2010-08-16

プリンツ・オイゲン(Prinz Eugen)

プリンツ・オイゲン・フォン・サヴォア
興隆期ハプスブルク帝国を支えた男
デレック・マッケイ著
瀬原義生訳
京都 : 文理閣, 2010.5
ii, 366, 21p, 図版 [4] p ; 22cm
注記: プリンツ・オイゲンの肖像あり
プリンツ・オイゲン関係略年表: p332-333
史料・文献案内: p355-360
ISBN: 9784892596193
別タイトル: Prince Eugene of Savoy ; プリンツオイゲンフォンサヴォア
著者標目: McKay, Derek ; 瀬原, 義生(1927-)<セハラ, ヨシオ>
件名: Eugene, of Savoy, Prince of Savoy, 1663-1736

ハプスブルク家に生涯を捧げ、オーストリア帝国の全盛時代を築いた"気高い貴公子"オイゲン。彼の軍事的成功と政治的活動、芸術保護者としての業績、さらにその日常生活をもきめ細かく活写した労作の完訳。

[目次]
第1章 サヴォアの貴公子
第2章 レオポルト1世とその帝国
第3章 ハンガリーの解放
第4章 サヴォアの戦い
第5章 ゼンタの戦い
第6章 二年間の平和
第7章 スペイン継承戦争の勃発
第8章 オイゲン、帝室軍事参議会議長となる
第9章 ブリントハイム(ブレナム)の戦い
第10章 ヨーゼフ一世の帝位継承
第11章 トリーノとツーロン
第12章 南ネーデルラントの制圧
第13章 失われた平和とマルプラケの戦い
第14章 ネーデルラントにおける手詰まりとヨーゼフの死
第15章 ドゥナンの戦いとラシュタットの平和
第16章 カール六世とその大臣たち
第17章 トルコとの新しい戦争
第18章 シチリアをめぐる戦争とオイゲンに対する陰謀
第19章 ネーデルラント総督
第20章 芸術保護者としてのオイゲン
第21章 オイゲンとその友人たち
第22章 ヨーロッパの「冷たい戦争」
第23章 ウィーン第二条約とフルーリの復讐
第24章 オイゲンとオーストリアの軍隊
第25章 ポーランド継承戦争とオイゲンの死


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バロックの騎士 : プリンツ・オイゲンの冒険
飯塚信雄著
東京 : 平凡社, 1989.2
334p ; 20cm
注記: サヴォイ公子オイゲン関連年表: p326-327 ; 参考文献: p328-329
ISBN: 4582472168
件名: Eugen, Prinz von Savoyen. ; Eugène,Prince of Savoie -- Carrig
nan(1663-1736)

父ルイ14世から疎んじられて軍人を選んだオイゲン公子は、トルコの脅威からオーストリアを護った救国の英雄であり、自ら建てたウィーンのベルヴェデーレ宮殿に集まる文人たちの、パトロンでもあった。

[目次]
第1章 ルイ14世からの脱走
第2章 竜騎兵連隊長となる
第3章 トルコ軍のウィーン包囲-1683年夏
第4章 篭城する市民たち
第5章 美女オランプ
第6章 ベルグラードへ
第7章 ソワソンのお嬢さま
第8章 軍隊の組織と生態
第9章 センタの合戦
第10章 再びイタリア戦線へ
第11章 マルバラ公との友情
第12章 ベルグラードの死闘
第13章 快男児ボンヌヴァル
第14章 ベルヴェデーレ宮の建設
第15章 美しさローリ、バティアニー伯爵夫人
第16章 最後の出番
第17章 最大の敵-老衰
第18章 オイゲン伝説の誕生

2010-08-15

NHK教育:芸術劇場 − 劇場中継「変身」(原作フランツ・カフカ) −

チャンネル :教育/デジタル教育1
放送日 :2010年 8月13日(金)
放送時間 :午後11:29〜14日午前1:15(106分)
ジャンル :劇場/公演>現代劇・新劇

カフカ原作「変身」をイギリスの演出家、スティーブン・バーコフが緻密に演出した舞台。40年間、世界の様々なアーティストが演じた主人公に森山未來が挑み、熱演した。

【原作】フランツ・カフカ
【演出】スティーブン・バーコフ
【出演】森山未來,穂のか,福井貴一,丸尾丸一郎,久世星佳,永島敏行

番組HP
http://www.nhk.or.jp/art/

NHKオンデマンド:見逃し番組サービスで視聴する(有料)
https://www.nhk-ondemand.jp/

2010-08-12

鳥影社『ローベルト・ヴァルザー作品集』全5巻(新本史斉/若林 恵/F・ヒンターエーダー=エムデ訳)

私は誰も私にならないことを願う。
私だけが、私自身に耐えられる。
多くを知り、たくさんのことを見、何も言わない、ただそれだけである。

第1巻 タンナー兄弟姉妹(新本史斉訳)

2010年7月、第1巻刊行
サイズ 四六判 ページ 381P
ISBN 9784862652515 (4862652514) C-CODE 0097

今日のヨーロッパ文学において古典的存在とされるスイスの散文作家、ローベルト・ヴァルザーの長編小説と散文小品を集成。1には、「タンナー兄弟姉妹」を収録。
生きるということに特別な意味を付与しない主人公ジーモン——自分の生を「ただただ生きる」ことで、彼は手に触れるように世界を感じるのである。

吉田孝夫「ローベルト・ヴァルザーの二次性の文学」 京都大学大学院課程博士論文 2000
http://opac.ndl.go.jp/recordid/000000352249/jpn

新本史斉:「母の言葉」の喪失から生まれる「微笑む言葉」、「舞い落ちる」散文--ローベルト・ヴァルザーの小説『タンナ--兄弟姉妹』をその前史から読む
津田塾大学紀要 (42), 135-163, 2010-03


