2012-03-20

松尾スズキとカフカ『アメリカ(失踪者)』

人生に影響を与えた本は?

中学生の頃、カフカの「アメリカ」を読んだ時、その話が頭からずっと離れなくてノイローゼみたいになってしまったことがありました。何かを感じたんでしょうね。孤独、不条理、この世に確かなものはないんだと思った記憶があります。(更新日:2011年05月06日)

http://doraku.asahi.com/hito/interview/html/110506_03.html

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日本を俯瞰し相対化する 大人計画の新作

http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY201203160378.html

 劇団「大人計画」が新作「ウェルカム・ニッポン」を2012年3月16日から、東京・下北沢の本多劇場で上演する。劇団員がほぼ総出演するのは8年ぶり。作・演出の松尾スズキは「団員の力が上がっているので、それぞれの役に意味のある物語を与えるのはハードルが高かった」と話す。

■松尾スズキ 「我々の『普通』は不条理では」

 2001年の9・11テロの日、アメリカ人女性のエイドリアン(アナンダ・ジェイコブズ)は事故に巻き込まれそうになり、日本人留学生「牛頭(ごず)」に救われた。彼女は牛頭と婚約したものの昨年の3・11後に連絡が取れなくなったと言い、はるばる日本まで彼を訪ねてくる。

 松尾は「外国人を中心に据えて大人計画の役者で脇を固めたら、何か化学反応がおきるのではと考えた。科学的根拠のない化学実験みたいなものですが」と語る。

 エイドリアンは、東京都外れの卑俗な街にたどり着き、奇妙な人々に翻弄(ほんろう)される。このイメージは、黒沢明監督の映画「どですかでん」で描かれる変人が集う街に触発されたという。

 「六本木でも京都でもなく、空っぽな街に美しいアメリカ人が紛れ込んだら面白い。エイドリアンが日本を、想像していた世界とえらく違うと感じるのはリアルだと思う」

 もう一つ、カフカの『アメリカ』も意識した。故国を追われた少年がアメリカに渡り、他人の意向で振り回される不条理小説だ。「その寂寞(せきばく)とした感じをいつか表現したいと思っていた。アメリカから来た人は、我々の『普通』を不条理と感じるはず」