2012-04-10

國分功一郎「暇と退屈の倫理学」

判型 : 四六判並製
ページ数 : 402ページ
ISBN : 9784255006130
Cコード : 0095
発売日 : 2011/10/17

目次
まえがき
序章 「好きなこと」とは何か?
第一章 暇と退屈の原理論──ウサギ狩りに行く人は本当は何が欲しいのか?
第二章 暇と退屈の系譜学──人間はいつから退屈しているのか?
第三章 暇と退屈の経済史──なぜ"ひまじん"が尊敬されてきたのか?
第四章 暇と退屈の疎外論──贅沢とは何か?
第五章 暇と退屈の哲学──そもそも退屈とは何か?
第六章 暇と退屈の人間学──トカゲの世界をのぞくことは可能か?
第七章 暇と退屈の倫理学──決断することは人間の証しか?
結論
あとがき

朝日新聞やニューヨークタイムズのインタビューで注目を浴びる気鋭のスピノザ研究者が、「3.11以降の生き方」を問う。はつ剌と、明るく、根拠をもって「よりよい社会」を目指す論客のデビュー。

何をしてもいいのに、何もすることがない。だから、没頭したい、打ち込みたい……。でも、ほんとうに大切なのは、自分らしく、自分だけの生き方のルールを見つけること。

■すごい思想書
「読み進めるうちに、あぁ、こんなところに生きる意味があったのかと、一度人生をリセットしたような、そういう気分にさせてくれる本です。震災以降の現在ならなおさらです。[…]ありとあらゆる意味や関係にこんがらがってるであろう現実を一旦均してしまうような、まさにリセットするような実に晴々として爽快な内容」——鈴木成一氏(マトグロッソ「鈴木成一
装丁を語る。」#36より)。

※ブログにて、「序章」を読むことができます。
http://asahi2nd.blogspot.jp/search/label/%E5%9C%8B%E5%88%86%E5%8A%9F%E4%B8%80%E9%83%8E%E3%80%8C%E6%9A%87%E3%81%A8%E9%80%80%E5%B1%88%E3%81%AE%E5%80%AB%E7%90%86%E5%AD%A6%E3%80%8D

[序章「好きなこと」とは何か?より抜粋]
資本主義の全面展開によって、少なくとも先進国の人々は裕福になった。そして暇を得た。だが、暇を得た人々は、その
暇をどう使ってよいのか分からない。[…] 我々は暇のなかでいかに生きるべきか、退屈とどう向き合うべきか。

『恋愛書簡術 古今東西の文豪に学ぶテクニック講座』

中条省平 著
初版発行日2011/12/10
判型四六判
ページ数256ページ
定価1890円(本体1800円)
ISBNコードISBN978-4-12-004314-7

目次
アポリネールと伯爵夫人ルー—官能と陶酔のファンタスム
エリュアールと芸術の女神ガラ—遠く離れた恋人たちをゆさぶるエロス
内田百〓(けん)と憧れの君 清子—読まれることを目的とした日記の真相
バルザックと異国の人妻ハンスカ夫人—ファンレターから始まった一八年間の愛
ユゴーと見習い女優ジュリエット—最後まで添いとげた生涯の陰の女
谷崎潤一郎と麗しの千萬子—サブリナパンツに魅せられた瘋癲老人の手練手管
フロベールと女性詩人ルイーズ—年下の男のリリカルな高揚とシニカルな失速
コクトーと美しき野獣マレー—禁断の同性愛から至高の友愛へ
ミュッセと男装の麗人サンド—『世俗児の告白』に隠された真実
スタンダールと運命の女メチルド—『恋愛論』の真の作者との悪戦苦闘〔ほか〕

愚直な思いか?罠か?粋な駆け引きか?略奪愛、ダブル不倫、遠距離恋愛、援助交際。恋の渦中で身を焦がし、巧みに駆使したレトリックを分析、世界を揺るがせた恋文と名作誕生秘話。
バルザック、谷崎潤一郎など、古今東西の文豪たちが、恋の渦中で身を焦がし、巧みに駆使したレトリックを分析。ラヴレターの魅力と世界を揺るがせた名作誕生の背景を探る。『中央公論』連載に加筆し書籍化。

『屋根裏プラハ』

田中長徳/著
発行形態 : 書籍
判型 : 四六判変型
頁数 : 286ページ
ISBN : 978-4-10-331731-9
C-CODE : 0095
ジャンル : 文学
エッセイ
発売日 : 2012/01/31

ニコリテスリー七番地
ホテルプラハ、神なきカテドラル
プラハの寿司/プラハに死す
プラハのP、夢を語る
旅券(ライゼパス)と国境(グレンツェ)
記念写真と隠し撮り
キュビズム建築に棲みたかった
ルツェルナ・パレスでの写真展
プロペラの記憶
黒い切手と紅い駅
シュコダ贔屓
パブロフのワイン
路面電車とチョコレート
写真機と写真機店
スデクを捨てる
新世界のカフカ
聖なる春
あとがき


街がくぐりぬけてきた過酷な歴史と、急速に変わり行く人々の姿。プラハをめぐる17の断章。

長年この街にアトリエを構えてきた写真家が、住民でもなく旅行者でもない、「屋根裏」からの視点で綴る17章。ふとした瞬間に見える歴史の爪痕。ホテルプラハに漂う旧共産圏の不穏な気配。国境と旅券というものの不思議。伝説の写真家たちの思い出——。独特のユーモアの間に街と人への敬意が滲む、個性溢れる名エッセイ。