第2巻 助手
第3巻 ヤコプ・フォン・グンテン
第4巻 ベルリン時代、ビール時代の散文作品(『散歩』他)
第5巻 ベルン時代の散文作品と遺稿(『盗賊』他)

2010年8月28日(土)から9月25日(土)まで『オマージュ種村季弘展』

前半:種村季弘とマニエリスム幻想(仮称)
後半:大衆への回帰と晩年(仮称)

■アクセス
東京メトロ有楽町線 銀座一丁目駅2番出口より徒歩1分
〒104-0061 東京都中央区銀座2-2-18 西欧ビル1F
電話: 03-5524-3060
スパンアートギャラリー
http://www.span-art.co.jp/

http://maps.google.com/maps?f=q&source=s_q&hl=en&geocode=&q=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%8C%BA%E9%8A%80%E5%BA%A72-2-18&sll=35.339354,139.44706&sspn=0.072396,0.154324&ie=UTF8&hq=&hnear=Japan,+T%C5%8Dky%C5%8D+Metropolis+Ch%C5%AB%C5%8D+Ward%E9%8A%80%E5%BA%A7%EF%BC%92%E4%B8%81%E7%9B%AE%EF%BC%92%E2%88%92%EF%BC%91%EF%BC%98&z=16

■開館時間
11:00から19:00まで
日曜・祝祭日休館

  今展は独文学者の故種村季弘氏の業績を原稿や書簡などの
  遺品と、縁のあるアーティストの作品で振り返る内容と
  なるそうです。先日ご子息で画廊オーナーである品麻氏が
  「黒き血の宴」にお越し下さったのですが、準備がとても
                  大変だと仰っておられました。準備の大変さに比して
                  素晴らしい展覧会になると思われますので、ぜひご高覧
                  下さいませ。

2010-08-11

西村清和『イメージの修辞学 ことばと形象の交叉』

単行本: 542ページ
出版社: 三元社 (2009/11)
ISBN-10: 488303254X
ISBN-13: 978-4883032549
発売日: 2009/11
商品の寸法: 21 x 15.6 x 3.8 cm

■内容紹介
「読むこと」そして「見ること」で得られるイメージの相違と連関についての議論は古代より続き、いまも多彩な主張が乱立している。それらを精査し、「読書とイメージ」「視覚的隠喩」「小説の映画化」「"物語る絵"のナラトロジー」「小説と挿絵」の五つの視点から、ことばと形象の交叉がもたらす経験とその歴史的変遷を、多くの実例をひきながら問いなおす。

http://djfumiya-in-the-mix.blogspot.com/2010/03/blog-post_1057.html
http://franzkafka1883-1924.blog.so-net.ne.jp/2010-03-29

■目次
序 7
第�部 ことばとイメージ

第1章 読書とイメージ 12

1 観念とイメージ 12
   イメージ化の読み/12 近代認識論における「イメージ」/14
   詩と絵画のパラゴーネ/16 詩の絵画的描写/18 バーク/22 レッシング/25
2 知覚とイメージ 27
   ウィトゲンシュタイン/27 イメージと知識/28 イメージと知覚/31
3 意味とイメージ 34
   意味の規格型と素性/35 イメージ価と「概念的——ペグ」/37
4 読書とイメージ 39
   サルトル/40 イメージの「効果」/42 ホメーロスの描写/45

第二章 視覚的隠喩は可能か  48

1 転義とモデル 48
   隠喩の代置理論、比較理論/49 隠喩の相互作用理論/50
2 隠喩と類比 53
   認識論的隠喩論/53 類比による世界認識/55
3 隠喩と象徴 57
   記号論的隠喩論/57 隠喩的例示/58 暗示と象徴/61
4 隠喩の述語限定理論 64
   一時的な言語ルール/64 アスペクトの認知/66 述語限定理論/68
5 隠喩と直喩 71
   比較と同定の陳述文/72 恣意的直喩/74 隠喩の「含み」/76
6 隠喩とイメージ 78
   隠喩のイコン性/78 非言語的隠喩/80
7 絵画的隠喩 83
   視覚的ジョークとカリカチュア/83 視覚的駄洒落/86
   合成イメージ/89 広告の発話/92
8 映画的隠喩 95
   隠喩的モンタージュ/96 映画的文彩/98 説話外的なイメージ/101

第三章 詩と絵画のパラゴーネ 104

1 ことばの優位 104
   エクフラシス/104 パラゴーネ/105
2 イメージの形而上学と解釈学 107
   イコノグラフィーとイコノロジー/107 ベーム「イメージの解釈学」/108
   ベッチマン「美術史解釈学」/111 イムダール「イコニーク」/113
3 「露出した意味」 115
   バルト「逐字的メッセージ」/116
4 知覚経験と名指し 118
   ブライソン「図像的なもの」/118 構文的な絵画/121 心理学的唯名論/124
5 視像の情熱、形態の欲望 126
   位相化/127 言語のテクスチュアと絵画のテクスチュア/128
第�部 小説の映画化

第四章 物語と描写 132

1 描写の位置 132
   映画化への欲望と批判/132 補助的言説としての描写/135
   描写の近代とリアリズム/137
2 テクスト・タイプと「奉仕」関係 139
   「物語に奉仕する描写」・「描写に奉仕する物語」/140
3 意味の統辞法、知覚の統辞法 142
   明示的な描写/143 モンタージュ——知覚の統辞法/145 描写の物語/147
4 描写の物語 149
   心的イメージと知覚映像/149 小説の描写/151
   映画の描写/152 「効果」の対比と異同/154

