2011-03-29

バルト海周辺地域の日本コレクション

・国際シンポでコレクションを紹介 日本資料を調査 - 大阪日日新聞
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/110327/20110327031.html
・在外資料の調査研究 - バルト海周辺地域の日本コレクション
〔国立民族学博物館|国際シンポジウム〕
http://www.minpaku.ac.jp/research/fr/20110326-27.html

2011-03-16

1843年から2010年までのレストランのメニューデジタル化

ニューヨーク公共図書館、レストランのメニューをデジタル化
Posted 2011年3月16日

米国のニューヨーク公共図書館(NYPL)が、同館が所蔵する40,000件以上のレストランのメニューをデジタル化すると報じられています。1843年から2010年までのレストランのメニューが対象になるとのことです。同館の関係者によると、レストランのメニューは人々が何を食べてきたの記録であり、同館では1900年から収集している、とのことです。

Library keeps menu 'order'(NYPOST.com 2011/3/14付けの記事)
http://www.nypost.com/p/news/local/manhattan/library_keeps_menu_order_33O2ryUkFQdzkPhwnfpYFM

Library digitizing more than 40,000 menus(UPIcom 2011/3/14付けの記事)
http://www.upi.com/Odd_News/2011/03/14/Library-digitizing-more-than-40000-menus/UPI-81651300121829/

2011-03-10

1920年から1972年までのプロ・アマのスポーツ放送の音声資料

米国議会図書館(LC)、1972年以前のスポーツのラジオ・テレビ音声録音資料を購入
Posted 2011年3月10日

2011年3月9日に、米国議会図書館(LC)が、John
Miley氏が収集してきた、ラジオやテレビのスポーツ中継の音声を録音したコレクションを購入したと発表しました。"John Miley
Sports Broadcast
Collection"と名付けられた同コレクションは、1920年から1972年までのプロ・アマのスポーツ放送の音声資料とのことで、その数は
6,000点を超すようです。また、同コレクションは、歴史的なゲームの記録資料としてだけではなく、名スポーツアナウンサーの音声記録としての価値もあるとのことで、LCでは今後デジタル化を行い、LCの閲覧室で提供する予定のようです。

Library Acquires Historic Radio & TV Sports Recordings (Library of
Congress 2011/3/9付けのニュースリリース)
http://www.loc.gov/today/pr/2011/11-046.html

Library of Congress Buys Audio Archive (New York Times 2011/3/8付けの記事)
http://www.nytimes.com/2011/03/09/sports/09archive.html

藤原辰史『カブラの冬:第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆』人文書院 2011年

カブラの冬 レクチャー第一次世界大戦を考える
第一次世界大戦期ドイツの飢饉と民衆
藤原 辰史著
税込価格: ¥1,575 (本体 : ¥1,500)
出版 : 人文書院
サイズ : 19cm / 154p
ISBN : 978-4-409-51112-1
発行年月 : 2011.1

■概要
第一次世界大戦期ドイツ。イギリスの経済封鎖は76万の餓死者を生んだ。食糧戦争としての大戦を描く。
第一次世界大戦期にドイツで発生した飢饉の事実を、当時の新聞や文献、あるいは欧米・日本での研究成果に依拠しつつ紹介・整理。民衆のプロテスト、その後の時代への影響にも触れる。

■目次
はじめに 戦争と食糧
1 日本からみた「カブラの冬」———おなかがすいてはいくさはできぬ
2 飢える大国

第1章 大国が飢える条件
1 餓死者七六万二七九六人の衝撃
2 兵糧攻めをうける「城」------イギリスの海上封鎖
3 シュリーフェン作戦の挫折
4 食料輸入大国ドイツ------生命線としての輸送網
5 農業生産力の減退とその対策

第2章 食糧危機のなかの民衆と政府
1 熱狂と陶酔の影で
2 戦時下の食生活-----Kパン・民衆食堂・密商
3 行政の介入------価格統制から戦時食糧庁設立まで

第3章 日常生活の崩壊過程----「豚殺し」と「カブラの冬」
1 深まる危機
2 豚殺し
3 カブラの冬
4 女たち----争いと行列
5 子どもたち-----犯罪と病気

