳され、「前衛作家」として世界的な名声を得ていた。しかし、日本では「前衛の時代」が過ぎ去っていたこともあり、人気は下降ぎみだった。
 安部さんは多少、そのことを気にしていたように見えた。洋酒が並んだラウンジで自身の文学についてこう語った。
 「僕の作品は少しも難しくはないんだ。知的レベルの高い人物は決して登場させてこなかったし、目で見えているふつうのことしか書かない。観念的な言葉も使わない。読者がその人なりの感性で自由に読めるように書いているつもりだ」
 たしかに安部さんの文学は様々な楽しみ方ができた。関心を寄せるカフカやルイス・キャロルやガルシア=マルケスなどの作家のように奇妙なイメージや巧みな物語の運びで読者をぐいぐい引きずり込んでいく。ミステリーのように読めるし、哲学的、寓話(ぐうわ)的な作品としても楽しめる。テーマや意味が一つに固定せずに、拡散しているのが魅力だった。
 例えば、砂丘に昆虫採集に出かけた男が、謎の女が住む砂の穴に閉じ込められてしまう『砂の女』。男は穴から脱出しようと何回も逃亡を試みるが、その度(たび)に失敗してしまう。やがて男は砂穴の生活に順応し始め、脱出の機会が訪れてきても逃げようとはしなくなる。
 主人公に「拘束」のなかに「自由」を探る実存主義者の姿を見いだすことができる。あるいは国家と現代人の関係を風刺しているとも読める。
 「カフカの小説のような、構造が全部ぬけたテントの梁(はり)みたいな小説が好きなんだ。外から見ただけでは中身がまったく想像できない作品。一つ一つのイメージはとても明瞭なんだが、横に並んでいたものがいつの間にか縦に見えてくる迷宮のような作品だ」と語った。
 たしかに安部文学はSF的、超現実主義的、幻想的、寓話的、迷宮的で、どれをとっても前衛的だった。日本の伝統や民族性からは自由な、無国籍の「世界文学」だった。幼少時に父母と満州(現・中国東北部)に渡り、異郷の地で敗戦の混乱を体験したことで、国家に縛られない自由な発想や歴史観を養った。個人を飲み込む共同体のあり方に疑問を抱くようになり、人間の裸の姿を共同体の外部から冷静に見つめるようになった。
 東大医学部出身の秀才で、数学や科学に強く合理的思考の持ち主だった。機械にも強く、高級カメラ、ビデオ、シンセサイザーを愛用し、スポーツ車を乗り回した。日本の作家では初めてワープロを使って長編小説『方舟さくら丸』を書いたことでも話題になった。当時は小説にはワープロは適さないという空気が支配的だったが「脳に連動するのは目で、目で確認しながら打てば、手で書くのと変わりない」と擁護した。ワープロだとふつうは作品が長くなりがちだが、安部さんはその逆で、ワープロを使って徹底的に推敲(すいこう)したり、原形をとどめないほどに削ったり、どんどん短くしていった。
 あまり知られていないのが、官能性だ。映画「砂の女」では岸田今日子さんが好演していたが、安部さんの作品には、必ず不思議なエロチシズムをたたえた女性が登場する。
 ユーモアにも富んでいた。『方舟さくら丸』の「ユープケッチャ」という虫のような、おかしな仕掛けが登場した。遊び好きで、表紙カバーには『箱男』ではゴミの写真を、『カンガルー・ノート』ではすっぽんの頭の骨の写真を使った。
 安部さんはインフルエンザで倒れて入院し、93年1月22日に急逝した。東京調布市の自宅で行われた葬式は「死んで焼かれれば炭酸カルシウムになるだけ」と語った安部さんらしく、一切の情緒的なものを排した無宗教の簡素なものだった。
日本代表する前衛作家
あべ・こうぼう(1924〜1993)東京生まれ。少年期を満州(現・中国東北部)で過ごす。東大医卒。51年「壁—S・カルマ氏の犯罪」で芥川賞。『砂の女』『他人の顔』『燃えつきた地図』『箱男』『密会』『方舟さくら丸』『カンガルー・ノート』と長編を発表。戯曲に『友達』『棒になった男』などがある。

2011-10-14

出版記念トークの会「カフカ×高橋悠治×保坂和志 わたしたちの書きかた/つくりかた」お知らせ(予約受付終了)

高橋悠治『カフカノート』と『カフカ/夜の時間』の二冊が2011年10月21日にみすず書房から刊行されるのを記念して
高橋悠治と保坂和志のトーク「カフカ×高橋悠治×保坂和志 わたしたちの書きかた/つくりかた」開催

※完売のため予約受付終了

カフカについてぐるぐると考え続けるふたりのトーク。
当日は、まだ書店に並ぶ前の出来たての本の販売もあり。

■日時
2011年10月22日(土)15時30分開場 16時スタート
■会場
スタジオイワト 千代田区西神田3−8−5 ビル西神田1F
水道橋/九段下/神保町より徒歩6分

■定員 60名(お電話/メールにてお申し込み先着順)
■入場料 1000円 (お釣り銭のないようにご用意下さい)

2011-10-11

クライスト没後100年とカフカ

カフカが見たかもしれない雑誌と、クライスト没後100年を意識していたとはっきりわかる日記の書きこみ

Karl Walser: Heinr. v. Kleist's Grab am Wannsee. In: Die Jugend, Nr. 46 (1911)
http://www.stadt-zuerich.ch/content/kultur/de/index/institutionen/museum_strauhof/Ausstellungsprogramm_2010/heinrich_von_kleist/texte-und-bilder---pressematerial/jcr:content/mainparsys/imageset_1/image3.popup.html

JUGEND 46-1911 Jugendstil. Heinrich von Kleist - Nummer

JUGEND. Münchner illustrierte Wochenschrift für Kunst und Leben. 1911,
Nr.46. Heinrich von Kleist-Nummer, 100. Todestag. Illustrationen u. a.
von: Max Slevogt (vgl. Abb), Karl Walser, Angelo Jank, Jul. Diez.
Texte: Heinrich von Kleist an Ulrike; Der unbekannte Kleist, von
Arthur Eloesser; Marionetten, Menschen, Götter, zum 100. Todestage
Heinrich v. Kleist, von Dr. S. Friedlaender.

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[Tagebuch, 23. November 1911; Donnerstag]

23. XI 11 am 21. dem 100jährigen Todestag Kleists ließ die Familie
Kleist einen Kranz auf sein Grab legen mit der Aufschrift: "Dem Besten
ihres Geschlechts"

2011-10-06

プラハガイド2冊

タイトル ストラホフ修道院
責任表示 [ストラホフ・プレモントレ会修道院ストラホフ図書館][編]
出版地 プラハ
出版者 ウ・ラーイ‖ウ ラーイ
出版年 2008
形態 72p ; 20cm
注記 執筆:エヴェモルド ゲイザ・シドゥロフスキーほか
ISSN 1213-6514
ISBN 978-80-86758-58-9

ストラホフ‐しゅうどういん【ストラホフ修道院】《 Strahovsk klter
》チェコの首都プラハの中心部にある修道院。12世紀にブラジスラフ公によりプレモントレ会の修道院として創設。中世から受け継がれる貴重な蔵書がある図書館のほか、18世紀に描かれた天井のフレスコ画が有名。

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タイトル The Klementinum : a guide / Petra Oulikova.
版表示 1st ed.
出版地 Prague
出版者 National Library of the Czech Republic
出版年 2006.
形態 76 p. ; 24 cm.
ISBN 8070504927
ISBN 8070504919 ((Czech ed.))
ISBN 8070504935 ((German ed.))

クレメンティヌム 【Klementinum】チェコの首都プラハの中心部、旧市街にある複合建築物。11世紀創建の聖クレメントに捧げられた教会がドミニコ会の修道院になり、16世紀にイエズス会が神学校として利用した。続いてマリア=テレジアの時代に図書館、天文台、大学施設などが建てられた。現在は国立図書館として利用される。

2011-09-30

第9回日本独文学会賞受賞!川島隆 『カフカの<中国>と同時代言説 黄禍・ユダヤ人・男性同盟』(彩流社2010年)

第9回日本独文学会賞受賞!

日本語研究書部門

川島隆 『カフカの<中国>と同時代言説 黄禍・ユダヤ人・男性同盟』(彩流社2010年)

選考委員
日本語部門・委員長:桑原聡
委員:金子元臣、小林英起子、清水誠、清水穣、杉谷眞佐子、竹岡健一、中直一、松村朋彦、山下仁

http://www.jgg.jp/modules/neues/index.php?page=article&storyid=911

2011-09-28

Krapotkin, Peter Alexejewitsch. ” Memoiren eines russischen Revolutionärs.”

#Forschungsliteratur
# Born, Jürgen: Kafkas Bibliothek. 1990. Frankfurt a.M.. S.Fischer

ある革命家の思い出 上(全2巻)
(平凡社ライブラリー 743)

P.クロポトキン=著
高杉一郎=訳

定価:1470 円(本体:1400 円)  HL判  264頁  2011.09
ISBN978-4-582-76743-8 C0323 NDC分類番号 289.38

帝政ロシアの名門貴族に生まれながら、過酷な農奴制に疑問を持ち、学問と革命家への道を辿っていく姿が克明に描かれる。自伝文学の傑作と謳われ、上巻は24歳のシベリア探検までを収録。

2011-09-02

新装版『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』

アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮
新装版
田中 純 著
2001/201105刊/A5判/398頁
C1010 定価3780 円(本体3600 円)
ISBN978-4-7917-6605-5

■内容紹介
イメージ分析学の誕生
図像表現の細部に宿るパトスを一身に受けとめた美術史家アビ・ヴァールブルク。その妄想と錯乱を孕んだ思考のただなかに沸騰する情念の論理を精緻に解読し、20世紀思想史の未踏の領野を照らしだす耀かしい力作。

【第24回 サントリー学芸賞受賞】(思想・歴史部門)

■目次

  第�部 両極性 1908‐1923

第一章 棄教者として
  プロローグ—— �出身の�教授
  ドイツ帝国の成り上がり者
  「ユダヤ人」 というイメージ
  シオニズムと同化の狭間で
  戦争書誌学者の闘い

第二章 星辰の魔神たち
  イメージの大移動
  論理と魔術
  宗教改革の占星(、、)政治
  標語的イメージ
  宿命論からの解放
  アテネとアレクサンドリア
  両極性の無気味さ
  トリュフを探す豚のように
  思考空間の崩壊

第三章 クロイツリンゲン、地獄篇
  胡蝶との語らい
  家父長制的アジール
  不可視の虐待
  聖なる喜劇の始まり

第四章 蛇儀礼講演
  旅の回想/回想という旅
  解読困難な再録羊皮紙(パリンプセスト)
  畸形の誕生
  神への侵入
  不死なる蛇
  啓蒙のエンブレム
  破壊される観想空間
  象徴と物神崇拝(フェティシズム)
  「(癒しがたい) 精神分裂病患者の告白」
  白昼夢のなかの言葉なき者(インファンス)
  金枝の木霊(こだま)

  第�部 情念 1886‐1907

第五章 ヴィーナスたち
  フィレンツェ体験
  感情移入をめぐる問い
  附属物という細部—— ボッティチェリ論(一)
  生活と芸術の相互浸透—— ボッティチェリ論(二)
  情念と定型—— ボッティチェリ論(三)
  一四〇〇年代(クアトロチエント)の夢解釈
  絵画における夢の仕事
  人類学的観相学に向けて

第六章 ニンフ=グラディーヴァ
  オペラの誕生—— 悲劇の精神からの
  ニンフへの恋
  よみがえったニンフ=グラディーヴァ
  死の女神たちの踊り

第七章 初期ルネサンス人たちの肖像
  肖像画の図像魔術
  同定のアポリア
  蘇生の奇蹟
  エネルギー象徴と調整心理学
  ルネサンスと資本主義のエートス

第八章 イメージの病理学
  情念の最上級表現
  野獣の回帰
  像(イメージ)の悪魔祓い

  第�部 記憶 1924‐1929

第九章 記憶劇場のドラマトゥルギー
  囚われ人の帰還
  文庫の成長と変容
  楕円形をした知の宇宙
  「日本人ノ気質ヲ通シテ見タ、ハンブルク人ノ理念」
  怪物から天球へ
  歴史家としてのレンブラント
  見者・霊媒・地震計—— ブルクハルトとニーチェ