第五章 語りのモード 156

1 語りの「態」 156
   物語言説と物語内容/156 「不可視の観察者」と語り手/158
2 語りの「視点」 161
   〈背後から〉の視点/162 〈ともにある〉視点/165 内面のリアリズム/168
   〈情況〉の視点/173 〈外部から〉の視点/177 物語の叙法のパターン/178
3 映画における語りの視点 180
      1.〈全知〉の視点、〈情況〉の視点/181
      2.〈ともにある〉視点/185 ● 三人称と一人称/188 ● 「一人称映画」/190
      3.〈外部から〉の視点/191 語りの視点の混合と移行/193
第�部 「物語る絵」のナラトロジー

第六章 「物語る絵」の叙法 196

1 絵画の「物語」 196
   タブローという装置/196 絵画のナラトロジー/200
2 物語言説のメディア——中世の「物語る絵」 202
   ミニアチュール/202 ビザンチンの壁画/205
   ステンドグラス/207 聖なるテクストの優位/210
3 エクフラシスの修辞学 211
   絵解きとしてのエクフラシス/211 ゼウクシス的イリュージョニズム/213
   イコン的イリュージョニズム/215 超越的な〈全知〉の視点/217
4 描かれた世界の自立 220
   ジョットの革新/220 「含蓄ある瞬間」/223
   ヒューマニストのエクフラシス/225 アルベルティの「構図」と遠近法/227
   ヴァザーリの美的なエクフラシス/228
5 指示者のモチーフ 230
   超越論的〈全知〉の視点/230 修辞的イリュージョニズム/232
   美的イリュージョニズム/234 「劇的クロース・アップ」/236
6 画中の代理人——「母と子」と「後ろむき」のモチーフ 239
   奥行き方向の劇的緊張/239 「母と子」のモチーフ/242
   「後ろむき」のモチーフ/245
7 美的イリュージョニズム 248
   描写的リアリズム/248 ディドロの美的なエクフラシス/251
   美術カタログ/255 イメージに奉仕することば/257
8 「没入」のモチーフ 259
   〈情況〉の視点と絵画的描写のリアリズム/259
   没入のモチーフと内面性/262 「演劇的」と「タブロー」/265
9 仮象論の逆説と〈ともにある〉視点 269
   観者の現前と不在のパラドックス/269 観者の美的な存在情況/271
   肉眼の「視角」と語りの「視点」/273 物語る絵の〈ともにある〉視点/276
   交叉する視線のドラマ/280
10 情況のタブロー 282
   メロドラマ/282 明暗法——光の遠近法/284 物語る絵の叙法のパターン/286
      1.超越的〈全知〉の視点/287
      2.超越論的〈全知〉の視点/287
      3.〈ともにある〉視点、〈情況〉の視点/288

第七章 近代絵画における語りの視点 290

1 小説と絵画の遠近法 290
   ケンプの受容美学/290 「観者の位置」に自覚的な構成/290
   「多重遠近法的」な構成/292 小説と絵画のパラレリズム/294
2 目撃者の「視角」と語りの「視点」 299
   語りの「態」と「叙法」/299 目撃者と「内包された読者」/300
   カメラマンと映画監督と画家/305
   指示者のモチーフ、後ろむきのモチーフ/306
3 〈ともにある〉視点の画面構成 309
   エッグ《過去と現在》/309 クリンガー《母》/312 スケッチの美学/314
第�部 小説と挿絵

第八章 近代小説と挿絵 318

1 挿絵の歴史 318
   十五世紀/319 十六世紀/320 十七世紀/321 十八世紀/323 グラヴロー/327
2 形象のディスクール——グラヴロー 330
   ルソー『新エロイーズ』挿絵/330 挿絵の記号論的分析——バシィ/333
   語りの光源・サン=プルー/336 読者の反応——ラブロスの分析/338
3 私的な情感——コドウィエツキーとストザード 340
   コドウィエツキー/340 ストザード/343
4 近代的叙法の成熟 346
   ターナー——廃墟・ゴシック・ピクチャレスク/346
   ビュイックとクルックシャンク——ビネット/348
   小説の挿絵と舞台のタブロー/351 挿絵の映画的手法/352
   ラファエル前派/355 内省の挿絵に対する批判/357

第九章 明治期小説の「改良」と挿絵 361

1 小説の「改良」 361
   坪内逍遙『小説神髄』/362 内面のリアリズムと文体/365
   制度としての漢文体/368
2 『当世書生気質』 370
   新味と限界/370 二葉亭四迷『浮雲』/374
3 言文一致運動 377
   語尾と待遇感情/377 「である」体の採用/379
4 逍遙以後の小説 381
   「人間派」と「没理想」/381 西洋近代叙法の例外的さきがけ/383
   「自叙躰」の流行/385 三人称〈ともにある〉視点の確立/390
5 日本における「物語る絵」 393
   絵巻の文法/393 江戸の戯作本/396 洋風画/398
6 戯作下絵から小説挿絵へ 400
   来日画家の影響/401 洋風挿絵受容の限界/404 新聞小説と挿絵/407
   浮世絵系挿絵/409 容斎派の画家たち/412 洋画家たちの参入/413
7 小坂象堂と自然主義 415
   日本画の自然主義/415 无声会/419
8 梶田半古と新風 422
   烏合会/422 梶田半古の日本画/424 富岡永洗と梶田半古/426
   右田年英と松本洗耳/429 新旧挿絵の混在/431 梶田半古とアール・ヌーボー/433
9 鏑木清方の小説経験 437
   西洋画の翻案/438 情況のタブローと〈ともにある〉視点/441

註 445
あとがき 509

事項索引 1
人名索引 7
参考文献 13
■西村 清和
1948年京都府生まれ。東京大学文学部美学芸術学科卒業、同大学院修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授。著書—『遊びの現象学』(勁草書房、サントリー学芸賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

