2011-11-22

『マニエリスムのアメリカ 』

出版社 南雲堂
著者 八木 敏雄
価格 5,250円(税込)
発売日 2011年11月18日
ページ数 500P
ISBN 9784523293194 (4523293198) C-CODE 3098
サイズ A5ハードカバー

■内容紹介
アメリカ文学再考! 神によって創造された「自然」の模倣をやめ、神の創造そのものを模倣する技法をマニエリスムと呼ぶならば、それこそがアメリカン・エクリチュールの流儀だ!


■目次
序章 アメリカン・マニエリスムとは何か?
1 花開くアメリカン・ルネサンス
2 アメリカン・エクリチュール
3 アメリカン・インディアン
4 アメリカン・マニエリスム
5 消尽と変身の文学
年譜的書誌
あとがき
索引

高山宏オススメ『ドイツ文学の短い歴史』Die kurze Geschichte der deutschen Literatur. Hanser, München; Wien 2002

ハインツ・シュラッファー 著
和泉雅人/安川晴基 訳
四六判・330頁
ISBN978-4-8102-0065-2
2,940円 (本体2,800円)
単行本: 334ページ
出版社: 同学社 (2008/08)
ISBN-10: 4810200655
ISBN-13: 978-4810200652
発売日: 2008/08
商品の寸法: 18.8 x 13 x 1.4 cm

Die kurze Geschichte der deutschen Literatur. Hanser, München; Wien 2002


■内容紹介
ドイツの作家は文学で稼いで生きていたわけではない。
文学のために生きていたのである。
 2002年に出版された本書は、発売と同時にドイツの読書界にセンセーションを巻き起こした。「ドイツ文学」は「千年以上にわたる歴史ではなく、きっかり200年、1750年から1950年までの歴史しか持たない」との主張は、ドイツ文学研究者を挑発しただけでなく、メディアお抱えの文芸評論家などの痛いところをもついた。著者の直弟子フュルンケースの解説と、基礎的なドイツ文学のデータを含む、多数の訳注を付した。文学史の流れが一目で分かる年表付き。

■目次
第1章 「ドイツ的」とは何か
第2章 うまくいかなかった始まり
 見失われた中世
 遅れてきた近世
第3章 うまくいった始まり―十八世紀
 牧師の息子たち、美神の息子たち
 新しい言語
 不滅のポエジー
第4章 進展、回帰、終焉
 進展―十九世紀
 回帰と終焉―二十世紀
第5章 文学の歴史

■訳者等
フュルンケース,ヨーゼフ
慶應義塾大学大学院文学研究科独文学専攻教授

和泉 雅人
慶應義塾大学大学院文学研究科独文学専攻教授

安川 晴基
慶應義塾大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

2011-11-21

産經新聞 2011年11/13(日)に掲載された書評

■絶望名人カフカの人生論
 飛鳥新社 フランツ・カフカ著、頭木弘樹編集、頭木弘樹翻訳 価格:¥1,500
 評 天沼春樹(ドイツ文学者)

テオドール・W・アドルノ(細見和之訳)『始まりの本 哲学のアクチュアリティ 初期論集』

始まりの本 哲学のアクチュアリティ 初期論集
四六変型判 タテ191mm×ヨコ130mm/200頁
定価 3,150円(本体3,000円)
ISBN 978-4-622-08345-0 C1310
2011年11月10日発行

■目次
哲学のアクチュアリティ
自然史の理念
哲学者の言語についてのテーゼ
音楽アフォリズム

DIE AKTUALITAT DER PHILOSOPHIE/
DIE IDEE DER NATURGESCHICHTE/
THESEN UBER DIE SPRACHE DES PHILOSOPHEN/
MUSIKALISCHE APHORISMEN