第十章 よみがえる異教の熱狂 図像アトラス 「ムネモシュネ」(一)
  占星術をめぐる展示計画
  ライデン瓶としての集合的記憶
  ヨーロッパの熱狂の源泉に向けて
  「自然感情」 の変容
  怪物(モンストラ)と聖体顕示台(モンストランツ)

第十一章 ヨーロッパ文化の夢分析 図像アトラス 「ムネモシュネ」(二)
  「ムネモシュネ」 序文
  図像アトラスの構成
  聖体の秘蹟と犠牲の暴力—— 七十九番パネル
  グリザイユによる幽霊譚の上演
  古代の 「おもかげ」
  自伝的純粋非理性批判

第十二章 ヴァールブルクのダイモン
  英雄的狂気
  エピローグ—— 林檎の老木

アビ・ヴァールブルク略年譜

書誌
図版一覧


新装版に寄せて

■著者
田中純(たなか・じゅん)
1960年、宮城県仙台市生まれ。東京大学教養学部卒業。国際交流基金勤務をへて、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は表象文化論、ドイツ文化研究。著書に、『残像のなかの建築』(未來社)、『都市表象分析�』(INAX出版)、『ミース・ファン・デル・ローエの戦場』(彰国社)、『死者たちの都市へ』(青土社)、『都市の詩学』(東京大学出版会、第58回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)、『政治の美学』(東京大学出版会、第63回毎日出版文化賞受賞)、『イメージの自然史』(羽鳥書店)など多数。

■書評(高山宏)
「『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』もそうであると言えるが、読者が限定されるモノグラフより、間口の広い今作『都市の詩学』の方が、田中純躍進のためには絶対好個のマニフェスト本だ。」
http://booklog.kinokuniya.co.jp/takayama/archives/2007/12/post_36.html

2011-09-01

『アーティスト症候群〜アートと職人、 クリエイターと芸能人〜』

# 単行本: 265ページ
# 出版社: 明治書院 (2008/02)
# ISBN-10: 4625684064
# ISBN-13: 978-4625684067
# 発売日: 2008/02

■内容紹介
「人はなぜアーティスト になりたがるのか」−芸術がアートと言い換えられるようになった80年代、カタカナ職業の増加と前後してアーティストという呼び名も溢れていった。
  いまや美術界だけに留まらず、芸能・歌謡界、美容業界、工芸・クラフト界なども席巻する「アーティスト」たち。何故、アーティストと呼ばれたいのか。なにをもってア—ティスト/アートとするのか。多彩な切り口から「アーティスト」を考える。

■目次
美術家からアーティストへ
アーティストだらけの音楽シーン
芸能人アーティスト
『たけしの誰でもピカソ』と『開運!なんでも鑑定団』
職人とクリエイター
「美」の職人アーティスト達
私もアーティストだった
「アーティストになりたい」というココロ

■著者
大野左紀子 紹介

1959年、名古屋生まれ。東京芸術大学美術学部彫刻科卒業。
1983年より2002年まで美術作家活動を行う。現在、名古屋芸術大学、トライデントデザイン専門学校非常勤講師。著書『モテと純愛は両立するか?』(夏目書房)ほか。
http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/

世界との違和を生きる

アーティストには「自分はアーティストである」「アート活動をしている」という自己認識がありますが、それがないにも関わらず「アーティスト」と呼ばれる人々がいます。正規の美術教育を受けておらず、ただ自分の中の不可解な表出欲にだけ突き動かされて、次々と「何か」を作ってしまう。作ったものがアート作品かどうか、人にどう見られるかなど考えもしない。そうした人々を指して「アウトサイダー・アーティスト」と呼びます。

近年ではヘンリー・ダーガーが有名です。引きこもりに近い極度の孤独の中で、何十年にも渡って描き続けられた膨大な量の絵が死後に発見され、その荒唐無稽なファンタジー世界は多くの人々を驚嘆させました。

アウトサイダー・アーティストに共通しているのは、「世界と自分との不調和」という強い違和の感覚です。自分にとってこの現実世界にはリアリティが感じられない。そこで生の実感を得ることはできない。だから、仮構の世界を強固に作り上げようとする。それは自らが現実世界に押し潰されないための、必要に迫られた行為です。いわゆる「アート活動」ではないのです。しかしこの「世界と自分との不調和」の感覚こそは、アーティストの創作動機の根底にあるものだと思います。

20世紀前半のアーティスト達の中には、個々の表現で従来の美術を塗り替えようとしただけでなく、革命や社会運動に身を投じこの現実を変えようとした人々が多くいました。もちろん世界は容易には変わってくれないし、従って違和感も簡単には消えなかった。が、それはやはり、自らが現実世界に押し潰されないための、必要に迫られた行為だったでしょう。

そのような止むに止まれぬ無為の行為とそこに賭けられた闇雲なエネルギーを、他に名付けようもなく「アート」と言うのです。「アート」はアーティストと名乗る者が作っているから「アート」なのではない。そう考えると、アートやアーティストに対する見方も変わってくるのではないでしょうか。

Classics in Comics@『モンキービジネス』 柴田元幸・編

Classics in Comics@『モンキービジネス』 柴田元幸・編
西岡兄弟 禿鷹 フランツ・カフカ(訳--池内紀)原作
定価:1,365円(本体価格 1,300円+税)
ISBN:978-4-86332-187-8

西岡兄弟 兄弟殺し フランツ・カフカ(訳--池内紀)原作
定価:1,575円(本体価格 1,500円+税)
ISBN:978-4-86332-170-0

西岡兄弟  バケツの騎士 フランツ・カフカ(訳==池内紀)原作
定価:1,365円(本体価格 1,300円+税)
ISBN:978-4-86332-141-0

西岡兄弟 ジャッカルとアラビア人 フランツ・カフカ(訳=池内紀)原作
定価:1,050円(本体価格 1,000円+税)
ISBN:978-4-86332-119-9


西岡兄弟 田舎医者 フランツ・カフカ(訳==池内紀)原作
定価:1,365円(本体価格 1,300円+税)
ISBN:978-4-86332-059-8

西岡兄弟 流刑地にて フランツ・カフカ(訳==池内紀)原作
定価:924円(本体価格880円+税)
ISBN:978-4-86332-008-6

『〈故郷〉のトポロジー——場所と居場所の環境文学論』

四六判上製224ページ/定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-843-0 C0098 7月13日頃発売!
新シリーズ エコクリティシズム・コレクション


■内容紹介
言葉のない場所に言葉を、
生命のない場所に生命を感じとる——。

アメリカ先住民やチカーノ、日系アメリカ人、そして沖縄の民らの
表現を媒介に、重層化する彼らの《アイデンティティ》を問い、
そして他者へと開かれてゆく、清冽な文学論

■目次
序 章  私(たち)はどこにいる
第1章  故郷という居場所
第2章  沈黙に寄り添う言葉
第3章  ラ・ヨローナとリオ・グランデ
第4章  新しい場所に根ざす
第5章  境域としての場所と身体
第6章  淵を居場所とする者たちへ

■著者

喜納 育江 キナ イクエ

研究分野

* 各国文学・文学論
* キーワード:アメリカ文学

現在の研究課題

* ネイティウ゛・アメリカンの文学
キーワード:ネイティウ゛・アメリカン , Chicano/A , 多文化主義
* エコフェミニズム
キーワード:フェミニスト批評 , エコクリティシズム
* 戦後沖縄とアメリカの異文化接触における女性
キーワード:ジェンダー , 文化研究 , ポストコロニアル
* Ecofeminist Reading
キーワード:Ecofeminism , Environemental , Postcolonialism
* Border Cultures
キーワード:Chicana/o , Gloria , Anzaldua

学歴
出身大学院・研究科等

* 2000 , ペンシルヴァニア州立インディアナ大学 , 博士

研究職歴等
研究職歴

* 2001 - , 琉球大学 法文学部 国際言語文化学科 英米文化講座 准教授

研究活動業績
研究業績(著書・発表論文等)
著書

* 今福龍太編 『21世紀文学の創造・境域の文学』
岩波書店 2003(Mar.)
著者名:喜納育江
* 『ネイティヴアメリカンの文学』
ミネルヴァ書房 2002(Mar.)
著者名:喜納育江,西村頼男
* Native American Literature
Minerva in Japan
著者名:Ikue Kina,Yorio Nishimura

論文

* グローリア・アンサルドゥーアのBorderlands/La Frontera:チカーナによる境域文化論
, 『英語青年』 , (10月号):411-413 2005(Oct.)
著者名:喜納育江
* Gloria Anzaldua and _Borderlands/ La Frontera: Chicana Border Theory
, Eigo Seinen the Rising Generation 2005(Oct.)
著者名:Ikue Kina
* 翳るビジョン・石の結束:サイモン・オティーズのアメリカ南西部
, 『現代詩手帖』 , (5月号):70-77 2005(May)
著者名:喜納育江
* Vision Shadowing and Woven Stone: Simon Ortiz and American Southwest
, Contemporary Poetry 2005(May)
著者名:Ikue Kina
* 1945年から1963年までの婦人会活動に見るアメリカ統治下の公的領域における女性の領域
, 平成14〜16年度科学研究費補助金基盤研究(A)(2)報告書(課題番号14209011,研究代表者・山里勝己) 2005(Mar.)
著者名:喜納育江
* Listening to the Voice of Silences: Animism in Jeannette Armstrong
琉球大学法文学部 , 欧米文化論集 , (47):25-41 2003(Mar.)
著者名:喜納育江
リポジトリ
* 混血インディアン女性の自己像:コゲウェア、ある混血の物語
, 木下卓他編 『多文化主義で読む英米文学』 , :192-209 1990(Mar.)
著者名:喜納育江
* ネイティヴアメリカンのことばとアニミズム
, 『文学と環境』 , (6):23-29
著者名:喜納育江
* エコフェミニズム文学批評
, 『文学と環境』 , (8):57-61
著者名:喜納育江
* Listening to the Voice of Silences: Animism in Jeanette Armstrong
, Ryudai Review of Euro-American Studies , (47)
著者名:Ikue Kina
リポジトリ
* About Indigenousness: Seeking Spiritual Intimacyin _Literature
from the Borderlands
, published by Iwanami, edtied by Ryuta Imafuku
著者名:Ikue Kina
* Native American Language and Animism
, Literature and Environment , (6)
著者名:Ikue Kina
* Ecofeminist Literary Criticism
, Literature and Environment , (8)
著者名:Ikue Kina

その他

* 「物語という儀式:レスリー・マーモン・シルコウ」と「生命に内在する複数の記憶」
ミネルヴァ書房 , 文学・環境学会編 『たのしく読めるネイチャーライティング』
著者名:喜納育江

研究費
科学研究費補助金(研究代表者)

* 2009 - 2011 , チカーノ演劇の境域性とアメリカ先住民文化における語りの伝統 , 基盤研究(C)
* 2006 - 2008 , アメリカ南西部の境域をめぐるチカーノとアメリカ先住民の文学 , 基盤研究(C)
* 2003 - 2005 , レスリー・マーモン・シルコウとアメリカ先住民文学における異文化的対話の系譜 , 若手研究(B)

『人文学と電子編集 デジタル・アーカイヴの理論と実践』

A5判/上製/528頁
初版年月日:2011/08/31
ISBN:978-4-7664-1774-6
(4-7664-1774-7)
Cコード:C1000
税込価格:5,040円

【編者】
ルー・バーナード(Lou Burnard)
オクスフォード大学コンピューティング・サービス所長補佐
キャサリン・オブライエン・オキーフ(Katherine O'Brien O'Keeffe)
ノートルダム大学教授(英文学)
ジョン・アンスワース(John Unsworth)
イリノイ大学大学院教授(図書館情報学)
  (原著刊行当時)

【監訳者】
明星聖子(みょうじょう きよこ)
埼玉大学教養学部教授
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。
著書に、『新しいカフカ——「編集」が変えるテクスト』(慶應義塾大学出版会、2002年。本書で2004年に第1回日本独文学会賞<日本語研究書部門>受賞)。訳書に、リッチー・ロバートソン『カフカ』(岩波書店、2008年)、『グーテンベルクからグーグルへ——文学テキストのデジタル化と編集文献学』(共訳、慶應義塾大学出版会、2009年)等がある。