2010-08-03

日本語-チェコ語 チェコ語-日本語の両引き辞典

<国際語学社>
『簡明日本語−チェコ語 チェコ語−日本語辞典』 阿部 昇吉 編著
税込価格 : \3675 (本体 : \3500)
著者 阿部 昇吉 編著
ジャンル 諸外国語 > ロシアと近隣諸国の言葉 > チェコ語
シリーズ 簡明辞典
出版年月日 2010/07/29
ISBN 9784877315221
判型・ページ数 B6・304ページ
定価 本体3,500円+税

■内容紹介
簡明シリーズ第五段!日本語-チェコ語 チェコ語-日本語の両引き辞典。
 1万1,000語収録の「簡明辞典」シリーズ第五弾は、チェコ語です。チェコは九割がチェコ人の占めるスラヴ系民族の国家。
 チェコ語はもちろん、ロシア語にも精通した著者が送る渾身の一冊です。チェコ語勉学者のバイブルとなること間違いありません。


■目次
1.著者前書き
2.表記について
3.チェコ共和国国歌
4.チェコ語の基本会話
5.チェコ語アルファベット一覧
6.日本語引き
7.チェコ語引き
8.四季、月、曜日、数字一覧
9.写真で綴るチェコ

2010-08-02

オドラデクに関する日本語名エッセイ 澁澤龍彦『思考の紋章学』所収

思考の紋章学-7-オドラデク
『文芸』 15(4), p156-165, 1976-04

和図書 1−6(6件)

1. 思考の紋章学 / 澁澤龍彦. -- 新装新版. -- 河出書房新社, 2007.3. -- (河出文庫)
2. 渋沢竜彦全集. 14. -- 河出書房新社, 1994.7
3. 思考の紋章学 / 渋沢竜彦. -- 白水社, 1988.5. -- (新編ビブリオテカ渋沢竜彦)
4. 思考の紋章学 / 渋沢竜彦. -- 河出書房新社, 1985.10. -- (河出文庫)
5. ビブリオテカ渋沢龍彦. 6 / 渋沢龍彦. -- 白水社, 1980.3
6. 思考の紋章学 / 渋沢龍彦. -- 河出書房新社, 1977.5

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オドラデク跳梁--ドラコニアの1960年代 (渋沢竜彦<特集>)
高山 宏
ユリイカ 20(7), p123-135, 1988-06

異端の日本学の系譜--「しろうるり」とオドラデク (渋沢竜彦--幻想のミソロジ-<特集>) -- (批評・渋沢竜彦のビブリオテカ)
野口 武彦
国文学 解釈と教材の研究 32(8), 60-67, 1987-07

2010-07-28

暗がりのあかり——チェコ写真の現在展

主催:
株式会社 資生堂
会期:
2010年6月19日(土)~8月8日(日)
会場:
資生堂ギャラリー
〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Tel:03-3572-3901 Fax:03-3572-3951
平日 11:00~19:00 日曜・祝日 11:00~18:00 毎週月曜休 入場無料
*7月19日は祝日ですが休館いたします
後援:
チェコ共和国大使館
Czech Centre Tokyo

チェコ共和国の首都プラハは、スラブ文化圏における芸術文化の中心的役割を担ってきました。1910年代末よりダイナミックな前衛芸術運動が展開され、チェコ・アヴァンギャルドがおこるなど、中欧のみならずEU、ロシア等、他地域へも多大な影響を与えています。また近年では、日本でもブックデザインや絵本、アニメーション映画をはじめとするチェコの独特な芸術文化への人気が高まっています。
本展では、その芸術文化の一翼を担う写真表現に焦点をあわせ、現代のチェコを代表する下記の10名の写真家を紹介します。
ウラジミール・ビルグス、 ヴァーツラフ・イラセック、 アントニーン・クラトフヴィール、
ミハル・マツクー、 ディタ・ペペ、 イヴァン・ピンカヴァ、 ルド・プレコップ、トノ・スタノ、
インドジヒ・シュトライト、テレザ・ヴルチュコヴァー

写真の創成期より連綿と続く伝統と歴史を継承し、新たな表現を開拓し続けてきたチェコ写真の現在を、ポートレート、風景、フォトモンタージュ、ドキュメンタリーなど多岐に渡る彼らの作品を通して紹介します。

1830年代半ばの写真登場直後より、チェコ・スロバキアにも写真技術は伝わり、当時から多くの写真家たちが活躍していました。そして1990年以降、写真が芸術表現の手法として用いられるようになるとともに、同国からフランティシェク・ドルティコル、ヨゼフ・スデック、ヤン・サウデック、ヨゼフ・コーデルカなど、多くの重要な写真家が輩出されてきました。1991年のソビエト連邦解体から自由化を経て、旧共産圏の芸術文化が一挙に世界中へ広まりましたが、チェコの写真表現もその潮流にのり、欧米をはじめとする西側諸国へと広く知れ渡ることとなりました。そして1998年から99年にかけて、バルセロナ、パリ、ローザンヌ、プラハ、ミュンヘンの5都市で「モダンビューティー:チェコ・アヴァンギャルド写真1918-1948」展が開催され、チェコの写真芸術を世界的に認知させることとなりました。また2005年には、プラハ工芸美術館とプラハ市ギャラリーの2館を会場に、「チェコ20世紀写真展」が開催されました。同展は、チェコ国内で初めて20世紀におけるチェコ写真の歴史と発展を紹介するという趣旨のもと、400人以上のチェコ・スロバキア人写真家による作品約1300点が出品され、その後2009年にドイツ・ボンの国立芸術展覧会ホールへも巡回しています。

