鴎外のベルリン——交通・衛生・メディア
A5判上製/228頁/定価3500円+税
ISBN978-4-89176-797-6 C0095
*本書では「鴎」の字は正字を用いています(區+鳥)。
■内容紹介
鴎外が見聞した、2つの《帝国》の相貌。
代表作『舞姫』の舞台となるこの新興都市で、
少壮エリート鴎外森林太郎は何を実見し、
日本の現実へと変奏させたのか?
従来の作家像/作品像を刷新する、
新たなる《都市空間の文学》の試み。
カフカが住んだ時代のベルリンとは時期がずれるが、プラハの「衛生化」などの動きとカフカ文学を絡めて論じた
三谷研爾『世紀転換期のプラハ—モダン都市の空間と文学的表象』 三元社
http://franzkafka1883-1924.blog.so-net.ne.jp/2010-03-07
などの類書。
『ハプスブルク帝国の情報メディア革命—近代郵便制度の誕生』 (集英社新書)も併せて。
■著者紹介
美留町 義雄 (ビルマチ ヨシオ)
1967年、東京に生まれる。立教大学文学部ドイツ文学科卒業、同大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ文学専攻)満期退学。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、大東文化大学文学部准教授。専攻、ドイツ近代文学を基盤とした比較文学・文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■資料として貴重
19世紀後半のドイツを再現する貴重図版80点以上収録!
ジャケット裏に、1889年当時の貴重なベルリンの市街図を掲載。
本書はもちろん鴎外文学を読み解くうえで必須の資料!
■目次
第1章 ベルリンの路上にて—鴎外の足
「菩提樹下」の石畳
アスファルト
交通と制度
「普請中」の道路
第2章 交通・身体・規律—「有楽門」をめぐって
「停留所に待てる群衆」
昇降口の秩序
日比谷公園有楽門
第3章 都市の衛生—下部構造と権力
中庭の光景
ベルリンの水
「下水を汲む」鴎外
東京の衛生
第4章 ベルリンの喫茶店にて—「バウエル茶房」と鴎外
カフェ・バウアー
鴎外とイタリア
情報センターとしてのカフェ
ベルリンのファスト・フード
第5章 伝便と広告柱—鴎外と情報メディア
伝便
気送郵便
断絶したネットワーク
「小包郵便物に就て」
広告柱
林立するリトファス柱
「独身」の終焉