第4章 食糧暴動から革命へ
1 崩れゆく「城」
2 行列から暴動へ------街角の「ポロネーズ」
3 日常における政治の顕在化------三級選挙法をめぐって
4 水兵たちの食事と革命

第5章 飢饉からナチズムへ
1 終わり損ねた戦争
2 連鎖する憎悪------「匕首伝説」の誕生
3 ナチスによる飢饉の総括
4 大戦が生んだナチスの食糧政策

おわりに ドイツの飢饉の歴史的位置
1 交戦国の食糧状況概観
2 「カブラの冬」の遺産

参考文献
あとがき
略年表

2011-03-09

1917.9.4-5 an Ottla Kafkas Briefe "Richard Wagners Meistersingern"

[Prag, 4. und 5. September 1917]
Richard Wagners Meistersingern
http://homepage.univie.ac.at/werner.haas/1917/ok17-048.htm

Übrigens fällt mir jetzt so oft der Vers aus den Meistersingern ein:
"ich hätt' ihn für feiner gehalten" oder so ähnlich.

Ich meine damit: in dieser Krankheit liegt zweifellos Gerechtigkeit,

ここで僕が何を意図しているのかというと・・・この病には疑いもなく正義がある、ということです

es ist ein gerechter Schlag, den ich nebenbei gar nicht als Schlag
fühle sondern als etwas im Vergleich zum Durchschnitt der letzten
Jahre durchaus Süßes,

それは正義の一撃であるが、ちなみに僕はそれをまったく打撃とは感じなくて、むしろ近年の平均値と比較してみれば、徹底的に甘美なものと感じているのです。

es ist also gerecht, aber so grob, so irdisch, so einfach, so in die
bequemste Kerbe geschlagen.

つまり公平に、しかしながら、とても荒々しく、とても世俗的に、とても単純に殴打されて、もっとも心地よい切り傷ができるのです。

Ich glaube eigentlich: es muß noch einen andern Ausweg nehmen.

つまるところ僕は「それはまたもう一つ別の解決策でなければならない」と信じているのです。

2011-03-07

2011年3月現在のアスコナ

http://before-and-afterimages.jp/news2009/2011/03/ascona-3.html
http://before-and-afterimages.jp/news2009/2011/03/ascona-2.html
http://before-and-afterimages.jp/news2009/2011/03/ascona-1.html
http://before-and-afterimages.jp/news2009/2011/03/ascona.html

瀟洒なホテルがあるわりには荒んだ廃墟を連想させたアスコナの「真理の山(Monte
Verita)」。オリエンタリズムと似而非スピリチュアルな雰囲気の疑似茶室に茶畑。「世界が平和でありますように」の柱。貧相な「ユートピアの塔」。改装中で数年間閉館している展示館。神話の頽廃。
http://twitter.com/tanajun009/statuses/44123246160908289

この地で買い求めた研究書によれば、ゼーマンたちが神話化した「社会変革思想を孕んだ芸術家コロニー」といった姿とは異なり、ドイツ人たちの一風変わった観光用サナトリウムだったらしい。とすれば、この頽廃も必然か。
http://twitter.com/tanajun009/statuses/44123836345626624

必読『ロシアとパレスチナを繋いだ想像力—シオニズムの歴史社会学』

第1回東京大学南原繁記念出版賞受賞論文

 鶴見太郎(日本学術振興会特別研究員)

 『ロシアとパレスチナを繋いだ想像力—シオニズムの歴史社会学』

 受賞した論文は,後日,東京大学出版会から書籍として刊行されます.

【講評】(田中純/東京大学大学院総合文化研究科教授)

 本論文は,1881-82年のポグロムから1917年のロシア革命にいたる帝政末期のロシア・シオニズムを,歴史的・実証的にはきわめて精緻に,理論的には社会学的観点から明快に分析した独創的な研究である.方法の軸として著者は,統計資料などを駆使して示されるロシア・シオニズムの「客観的文脈」に加えて,シオニスト自身の「主観的文脈」に注目し,彼らの思想がいかなる想像力のもとで形成されていたかを明らかにしている.