本展は、その独特な表現と作品水準の高さで世界的に注目を集めるチェコ写真の現在を紹介する、日本初の展覧会となります。モノクローム写真を主流として独自の発展を続けてきたチェコ写真を現在最も注目を集める10名の写真家の作品約50点を通してお楽しみください。

ウラジミール・ビルグス
Vladimír Birgus
1954年 チェコ共和国フリーデク=ミーステク生まれ
都市風景や人々を題材に構成的な作品を撮る。写真家としてのほか、教育者、写真研究家としても活躍
ヴァーツラフ・イラセック
Václav Jirásek
1965年 チェコ共和国カルヴィナー生まれ
ポートレートや風景に荒廃、死といった耽美的イメージを重ね合せ、それらが引き起こす人間の反応を表現
アントニーン・クラトフヴィール
Antonín Kratochvíl
1947年 チェコ共和国ロヴォシッチェ生まれ
ポートレートとドキュメンタリー写真の領域で活躍、ドラマチックなルポルタージュで世界的名声を獲得
ミハル・マツクー
Michal Macků
1963年 チェコ共和国ブルンタール生まれ
アイデンティティの喪失と破壊をテーマに、独自の技法による"Gellage"シリーズを制作
ディタ・ペペ
Dita Pepe
1973年 チェコ共和国オストラヴァ生まれ
現代社会における多様な女性たちをテーマに、自身がその対象に扮する「Self-portraits」シリーズを制作
イヴァン・ピンカヴァ
Ivan Pinkava
1961年 チェコ共和国ナーホト生まれ
神話や古典、中世の巨匠による絵画作品からのインスピレーションをもとに聖書を題材にした作品を制作
ルド・プレコップ
Rudo Prekop
1959年 スロバキア共和国コシツェ生まれ
ステージド・フォトグラフィの領域において紙の断片や鏡の破片などを用いるなど、独創的な作品を制作
トノ・スタノ
Tono Stano
1960年 スロバキア共和国ズラテー・モラフツェ生まれ
女性の身体をモチーフに、独創的で洗練されたモノクローム写真を制作
インドジヒ・シュトライト
Jindřich Štreit
1946年 チェコ共和国フセチーン生まれ
世界的に活躍するドキュメンタリー写真家。世界各地を廻り、素朴な人間の存在と美しさをテーマに撮影
テレザ・ヴルチュコヴァー
Tereza Vlčková
1983年 チェコ共和国フセチーン生まれ
少女をモデルに、場所・時代が漠然とした、神話や寓話を思わせる神秘的なイメージの作品を制作

朝日新聞夕刊評(2010年7月28日)
『チェコの空気ムンムン「暗がりのあかり」 銀座で写真展』

グローバル化が進んでも、美術作品にはその国の空気を感じさせるものがある。東京・銀座の資生堂ギャラリーで開催中の「暗がりのあかり――チェコ写真の現在展」は、チェコの空気に満ちた展覧会だ。同国の写真表現の全体像を紹介しようと、20~60代の幅広い年代から10人を選び、49点を展示。分野別に壁に並べた。

 ドキュメンタリー写真では、インドジヒ・シュトライトが近代化で失われつつあるチェコの田舎暮らしを、アントニーン・クラトフビールが戦争や民族対立に揺れる中東欧を撮る。

 ヌード写真の分野で、トノ・スタノはポーズを取ったモデルの裸を写す。「センス」(1992年)では女性の身体が官能的な一本の曲線に。ミハル・マツクーは、写真上で自分の裸体を引き裂く。モノクロームの作品の中には、耽美(たんび)的だったり、不穏や疎外を感じさせたりするものが多い。

 テレザ・ブルチェコバーのカラー写真も不気味だ。作品には双子の少女が並んで写るが、中にはデジタルで合成した偽の双子もいるという。

 チェコの人口は日本の10分の1以下。だが、担当した資生堂の井関悠学芸員は「写真家の層は厚い。伝統と歴史を尊重した上で自分のスタイルを追求している」と話す。

 首都プラハは、スラブ文化圏の芸術の中心地の一つ。重々しくて濃密なチェコの空気を感じることができる写真展だ。(西田健作)

『デクステリティ 巧みさとその発達』

ニコライ A.ベルンシュタイン 著
工藤和俊 訳
佐々木正人 監訳

A5判並製 ● 320頁
定価4,410円(本体4,200円+税)
2003年7月15日発行
ISBN 978-4-7608-2821-0 ● C3011

紹介
運動はどのようにして環境に出会うのか。本書は,現在,生態心理学,運動研究,認知科学の最先端で,運動のアフォーダンスとして注目を集める「デクステリティ」の7論考。
一度も書かれたことのない人間の運動に関する本