訳者あとがき

■内容紹介

初期アドルノの根幹であり、現代思想の原点をなす1920年代の画期を伝える重要な二講演「哲学のアクチュアリティ」「自然史の理念」を軸に、初めての邦訳「哲学者の言語についてのテーゼ」、長短44の断片「音楽アフォリズム」を収録する。初期の重要論考4編、はじめての公刊。

「哲学に与えられているものといえば、存在者の謎めいた形象およびその不可思議な絡まり合いから、一瞬生じては消えてゆく、さまざまな暗示のみです。哲学の歴史とは、このような形象の絡まり合いの歴史にほかなりません。だからこそ、哲学には「成果」というものが与えられていません。だからこそ、哲学はたえず新たに始めなければなりません。だからこそ、哲学は以前の時代に紡がれたどんなわずかの糸もなしで済ますわけにはゆきません。ひょっとすればその糸は、件の暗号を一つのテクストに変容させてくれる、罫線を補ってくれるかもしれないのですから。」


■テオドール・W・アドルノ
Theodor W. Adorno
1903年ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。同市の大学およびウィーン大学に学び、フランクフルト大学で講義していたが、ナチス政権時代、イギリスを経てアメリカに亡命、1949年帰国。翌年から同大学教授。ホルクハイマーとともに研究所を再建した。哲学・社会学・美学の領域を統合しながら、フランクフルト学派の代表的思想家として知られるいっぽう、アルバン・ベルクについて作曲を学び、作曲を重ねたほか、現代音楽に関する理論および批判を展開した。著書『キルケゴール』(1933、みすず書房1998)『啓蒙の弁証法』(ホルクハイマーと共著、1947、岩波文庫2007)『新音楽の哲学』(1949、平凡社2007)『ミニマ・モラリア』(1950、法政大学出版局1979)『プリズメン』(1955、ちくま学芸文庫1996)『認識論のメタクリティーク』(1956、法政大学出版局1995)『不協和音』(1956、平凡社ライブラリー1998)『文学ノート』(1958、1961、1968、みすず書房2009[全2巻])『マーラー』(1960、法政大学出版局1999)『音楽社会学序説』(1961、平凡社ライブラリー1999)『三つのヘーゲル研究』(1963、ちくま学芸文庫2006)『批判的モデル集』(1963、1969、法政大学出版局1971[全2巻])『楽興の時』(1964、白水社1979)『本来性という隠語』(1964、未來社1992)『否定弁証法』(1966、作品社1996)『アルバン・ベルク』(1968、法政大学出版局1983)。没後に編集刊行されたものとして、『美の理論』(1970、河出書房新社2007)『ヴァルター・ベンヤミン』(1970、河出書房新社1972)『ベートーヴェン』(1993、作品社1997)。また、『アドルノ=クシェネク往復書簡』(みすず書房1998)、『ベンヤミン/アドルノ往復書簡』(晶文社1996)『社会学講義』(作品社2001)『道徳哲学講義』(作品社2006)『否定弁証法講義』(作品社2007)など、書簡集や講義の一部も禹訳されている。ほかに渡辺裕編『アドルノ
音楽・メディア論集』など日本での独自編集の本もある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。


■細見和之
ほそみ・かずゆき
1962年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了、現在
大阪府立大学人間社会学部教授。博士(人間科学、大阪大学)。ドイツ思想専攻、詩人。主な著書に『アドルノ』(講談社)『アドルノの場所』『ポップミュージックで社会科』(以上、みすず葛房)『アイデンティティ/他者性』『言葉と記憶』『ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」を読む』(以上、岩波書店)『「戦後」の思想』(白水社)『永山則夫』(河出書房新社)。主な訳者に、べンヤミン『パサージュ論』全5巻(共訳、岩波現代文庫)、アドルノ『否定弁証法講義』(共訳、作品社)、ヨーナス『生命の哲学』(共訳、法政大学出版局)、ローゼンツヴァイク『救済の星』(共訳、みすず書房)。主な詩集に『言葉の岸』(思潮社)『ホッチキス』(書肆山田)『家族の午後』(澪標)など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