神崎正英(かんざき まさひで)
ゼノン・リミテッド・パートナーズ代表。
京都大学文学部卒業。コロンビア大学でMBA取得。
著書に、『プロフェッショナル電子メール』(ハルアンドアーク、1999年)、『ユニバーサルHTML/XHTML』(毎日コミュニケーションズ、2000
年)、『セマンティック・ウェブのための
RDF/OWL入門』(森北出版、2004年)、『セオリー・オブ・スタイルシート』(技術評論社編集部・編、2006年)、『セマンティック
HTML/XHTML』(毎日コミュニケーションズ、2009年)
、訳書に『グーテンベルクからグーグルへ——文学テキストのデジタル化と編集文献学』(共訳、慶應義塾大学出版会、2009年)がある。

■内容紹介

デジタル編集の哲学
▼MLA(Modern Language
Association)が刊行した、学術書(人文学=哲学、文学、歴史学など)のアーカイヴ、電子書籍(版)の編集ガイドラインに関する実践的・理論的問題を扱う24本の論文を収録。
▼電子テキスト編集の作業チェックリストや、テクニカルタームについての詳細な解説(用語解説)、参考文献も紹介しており、電子編集に関するあらゆる情報を提供。

■目次

まえがき
   トマス・タンゼル
序文

第�部 典拠資料と方針
デジタルの地平での編集
   ディーノ・ブッツェッティ ジェローム・マッギャン

『カンタベリー物語』をはじめとする中世テキスト
   ピーター・ロビンソン

記録資料の編集
   ボブ・ローゼンバーグ

詩とネットワーク——詩を電子編集する——
   ニール・フレイスタット スティーヴン・ジョーンズ

戯曲のケーススタディ——『ケンブリッジ版ベン・ジョンソン作品集』——
   デイヴィド・ガンツ

女性作家プロジェクト——デジタル化されたアンソロジー——
   ジュリア・フランダース

著者による翻訳——サミュエル・ベケットの『ざわめく静けさ/ぴくりと跳ねて』 ——
   ディルク・ファン・ヒュレ

散文フィクションと近代の手稿——電子版のテキストコード化の限界と可能性——
   エドワルト・ファンホウテ

哲学のケーススタディ
   クラウス・フイトフェルト

宗教テキストの電子化——「ヨハネ福音書」を例に——
   D・C・パーカー

マルチメディアの解剖図——自己評価の試み——
   モリス・イーヴズ

碑文研究
   アン・マホーニー

第�部 実践と手順
手稿と印刷典拠資料から機械可読テキストを作る効果的な方法
   アイリーン・ギフォード・フェントン ホイット・N・ダッガン

転写のレベル
   M・J・ドリスコル

編集におけるデジタル・ファクシミリ
   ケヴィン・キーナン

電子版の真正性認証
   フィル・ベリー ポール・エガート クリス・ティフィン グレアム・バーウェル

文書管理とファイル命名
   グレッグ・クレイン

書字システムと文字表現
   クリスティアン・ウィッテルン

マークアップ選択方法を文書化しておく理由と方法
   パトリック・ドゥルソー

格納、検索、表示
   セバスティアン・ラーツ

TEIを使わない方が良いとき
   ジョン・ラヴァニーノ

印刷ベースの編集プロジェクトから電子形態への移行
   ハンス・ヴァルター・ガーブラー

電子版における権利と許諾
   メアリ・ケイス デイヴィド・グリーン

電子版の収集と保存
   マリリン・ディーガン

補遺 ガイドライン
学術版編集者のためのガイドライン
原則の概要

訳者あとがき
TEIガイドライン第4版と第5版の違いについて

参考文献
索引
執筆者一覧

『イメージの地層 ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言』

イメージの地層
ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言
水野千依 著
定価/本体価格 13,650円/13,000円
判型 A5判・上製
ページ数 920頁
刊行年月日 2011年
ISBNコード 978-4-8158-0673-6
Cコード C3071

■内容紹介

奇跡像、蠟人形、幻視 …… 近代の「芸術」からはこぼれ落ちる、「迷信」
に満ちたイメージの力を無視することなく、人々がそこに残した痕跡や文化の記憶が織りなす複雑な地層を、図像・文書の丹念な解読によって辿りなおし、ルネサンスの多元性を蘇らせた
「イメージの歴史人類学」 の試み。

■目次

序 章

第1章 聖なるものの地政学
      —— トスカーナ地方における聖母像崇敬の流行と変遷
   第1節 都市周辺部の聖母像崇敬
       1 チーゴリの聖母
       2 セルヴェの聖母
   第2節 都市-周辺部の力学
       1 インプルネータの聖母
       2 プリメラーナの聖母
   第3節 都市の聖母像崇敬
       1 オルサンミケーレの聖母
       2 サンティッシマ・アヌンツィアータの聖母
       3 ルバコンテ橋の恩寵の聖母

第2章 像の再活性化/無効化の力学
      —— 中世末以降の聖像の死後生と修復
   第1節 トスカーナ地方における奇跡像の修復 —— 聖母像を中心に
       1 聖なる身体の重ね描きと置き換え —— 様式概念と礼拝価値
       2 「芸術様式」 の時代における聖像の修復
          —— ネーリ・ディ・ビッチの 『覚書』 に見る修復的処理
   第2節 アルプス地方における奇跡像の修復
         —— 「聖クリストフォルス」 と 「主日のキリスト」 を中心に
       1 同一図像の重ね描き、反復/並置、アッサンブラージュ
       2 図像の横滑り
   第3節 像への冒瀆あるいは像の教育学
       1 像への検閲と図像の変容 —— 「主日のキリスト」 を例に
       2 教化としての冒瀆 —— イメージの教育学

第3章 痕跡と分身 —— ルネサンス肖像史再考
   第1節 ルネサンスの肖像とマスク
       1 《ニッコロ・ダ・ウッツァーノ》 問題
       2 ルネサンスにおける型取り肖像
   第2節 イマーゴ —— 「祖先の像」 と 「像による葬儀」
       1 古代のイマギネス
       2 ルネサンスにおけるイマギネスの残存
   第3節 余剰性と反転性 —— 分身としての肖像
       1 分身=コロッソスとしての肖像
          —— デヴォトゥス/ホモ・サケル/主権の身体
       2 過剰と反転 —— 像による神格化/像による懲罰
   第4節 エクス・ヴォート —— 死と蘇生の物神
       1 奉納像
       2 展示のポリティクス
       3 「分配される人格」 —— 崇敬と冒瀆のはざまで
       4 犠牲と贖罪 —— 死と蘇生の物神

第4章 「肉の目」 と 「心の目」 —— 「心の祈禱」 の実践と図像
   第1節 寄進者の肖像 —— ロレンツォ・ロット作対幅画
       1 作品の来歴と同定
       2 《キリストの母への暇乞い》 とエリザベッタ・ロータの肖像
       3 《キリストの降誕》 とドメニコ・タッシの肖像
   第2節 「新しい敬虔」 とイタリアにおける 「心の祈禱」
       1 北方における 「新しい敬虔」 と 「心の祈禱」
       2 イタリアにおける 「新しい敬虔」 と 「心の祈禱」
       3 イタリアにおける 「心の祈禱」 と図像
   第3節 サクロ・モンテ —— 「場の記憶」 と 「心の巡礼」
       1 サクロ・モンテの起源をめぐる状況
       2 サクロ・モンテ初期構想における 「トポミメーシス」 と 「心の巡礼」
       3 カイーミの 『四旬節説教』 にみる 「秩序」 と 「場の記憶」
       4 「場」 の模倣から 「奥義」 の演出へ

第5章 予言と幻視 —— ルネサンスの終末論文化における図像の地位
   第1節 「田園の聖母」 の顕現 —— 幻視と集合的トラウマ
       1 「田園の聖母」 のシナリオ
       2 幻視の伝達回路と図像イメージ
       3 集合的トラウマと幻視 —— 「執り成し」 の図像とその変容
       4 無効化される 「田園の聖母」 —— カトリックと改革派のはざまで
   第2節 「徴候」 としての怪物
       1 「予言的怪物」 のルネサンス
       2 解読される怪物たち —— イタリア戦争と予言文化
       3 怪物の形態学
   第3節 予言文化の終息とその残響
         —— サン・マルコ大聖堂とフィオーレのヨアキム
       1 サン・マルコ大聖堂のモザイク解釈をめぐる異端審問
       2 モザイクをめぐるもうひとつの裁判
       3 ヨハネ黙示録の図像の変遷とサン・マルコ大聖堂のモザイク
       4 サン・マルコ大聖堂におけるフィオーレのヨアキムの予言の伝統
       5 職人集団によるもうひとつの黙示録解釈
       6 サン・マルコ大聖堂のモザイクにおけるヨアキム的予言の継承

終 章

■著者
水野 千依


【研究テーマ】

イタリア・ルネサンス美術史および芸術理論
イタリア・ルネサンスというと、人文主義を背景にレオナルドやミケランジェロなどの天才芸術家が活躍した芸術の黄金時代を思い浮かべることでしょう。たしかにこの時期、美しいものとして造形を嘆賞する態度が前景化したことは疑う余地もありません。しかしながら、ルネサンス文化において、イメージへの美的な新しい態度は、先在する宗教的で「迷信的」ともいえる態度と相互に関わっていたのも事実です。わたしは、この対話的出会いがいかに新たなイメージの歴史を紡ぎだしてきたのかという点に着目し、多角的に研究を進めています。ときに古代の異教的慣習や土着の民間信仰の残滓を刻み込み、像を畏怖し、崇敬し、攻撃した当時の人々の心性を、歴史人類学的視座から理解することを試みています。具体的には、奇蹟や幻視にまつわる像の地位、瞑想や記憶術と図像の関係、終末論的予言文化における図像の役割、出産儀礼や葬祭儀礼における像の機能、イメージの「力」を再活性化したり無効化したりする近代以前の修復的身ぶり、奉納像(エクス・ヴォート)やデス・マスクの系譜などのテーマを中心に、必ずしも芸術革新という側面だけでは語りつくせない、ルネサンスのイメージの多元性を少しでも解明できればと考えています。


【主な著作】

『西洋美術館』(共著 小学館 1999年)
ゴンブリッチ『規範と形式』(共訳 中央公論美術出版 1999年)
『カラヴァッジョ鑑』(共著 人文書院 2001年)
ディディ・ユベルマン『残存するイメージ』(共訳 人文書院 2005年)
エリー・フォール『美術史 近代美術Ⅰ』(共訳 国書刊行会 2007年)
『ジョットとその遺産展』(展覧会カタログ 責任編集 損保ジャパン東郷青児美術館 2008年)


【主な論文】

「絵画の語り、聖劇の語りーロレンツォ・ロット作スアルディ家礼拝堂フレスコ画装飾をめぐって」
(『美術史』145号、1998年)
「死と蘇生の〈物神(フェティッシュ)〉ーサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ聖堂奉納像」
(『美術フォーラム』8号、2003年)
「ヴァラッロのサクロ・モンテ創設期におけるベルナルディーノ・カイーミの構想-〈場の記憶〉と〈心の巡礼〉」(『京都造形芸術大学紀要』9号、2006年)
「〈健やかなる男児〉と〈怪物〉の誕生ーイタリア・ルネサンスの出産装飾にみるイメージの〈力〉」
(『AUBE-比較芸術学』2007年)
「田園の聖母の幻視ー16世紀イタリアの田園文化と聖母信仰をめぐる一考察」
(『芸術学研究』2号、2008年)
「ルネサンスの芸術家工房ーネーリ・ディ・ビッチの『覚書(Le Ricordanze)』から」
(『ジョットとその遺産展』、2008年)


【主な展覧会企画、その他】

『ジョットとその遺産展』(島根美術館、損保ジャパン東郷青児美術館 2008年)

2011-08-30

「われわれの知っているこの世界は、数限りもないほどの希望に満ちている。ただし、そのどれひとつとして、われわれのためのものではない」

川村二郎『アレゴリーの織物』を読んでいると、アレントが引いた、ゲーテとベンヤミンの言葉が、そのまま引かれている。さらに次のようなカフカの言葉も。「われわれの知っているこの世界は、数限りもないほどの希望に満ちている。ただし、そのどれひとつとして、われわれのためのものではない」。http://twitter.com/#!/Yuzu47/statuses/81287350960914433