目次

 日本語版への序文   マイケル・ターヴェイ

 著者まえがき

第�章 巧みさ(デクステリティ)とは何か
  科学戦隊の偵察と戦闘
  心理物理学的能力
  巧みさ(デクステリティ)——勝利者
  巧みさ(デクステリティ)の値打ちが高いわか
  巧みさ(デクステリティ)とは何か
第�章 運動制御について
  人間の運動器官における動きの多様性
  舌と眼の動きについて
  運動制御はなぜ難しいか
  自由度二および三とは何か?
  冗長な自由度をどのように克服するか
  筋の弾性による問題
  運動の協応とは何か?
  筋 ‐ 間接感覚とその補助
第�章 動作の起源について
  大いなる生物の競争
  尺度と配役
  生命と興奮性の出現
  神経系の創成
  体の口側は、いかにして頭側になったか
  防御? それとも攻撃?
  横紋筋を使いこなす
  横紋筋の弱点
  袋小路の節足動物
  脊椎動物の進化
  感覚による調整
  体肢の発達
  豊かになる動作
  爬虫類王国の全盛
  覇権争い
  鳥類が到達した運動
  錘体路系はいかにして錘体外路系を呑み込んだか
第�章 動作の構築について
  ゼウスと人間についての神話
  脳の摩天楼
  生理的早産の赤ん坊
  新しい課題と脳の発達
  豊かになる感覚的印象
  動作のリストと背景レベル
  脊髄の引き金機構
第�章 動作機構のレベル
  緊張(トーン)のレベル——レベルA
  筋 ‐ 関節リンクのレベル——レベルB
    レベルBの構造
    レベルBの機能
  空間のレベル——レベルC
    レベルCの構造
    空間場とは何か?
    レベルCに属する運動の特性
    空間レベルの動作
  行為のレベル——レベルD
    行為とは何か
    主な特徴
    調整と自動化
  巧みさの種類について
  行為のタイプ
  子供の運動形成
第�章 練習と運動スキル
  運動スキルについての誤った考え
  練習可能性はどのようにして発現するか
  運動スキルとは何か
  運動スキルの構築
    先導レベルと運動の構成
    調整の同定と分配
    背景調整の割りあて
    動作の自動化
    背景調整の調和を奏でる
    標準化
    安定化
第�章 巧みさ(デクステリティ)とその特徴
  巧みさ(デクステリティ)についてすでに分かっていること
  どこでどのように巧みさ(デクステリティ)は現れるのか
  巧みさ(デクステリティ)には何ができるのか
  巧みさ(デクステリティ)の仕事ぶり
  巧みさ(デクステリティ)の核心
  巧みさ(デクステリティ)の先見性
  巧みさ(デクステリティ)と美しさ
  巧みさ(デクステリティ)はどのように発達するか


 著者あとがき
 主要語句解説   工藤和俊
 [解題]運動はどのようにして環境に出会うのか
      —ベルンシュタインの三つの発見  佐々木正人
 訳者あとがき   工藤和俊
 人名索引
 事項索引


著者について
「本書が書かれたのは、約半世紀前。ソビエト社会主義共和国連邦をスターリンが統治していた時代だ」(訳者あとがき)

ベルンシュタインが一般向けの科学書としての本書を執筆していたころ、ベルンシュタインは気鋭の生理学者だった。1947年には『動作の構築について』という本を出版し、「動作障害の治療に携わる外科医たち」から高い評価を得たことで、スターリン賞という国家的な賞を受けた。
ところが、ベルンシュタインがパブロフの条件反射説を批判したこと、ソ連国内に反ユダヤ主義の風潮広がっていたことが重なり、ユダヤ人であったベルンシュタインは「パブロフを貶める非国民的研究者として共産党の機関誌「プラウダ」誌上で公然と批判される」ようになってしまう。
ベルンシュタインは、職を失い、出版は取りやめになってしまった。
歳月が流れ、忘れられた原稿がとうとう発見されたとき、ベルンシュタインが亡くなってから20年が過ぎていた。
ゴルバチョフ政権下、ベルンシュタインの業績は再評価され、1991年には本書(原書)が出版され、1996年には英訳版が出版された。この日本語版は英語版がベースになっている。

『ヴィジュアル・リーディング 西洋中世におけるテクストとパラテクスト VISUAL READING: Text and Paratext in the Middle Ages』

松田隆美:著
発行:ありな書房
A5判 256ページ 上製
定価:4,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7566-1014-0 C0070
奥付の初版発行年月:2010年07月 書店発売日:2010年07月14日

■紹介

テクストとイメージが織りなすアートフルな宇宙が広がる、中世ヨーロッパの彩色写本。各種挿絵入り本を対象に、挿絵を中心としたパラテクストの機能をテクストとの関連において分析し、中世後期の読書文化を考察する。

西洋中世の書物の大半は絵入りである。特に、写本から印刷本への移行期に当たる15−16世紀には、写本、印刷本を問わず多くの挿絵入り本が制作されて広範な読書層を獲得した。工房生産の時祷書写本、木版画による挿絵を多用して印刷された時祷書、「羊飼いの暦」として知られる実用的教訓書などはその代表例である。これらの書物は、挿絵とテクストとのあいだにダイナミックな相関性を作り上げ、読者層の実用的だが限定的なリテラシーを想定して、読者に書物を視覚的に読むことをうながしている。

■目次
序章 中世写本のイメージとテクスト
1 教会によるイメージの擁護
2 中世写本の挿絵の類型
3 コンピラティオとミセラニー性
4 西洋中世の書物生産と流通
第一章 時祷書のテクストとパラテクスト
1 書物としての時祷書
2 時祷書の利用の実際
3 時祷書の基本的構成
4 時祷書の制作と書籍工房
5 活版印刷による時祷書
6 時祷書の用途の多様化
第二章 時祷書の変容−典礼書から教訓書へ
1 周縁部のイメージ
2 予型論の物語絵シリーズ
3 暦の中世的宇宙
4 「人生における諸時期」
5 時祷書の暦と「人生の十二時期」
第三章 「羊飼いの暦」と中世的宇宙
1 羊飼いの知恵と心身の「健康」
2 「羊飼いの暦」と時祷書
第四章 「専門の読み手」とミセラニー写本
1 アマチュア絵師の仕事
2 北イングランドの宗教文学ミセラニー写本
3 解釈のユニットとしてのコンピラティオ
終章 中世の書物のポピュラリティ

あとがき
主要参考文献
索引

■著者
松田隆美(マツダタカミ)
慶応大学文学部教授 イギリス・ルネサンス文学 書物文化史

上記内容は本書刊行時のものです。

2010-06-22

『闘う小説家バルザック』

闘う小説家バルザック
芳川泰久
ISBN4-7967-0219-9
1999年5月
2800円
四六判上製304頁
エディション: 単行本
出版社: せりか書房
出版日: 1999/05
ISBN-10: 4796702199
ISBN-13: 978-4796702195