2011-11-10

小澤京子『都市の解剖学』(ありな書房、2011)。都市論であり身体論であり文学論でもある、きわめて刺激的な本。

都市の解剖学 建築/身体の剥離・斬首・腐爛
ANATOMIA URBIUM : Separatio, Decapitatio, Corruptio Aedeficiorum / Corpotium
toshinokaibougaku

小澤京子:著, 田中純:解題
発行:ありな書房
A5判 264ページ 上製
定価:4,800円+税
ISBN 978-4-7566-1119-2 C0070
奥付の初版発行年月:2011年10月 書店発売日:2011年10月07日

■内容紹介

ピラネージ、カナレット、ルドゥー、ユベール・ロベール、そしてゴーティエ/ユイスマンスへ、建築/身体の表層を剥がし、あるいは切り刻んで組みあわせ、あるいはおぞましい下層を浮かびあがらせ、皮膚/骨格の、外/内のあわいを、可視/不可視の境界を、実在/不在の幻界を無効にする、イメージの想像力の視覚化/表象を追う。

解題から。「このテクストの身体、本書という「言葉の建築」の皮膚上に、著者はいくつかの紋章を結晶化した血膿──肌に咲く硬質の薔薇──のように象嵌したのだと考えてみたい。建築史の解剖的ブラゾン、あるいは、都市表象の剥離模型(エコルシェ)。」

視線という擬似的なメスによって、皮膚を剥がされつつある都市――本書を貫くのは、このイメージである。ここで言う皮膚とは、単なる被覆物や表層の擬人的メタファーではない。内部と外部とが互いに絶えず陥入しあい、可視的なものと不可視のものとが反転をくりかえす、撞着と葛藤のトポスである。表層の崩落は、終焉の予兆であり、あるいは凋落と頽廃の反映である。カナレットの描いたヴェネツィア、ピラネージが再現しようとした古代ローマ、……ルドゥーが不遇の晩年に夢見たユートピア、フランス革命期のアポカリプティックな建築表象、そして一九世紀文学が描きだした比喩としての腐爛の皮膚と血膿。ここで問題となるのは、建築や身体そのものではなくそのイメージである。

都市の解剖学 剥離・切断・露出 | 小澤京子
Urban Anatomy: Exfoliation, Amputation, and Exposure | Kyoko Ozawa
掲載『10+1』 No.40 (神経系都市論 身体・都市・クライシス) pp.218-224
http://db.10plus1.jp/backnumber/article/articleid/633/

■目次
序 章 建築の解剖学──その皮膚と骨格
第1章 都市の「語り」と「騙り」──カナレットのヴェネツィア表象にみる都市改変の原理
第2章 「起源」の病と形態の闘争──ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージによる古代ローマ表象
第3章 適合性と怪物性──クロード=ニコラ・ルドゥーの両極的性質
第4章 建築の斬首──フランス革命期の廃墟表象における瞬間性と暴力性
第5章 石の皮膚、絵画の血膿───一九世紀文学における「病める皮膚」のモティーフ
エピローグ 眼差しのディセクション

参考文献
解 題 廃墟の皮膚論──あるいは、紋章の解剖/解剖の紋章 田中純
あとがき
人名索引

■著者
小澤京子(オザワキョコ)

都市表象文化論の若手研究者
1976年8月 生
東京大学( 法学部 第2類) 1999 (卒業)
東京大学 修士( 超域文化科学専攻表象文化論コース) 2004 (修了)

修士論文
2003(平成15)年度
小澤 京子 18世紀ヴェネツィアの都市表象:カナレットのヴェドゥータが内包する都市観の変貌
http://repre.c.u-tokyo.ac.jp/programs/master.html


ブルゴーニュ大学 修士( 美術史) 2008 (修了) フランス

仏ブルゴーニュ大学修士(第2学年)論文, 2008年10月
«L'origine contaminée et les conflits des figures : La représentation
de Rome chez G.B. Piranesi»