「カフカの主人公の受動性」@『小説の誕生』(保坂和志)

『小説の誕生』 保坂和志 著
税込価格 : \1100 (本体 : \1048)
発行形態 : 書籍
判型 : 四六判変型
頁数 : 478ページ
ISBN : 978-4-10-398206-7
C-CODE : 0095
発売日 : 2006/09/29


■内容紹介
世界を絶望せずに生きるための小説を求めて——。
小説的思考とは何か? 小説が生まれる瞬間とはどういうものか? 小説的に世界を考えるとどうなるの
か?——行き着く先もわからないまま考えつづけるうち、「小説論」はどんどん「小説」へと変容していった。「小説論」とは思考の本質において、評論ではな
く「小説」なのだ! 『小説の自由』につづく、待望の第二弾。

■目次
まえがき——F式前進——
1 第二期のために書きとめて壁にピンで止めたメモのようなもの
別のことを提示する
芸術とアート
〈新しい−古い〉は同じ系
ゴダールの言葉
2 小説と書き手の関係
小説に潜む"切断"
小説の力学
推敲とは?
リアリティの生成
標準的センテンスからのズレ
3 現代性、同時代性とはどういうことか
現象としての現代性、同時代性
言葉は底が抜けている
ベケットからハイデガーへのアンサー
カフカの主人公の受動性
「新しい」文学はもうありえない
4 外にある世界と自分の内にあること、など
小説の基盤の脆弱さ
読者とはどんな人たちか
ただ読むこと
"筋"ではなく"場"だけがある
『ロクス・ソルス』
「人生にあって忘れ難い瞬間」
中身と形式の強い連関
5 時間と肉体の接続
パソコンが壊れた
阿部和重の直列的な文章
文学じみた"現実"
アキちゃん、または個人や自我の乗り越え
時間は驚くほど人を変える
いまだ言語化されていない時間
現代の思考のモードの打破
6 私の延長は私のようなかたちをしていない
「肉体は滅びる」か?
「脳」が広大無辺であるとはどういうことか
表現に刻みつけられる時間
肉体が理解する空間
「同じ現象を歩む」
7 小説を離れてリアルなこと
書店という空間
人間と空間との関わり
芸術とはまず量である
語りえないものと時間
小説から離れてリアルなこと
小島信夫のすごい小説
思考の胎動
名簿の中の死者たち
8 現実とリアリティ
作者と現実が触れ合う
自分を取り巻く方角の感覚
ホフマンスタールと「現実界」
読者の中で起こる事実
9 私の延長
「死」をめぐる問い
ドストエフスキーの歪み
世界を肯定する小説
武士とヤクザの死生観
特攻服に縫い込まれた詩
『春と修羅』
自分に関係のある近所の環境
10 「われわれは生成しつつあるものを表現するための言語を持っていない」
『ニーチェと悪循環』
「永劫回帰」とは?
考えること、書くこと
「言葉なんかいらない」
『寓話』個人出版
作家は異質さを持ち込む
諸衝動の出会いの場所
11 人間の姿をした思考
小説にはどうして人間が出てくるのか
ギリシア神話の神々の姿
神はどのように生まれてきたか
言葉と別のところで存在するもの
太古の人間にとって世界とは
森で生まれた思考
事実に負けない思考
感動すること、時間の中に生きること
12 人間の意図をこえたもの
世界の何か
肉体との直結
論理的なものの非論理性
どこまでも伸びてゆく線
意図の過剰推測
なけなしの選択肢
13 力と光の波のように
意識とは何か
不滅であるもの
世界には外はない
思考の完成を許さない亀裂
言語の体系が揺さぶられる
視覚イメージ不可能なもの
制度化されざる力
引用文献リスト

あとがき

著作一覧

『一人称小説とは何か - 異界の「私」の物語』

著者 廣野 由美子 著
シリーズ 哲学・思想 > MINERVA 歴史・文化ライブラリー 19
出版年月日 2011/08/10
ISBN 9784623060795
判型・ページ数 4-6・288ページ
定価 本体2,500円+税

■内容紹介
「私」による語りの可能性
一人称形式によって描かれた虚構の世界。
そのなかで照らし出されるものは何か
「私」とは誰か?一人称形式の小説を読みとくさいの鍵となる「異化」作用について、イギリス小説を中心に考察する。語り手の設定によって創造された
虚構の世界では、人間の在り方にどのような新しい光が当てられ,いかなる実相が照らし出されるのだろうか。本書は、死者や怪物、動物をはじめ、さまざまな
「私」の物語世界へと誘う。

■目次

まえがき

序 小説と異化作用

第一章 一人称小説の伝統と機能

第二章 不思議の国の「私」——スウィフト『ガリヴァー旅行記』

第三章 「私」は死者——フィールディング『この世からあの世への旅』

第四章 「私」は怪物——メアリ・シェリー『フラケンシュタイン』

第五章 「私」は超能力者——ジョージ・エリオット「引き上げられたヴェール」

第六章 「私」は動物——アンナ・シューエル『ブラック・ビューティ』

結び 語り手の設定——一人称小説の可能性
各章コラム/参考文献/あとがき

■著者

研究分野 英米文芸構造論(イギリス小説)

キーワード 19世紀イギリス小説、ヴィクトリア朝、物語論、小説理論、ジェイン・オーステイン、ブロンテ、ディケンズ、サッカレー、トロロープ、ギャスケル、ジョージ・エリオット、ハーディ

研究テーマ  英米文芸構造論の立場から、近現代イギリスにおいて、人間がいかに文化・社会的環境を認識し、それを小説という高度な物語形式を用いて表象してきたかを探究することによって、文芸表象分析の概念的・方法論的基盤確立を目指す。

 研究対象は、ジェイン・オースティン、ブロンテ姉妹、ディケンズ、サッカレー、トロロープ、エリザベス・ギャスケル、ジョージ・エリオット、トマス・ハーディ等の19世紀イギリス小説。これらの文芸作品を主たる対象として、物語の内容がいかに語られているかという<形式的物語分析>、ならびに広義の物語論、すなわちプロット構成・時間構造・人物造形・イマジェリー・テーマ論等を含む<物語の内容分析>を、諸々の文学理論を援用しながら多面的に分析する。これによって、小説の表象構造や小説言語のメカニズムの解明に取り組んでいる。

 「語り」とは、人間存在に根差す根源的行為のひとつである。人間にとって「物語とは何か」という問題を探究することが、私の研究テーマである。

代表的著書,論文等 『19世紀イギリス小説の技法』(福原賞受賞/英宝社, 1996)

『「嵐が丘」の謎を解く』(創元社, 2001)

『批評理論入門−「フランケンシュタイン」解剖講義』(中公新書, 2005)

『視線は人を殺すか−小説論11講(MINERVA歴史・文化ライブラリー11)』(ミネルヴァ書房, 2008)

『ミステリーの人間学−英国古典探偵小説を読む』(岩波新書, 2009)

所属学会

その他の研究活動等 日本英文学会(2005-2007 編集委員、2007 同委員長)、日本英文学会関西支部(2008-2010
大会準備委員、2009 同委員長、2011-理事)、日本ブロンテ協会(2002-2010
評議員、2011-理事、2011-編集委員)、日本ジョージ・エリオット協会(理事・編集委員)、日本ギャスケル協会(幹事、論文審査委員)、ディケンズ・フェロウシップ日本支部(2002-2008
理事)、日本オースティン協会、日本ハーディ協会、日本ヴィクトリア朝研究学会 各会員

担当授業

学部

英米文芸表象論講義、英米文芸表象論演習I,II、英米文芸表象論講読I,II

大学院修士課程

英米文芸構造論1、文芸表象論演習1

大学院博士課程

文芸表象論特別演習

全学共通科目

英語I, 英語II

経歴等 1958年、大阪府生まれ。1982年、京都大学文学部文学科卒業(独文学専攻)。英文学に転向後、神戸大学大学院・文学研究科修士課程修了
(1988)、同・文化学研究科博士課程単位取得退学(1991)。学術博士(1994)。大阪市立大学他非常勤講師(1991〜1994)、山口大学教育学部助教授(1994〜2000)を経て、京都大学総合人間学部助教授(2000〜2003)。2003年、改組により京都大学大学院人間・環境学研究科助教授。2008年より教授。

『カフカ中期作品論集』

カフカ中期作品論集
編者:古川昌文/西嶋義憲
執筆者 : 有村隆広/安藤秀國/上江憲治/
佐々木博康/下薗りさ/立花健吾/西嶋義憲/
野口広明/古川昌文/牧秀明/村上浩明

四六判・上製・410頁
ISBN978-4-8102-0228-1
3,150円 (本体3,000円)
2011年7月刊

■内容紹介
カフカ「中期」の代表作を
11名の執筆者が徹底分析!

 本書では「中期」(1914年夏から1917年春までの3年間)に書かれた作品のうち、短編『流刑地にて』と短編集『田舎医者』を取り上げ、第一部では『流刑地にて』を第二部では『田舎医者』に収められた14編の作品をそれぞれ独立させて論じた。生前に発表された代表的な短編と短編集が11名の執筆者によりさまざまな角度から分析される。
 巻末に「年譜」と「索引(人名・作品・事項)」を付した。


■目次

短編『流刑地にて』
『流刑地にて』—戦う二人
『流刑地にて』—「書くこと」の断罪
『流刑地にて』—「お見通し」発言の分析

短編集『田舎医者』
『新しい弁護士』—自由への憧れと諦念
『田舎医者』—夢の技法
『天井桟敷にて』—真実と現実
『天井桟敷にて』—構造分析
『一枚の古文書』—騙し絵の構図

ほか

2011-08-29

『令嬢たちのロシア革命』

レイジョウタチノロシアカクメイ
令嬢たちのロシア革命
斎藤 治子【著】
岩波書店 (2011/04/27 出版)
314,7p / 19cm / B6判
ISBN: 9784000256582
価格: ¥3,990 (税込)


■目次

まえがき
プロローグ 帝政に抗う女性たち
一 貴族女性の抵抗のかたち
二 令嬢たちの自立意識とフェミニズム
三 チェルヌィシェフスキー『何をなすべきか』現象
四 ナロードニキと女性テロリスト
五 マルクス主義の革命運動と女性解放
I
第1章 アリアドゥナ・ティルコーワ——ロシアと女性の解放を求めて
一 誕生,そして兄の大事件
二 ギムナジヤの親友たち
三 結婚,離婚,子持ちのジャーナリスト
四 政治改革運動への参加
五 二人の男性との出会いと日露戦争
六 一九〇五年革命の中で再婚
七 カデットのフェミニスト
第2章 アレクサンドラ・コロンターイ——恋多き社会主義フェミニスト
一 型破りな軍人貴族の家庭
二 結婚,そして別れ
三 プレハーノフとの出会い
四 フェミニズムから学ぶ
五 国際社会主義運動へ
六 反戦平和のための戦いとボリシェヴィキの恋人
七 レーニンとともに革命へ
第3章 エレーナ・スターソワ——ボリシェヴィキ優等生の切ない恋
一 芸術の香り高い家族
二 青春の旅立ちは革命運動
三 ロシア社会民主労働党ボリシェヴィキとして
四 党活動の中で芽生えた恋
五 奇妙な結婚,憧れのレーニンとの出会い
第4章 イネッサ・アルマンド——レーニンへの愛と自立のはざまで
一 フランス生まれの美少女
二 愛する義弟とともに革命へ
三 シベリア流刑
四 ヴァロージャの死,そしてパリへ
五 ふしぎな三角関係
六 『ラボートニッツァ』の発行
七 自立へのもがき
第5章 マリーヤ・スピリドーノワ——エスエルのカリスマ・テロリスト
一 女子高生で革命の道に
二 ルジェノフスキー暗殺事件——スピリドーノワ,世界に名をはせる
三 結婚できない婚約者たち
四 アカトゥイ収容所の仲間たち
五 マリツェフ収容所のコンミューン
六 エスエルの悩み
II
第6章 一九一九年二月革命
一 第一次世界大戦がロシア女性に与えた被害と「チャンス」
二 国際女性デーから二月革命へ——帝政の崩壊,ソヴェトと臨時政府の成立
三 令嬢たちの二月革命
四 レーニンの帰国と「四月テーゼ」
五 臨時政府の改造と総攻撃の失敗
六 臨時政府,夏の明暗——七月事件と女性参政権
第7章 十月革命——ソヴェト政権の「講和」と令嬢たちの「平和」
一 コルニーロフ最高司令官の反乱
二 十月武装蜂起へ
三 ソヴェト政権の成立
四 憲法制定会議の召集と解散
五 ブレスト・リトフスク講和条約——レーニン最大の危機と令嬢たち
エピローグ 革命のもたらしたもの
一 アリアドゥナ・ティルコーワ——ソヴェト政府と戦い続けた生涯
二 アレクサンドラ・コロンターイ——世界初の女性大使への道
三 エレーナ・スターソワ——スターリン時代を生き延びた奇蹟
四 イネッサ・アルマンド——若き死,愛に充たされて
五 マリーヤ・スピリドーノワ——農民のために捧げた命

地図
あとがき
文献

■著者

斎藤治子(さいとう はるこ)
1936年,東京生まれ.
東京女子大学文学部卒,東京大学大学院社会学研究科国際関係論専門課程博士課程修了.東京女子大学,上智大学等の非常勤講師を経て,帝京大学文学部助教授,教授.2003年退職.政治学博士.ロシア現代史,国際関係史.
著書に,『独ソ不可侵条約』新樹社,1995年.『ユーラシア・ブックレット6.いま,レーニンへの旅』東洋書店,2000年.『ユーラシア・ブックレット79.第二次世界大戦を見直す』東洋書店,2005年.(共著)『日露戦争研究の新視点』成文社,2005年.
『世界史史料』編集委員.