19世紀初めパリのパサージュを通行する群衆の中に小説の登場人物と読者を発見し、彼らの欲望が織りなす近代社会の縮図を全く新しい知的パラダイムのもとに描いたバルザックの創造の秘密に迫る

バルザックは、現代的なジャーナリズムや出版業界の勃興(ぼっこう)期に身を置き、小説家という新たな「職業」を生きた人間だった。評伝ではなく、出版・パリ・解剖学・三角測量など、核となるテーマや想像力の根源から解明する手法が新鮮。

折しも二百年生誕を機に、日本で五月二十日の誕生日にあわせたかのように、芳川泰久『闘う小説家バルザック』(せりか書房)、石井晴一『バルザックの世界』の二著が出、鹿島茂・山田登世子編バルザック『人間喜劇』コレクション(藤原書店)の第一回『ペール・ゴリオ』の新訳も出た。さらに大矢タカヤス編になるバルザック『人間喜劇』全作品あらすじもその別巻として刊行された。まことににぎわしいバルザックの復権の様である。


目次

1830年〈パリもの〉の誕生
私生活の発見
小説のパサージュ
両性具有—sexualit´eの顕現
「動物」はいかに分類線を横断するか
遠征—異種との遭遇
解剖小説家
活字鋳造・植字・組版
地上を天上に折り畳む論理
〔ほか〕

2010-06-21

2010年6/20(日)に掲載された書評

■カフカ Classics in Comics
ヴィレッジブックス 西岡兄妹、フランツ・カフカ著 池内紀訳 価格:¥1,365
評 中条省平(学習院大学教授)
■カフカ自撰小品集
みすず書房 フランツ・カフカ著 吉田太郎訳 価格:¥2,940
評 中条省平(学習院大学教授)

T・G・マサリク『ロシアとヨーロッパ ロシアにおける精神潮流の研究 』

ロシアとヨーロッパ—ロシアにおける精神潮流の研究 (1)
ISBN4-915730-34-4 C0022
A5判上製376頁
定価5040円(本体4800円+税)
2002.10

チェコの思想家T・G・マサリク(1850-1937)はロシア研究家としても名高く、そのロシア研究の集大成が本書である。この著作は、ロシア精神史研究の古典として知られ、各国語に訳されており、邦訳も、第1、2巻については、かつてみすず書房から『ロシア思想史』の題名で出されている(現在は絶版)。今回の邦訳は、まだ日本語に訳されていない第3巻を含めた全3巻を、プラハのマサリク研究所が厳密な校訂を経て刊行したチェコ語版(1995-6
年)から訳したものである。

第1部「ロシアの歴史哲学と宗教哲学の諸問題」では、ロシア精神を理解するための前提として、ロシア国家の起源から第一次革命に至るまでのロシア史を概観する。第2部「ロシアの歴史哲学と宗教哲学の概略」では、チャアダーエフからゲルツェンまでの思想家たちを検討する。

* 目次

+ はしがき
+ 序 ロシアとヨーロッパ——ロシアの僧侶
1. ロシアの歴史哲学と宗教哲学の諸問題
1. 「聖なるルーシ」——第三のローマとしてのモスクワ
2. ピョートルの改革。ロシアとヨーロッパの結合
3.
フランス革命後の神権政治的反動と、セヴァストーポリに臨んでのその敗北。政治的、哲学的革命の始まり。(エカテリーナ二世——ニコライ一世)
4. 一八六一年の農奴解放と行政改革
5.
束の間の自由主義の後の、ニコライ体制の復活と継続。——テロリズム的ゲリラ革命の発展と、その犠牲者としてのアレクサンドル二世。——強化された神権政治的反動とその反テロリズム。日本との戦争における神権政治的反動の敗北
6. 最初の大衆革命と憲法の始まり。反革命
7. ロシアの歴史哲学と宗教哲学の諸問題(総括)
8. ロシア研究のための文献
2. ロシアの歴史哲学と宗教哲学の概略
1.

9. P・J・チャアダーエフ。正教の神権政治に対するカトリックの神権政治
10. スラヴ主義。正教の神権政治のメシアニズム。スラヴ主義と汎スラヴ主義
11. 西欧主義。V・G・ベリンスキー
12. 西欧主義とスラヴ主義との統合。アポロン・グリゴーリエフ
13. アレクサンドル・ゲルツェン。哲学的、政治的急進主義
+ 訳者あとがき
+ 人名索引


ロシアとヨーロッパ—ロシアにおける精神潮流の研究 (2)
# 単行本: 508ページ
# 出版社: 成文社 (2004/06)
# ISBN-10: 4915730352
# ISBN-13: 978-4915730351
# 発売日: 2004/06
# 商品の寸法: 21.2 x 15.6 x 3.8 cm

ISBN4-915730-35-2 C0022
A5判上製512頁
定価7245円(本体6900円+税)
2004.06

チェコの思想家T・G・マサリク(1850-1937)はロシア研究家としても名高く、そのロシア研究の集大成が本書である。この著作は、ロシア精神史研究の古典として知られ、各国語に訳されており、邦訳も、第1、2巻については、かつてみすず書房から『ロシア思想史』の題名で出されている(現在は絶版)。今回の邦訳は、まだ日本語に訳されていない第3巻を含めた全3巻を、プラハのマサリク研究所が厳密な校訂を経て刊行したチェコ語版(1995-6
年)から訳したものである。

第2部「ロシアの歴史哲学と宗教哲学の概略」(続き)では、バクーニンからミハイローフスキーまでの思想家たち、反動家たち、より新しい思想潮流を検討する。第3部第1編「神権政治対民主主義」では、西欧哲学と比較したロシア哲学の特徴を析出し、ロシアの歴史哲学的分析を行う。

* 目次

2. ロシアの歴史哲学と宗教哲学の概略(続き)
2.