東京大学 博士( 総合文化研究科 超域文化科学専攻 表象文化論コース) 2010 (単位取得満期退学)
東京大学21世紀COE「共生のための国際哲学研究センター」リサーチアシスタント(2006年4月-2007年3月)
東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」リサーチアシスタント(2009年10月-2011年3月)
東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」特任研究員(2011年4月-)
表象文化論学会広報委員(2010年-)
日仏美術学会実行委員(2011年-)

田中純(タナカジュン):日本の都市表象論の第一人者 表象文化論全般を専門にする

2011-11-09

民魂の音を聴く——東欧ユダヤ民族音楽〈クレズマー〉と現代世界

「民魂の音を聴く——東欧ユダヤ民族音楽〈クレズマー〉と現代世界」

チラシ:http://gcoe.hus.osaka-u.ac.jp/111127workshop1.pdf

<趣旨>
 来る11月27日(日)、神戸ユダヤ文化研究会並びに大阪大学
との共催企画として、東欧ユダヤ民族音楽〈クレズマー〉の調べを
とともに、踊りあり、トークあり、コンサートありという盛り沢山
のイベントを開催いたします。
 第1部「イディッシュダンス・ワークショップ」では、ベルリン
にてユダヤ舞踏家の下で研鑽を積まれている吉田佐由美さんを講師
にお迎えして、オルケステル・ドレイデルの生演奏をバックに、東
欧ユダヤ・ダンスの舞を参みなさんにも実体験していただきます。
 第2部「『クレズマーの文化史』を横断する」では、黒田晴之さ
ん(松山大学)の新著『クレズマーの文化史——東欧からアメリカ
に渡ったユダヤの音楽』(人文書院)の刊行を記念して、音楽評論
家の平井玄さん、チンドンからクレズマーまで弾きこなすクラリ
ネット奏者の大熊ワタルさん、サントリー学芸賞を受賞した『中東
欧音楽の回路』の伊東信宏さん(大阪大学)をゲストに、東欧ユダ
ヤ民族音楽〈クレズマー〉の現状と展望について縦横無尽に語って
いただきます。
 第3部は今回の目玉企画として、国内外で知る人ぞ知る世界音楽
隊シカラムータの特別編成「ジンタらムータ」によるライヴ演奏を
存分に堪能していただきます。コンサートの終盤には、即席生え抜
きの「イディッシュ・ダンス隊」の飛び入り参加で大団円を迎える
かも?
 3・11の原発震災による〈大破局〉[khurbm]の年、〈修復〉
[tikun]に向けたささやかな機会になればと願っています。
 ぜひお見逃しなく!

<日時>2011年11月27日(日)13:00〜18:30

<場所>大阪大学(豊中キャンパス)
  21世紀懐徳堂スタジオ(イ号館・2階)
    会場地図:http://21c-kaitokudo.osaka-u.ac.jp/access

≪参加無料・事前登録不要≫

<主催>神戸ユダヤ文化研究会、大阪大学グローバルCOEプログ
ラム「コンフリクトの人文学国際研究教育拠点」、「イディッシュ
語文化圏における芸術活動の研究」(文部科学省科学研究費:基盤
研究B)、大阪大学MCE研究会

<プログラム>

◆12:30 開場

◆13:00〜15:15
�.イディッシュダンス・ワークショップ
  講師:吉田佐由美
  演奏:オルケステル・ドレイデル
     樋上千寿(クラリネット)
     白石雅子(アコーディオン)

◆15:30〜17:00
�.「クレズマーの文化史」を横断する
  ゲスト:平井玄
      大熊ワタル
      伊東信宏
      黒田晴之

◆17:10〜18:40
�.ジンタらムータ・コンサート
  演奏:ジンタらムータ
     大熊ワタル(クラリネット)
     佐藤芳明(アコーディオン)
     磯部舞子(バイオリン)
     ギデオン・ジュークス(テューバ)
     こぐれみわぞう(ちんどん太鼓)