■著者からのメッセージ

あるとき「レーニンとイネッサ・アルマンドはほんとに「関係」があったんですか?」と質問を受けた.私が知るわけがないではないか.「本人たちに聞くしかないですね」.やんわりと応えた.
 またあるとき「カランターイの恋愛に興味がありますか?」とロシア人に聞かれた.カランターイ?誰のこと?それが,世界初の女性大使として知られるコロンタイだと気づくまでに,やや間があった.
 私の専門は一応,外交史だから,よそ様の恋愛に首をつっこんでいる暇はないのである.だが,ソ連崩壊後のロシア革命非難のごうごうたる嵐が静まり,多面的な見直しが可能になってきた頃,彼女らがこの時代をどのように生きたのかが気になりだした.そして,裕福な家庭と子どもを「捨て」,革命運動に飛び込んだイネッサやコロンターイなどを通じて,ロシア革命を透視してみようと思った.この革命は女性労働者の「パンをよこせ」のデモに始まったものでもあるのだ.ボリシェヴィキだけではなくソヴェト政府に反対した女性たちにも登場してもらおう.彼女たちは生身の女性だから恋愛もするし,運動との板ばさみもあっただろう.現代の女性たちと共通する問題を抱えていたに違いない.
 個人的な興味から5人の貴族令嬢を選び,21世紀の世界に招待した.

■書評 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

■次代の女性の社会的役割牽引■

 本書を読み進むうちにある感情が熟成されてくる。ロシア革命に至る道筋に顔を出す5人の女性が生き生きと描写され、まるで評伝のような手法が用いられている。著者自身、「歴史学の枠すれすれ、あるいは枠を越えてしまったかもしれない」と書いているが、一般読者にはこの手法こそむしろ著者の意図が正確に伝わるように思える。

 5人の女性(生年は1869年から84年まで)は、ロシア社会を含めヨーロッパ社会を代表する知性と行動力をもっているのだが、貴族やオペラ歌手、文官などの家庭で独自の基礎教育を受けた共通点をもっている。その知的環境を知らされると、彼女たちはロシア革命によって自らの信念(女性の自立や社会主義による男女差別の是正など)が果たされたわけではないが、少なくとも20世紀の女性の社会的役割の牽引(けんいん)者になったことは疑い得ない。

 5人の1人、イネッサ・アルマンドはレーニンを師と仰ぎつつ、しだいに愛情を寄せるようになるが、家庭を捨て、革命家として自立を目指す中に垣間見える実像を著者は好意的に描く。革命が成ったあとの1920年秋に46歳で病没するが、死直前の日記を引用しつつ、「レーニンと革命と(前夫との)子どもたち、この3つがイネッサの中では1つに溶け合っており、彼女の生きる力であった」と書く。レーニンの悲しみの記述も十分にうなずける。

 ロシア革命はドイツから戻ったレーニンが、いわゆる「4月テーゼ」を示し、これが契機となり十月革命が実る。民衆にこのテーゼを知らしめる役を果たしたコロンターイとスターソワという2人の女性の役割は大きいと著者は指摘する。その人生にも、革命理論と実践の研ぎ澄まされた融合がある。最終章で5人の女性が、革命後どのような人生を辿(たど)ったかが描かれる。各様の姿にロシア革命の悲劇も宿っていて考え込む。

■日本ユーラシア協会東京都連合会HPより

『独ソ不可侵条約』(新樹社)『第二次世界大戦を見直す』(ユーラシアブックレット東洋書店)など現代史における国家間の秘密交渉と背後関係に関する精緻な分析で定評ある著者が、このたび世に問うたのがこの『令嬢たちのロシア革命』である。
 "天の半分は女性が支えている"との格言を待つまでもなく、"歴史の原動力に女性あり"ということを再認識させてくれたのが本著だ。帝政末期からロシア革命の黎明期、揺籃期の出来事が女性の手によって創出されたことが丁寧に綴られている。恋愛、結婚、離別など歴史を紡ぐがごとき男女が織りなす綾と女性同士のライバル心などが伏線となって、革命が創出されていく過程叙述が深い味わいを呼ぶ仕上げとなっている。日本語の歯切れ良く、とにかく読みやすい。プレハーノフのロマンスも捨てがたいエピソードだ。

いずれにしても、ロシア革命研究に新境地を拓いてくれたことに敬意を表したい。
渾身の力作、諸兄諸姉には眼光紙背に徹するご精読を乞う。                  (K)

岩波書店 2011年4月27日刊(価3990円)
(斎藤治子氏は東京ロシア語学院理事長、ユーラシア研究所前所長、帝京大学元教授)

〈岩波書店ホームページから〉
二月革命の発端は国際婦人デーに女性労働者が中心となったデモであり,革命の主導者の中には高い教育を受けたロシア貴族の令嬢の姿が見られた.後に世界初の女性大使となったコロンターイ,美貌でも知られるアルマンドら,革命を牽引した五人の女性たちの活躍と苦悩を,ソ連崩壊後公開の続く史料に基づいて,活き活きと描く。

2011-08-25

『チェコの伝説と歴史』

チェコの伝説と歴史
A.イラーセク著・浦井康男訳註
判型: A5 上製
頁数: 580
ISBN: 978-4-8329-6753-3
Cコード: C3022
発行日:2011-03-31
定価: 9,450円 (本体価格9,000円+税)

●本書の特徴
建国伝説から18世紀初頭の民衆の反乱まで,チェコの歴史を単なる概説ではなく,フィクションを加えた「歴史を背景とした作り話」として生き生きと描写.歴史的背景の説明と詳細な注により,日本人読者にもわかりやすいよう配慮した.チェコ文学の古典の初めての邦訳!


●目次
訳者まえがき

第一部 古代チェコの物語
解  説
序  文
1 章 チ ェ フ
2 章 クロクとその娘たち
3 章 ビヴォイ
4 章 リブシェ
5 章 プシェミスル
6 章 リブシェの予言
7 章 娘たちの戦い
8 章 クシェソミスルとホリミール
9 章 ルチャン人との戦い
10 章 ドリンクとネクラン


第二部 キリスト教時代の物語
解  説
序  文
1 章 スヴァトプルク王
2 章 イェチミーネク王
3 章 聖ヴァーツラフの旗
4 章 ブルンツヴィーク
5 章 オパトヴィツェの秘宝
6 章 古きプラハの物語
 (1) 古きプラハの物語
 (2) 奇術師ジト
 (3) 国王ヴァーツラフ四世
 (4) 旧市街市役所の時計台
 (5) ダリボル・ス・コゾイェト
 (6) ユダヤ人の町
 (7) 嘆きの場所
 (8) ファウストの家
7 章 ジシュカ
8 章 クトナー・ホラの坑夫たち
9 章 白い貴婦人
10 章 ばらの野原
11 章 神の審判
12 章 ヤノシーク


第三部 古の予言より
序  文
1 章 シビラの予言
2 章 盲目の若者の予言
3 章 ハヴラス・パヴラタの予言
4 章 様々な予言
5 章 ブラニーク騎士団
付 録 ヤン・ジシュカとフス派戦争(浦井康男)
註 釈 部
使用文献
訳者あとがき
地  図
年  表
索  引


●著者紹介

■A.イラーセク(A.イラーセク)
1851 年にチェコ北部のフロノフに生まれ,プラハ・カレル大学で歴史を学ぶ.卒業後リトミシュルとプラハのギムナジウムで教師を務めながら多くの歴史小説を執筆し,チェコ民族の栄光と受難の歴史を描いて,この分野の第一人者となる.1919年に未刊で終わった『フス派王』の後創作を止め,1930年にプラハで没.

■浦井 康男(ウライ ヤスオ)
1947 年に静岡県熱海市に生まれる.京都大学理学部に入学後,文学部言語学科に転部.1976年に同文学研究科博士課程言語学専攻を単位取得退学.1977年に福井大学教育学部,1997年に北海道大学大学院文学研究科に移籍.2011年3月に北海道大学を停年退職後,北海道大学名誉教授.
【研究】
ロシア語では,近代ロシア文章語の研究でコンコーダンスの編纂や論文等多数.
チェコ語では,"Czech Literature in Japan,"Japanese Slavib and East European
Studies, vol. 1, 1980, pp. 71-82,
関西チェコ/スロヴァキア協会内の資料として,A.ムハ(ミュシャ)の「スラヴ叙事詩」の解説(CD版),K.J.エルベンの『花束』の翻訳,K.H.
マーハ『マーイ』のチェコ語中級読本(共に私家本,2010年)などがある

2011-08-24

悪夢を訳す——長谷川四郎訳フランツ・カフカ

文豪の翻訳力
近現代日本の作家翻訳 谷崎潤一郎から村上春樹まで
井上健
武田ランダムハウスジャパン (2011/08 出版)

431p / 20cm / B6判
ISBN: 9784270006658
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作家たちは何を求めて原文と向き合い、何を創りだしたか?
村上春樹の精力的な訳業は、二葉亭四迷、森鴎外の「作家翻訳」の伝統を引くものか?

