2012-04-10

カダレ『夢宮殿』

〈夢宮殿〉、それは帝国中の臣民の見た夢を集め、選別し、解釈する夢調査の機関だった。毎週金曜日には帝国と君主の運命に関わると思われる〈親夢〉が皇帝のもとに提出される。アルバニアの鬼才が描くカフカ的迷宮世界!

名門出の青年が職を得たのは、〈夢宮殿〉。迷宮のような建物の中には、選別室、解釈室、筆生室、監禁室などが扉を閉ざして並んでいた。ノーベル文学賞候補作家による幻想と寓意に満ちた傑作。


そこには、選別室、解釈室、筆生室、監禁室、文書保存所等が扉を閉ざして並んでいた。国民の見た夢を分類し、解釈し、国家の存亡に関わる夢を選び出すこの機関に職を得た青年は、その歯車に組み込まれていく。国家が個人の無意識の世界にまで管理の手をのばす怖るべき世界を描いた、幻想と寓意に満ちた傑作。