<プロフィール>

・吉田佐由美
ベルリン在住、グラフィックデザイナー。イディッシュ・ダンスを
Walter Zev Feldman, Michael Alpert, Helene Domergueら欧米第
一線のダンサーに師事。クレズマー音楽&イディッシュ・ダンスを
最もよく知る数少ない日本人の一人。

・オルケステル・ドレイデル
リーダーの樋上千寿が、シャガールの描く楽士が奏でる音楽を追究
する中でクレズマーに出会い、2003年春に白石雅子と結成。シャ
ガール芸術の源泉のひとつとなったイディッシュ文化との関連で伝
統的なクレズマー音楽を紹介する演奏&講演活動を続けている。

・平井玄
1952年新宿生まれ。群衆思想/音楽文化論。中学でロックを棄て、
ジャズの深海に溺れる。40歳で浮かび上がるとクレズマーの小舟に
救われる。今夏、ロンドン暴動でソニーの倉庫が炎上した。そこか
ら音楽を考え直したい。著書に『愛と憎しみの新宿』『千のムジ
カ』『ミッキーマウスのプロレタリア宣言』『引き裂かれた声』
『暴力と音』『破壊的音楽』『路上のマテリアリズム』など。

・大熊ワタル
シカラムータ/ジンタらムータの他、ソウルフラワーモノノケサ
ミットや演劇とのコラボなど幅広い活動。ロックバンドでの活動開
始後、20代半ばでチンドン屋に弟子入りし、クラリネットを街頭で
修行。東京のシーンでクレズマーを演奏した最初期の一員でもあ
る。

・伊東信宏
1960年生まれ。大阪大学文学部、同大学院修了。大阪大学大学院文
学研究科教授(音楽学)。博士(文学)。著書に『バルトーク』、
『中東欧音楽の回路』(サントリー学芸賞)など。朝日新聞、
NHK-FMなどで解説、批評を担当。

・黒田晴之
松山大学経済学部教員。なぜか20世紀中頃のドイツ文学をいつもア
ウトサイダー(ヤーン、カネッティ、H・フィヒテ)から追ってい
る。ただいまの脳内サウンドシステムでは、ダブとクラウトロック
をクレズマーに接続させる。第37回ドイツ語学文学振興会奨励賞を
受賞。著書に『クレズマーの文化史——東欧からアメリカに渡った
ユダヤの音楽』など。

・ジンタらムータ
チンドン・ジンタをバックボーンに、ロック・ジャズの最前線で世
界の街頭音楽をシャッフルし、実験性・即興性がシンクロした独自
の祝祭的音楽で、国内外で評価の高い「シカラムータ」。そのア
コースティック版・出前ユニットがジンタらムータ。地中海〜バル
カン〜東欧や、中南米などの民衆音楽を中心に、オリジナル曲も交
えて、コンサート会場だけでなく、街頭パレードや、結婚式のパー
ティーなど、神出鬼没で活動する。

2011-11-07

『ファルスの世界 15〜16世紀フランスにおける「陽気な組合」の世俗劇』

川那部和恵
2011年度学術振興会助成
版型:A5
ページ:330
価格:4,410(本体4,200+税)円
発行日:2011年11月25日
ISBN978-4-86327-160-9
Cコード:C3076
渓水社