■田中長徳/著
タナカ・チョウトク

1947年東京生まれ。写真家。大学在学中の1969年、銀座ニコンサロンにて史上最年少で個展を開催。1973年から1980年までウィーン在住、1982年から翌年にかけて文化庁派遣芸術家としてニューヨーク近代美術館で写真研究に携わる。1989年よりプラハにアトリエを構え、世界各地で個展を開催する一方、カメラ評論家としても活躍している。著書に『晴れたらライカ、雨ならデジカメ』(岩波書店)、『カメラに訊け!』(ちくま新書)、『銘機礼讃』(日本カメラ社)ほか多数。

『複数形のプラハ』

著者 阿部 賢一 著
出版年月日 2012/01/20
ISBN 9784409510667
判型・ページ数 4-6・260ページ
定価 本体2,800円+税

第一章 離岸していく空間——リルケ『二つのプラハ物語』
ルネの生家、あるいはハインリヒ教区の社会的位相/リルケ作品におけるプラハ/チェコ女性への眼差し/「ひどく腐った言葉屑」

第二章 断片化する都市——ボフミル・クビシュタとキュビスム
都市の「暗点」/〈オスマ〉、あるいはチェコ・ドイツ共同体というユートピア/〈オスマ〉から〈造形芸術家グループ〉へ/クビシュタの苦悩

第三章 都市芸術としてのアール・ヌーヴォー
——アルフォンス・ムハとスラヴ主義
〈ミュシャ〉と〈ムハ〉/〈分離派〉と〈アール・ヌーヴォー〉の狭間で/アール・ヌーヴォーの総合芸術——「市民会館」/野外劇『同胞のスラヴ』/大聖堂におけるスラヴ主義

第四章 〈モラヴィア〉の作曲家の眼差し
——ヤナーチェクのオペラ《ブロウチェク氏の旅行》
「モラヴィア…」という形容をめぐって/「オペラ劇場」の政治力学/あまりにもプラハ的なオペラ/「トルコ出身」のブロウチェク/同一性をめぐる物語

第五章 消えゆく声をめぐって——作家リハルト・ヴァイネルと「広場」
「チェコのカフカ」?/生の交差点としての「広場」/並び立つ記念碑/「広場」に注がれる視線

第六章 光と闇の交錯——ヨゼフ・スデクの『聖ヴィート』
生成される聖なる空間/広告写真の出現——dp社とスデク/写真集『聖ヴィート』が語りかけるもの/窓からの眺め

第七章 欲望の結晶としてのショーウインドー
——インジフ・シュティルスキーの写真
人魚の足、あるいはシュルレアリストの問いかけ/〈エロス〉という源泉/匿名の都市——シュルレアリスム写真の射程/〈ショーウインドー〉、そして〈水槽〉


都市、それは多様な要素が共存する空間であり、それは一種のコラージュともいえる。

カフェ、広場、ショーウインドーといった様々な場所、複数の言語、様々な出自をもつ芸術家の目を通して浮かびあがる都市プラハの複数性と多層性。オーストリア=ハンガリー帝国の「地方都市」からチェコスロヴァキアの「首都」となった都市空間「プラハ」の深層を解読する。

カダレ『夢宮殿』

〈夢宮殿〉、それは帝国中の臣民の見た夢を集め、選別し、解釈する夢調査の機関だった。毎週金曜日には帝国と君主の運命に関わると思われる〈親夢〉が皇帝のもとに提出される。アルバニアの鬼才が描くカフカ的迷宮世界!

名門出の青年が職を得たのは、〈夢宮殿〉。迷宮のような建物の中には、選別室、解釈室、筆生室、監禁室などが扉を閉ざして並んでいた。ノーベル文学賞候補作家による幻想と寓意に満ちた傑作。


そこには、選別室、解釈室、筆生室、監禁室、文書保存所等が扉を閉ざして並んでいた。国民の見た夢を分類し、解釈し、国家の存亡に関わる夢を選び出すこの機関に職を得た青年は、その歯車に組み込まれていく。国家が個人の無意識の世界にまで管理の手をのばす怖るべき世界を描いた、幻想と寓意に満ちた傑作。

『ボヘミアの〈儀式殺人〉 フロイト・クラウス・カフカ 』

ボヘミアの〈儀式殺人〉 フロイト・クラウス・カフカ
平野嘉彦=著
定価:3360 円(本体:3200 円)
四六判
292頁
2012.03
ISBN978-4-582-70291-0 C0010
NDC分類番号 130


序論
"儀式殺人"の歴史
『タルムード・ユダヤ人』をめぐって

第1部
ボヘミアの"儀式殺人"
マサリックの異議申立
「暗示」をめぐって

第2部
フロイトの『日常生活の精神病理学』
クラウスの『炬火』
カフカの『審判』)

第3部
それぞれの歩み
ウィーンのヒルスナー、あるいはヒルスナーのウィーン
ウィーンからの出立


ユダヤ人による儀式殺人伝説は13世紀に遡るが、近代のそれは国民国家の論理の帰結として復活した。事件へのユダヤ系知識人の多様な反応から、Judeであるとは何かを描く異色の思想史。