日本語文体と日本文学に多大な影響を与えた「作家翻訳」。
その変遷と意義を比較文学の第一人者が多様な視点と綿密な論考でたどる。
二葉亭四迷、森鴎外の例を待つまでもなく、作家による外国文学の翻訳は日本近代文学の成立に決定的な影響を及ぼした。
大正期にも谷崎潤一郎、佐藤春夫、芥川龍之介などが積極的に翻訳を行い、自らの文体を磨き、創作の幅を広げてきた。
その頂点とも言うべき存在が村上春樹であり、アメリカ文学の受容と翻訳の取り組みがなければ、現在の村上文学は存在しなかったと言っても過言ではない。
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作家たちは果たして何を求めて外国文学の原文と向き合い、何をそこから得たのか?
日本語と日本文学に、翻訳はどんな影響を及ぼしてきたのか?
比較文学の第一人者が、多様な視点から「作家の翻訳」を考察する、畢生の秀作評論。

現代日本語を語る上で欠かせない外国文学の翻訳。作家は何を求めて原文と向き合い、何を得たのか? 比較文学の第一人者の秀作評論

二葉亭四迷、森鴎外の例を待つまでもなく、作家による外国文学の翻訳は日本近代文学の成立に決定的な影響を及ぼした。大正期にも谷崎潤一郎、佐藤春夫、芥川龍之介などが積極的に翻訳を行い、自らの文体を磨き、創作の幅を広げてきた。その頂点とも言うべき存在が村上春樹であり、アメリカ文学の受容と翻訳の取り組みがなければ、現在の村上文学は存在しなかったと言っても過言ではない。
作家たちは果たして何を求めて外国文学の原文と向き合い、何をそこから得たのか? 日本語と日本文学に、翻訳はどんな影響を及ぼしてきたのか?
比較文学の第一人者が、多様な視点から「作家の翻訳」を考察する、畢生の秀作評論。翻訳者、翻訳志望者はもとより、日本語と日本文学に関心のある読者、必読の書。
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はじめに
序論(一)作家翻訳をいかに問題とすべきか
 1 作家の翻訳という場
 2 翻訳文学を先導するものとしての作家翻訳——再読『洛中書問』
 3 作家翻訳と創造性の問題
 4 翻訳学の展開と翻訳文学研究の課題
序論(二)戦後翻訳史の転回点と作家=翻訳家村上春樹の出発——1972−1982
 1 戦後翻訳文学史における六〇年代と七〇年代
 2 村上春樹のフィッツジェラルド体験
第二章 大正作家の翻訳
 1 外国語と母語との間で:大正作家の翻訳
 2 谷崎潤一郎訳トマス・ハーディー
 3 佐藤春夫訳エドガー・アラン・ポー
 4 芥川龍之介訳テオフィール・ゴーティエ
第三章 翻訳者としての詩人たち
 1 「方便」としての翻訳——三好達治の翻訳
 2 逐語訳から本歌取りとしての翻訳へ——立原道造訳テーオドール・シュトルム
 3 ファンタジーを訳すには——堀口大学の訳業
第四章 戦後作家は何を訳そうとしたのか
 1 幻想の叙法——中村真一郎訳ジェラール・ド・ネルヴァル
 2 悪夢を訳す——長谷川四郎訳フランツ・カフカ
 3 瑞々しくもしたたかな語りを訳す——三浦朱門訳ウイリアム・サロイヤン
 4 音楽の予感——古井由吉訳ローベルト・ムージル
 5 短篇小説翻訳作法——吉行淳之介訳ヘンリー・ミラー
 6 「声」の再生——富岡多恵子訳ガートルード・スタイン
 7 字幕から翻訳へ——池澤夏樹と世界文学
 8 アンチヒーローの系譜を訳す——小島信夫訳バーナード・マラマッド
 9 人称代名詞の間に——野坂昭如訳トルーマン・カポーティ
おわりに

【著者紹介】
1948 年、東京生まれ。東京大学文学部仏文科に進んだが、英文科に転じて卒業、同大学院比較文学比較文化専攻修士課程修了、大谷女子大学専任講師、神戸大学助教授、京都大学助教授、東京工業大学教授を経て、2005年から東大大学院総合文化研究科教授。2007年日本比較文学会会長に就任。2008年東大比較文学会会長。2008年東大比較文学会会長。主な著書に、『現代アメリカ文学を翻訳で学ぶ』(バベル・プレス)、『翻訳街裏通り
わが青春のB級翻訳』(研究社出版)。主な共編に、『翻訳の方法』(川本皓嗣共編、東京大学出版会)、『翻訳を学ぶ人のために』(安西徹雄,小林章夫共編、世界思想社)。主な訳書に『セクサス
薔薇色の十字架刑』ヘンリー・ミラー(水声社)、『リンドバーグの世紀の犯罪』グレゴリー・アールグレン、スティーブン・モニアー(朝日新聞社)などがある。

2011-07-25

オットー・フォン・ハプスブルク(Otto von Habsburg、1912年11月20日 - 2011年7月4日)

オーストリア・ハンガリー二重帝国の最後の皇帝の長男で、元欧州議会議員のオットー・フォン・ハプスブルク氏が 2011年7月4日、ドイツの自宅で死去した。98歳。
第1次世界大戦に敗れて1918年に廃位した皇帝カール1世の長男。国外追放後はドイツ(旧西独)に移り、79年に同国選出の欧州議会議員に当選した。

2011-07-19

カレル大学が図書館情報学ポータルサイト開設

チェコのプラハにあるカレル大学の情報学・図書館学研究所が、チェコ語Wikipedia内に図書館情報学関係の情報を集約したポータルサイトを開設。

Portál:Informační věda a knihovnictví
http://cs.wikipedia.org/wiki/Port%C3%A1l:Informa%C4%8Dn%C3%AD_v%C4%9Bda_a_knihovnictv%C3%AD

The portal Information Science and Librarianship (NAPLE Blog 2011/7/14付けの記事)
http://napleblog.wordpress.com/2011/07/14/the-portal-information-science-and-librarianship/

Ústav informačních studií a knihovnictví
http://uisk.ff.cuni.cz/

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Charles University
Faculty of Philosophy,
Institute of Information Studies and Librarianship
Associate Professor Richard Papik
Director of the Institute
U Krize 8
158 00 Praha 5 - Jinonice
Czech Republic
Tel.: 0042 2 510 80 357
E-mail: papikr@cuni.cz
http://www.cuni.cz/
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Charles University E-resources Portal

Faculty of Philosophy and Arts - Institute of Information Studies and
Librarianship
http://pez.cuni.cz/prehled/fakulta.php?lang=en&id=50

2011-07-14

『菜食主義者 (新しい韓国の文学 1)』・・突然菜食主義者となった妻と力ずくでも肉を食べさせようとするその家族たち

菜食主義者 (新しい韓国の文学 1) [単行本(ソフトカバー)]
ハン・ガン (著), 川口恵子 (編集), きむ ふな (翻訳)
# 単行本(ソフトカバー): 308ページ
# 出版社: cuon; 初版1刷り版 (2011/6/15)
# 言語 日本語
# ISBN-10: 4904855027
# ISBN-13: 978-4904855027
# 発売日: 2011/6/15

 「菜食主義者」「蒙古斑」「木の花火」の3編の独立した中篇小説からなっている長編小説である。3編を通して語られるのは、主人公ヨンへとその家族たちの物語だ。
 「菜食主義者」はヨンへの夫を語り部に、突然菜食主義者となった妻と力ずくでも肉を食べさせようとするその家族たちを描く。結婚し、一家の主婦となっている大人の娘に肉を食べないからといって暴力をふるう父親、自らの力では妻をいかんともしがたく、冷蔵庫に保管していた高価な肉を処分してしまったと妻の親に泣きつく夫。
 「蒙古斑」はヨンへの姉の夫、つまり義兄にあたる、創作に行き詰まった映像作家が、妻から妹の体に残る蒙古斑の話を聞いたことから始まる、悲劇への序曲。
 「木の花火」は、"木になってしまった�妹ヨンへと、見守る姉の追想と後悔。
 このように記述すると、ありふれた家族小説のようだが、ハン・ガンが描き出す世界は平凡ではない。主人公たちの心の奥底に潜む深い孤独と、やりきれないほどの心の傷とが読み手の心に息苦しいほど迫ってくる。

■内容紹介
「新しい韓国文学シリーズ」第1作としてお届けするのは、韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞した女性作家、ハン・ガンの『菜食主義者』。韓国国内では、「これまでハン・ガンが一貫して描いてきた欲望、死、存在論などの問題が、この作品に凝縮され、見事に開花した」と高い評価を得た、ハン・ガンの代表作です。

ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)—
3人の目を通して語られる連作小説集


■著者について
ハン・ガン(韓江)

1970年韓国・光州生まれ。 延世大学国文学科を卒業。
1993年季刊「文学と社会」に詩が、翌年ソウル新聞の新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選し文壇にデビューした。
現在、ソウル芸術大学の文芸創作科教授。
本作『菜食主義者』で、韓国で最も権威ある文学賞、李箱文学賞を受賞。その他の作品に、短編集『麗水の愛』『私の女の実』、長編小説『黒い鹿』『あなたの冷たい手』『風が吹いている、行け』、散文集に『そっと静かに歌う歌』『愛と、愛を取りまくもの』などがある。

小説のほかに、絵本『雷小僧、天女稲妻、小僧天女』、大人のための童話『涙の箱』『わたしの名前は太陽花』などがあり、童話の翻訳も多数手がけている。韓国小説文学賞、今日の若い芸術家賞、東里文学賞など受賞多数。

2011-07-07

中澤孝之『ロシア革命で活躍したユダヤ人たち 帝政転覆の主役を演じた背景を探る』

発売日:2011年 05月 31日
定価(税込): 4725円
四六判
ISBN 978-4-04-653751-5-C0022
発行元:角川学芸出版

ロシア革命とユダヤ人を結びつけ、革命家たちの人生を網羅的に取り上げる。ロシア革命で大きな役割を演じながら、長年タブー視されてきたユダヤ系活動家の実像に迫る好著。
「革命の父」レーニンから現大統領のメドベージェフに至るユダヤ系政治エリートの系譜をひもとき、現在もロシアに根強く残る反ユダヤ主義の問題点をあぶり出す。

1917年、ロシア革命はなぜ起こったのか。本書では革命の旗手のユダヤ人に焦点を当て、なぜユダヤ人がそうなりえたのか、当時の多くのユダヤ人の生涯をたどって検証する。ロシア史を学ぶうえで必見の書。

膨大な研究が積み重ねられるロシア革命について、旗手としてのユダヤ人たちに焦点を当てた、ロシア史を学ぶうえで必見の書

ロシア革命は、もちろん、そこに住むロシア人による革命であったが、ユダヤ民族を出自とする革命家の多くが革命で指導的な役割を果たし、ロシア人以外の民族の中で突出していた事実は否めない。
そこで、19世紀の帝政ロシアに生まれたユダヤ人、それも20世紀最大の革命、ロシア社会主義十月革命に直接、あるいは間接に関与した有名、無名のユダヤ人活動家(革命家)をできるだけ多く拾い上げ、彼らの生い立ちを探ることを目的の一つとした。それは当時のロシアの全人口比率にしてわずか約4%のユダヤ民族出身の彼らが革命(あるいは改革)運動に参加し、しかもその多くは革命指導部を占め、率先して革命をリードした背景・動機を探るためである。(「はしがき」より)

2011-06-30

チェコ・アニメの巨匠カレル・ゼマン(Karel Zeman 1910−1989)−渋谷・松濤美術館で回顧展

松濤美術館(渋谷区松濤2、TEL
03-3465-9421)で2011年6月14日から、チェコ・アニメーションの巨匠カレル・ゼマンの回顧展「チェコ・アニメ もうひとりの巨匠
カレル・ゼマン トリック映画の前衛」が開催される。

 1910年生まれのゼマンは、人形アニメーションや絵本で人気の高いイジー・トゥルンカ(1912〜1969)と並ぶチェコ・アニメーションの代表作家の一人。第二次世界大戦中、「チェコ・アニメーション発祥の地」ズリーンを拠点に製作を開始。仏・小説家ジュール・ヴェルヌの原作を基に、銅版画から着想した映像を展開した「悪魔の発明」(1958年)をはじめ、切り紙やガラス立体を使ったコマ撮りなどさまざまな仕掛けを使用した映像を作り出し、「トリック映画の巨匠」として知られるようになった。1989年没。

 同展では、遺族が所有する映画の原画や作中で使用された人形、製作過程の資料や絵コンテなどを展示。地下1階展示場では短編「クリスマスの夢」「プロコウク氏
映画製作の巻」、長編抜粋「悪魔の発明」を連日上映するほか、2階ロビーでは長編「悪魔の発明」「ホンジークマとマジェンカ」を午前と午後に分けて毎日上映する。

 期間中、18日(14時〜)には東京藝術大学大学院教授でアニメーション作家・山村浩二さんを講師に招いた講演会「カレル・ゼマンの映像テクニック」を開くほか、担当学芸員によるギャラリートーク(今月24日、7月9日・21日、いずれも14時〜)、水彩画家・北尾和子さんを講師に招いた美術相談(7月
24日14時〜16時、参加費300円)などを予定する。

 2011年06月13日現在の開館時間は10時〜17時(金曜は18時まで、いずれも入館は30分前まで)。入館料は、一般=300円、小・中学生=100円ほか。月曜休館。7月24日まで。

チェコ・アニメの巨匠カレル・ゼマン(Karel Zeman 1910−1989)−渋谷・松濤美術館で回顧展

松濤美術館(渋谷区松濤2、TEL
03-3465-9421)で2011年6月14日から、チェコ・アニメーションの巨匠カレル・ゼマンの回顧展「チェコ・アニメ もうひとりの巨匠
カレル・ゼマン トリック映画の前衛」が開催される。