■目次

はじめに

1 概説

 一 ファルスとは何か
  (一)世俗劇とファルス
  (二)世俗劇の五つのジャンル
  (三)ジャンルにまつわる問題
 二 世俗劇の起源と成立
  (一)「新生の諸ジャンル」
  (二)ファルスの起源
  (三)その他のジャンルの起源
 三 ファルスの笑いと時代
  (一)三つの笑い
  (二)ルネサンスの祝祭的笑い
  (三)ルネサンス知識人と笑い
  (四)笑いと「救済」
 四 ファルスの上演現場
  (一)資料について
  (二)上演の機会
  (三)上演の場所
  (四)役者と作者
  (五)観客
 五 上演集団「陽気な組合」
  (一)バゾッシュ(高等法院職員組合)王国 Royaume de la Basoche(パリ)
  (二)呑気な子どもたちEnfants-sans-Souci(パリ)
  (三)阿呆の母とその歩兵隊Mere Folle et son lnfanterie Dijonnaise(ディジョン)
  (四)コナールの僧院Abbaye des Conards(ルーアン)
 六 世俗劇のテキスト
  (一)一六世紀の四大選集
   1 『トレップレル選集』/2『大英博物館選集』/3『コーアン選集』/4『ラ・ヴァリエール写本』
  (二)現代の校訂版選集


2 作品と解題

 一 『市価で/にタマゴをわたすマユエ』
  解題
  (一)二つのテキスト
  (二)登場人物について
   1 人物定型バダン/2 愚か息子と母/3 町のごろつき
  (三)笑いの技法
   1 身振りによる笑い/2 意味のとり違いの笑い/3 構造的な笑い「だました奴がだまされる」
 二 『洗濯桶』
  解題
  (一)テキスト
   1 古版/2 現代版
  (二)成立の背景
   1 あらすじ/2 『洗濯桶』は写実劇か/3 素材の問題
  (三)作品の意図
   1 父権的社会のただ中で/2 妻の抵抗とフェミニズムの芽/3 母の平和主義
  (四)洗濯桶と巻紙
   1 巨大な洗濯桶/2 二部構成の中で
 三 『全世界のモラル』
  解題
  (一)テキスト
   1 写本・校訂本/2 制作年代/3 作者と上演団体
  (二)登場人物・ジャンル
   1 人物名の訳語について/2 ジャンルの曖昧さ
  (三)作品の解釈をめぐって——寓意劇を読み解く
   1 変装劇/2 社会批判/3「全世界」の意味するもの
 四 『地獄の悪魔に魂をもっていかれた粉屋』
  解題
  (一)テキスト
   1 写本・校訂本/2 アンドレ・ド・ラ・ヴィーニュ(一四五七頃─一五二七頃)
  (二)セール市における初演
   1 「上演報告書」/2 『盲人とびっこのモラリテ』
  (三)農夫から粉屋へ
   1 ファブリオーの伝統/2 なぜ粉屋か
  (四)幕間劇として
   1 聖と俗/2 悪魔狂言
 五 『酒盛りの陽気な説教』
  解題
  (一)テキスト
  (二)「分割された」説教
  (三) 饗宴と聖なるもののパロディ
  (四) パロディ説教の構造
 六 『三人のギャランと一人のバダン』
  解題
  (一)テキスト
   1 写本・校訂本/2 作品のジャンル/3 作・上演/4 制作年
  (二)バダンと「阿呆」の王国
  (三)道化裁判
  (四)「コカーニュの国」構想
  (五)ユートピア世界への旅

 おわりに
 主要参考文献
 和出一覧
 索  引

『作品は「作者」を語る—アラビアン・ナイトから丸谷才一まで』

ソーントン不破直子・内山加奈枝(編著)
2011年10月
3000円(税込)
四六判並製・334頁
装丁:矢萩多聞
ISBN 9784861102929

■内容

ロラン・バルト以後の「作者」とは何か?
『百年の孤独』に深い影響を与えた『アラビアン・ナイト』、ヘミングウェイの身体性が抜きがたく刻み込まれた『ニック・アダムズ物語』、時空を越えた幽霊としての作者を示した丸谷才一『輝く日の宮』など、8つの視点から「作者」を探究する。