 本論文ではまず,19世紀後半の多民族国家ロシア帝国におけるユダヤ人の社会的位置や他民族との関係の変化,および初期シオニズムの様相が概観されたのち,ロシア・シオニズムの機関誌が丹念に読み込まれ,シオニストの世界観における「ネーション」概念の重要性が多面的に浮き彫りにされる.そこでとりわけ注目すべき発見は,ロシア・シオニストたちがユダヤ人の本質規定をむしろ忌避していたという事実である.

 著者はこの点を注意深く掘り下げ,指導的シオニストの自伝的小説などの読解を通じ,ロシア・シオニズムの想像力において非ユダヤ人との関係が果たした役割をあぶり出してゆく.著者によれば,シオニストたちはディアスポラのもとで社会的に構築されてきた「ユダヤ人」概念に反発する形で,いまだ意味づけられていない「純粋な社会性」を創り出す場を追求した.そして,このようにして紡ぎ出された「社会」という位相こそ,ロシア・シオニズムがオーストリア・マルクス主義の民族理論を下敷きにしつつ,それを批判することによって模索した,パレスチナにおける多民族秩序の根底をなすものである,と著者は言う.

 これは現代の中東問題にもつながりうる,アクチュアルな意義をもった分析である.本論文は,省みられることの少ない一次資料の発掘に基づき,ロシア語を中心にヘブライ語も含む文献を駆使して展開された,優れたロシア・ユダヤ社会史研究であると同時に,社会学的見地からのネーション論や集団的アイデンティティ論を踏まえた民族問題論でもあるという点で,実証と理論の両面を兼ね備えた,世界的に見てもあまり類例のない劃期的な業績と見なしうる.抑制された端正な文体は非常に明晰であり,巧みに工夫された構成もあって,大変読みやすく説得力のある論述になっている.用語解説を含む付録をはじめとした隅々まで行き届いた配慮が,本論文の完成度をさらに高めている.

 以上の点から,国際的に通用する第一級の学術的成果として,本論文は第1回東京大学南原繁記念出版賞を授賞するにふさわしい内容と評価できる.


【受賞のことば】鶴見太郎

 このたびは,栄えある第1回東京大学南原繁記念出版賞に拙稿を選出いただき,どうもありがとうございました.この受賞はすなわち,出版事情が厳しい中,商業ベースではとても売れそうにない私の研究の成果が,名高い東京大学出版会から世に出されるということでもあり,その点への安堵がまずありました.しかしそれ以上に,人生で初めて賞と名のつくものを,大変に名誉な形で受けることができたことは,存外の喜びであるとともに,他人事だと思っていた賞というものに対して恐縮している次第でもあります.

 私の研究の出発点は,混迷極まるパレスチナ問題の根源を探るというものです.その衝撃の強さから,それに関する歴史の登場人物や思想,事件というものには様々な色付けがなされることが少なくありません.そうした中,私は,それらを等身大で見てみたいと思いました.しかし,等身大で見ようとすればするほど,それらを個体として見ることはできず,それらが様々な社会関係の中に埋め込まれていることが明らかとなります.拙稿は,こうした視点を「社会学的」と銘打って,ロシア帝国と深くかかわっていたユダヤ人の中から,パレスチナにユダヤ人の民族的拠点を打ち立てようとするシオニズムという考え方がどのようにして生まれたのかを探求したものです.こうして見ることで,初期のシオニストが,パレスチナを目指すという明示的な目標の一方で,ロシア帝国という場をもう一度目指していたことが浮かび上がるとともに,よくあるナショナリズムとして個別的に見ていたのでは奇妙に思えるシオニズムのある特質についても理由があったことがわかりました.

 こうした自らの研究成果に照らし合わせてみますと,私自身が,特定の社会的文脈の中に,しかも相当程度に恵まれた文脈の中に埋め込まれていたことに多いなる感謝の念を抱かないわけにはいきません.このたびの受賞への喜びも,そうした意味で今後の大きな原動力となることは間違いありません.しかしそれだけでは私は調子に乗ってしまいますので,厳しいご批判を頂戴できましたら幸いに存じます.

【受賞者略歴】

[略歴]1982年生まれ.2006年東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了.2006-2007年エルサレム・ヘブライ大学ロスバーグ国際校客員研究員.2010年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).2010年エルサレム・ヘブライ大学人文科学部博士後研究員.現在,日本学術振興会特別研究員PD.[専攻]歴史社会学,ロシア・東欧ユダヤ史