うぃーん たみんぞくぶんかのふーが
ISBN(10/13桁): 978-4-469-21328-7
著者名: 饗庭孝男、伊藤哲夫、加藤雅彦、小宮正安、西原稔、檜山哲彦、平田達治
著(あえばたかお、いとうてつお、かとうまさひこ、こみやまさやす、にしはらみのる、ひやまてつひこ、ひらたたつじ)
定価: 2,520円(四六判・370頁)
都市形成と文化醸成のダイナミズムを探る
内容説明:
ヨーロッパの十字路に位置するウィーン。そこは、各地から多様な文化が流れ込み独自の融合を遂げた文化形成の舞台となった。多民族の文化がフーガのようにからみ合い、いかにして20世紀をリードした豊穣なポリフォニック文化が形成されたのか。都市形成と文化醸成のダイナミズムを多彩な視点から解明する。
主要目次: まえがき
オーストリア=ハンガリー帝国地図
1910年頃のウィーン主要部地図
1 多民族文化の都(加藤雅彦)
一 混血都市ウィーン
二 ウィーン宮廷へ豊穣の西欧文化
三 ドナウ多民族帝都
四 世紀末文化の多民族性
2 ウィーンの都市空間と建築(伊藤哲夫)
一 古代ローマ期——ゲルマンに対する防衛拠点
二 ロマネスク期——ヨーロッパ交易の十字路として発展
三 ゴティク期——帝国の宮廷都市へ
四 ルネサンス期——トルコとの戦いと宮廷の整備
五 バロック期——繁栄する多民族の帝都
六 新古典主義・ビーダーマイヤー期——勃興する市民が支えた都市文化
七 近代都市形成期——世紀末文化が花開いたメトロポリス
3 ウィーン・バロック——その形態と思考(饗庭孝男)
一 感性の祝宴としてのバロック
二 ウィーン・バロックの呼び水——反宗教改革と対トルコ戦の勝利
三 ウィーン・バロック建築探訪
四 バロック期に培われたウィーン人の死生観
五 イタリア人芸術家に先導され、独自の定着をみたウィーン・バロック
4 「音楽の都」ウィーンの秘密——宮廷と「多民族」音楽都市(小宮正安)
一 ウィーン・フィルの「調和」
二 帝国の音楽
三 「宮廷音楽家」列伝
四 壁の中の音楽
五 「音楽都市」のトポロジー
六 ドイツ音楽の中心として
5 劇場都市ウィーンとオペラの世界——ジングシュピール文化の形成を中心に(西原 稔)
一 オペラという理想
二 ウィーンのオペラ様式の成立
三 モーツァルトとオペラ
6 学際都市ウィーン(檜山哲彦)
一 新たな時代の風
二 閉塞する伝統に挑む
三 強靱な自己観察が切り拓く新たな時代
7 文化メトロポーレ・ウィーンの光と影——シュニッツラーの作品に映し出された十九世紀末ウィーン(平田達治)
一 城塞都市から文化メトロポーレへ
二 世紀末の円形都市ウィーンを舞台にした『輪舞』
あとがき
写真・図版出典一覧
著者紹介
ウィーンは古来ヨーロッパにおける東西南北を結ぶ交通の要衝に位置し、ローマ帝国の北辺の前線基地としてローマとゲルマンの接点となったことから始まり、近世にはオスマン・トルコと西欧キリスト教世界が対峙したときの最前線となり、冷戦時代には東西両陣営の接点ともなった。そこでは、ゲルマン、スラヴ、イタリア、ハンガリー、トルコなどの文化が、食生活など日常的なレベルでもまじりあい、さらに宮廷を通してブルグントやスペイン、フランスの文化も流れ込んだ。異文化がせめぎあう中にあって、それらが共存し融合するための舞台という役どころが、まるでこの都市の遺伝子のようになってしまっているかのようにすら見える。本書は、こうした多彩な要素がからみあった文化が生み出されたウィーンの文化土壌がいかなるものであり、そこで都市の遺伝子がどのように発現したのかを、「多民族文化」をキーワードに、分野を異にする七人の執筆者の視点から探ったものである。(『まえがき』より一部抜粋)
この本の
キーワード: オーストリア、ハンガリー、ドナウ、西欧文化、バロック、オペラ、文化メトロポーレ、宮廷都市、音楽都市、劇場都市、学際都市、円形都市、城塞都市