■目次

第1章 『アラビアン・ナイト』—「作者の死」とシェヘラザードの語り 【小泉 泉】
第2章 ヒエロニモの沈黙—『スペインの悲劇』における作者と権力 【佐藤達郎】
第3章 模倣と剽窃の異国ロマンス—アメリカ・ジャポニスム小説と「作者」 【中地 幸】
第4章 夏目漱石が現代批評に与える「生きたもの」—『こころ』における主体と倫理 【内山加奈枝】
第5章 メタフィクション「大きな二つの心臓のある川」を書いたのは誰か?—ヘミングウェイと「作者」の身体 【小笠原亜衣】
第6章 リチャード・ライト『ブラック・ボーイ』が語る「作者」像 【升田光子】
第7章 ジェフリー・ダーマーを描くことはできるのか?—ジョイス・キャロル・オーツの『生ける屍』における作者観 【森井美保】
第8章 「作者」という幽霊、「読者」という未来—丸谷才一『輝く日の宮』の作者観 【ソーントン不破直子】


■著者

小泉 泉(こいずみ・いずみ)
日本女子大学、跡見学園女子大学、武蔵野大学、首都大学東京非常勤講師
佐藤達郎(さとう・たつろう)
日本女子大学文学部英文学科准教授
中地 幸(なかち・さち)
現在都留文科大学文学部英文学科教授
内山加奈枝(うちやま・かなえ)
日本女子大学文学部英文学科講師
小笠原亜衣(おがさわら・あい)
玉川大学工学部ソフトウェアサイエンス学科准教授
升田光子(ますだ・みつこ)
日本女子大学、慶応義塾大学非常勤講師
森井美保(もりい・みほ)
山梨学院大学、東京都市大学、日本女子大学非常勤講師
ソーントン不破直子(そーんとんふわ・なおこ)
日本女子大学名誉教授

英国十八世紀文学叢書 [全6巻]

十八世紀から「文学」の全てが始まった

英国十八世紀文学叢書 [全6巻]

英国近代文芸の原点は十八世紀にあり、「古典」の呼び名にふさわしいタイトルが綺羅星のごとく並ぶ。
小説の始祖といわれるデフォーやリチャードソンが活躍しただけではない。
スウィフトの『ガリヴァー旅行記』は世界中で知らぬ人がない読み物となり、
さらにはゴシック小説、黒人文学も出現し、ポルノグラフィの古典まで密かに書かれた。
今日の「文学」の原型が数々生み出された熱い創造の時代を、すべて新訳・初訳の作品群に濃縮

 [2011年12月下旬刊行開始 ・初回2冊同時配本]


「あの人はついに本性を現したのです」——英国小説はユウワクで幕を開ける。

【第1巻 メロドラマ】
パミラ ——淑徳の報い
サミュエル・リチャードソン 〔著〕  原田範行 〔訳〕

四六判 上製 770頁/予価5,775円(本体5,500円+税)
ISBN 978-4-327-18051-5 C0397

2011年12月21日発売予定

 英国小説の出発点といわれる作品のひとつ。美しく無垢なメイドが、紳士面をして近づいてきた若主人のセクハラにあい、監禁されてしまう。貞操を守るための必死の闘いを、登場人物の手紙のみで綴り、そのスリリングな展開は今なお十分に面白く読める。大胆な現代風の新訳で刊行する。


奇跡、幻影、魔法、予知夢——あらゆる超自然が信じられていた、暗黒の時代の物語

【第4巻 ゴシック】
オトラント城
ホレス・ウォルポール 〔著〕  千葉康樹 〔訳〕

崇高と美の起源
エドマンド・バーク 〔著〕  大河内 昌 〔訳〕

四六判 上製 350頁/予価3,360円(本体3,200円+税)
ISBN 978-4-327-18054-6 C0397

2011年12月21日発売予定

 『オトラント城』は最初のゴシック小説であり、今日のホラー小説の原点である書。格調は損なわずに斬新な新訳で刊行する。『崇高と美の起源』は、そのゴシック美学をはじめて理論化したエッセイ。