 1910年生まれのゼマンは、人形アニメーションや絵本で人気の高いイジー・トゥルンカ(1912〜1969)と並ぶチェコ・アニメーションの代表作家の一人。第二次世界大戦中、「チェコ・アニメーション発祥の地」ズリーンを拠点に製作を開始。仏・小説家ジュール・ヴェルヌの原作を基に、銅版画から着想した映像を展開した「悪魔の発明」(1958年)をはじめ、切り紙やガラス立体を使ったコマ撮りなどさまざまな仕掛けを使用した映像を作り出し、「トリック映画の巨匠」として知られるようになった。1989年没。

 同展では、遺族が所有する映画の原画や作中で使用された人形、製作過程の資料や絵コンテなどを展示。地下1階展示場では短編「クリスマスの夢」「プロコウク氏
映画製作の巻」、長編抜粋「悪魔の発明」を連日上映するほか、2階ロビーでは長編「悪魔の発明」「ホンジークマとマジェンカ」を午前と午後に分けて毎日上映する。

 期間中、18日(14時〜)には東京藝術大学大学院教授でアニメーション作家・山村浩二さんを講師に招いた講演会「カレル・ゼマンの映像テクニック」を開くほか、担当学芸員によるギャラリートーク(今月24日、7月9日・21日、いずれも14時〜)、水彩画家・北尾和子さんを講師に招いた美術相談(7月
24日14時〜16時、参加費300円)などを予定する。

 2011年06月13日現在の開館時間は10時〜17時(金曜は18時まで、いずれも入館は30分前まで)。入館料は、一般=300円、小・中学生=100円ほか。月曜休館。7月24日まで。

2011-06-29

フィンランド国立公文書館所蔵の紋章コレクション データベース公開

2011年5月23日に、フィンランド国立公文書館のほか7つの地方公文書館で構成されるフィンランド公文書館サービス(National
Archives Service)が、フィンランド国立公文書館の所蔵している紋章コレクションを"Europeana
Heraldica"と題するデータベースで公開しています。紋章は1309年のものから2009年のものまで登録されており、それらを分類やタイプ、年代から検索できるようです。今後データベースは、フィンランド国内外の紋章を加え、欧州の文化遺産ポータル"Europeana"の一部として提供される予定のようです。

Europeana Heraldica
http://extranet.narc.fi/eh/?kieli=en

The National Archives published a heraldic database (Arkistolaitos
2011/5/23付けのニュース)
http://www.arkisto.fi/en/news/595/61/The-National-Archives-published-a-heraldic-database/

2011-06-23

2011年5月21日(土)-11月19日 (土)GCOE総合博物館市民セミナー「言葉は境界を超えて-ロシア・東欧作家の作品と世界」

境界研究の拠点形成 北海道大学グローバルCOEプログラム (北大GCOE)

GCOE総合博物館市民セミナー
「言葉は境界を超えて-ロシア・東欧作家の作品と世界」
会 場 北海道大学総合博物館1階「知の交流コーナー」
参加について 無料・申込不要(定員60名を超えますと立ち見となる場合がございます)

プログラム

・5月21日(土) 13:30〜
「ロシア文学と境界」
望月哲男(北海道大学スラブ研究センター)

・6月25日(土) 13:30〜
「詩人ゲンナジー・アイギと言語の境界」
アトネル・フザンガイ(チュヴァシ国立人文科学研究所)、日本語通訳付き

チュヴァシ民族出身の詩人ゲンナジイ・アイギは、ロシア語の詩作品を通してその名が広く知られるようになりました。その一方で、彼は母語であるチュヴァシ語でも創作を続け、これら二つの言語を使って、それぞれ異なる作風の詩を書き分けていました。セミナーでは、アイギのことをよく知るアトネル・フザンガイ氏が、詩人の二言語使用にいたるいきさつや、用いられる言語と詩の世界の関係について、詳しく解説します


・7月16日(土) 13:30〜
「ナボコフとジャンル越境」
若島 正(京都大学)

・8月21日(日) 13:30〜
「ハイドンの境界性(仮)」
講演:伊東 信宏(大阪大学) 演奏:宮本 佳代子(バイオリン)、前田 有紀(チェンバロ)

・9月17日(土) 13:30〜
「ポーランド移民と越境(仮)」
井上 暁子(北海道大学スラブ研究センター)

・10月15日(土) 13:30〜
「カフカについて(仮)」
三谷 研爾(大阪大学)

・11月19日(土) 13:30〜
「旧ユーゴ圏内における境界を巡る記憶の語り
:セルビア、クロアチア、ボスニアの現代作家による試み」
亀田 真澄(東京大学大学院/日本学術振興会特別研究員)

2011-06-16

『クレズマーの文化史 東欧からアメリカに渡ったユダヤの音楽』

著者 黒田 晴之 著
ジャンル 美術・芸術 > 音楽
出版年月日 2011/06/20
ISBN 9784409100288
判型・ページ数 4-6・288ページ
定価 本体2,400円+税

目次
序章 ベルリンで聴いたクレズマー・コンサート
第1章 あるピアニストの名前への覚え書き
第2章 「縫い目」と「胞子」で辿るクレズマー小史
第3章 シャガールの描いた楽士はどんな音楽を演奏したか(1)
第4章 シャガールの描いた楽士はどんな音楽を演奏したか(2)
第5章 第二次世界大戦中の上海で流れたクレズマー
第6章 「子牛」のまわりにいた人たち
第7章 ユダヤ人の笑いをクレズマーのなかに探る
終章 クレズマーが辿った長い旅路の果てに

内容
東欧から極東へ、新大陸アメリカへ。大陸を渡り、時代を越える小さな音楽を辿る文化史の旅

『戦場のピアニスト』、「ウスクダラ」、「ドナ・ドナ」、「やんなっちゃった節」 、はたまたトニー谷?

「クレズマー」という名前には馴染みがなくても、『屋根の上のヴァイオリン弾き』の音楽と言えばお分かりだろう。あのシャガールが描いた結婚式には欠かせない東欧ユダヤ人の音楽である。(……)たとえば「ドナ・ドナ」みたいな感傷ばかりでなく、猥雑さがたっぷりで聖俗も渾然一体となっている音楽だ。(……)「国境を知ら」ない「草の実」のような、それどころか「草の実」よりも小さな「胞子」のような音楽として、クレズマーを跡付けていくことが本書の狙いである。(本書序章より)

2011-05-18

『刑務所図書館の人びと-ハーバードを出て司書になった男の日記-』

著者: アヴィ・スタインバーグ=著 金原瑞人/野沢佳織=訳
【アヴィ・スタインバーグ】
1979年、エルサレムで生まれ、クリーブランドとボストンで育つ。これまでに、「ボストン・グローブ」「ニューヨークレビューオブブックス」などに執筆。本書がデビュー作。
http://avisteinberg.com/
定価: 2,625円(税込)
刊行日: 2011年4月
ISBN: 978-4-7601-3980-4
判型: 四六判・上製
総ページ数: 536頁
内容: 厳格なユダヤ教徒の家庭に育ち、ハーヴァード大を卒業した著者。大学を出てふと立ち止まった。あれ? 自分って何がやりたいんだっけ?
そんなときに舞い込んできた一枚の求人票。「ボストン、刑務所図書室司書、フルタイム」。ひとたび、塀の中へ足を踏み入れてみると、そこは人生の交差点だった……。刑務所の図書室に集う人々との出会いを通して、彼自身も変わっていく。アメリカの今を描く、注目のノンフィクション。


Running the books : the adventures of an accidental prison librarian
Author: Avi Steinberg
Publisher: New York, NY : Nan A. Talese, ©2010.
Genre/Form: Biography
Named Person: Avi Steinberg
Material Type: Biography
Document Type: Book
ISBN: 9780385529099 0385529090
Description: 399 p. ; 22 cm.
Contents: Part 1: Undelivered --
1: Up & up and low low --
2: Books are not mailboxes --
Part 2: Delivered --
3: Dandelion polenta --
4: Delivered --
Prologue --
Acknowledgments.
Responsibility: Avi Steinberg.
Abstract:
From the Publisher: Avi Steinberg is stumped. After defecting from
yeshiva to Harvard, he has only a senior thesis essay on Bugs Bunny to
show for his effort. While his friends and classmates advance in the
world, he remains stuck at a crossroads, unable to meet the lofty
expectations of his Orthodox Jewish upbringing. And his romantic
existence as a freelance obituary writer just isn't cutting it.
Seeking direction-and dental insurance-Steinberg takes a job as a
librarian in a tough Boston prison. The prison library counter, his
new post, attracts con men, minor prophets, ghosts, and an assortment
of quirky regulars searching for the perfect book and a connection to
the outside world. There's an anxious pimp who solicits Steinberg's
help in writing a memoir. A passionate gangster who dreams of hosting
a cooking show titled Thug Sizzle. A disgruntled officer who
instigates a major feud over a Post-it note. A doomed ex-stripper who
asks Steinberg to orchestrate a reunion with her estranged son,
himself an inmate. Over time, Steinberg is drawn into the accidental
community of outcasts that has formed among his bookshelves-a drama he
recounts with heartbreak and humor. But when the struggles of the
prison library-between life and death, love and loyalty-become
personal, Steinberg is forced to take sides. Running the Books is a
trenchant exploration of prison culture and an entertaining tale of
one young man's earnest attempt to find his place in the world while
trying not to get fired in the process.
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本書のエピグラフがカフカの日記からの引用だった(下掲)。著者はカフカと同じく「ユダヤの教えによると1人前ではない」独身男性。刑務所内図書室で「組合・保険加入あり」の職を得るまでは、新聞に死亡記事を書いて禄を食んでいた。トーラーやラビなど「正統派」ユダヤ教に染まれない、現代を生きる若者の日常生活が活写されている。

19 (Februar 1922) Hoffnungen?

20 (Februar 1922) Unmerkliches Leben. Merkliches Mißlingen.

25 (Februar 1922) Ein Brief

Franz Kafka (3. Juli 1883 - 3. Juni 1924) Briefe und Tagebücher

http://homepage.univie.ac.at/werner.haas/

2011-05-06

「都市とフィクション——ソール・ベローのシカゴ——」

日本ユダヤ系作家研究会第17回講演会報告

2011年3月26日(土)14時00分より
ノートルダム清心女子大学 中央棟10F 第二会議室にて


鈴木元子氏講演会

「都市とフィクション——ソール・ベローのシカゴ——」


 第17回講演会には、静岡文化芸術大学教授の鈴木元子先生をお迎えした。ソール・ベローを研究される傍ら、昨年夏に実際にシカゴで取材をし、最新
の情報を入手してきたとされる講演内容に、聴講者は興味をもって熱心に耳を傾けた。

 第一章:シカゴの誕生から形成・発展
 イリノイ州の州都で、全米3番目の人口を擁するがThe Second City(金融関係では二位)、Windy
Cityなどと呼ばれる。歴史は200年に満たない。1833年に200人からタウン・オブ・シカゴはスタートし、1871年にはThe Great
Fireを経験する。乾燥により焼き尽くされた町は、摩天楼のそびえる近代的な街へと変化する。1892年の万博には、日本も初出展し、そのときの日本庭
園は現存している。シカゴ大学はハイドパークに設立され、学生や教員の20%から25%がユダヤ系であり、多額の寄付を納める。

 第二章:ユダヤ人にとってのシカゴ(Jewish Chicago)
 ドイツからの行商人はダウンタウンに店を設け、シナゴーグを中心にした街を形成した。南北戦争でも北軍として出兵し、1860年までに4人ユダヤ
人が公職に就く。1930年までには、東欧出身者が80%を占めるようになり、その人たちとドイツ出身者の建てた建物など二分化する傾向にあった
が、寄付や援助によりそれも解消していく。自らの力でコミュニティを形成するユダヤの伝統の例である。

 第三章:ベローの自伝との絡みでのシカゴ
 Saul Bellowはカナダで生まれるが、9歳でシカゴに移住。1962年にはハイドパーク近くに居を定める。シカゴ大学に30年間勤務。1993年78歳で都
会のシカゴを離れ、バーモント州に移り、ボストン大学で週2回の講義を行う。2005年没。

 第四章:ソール・ベローの小説の舞台としてのシカゴ
 作品中にどう描出され、なぜシカゴでなければならないのかについて、主に6点挙げられる。
(1)幼年時代の思い出が詰まった都市シカゴ(特に貧しいユダヤ人地区):『フンボルトの贈り物』(1975)などに見られる郷愁。食肉加工業 (Meat
Packing)を主要産業とするシカゴ。ベローは自身を知るには、伝記作家の調べた些末な事柄よりも、シカゴの公園を眺めた方がよいとしている。
(2)ビジネスの都市シカゴ(Business Chicago):『オーギー・マーチの冒険』(1953)などに見られる商業の大都市としてのシカゴが描かれる。
(3)犯罪と腐敗の都市シカゴ:『フンボルトの贈り物』や『学生部長の12月』(1982)に描かれる。現在も朝刊などに事件多発の様子が見られ る。
(4)文化のない(Cultureless)都市シカゴを救いたい:現在は移民の都市として
エスニック文化の繁栄も見られるが、ベローの芸術への 志向が『フンボルトの贈り物』、書簡などに見られる。
(5)元彼女を取り戻すために戻ってくる都市シカゴ:『ザ・アクチュアル』では恋人との仲を取り持つシカゴのブリザードの記述がある。書簡集には
共同墓地を求婚の場とする記述があり、墓には�死と再生の場�死の接近により幼少期の輝きが増す�迫害の民の身近な避難所、安全の地などの象徴性
が見出される。
(6)書くために戻ってくる都市シカゴ:書簡集より
                                                   (要約 江原雅江)

2011-04-18

カフカの親友Felix Weltschの伝記

Erste Biographie über Felix Weltsch - Philosoph, Hrsg. der
"Selbstwehr", Journalist und engster Freund zwischen Franz Kafka und
Max Brod.

