カフカが生前に遺した草稿は、友人ら何人もの「エディティング・ワーク」
によって、今日の「カフカ文学」になった。カフカに限ったことではなく、
あらゆる出版は編集されており、編集なき出版はない。
しかし、編集の歴史は丁重に無視されるか、ひそかに認証されるかであって、
その成果は著者の活動の中に折りたたまれてきた。編集はつねにオーサリン
グの歴史の一部に組みこまれてしまってきたのだった。
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★千夜千冊PRESS★ vol.51 2012年8月13日
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みなさん、こんにちは。
千夜千冊編集部より、千夜千冊PRESS vol.51をお届けします。
1479夜は、読相篇『人文学と電子編集』、
副題は「デジタル・アーカイヴの理論と実践」です。
厖大なテキストが日々電子排出され、
莫大なビッグデータが企業に蓄積されつづけているのが、
いま私たちをとりまくデジタル環境であるといえるかもしれません。
しかし、グーテンベルクの活版印刷術がもたらしたテキストを
グーグルの電子ネットワーク上に移し変えるだけでは、
新たな価値が生み出されていくことはないでしょう。
学知と書籍と欲望と商品とをもっとダイナミックにまたいでいく
「電子の編集」が待望されはじめています。
将来のデジタル・アーカイヴはいかに電子編集されていくべきか。
その提案のいくつかを今夜は紹介します。
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★ 千夜千冊 1479夜(2012年8月7日 更新)読相篇
★ 『人文学と電子編集』デジタル・アーカイヴの理論と実践
★ ルー・バーナード キャサリン・オキーフ ジョン・アンスワース
(2008)慶應義塾大学出版会
★ http://1000ya.isis.ne.jp/sp051-01
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印刷時代の編集力を十分に研究しないまま、
電子時代の編集技術力が新たな脚光を浴びている。
簡易なウェブブラウザとサーチエンジンによって
テキストの流動化や意味の液状化が
全世界的に目に余るようになってきたからだ。
こうしてデジタル・エディティングによる
編集文献学やテキスト編集学が登場してきた。
これはやっと訪れた「編集工学の夜明け」であるが、
けれども、いまこそは二つのG(グーテンベルク/グーグル)が
新たなナレッジサイトの構築と
柔らかいリベラルアーツの発動のために、
エディット・ラディカルに統合されるべきなのだ。
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【当夜案内(千夜千冊編集部より)】
カフカが生前に遺した草稿は、友人ら何人もの「エディティング・ワーク」
によって、今日の「カフカ文学」になった。カフカに限ったことではなく、
あらゆる出版は編集されており、編集なき出版はない。
しかし、編集の歴史は丁重に無視されるか、ひそかに認証されるかであって、
その成果は著者の活動の中に折りたたまれてきた。編集はつねにオーサリン
グの歴史の一部に組みこまれてしまってきたのだった。
電子時代のいま、オーサリング・データやライティング・コーパスがコンピ
ュータ・ネットワークと連動するにしたがって、エディティング・ワークの
重要性が脚光を浴びはじめている。ひとつが編集文献学、もうひとつが編集
工学である。
現在のウェブ社会では、スマホやツイッターやフェイスブックなどのソーシ
ャルメディアやグーグル型のサーチエンジンによる「テキストの分解」が驀
進し、電子的エディターシップはいっさい省かれている。「パンとサーカス」
(大衆をよろこばす欲望と娯楽)の介入に蹂躙され、境界のないフラットな
情報で満たされているのが現状である。
本来のナレッジサイトの構築や21世紀のリベラルアーツが組み上がってい
くには、「知のエンジニアリング」と「編集の工学化」が必要とされている。
では、どのように? それは、今夜の千夜をご覧ください。
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★★8月の「方」はツナミとレヴィ=ストロース★★
「千夜千冊が体の奥から入ってくる」「朗読と解説で理解が深まる」と
多くのユーザーから好評をいただいている、松岡正剛自身による
千夜千冊読み解き語り「一册一声」。
8月は『3・11を読む』刊行を記念して、
初めて番外録から1439夜『ツナミの小形而上学』を収録しました。
もう一夜は、松岡自身が「こんな奇怪な一冊はない」と語った
レヴィ=ストロースの古典的名著『悲しき熱帯』をお届けします。
いったい何が"奇怪"なのか、一册一声の中で解き明かされます。
今月の表紙:http://1000ya.isis.ne.jp/how/
★★バジラ高橋が語る「日本のデスクトップ」とは★★
古代から現代までをつなぎ、日本文化に潜む編集知をさぐる
「日本編集文化誌」は、編集工学研究所主任研究員の
高橋バジラ秀元による深くて軽い「方」限定語り下ろしコンテンツです。
今夜の千夜と関連する6月号「日本のデスクトップの編集」は、
アラン・ケイによるコンピュータの誕生と中世の日本の思索空間をつなぎ、
あるべき「日本のデスクトップ」を考察したものです。必見です。
方インデックスページ:http://1000ya.isis.ne.jp/how/?page_id=100
4月創刊号の第一回配信はこちらから無料で視聴、閲覧できます。
http://1000ya.isis.ne.jp/how/?page_id=316
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◎日刊セイゴオ「ひび」◎ 2012年8月9日(木)
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原爆投下都市長崎の遺構と式典と眩しい夏を見て、
この六十四年を深々と、しかし切なく振り返る。
陸奥、フクシマ、ヒロシマ、長崎、沖縄を重ねたい。
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8月6日、原爆の日の広島市長の「平和宣言」では、震災と原発事故の被災
者の姿を「67年前の広島の人々と重なる」と、あらためてフクシマとヒロ
シマを重ねる言及がありました。
原爆投下と終戦の8月。
陸奥、フクシマ、ヒロシマ、長崎、沖縄を想う千夜千冊を紹介します。
<陸奥を想う>
1417夜 『北上幻想』森崎和江
http://1000ya.isis.ne.jp/1417.html
<フクシマを想う>
1447夜 『「フクシマ」論』開沼博
http://1000ya.isis.ne.jp/1447.html
<ヒロシマ・長崎を想う>
238夜 『黒い雨』井伏鱒二
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0238.html
832夜 『国破レテ』村上兵衛
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0832.html
<沖縄を想う>
437夜 『沖縄は歌の島』藤田正
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0437.html
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