[続  刊]

【第2巻 諷刺】 ガリヴァー旅行記  ジョナサン・スウィフト 〔著〕  高山 宏 〔訳〕

【第3巻 災厄のドキュメンタリー】 ペストの記憶  ダニエル・デフォー 〔著〕  武田将明 〔訳〕

【第5巻 マイノリティ】 イクイアーノの生涯の興味深い物語  久野陽一 〔訳〕

【第6巻 ポルノグラフィ】 エロチカ・アンソロジー  小林章夫 〔編訳〕

ニューヨークに拠点を置く名門 のノードラー画廊(1857年設立)が1869年〜1946年に刊行した展覧会カタログ 898冊が、デジタル化されオンラインで公開

ニューヨークに拠点を置く名門
のノードラー画廊(1857年設立)が1869年〜1946年に刊行した展覧会カタログ
898冊が、デジタル化されオンラインで公開


http://libmma.contentdm.oclc.org/cdm/landingpage/collection/p15324coll8

ニューヨーク市内美術図書館連合の横断検索サイト(nyarc/arcade)
http://tinyurl.com/4yomehd
で、表示されている
knoedler digital project
という語に続けて作家名などを入れると検索しやすいようです。

『シオニズムの解剖 現代ユダヤ世界におけるディアスポラとイスラエルの相克』

著者 臼杵 陽 監
赤尾 光春 編
早尾 貴紀 編
出版年月日 2011/10/10
ISBN 9784409230473
判型・ページ数 A5
定価 本体4,200円+税


■内容紹介

近代ヨーロッパの「ユダヤ問題」から今現在につづく「パレスチナ問題」まで

ディアスポラとイスラエルのねじれを読み解き近現代世界の民族紛争の理解に多くの視点を示す。

近年、ユダヤ人の歴史や文化に関する研究は日本でも発展の一途を辿っているが、シオニズムを中心に扱った研究となると意外にも少ない。現代イスラエルをめぐる諸問題については、中東紛争やパレスチナ人が置かれた深刻な状況に対する関心の高まりから、それ相応の理解が進んでいるのはたしかだ。しかし、イスラエルという「ユダヤ人国家」を生み出した思想・政治運動としてのシオニズムに関する一般の理解は、その歴史的重要性にもかかわらず、いまだに初歩的な段階に留まっていると言わざるを得ない。そこで本書が第一の課題とするのは、シオニズムをとりまく諸問題を多角的に読み解き、近現代のユダヤ理解におけるこうした不均衡を問い直すことである。(本書「序章」より)

■目次
序章 シオニズムを解剖する 赤尾光春・早尾貴紀

� 帝国の衰退とユダヤ政治の展開
忘れられた世代と場所 鶴見 太郎
「イディッシュ労働者」運動としてのブンド 西村 木綿
民族自治から主権国家へ 森 まり子

� ホロコーストからイスラエル建国へ
アメリカ・ユダヤ人とシオニズム 池田有日子
カタストロフィ・シオニズム 野村 真理

� ナクバという遺産
国家の起源にどう向き合うか 金城 美幸
〈イスラエルの原罪〉を書けるか 村田 靖子

� 入植のエートスとイデオロギー
一〇〇度目の流刑地としてのエレツ・イスラエル 赤尾 光春
死と贖いの文化——フロンティアのメシア主義者 今野 泰三

� ユダヤ文化産業におけるヘゲモニーとカウンター・ヘゲモニー
シオニズムの映画的表象 四方田犬彦
クレズマーはシオニズム(と資本主義)に抵抗するか ? 平井  玄

� 現代思想とイスラエル問題
バイナショナリズムの思想史的意義 早尾 貴紀
現代思想におけるシオニズムと反シオニズム 合田 正人

日本におけるシオニズムへの関心の端緒 臼杵 陽