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電子ブック
http://epistemata.com/

Kafkas fast unbekannter Freund : das Leben und Werk von Felix Weltsch
(1884-1964) : ein Held des Geistes, Zionist, Journalist, Philosoph
Author: Carsten Schmidt
Publisher: Würzburg : Königshausen & Neumann, ©2010.
Series: Epistemata., Reihe Literaturwissenschaft ;, Bd. 698.
Edition/Format: eBook : Document : Biography : German
Named Person: Felix Weltsch; Franz Kafka; Franz Kafka; Martin Buber
Material Type: Biography, Document, Internet resource
Document Type: Internet Resource, Computer File
All Authors / Contributors: Carsten Schmidt
Notes: Originally presented as the author's thesis
(doctoral)--Universität Potsdam, 2008.
Description: 1 online resource (377 p.) : ill.
Series Title: Epistemata., Reihe Literaturwissenschaft ;, Bd. 698.
Responsibility: Carsten Schmidt.
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図書(紙媒体・冊子体)

Kafkas fast unbekannter Freund : das Leben und Werk von Felix Weltsch
(1884-1964) : ein Held des Geistes, Zionist, Journalist, Philosoph
Author: Carsten Schmidt
Publisher: Würzburg : Königshausen & Neumann, ©2010.
Series: Epistemata., Reihe Literaturwissenschaft ;, Bd. 698.
Edition/Format: Book : Biography : German
Named Person: Felix Weltsch; Franz Kafka; Franz Kafka; Martin Buber
Material Type: Biography
Document Type: Book
All Authors / Contributors: Carsten Schmidt
ISBN: 9783826042744 3826042743
Notes: Originally presented as the author's thesis
(doctoral)--Universität Potsdam, 2008.
Description: 377 p. : ill. ; 24 cm.
Series Title: Epistemata., Reihe Literaturwissenschaft ;, Bd. 698.
Responsibility: Carsten Schmidt.

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博士論文
http://www.uni-potsdam.de/portal/nov08/campus_leute/promotionen.htm

Oktober bis Dezember 2008
Promotion(ドクターの学位授与〈取得〉.)
Dr.phil.
Carsten Schmidt mit der Arbeit: "Das Leben und Werk von Felix Weltsch
(1884-1964). Ein Held des Geistes - Zionist, Journalist, Philosoph"
(09.07.2008);

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著者サイト
http://www.cschmidtler.de/index.html

Link zu diesem Datensatz http://d-nb.info/gnd/141021071
Person Schmidt, Carsten
Akademischer Titel Dr.
Beruf(e)
Literaturwissenschaftler
Autor
Übersetzer
Dozent
Autor von / Beteiligt an 1 Publikation

1. Kafkas fast unbekannter Freund
Schmidt, Carsten. - Würzburg : Königshausen & Neumann, 2010
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2011-04-12

Philosophische Erzählungen von Theodor Herzl

Theodor (Binyamin Ze'ev) Herzl
[1860―1904]
オーストリアのジャーナリスト、近代政治的シオニズム運動(ユダヤ民族郷土建設運動)の父。世界シオニスト会議の創設者。1897年、バーゼルで第1回シオニスト会議を開催、シオニズム運動を発足させた。ブダペストに生まれ、ウィーン大学で法学を学ぶ。ジャーナリストとして1894年パリでドレフュス事件を取材し、反ユダヤ主義的偏見をつぶさに体験した。2年後小冊子『ユダヤ人の国――
ユダヤ人問題の現代的解決法』(1896)を著す。1897年には第1回世界シオニスト会議をバーゼルで開催、「公法で保証された一郷土をパレスチナに創建」することを主唱して、その後のシオニズム運動の方向を決定づけた。
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Philosophische Erzählungen
ISBN: 978-3-940206-29-9
Preis: 19,90 €
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Theodor Herzl (1860-1904) ist vielen als politische Leitfigur bekannt,
als der Visionär und Denker, dessen politische Vorarbeit die
Entstehung des Staates Israel erst ermöglichte.
Als Schriftsteller und Journalisten, der seinen Lohn mit
unterhaltsamen, durchdachten und spannenden Geschichten verdiente,
kennt ihn kaum jemand mehr.

Die vorliegende Textsammlung seiner „Philosophischen Erzählungen" ist
in dieser Form seit 90 Jahren nicht mehr erschienen.
Sie bildet den ersten Band der einzigartigen Buchreihe „Zu Unrecht
vergessene Publizisten des 18.-20. Jahrhunderts".

Die „Philosophischen Erzählungen" sind spannende Texte, welche in
knappem modernem Stil, aphoristisch philosophisch oder humoristisch
wie Kalendergeschichten verfasst sind und Herzls Vielseitigkeit als
Schriftsteller unter Beweis stellen.

Von skeptischer Ironie zum Fortschrittsglauben der Jahrhundertwende in
„Das lenkbare Luftschiff" bis zu nachdenklichen, parabelartigen
Geschichten wie „Die Garderobe" kann der Leser sich mit dieser
Wiederentdeckung auf eine abwechslungsreiche Zeitreise begeben.


Mit einleitendem Vorwort von Frau Prof. Hanni Mittelmann, Direktorin
des Austrian Center, Hebr. Universität Jerusalem

Herausgeber Dr. Carsten Schmidt
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http://de.wikisource.org/wiki/Philosophische_Erz%C3%A4hlungen

Die "Philosophischen Erzählungen" sind eine Sammlung von
Kurzprosatexten mit z.T. historischem Hintergrund; der Titel des
Bandes erscheint dabei ein wenig hochgegriffen.

Dies sind die Titel:

Solon in Lydien
Das lenkbare Luftschiff
Sarah Holzmann
Pygmalion
Der Aufruhr von Amalfi
Kilchberg und sein Vetter
Die Reise nach einem Lächeln
Der Sohn
Mumbo
Die Güter des Lebens
Die Garderobe
Die schöne Rosalinde
Die Heilung vom Spleen
Die Raupe
Eine gute That
Der Unternehmer Buonaparte
Das Wirthshaus zum Anilin

http://de.wikisource.org/wiki/Philosophische_Erz%C3%A4hlungen
http://www.mobileread.com/forums/showthread.php?t=123839
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ボストン公共図書館、20世紀前半の野球写真をFlickrで公開

米国のボストン公共図書館が、ボストン・ヘラルド・トラベラー紙のカメラマンだったレスリー・ジョーンズ(Leslie
Jones)氏が撮影した20世紀前半の野球写真をデジタル化し、Flickrで公開しています。2011年4月11日現在アップロードされているのは
102枚ですが、CBS Boston誌によれば今後2,800枚の写真が公開される予定とのことです。

Leslie Jones Collection (Flickr)
http://www.flickr.com/photos/boston_public_library/collections/72157609377724906/

Boston Public Library Uploads Vintage Baseball Photos (CBS Boston 2011/4/8付け記事)
http://boston.cbslocal.com/2011/04/08/boston-public-library-uploads-vintage-baseball-photos/

Leslie Jones: The Camera Man | Boston Herald Traveler: 1917 - 1956
(ボストン公共図書館がデジタル化したジョーンズ氏の他の写真コレクション)
http://www.lesliejonesphotography.com/

2011-04-07

カフカの書簡111通発見=独史料館と英図書館が共同入手(2011年4月6日8時21分朝日新聞)

カフカの書簡111通発見=独史料館と英図書館が共同入手(2011年4月6日8時21分朝日新聞)
【ベルリン時事】ドイツのマールバッハ文学史料館は5日、プラハ出身の作家フランツ・カフカ(1883~1924年)直筆の書簡111通を発見したことを明らかにした。5月下旬から特別展示する。

 見つかったのは妹宛ての手紙やはがき。母親が2人に送った手紙などとともに、妹の子孫がオークションに出品しようとしたため、英オックスフォード大学のボドリアン図書館と共同購入した。価格は公表していないが、オークションでの最低落札額は50万ユーロ(約6000万円)の予定だった。

[時事通信社]

http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201104060006.html
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何かが新しく「発見」されたわけではなく、
「オットラへの手紙」
を遺族が競売にかけようとしたので、それを阻止するために
マールバッハ文書館とオックスフォード大図書館が共同出資して
先に購入した、という話。
http://www.zeit.de/kultur/literatur/2011-04/kafka-briefe-marbach

Marbach und Oxford erwerben Kafka-Briefe

Kurz vor einer Auktion haben Marbach und Oxford den Briefwechsel
zwischen Franz Kafka und seiner Schwester gekauft. Sie wollen die
Briefe der Forschung zugänglich machen.

Kafkas Briefe an seine Lieblingsschwester Ottla

Der Briefwechsel von Franz Kafka mit seiner Lieblingsschwester Ottilie
kommt nun doch nicht unter den Hammer. Stattdessen erwerben das
Deutsche Literaturarchiv Marbach und die Bodleian Library in Oxford
die 111 Briefe und Postkarten gemeinsam.

Eine entsprechende Einigung erzielten die Käufer noch vor der
geplanten Versteigerung der Sammlung am 19. April. Schon von Ende Mai
an sollen die Dokumente in einer Ausstellung in Marbach und später in
Oxford zu sehen sein.

Mit der Gemeinschaftsaktion werde eines der wichtigsten
Handschriftenkonvolute Kafkas davor bewahrt, als Spekulationsobjekt in
private Hand zu gelangen und später einzeln verkauft zu werden,
erklärten die neuen Besitzer. Die Erben Kafkas hatten die Sammlung für
mindestens eine halbe Million Euro versteigern lassen wollen.

Über die Höhe der jetzt vereinbarten Kaufsumme gab es keine Angaben.
Die Kosten würden zu jeweils 50 Prozent von beiden Seiten getragen,
hieß es. Die Handschriften sollen künftig im Literaturarchiv Marbach
aufbewahrt werden und mit erleichterten Regeln nach Oxford ausgeliehen
werden. Die Bodleian Library ist die Hauptbibliothek der dortigen
Universität.

Die Vereinbarung kam den Angaben zufolge unter Federführung der
Kulturstiftung der Länder zustande. Diese trägt zusammen mit
Kulturstaatsminister Bernd Neumann, dem Land Baden-Württemberg und
privaten Stiftern die Kosten. Zusätzlich zu dem Konvolut Briefe an
Ottla übergeben die Kafka-Erben auch 23 Briefe von Kafkas Mutter an
die Kinder sowie ein Dutzend weitere literaturhistorisch wichtige
Schriftstücke.

Die Briefe an Ottla gelten deshalb als besonders wertvoll, weil der
oft düster gestimmte Prager Autor in der Korrespondenz mit seiner
Lieblingsschwester einen tiefen Einblick in sein Seelenleben gibt.
Kafka war 1924 mit 40 Jahren an den Folgen einer Lungentuberkulose
gestorben. Zu seinen Hauptwerken gehören die Romane "Der Prozess",
"Die Verwandlung" und "Das Schloss".
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Lesen Sie hier mehr aus dem Ressort Literatur.
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