14. M・A・バクーニン。革命的アナーキズム
15. リアリズムとニヒリズム。チェルヌィシェフスキーとドブロリューボフ、ピーサレフ
3.

16. ラヴローフとミハイローフスキー。いわゆる社会学的な主観主義者
4.

17. 公的な神権政治の理論家たち——カトコーフ、ポベドノースツェフ、レオーンチエフ
18. ウラヂーミル・ソロヴィヨーフ——神秘主義としての宗教
5.

19.
現代の社会主義——マルクス主義と社会民主主義。マルクス主義とナロードニキ主義。マルクス主義における危機。宗教問題——社会革命党
20. 現代のアナーキズム——P・クロポトキン。アナーキズムと社会主義
21. 自由主義
22. 革命主義の危機によせて——宗教問題
3.

1. 神権政治対民主主義——革命の問題
23. ロシア哲学における認識論の問題
24. ロシア哲学の宗教問題
25. 神権政治対民主主義
26. 民主主義と革命
27. 聖なるルーシ——ロシアの修道僧とフォイエルバッハ
+ 人名索引


ロシアとヨーロッパ—ロシアにおける精神潮流の研究 (3)
# 単行本: 474ページ
# 出版社: 成文社 (2005/09)
# ISBN-10: 4915730360
# ISBN-13: 978-4915730368
# 発売日: 2005/09
# 商品の寸法: 21 x 15.4 x 3 cm

ISBN4-915730-36-0 C0022
A5判上製480頁
定価6720円(本体6400円+税)
2005.08

チェコの思想家T・G・マサリク(1850-1937)はロシア研究家としても名高く、そのロシア研究の集大成が本書である。この著作は、ロシア精神史研究の古典として知られ、各国語に訳されており、邦訳も、第1、2巻については、かつてみすず書房から『ロシア思想史』の題名で出されている(現在は絶版)。今回の邦訳は、まだ日本語に訳されていない第3巻を含めた全3巻を、プラハのマサリク研究所が厳密な校訂を経て刊行したチェコ語版(1995-6
年)から訳したものである。

第3部第2編「神を巡る闘い——ドストエフスキー」は、本書全体の核となるドストエフスキー論であり、ドストエフスキーの思想を批判的に分析する。第3編「巨人主義かヒューマニズムか——プーシキンからゴーリキーへ」では、ドストエフスキー以外の作家たちを論じる。

* 目次

3.


+ まえがき
2. 神を巡る闘い——ロシア問題の歴史哲学者としてのドストエフスキー
+ ドストエフスキーの伝記
+ ドストエフスキーの公式
1. ニヒリズム——アナーキズム的無神論
2. ゾシマ——宗教哲学(ニヒリズムを克服するロシアの修道僧)
3. フォイエルバッハ対修道僧
4. 大審問官
5. 異端者ゾシマ——懐疑主義者ドストエフスキー
6. 哲学と教養
7. 宗教と道徳I
8. 宗教と道徳II(カラマーゾフ主義)
9. 殺人と自殺
10. ドストエフスキーの公式は誤っている
11. ロシアの全人
12. 人間性と民族性。民族性と宗教
13. ショーヴィニズム。人名の浪費
14. ロシア的性格
15. ロシアとヨーロッパ
16. 外交政策——内政に勝る外交
17. 内 政
18. ツァーリズム
19. ベリンスキーからウヴァーロフへ

3. 巨人主義かヒューマニズムか——プーシキンからゴーリキーへ
+ ロシア文学と世界文学におけるドストエフスキー
1. A・S・プーシキン
2. オネーギン——ファウスト
3. G・G・バイロン
4. ミュッセのローラ
5. M・J・レールモントフ
6. N・V・ゴーゴリ
7. I・A・ゴンチャローフ
8. I・S・トゥルゲーネフ
9. L・N・トルストイ
10. デカダン派
11. M・ゴーリキー
+ 結論
+ 断片
+ マサリクとロシア——ヨーロッパから見たロシア——石川達夫
+ 人名総索引

2010-06-12

「埼玉大学リベラル・アーツ叢書」3冊、非売品

ピーター・M・ディリー『英国のエンブレムと物質文化 シェイクスピアと象徴的視覚性 』(伊藤博明訳編)
シモナ・チュピチ+リディヤ・メレニク『アート×ポリティックス×ナショナル・アイデンティティ──ユーゴスラヴィアの近代芸術をめぐって』(井口壽乃編)
ミランカ・トーディチ+金子隆一+加須屋明子『写真×プロパガンダ×デザイン』(井口壽乃編)

埼玉大学図書館
http://home.lib.saitama-u.ac.jp/

埼玉大学大学院文化科学研究科
http://wwwnew.kyy.saitama-u.ac.jp/gs/

埼玉大学教養学部
http://wwwnew.kyy.saitama-u.ac.jp/

2010-06-11

高山宏『ふたつの世紀末』

税込価格: ¥2,520 (本体 : ¥2,400)
出版 : 青土社
サイズ : 20cm / 297p
ISBN : 4-7917-5669-X
発行年月 : 1998.11
# 単行本: 297ページ
# 出版社: 青土社; 新装版版 (1998/10)
# ISBN-10: 479175669X
# ISBN-13: 978-4791756698
# 発売日: 1998/10

奇形の庭園をさまよい歩き、厄災画や廃墟イメージの死臭に酔いしれ、速度とスペクタクルに我を忘れた18世紀末。現代の私達の世紀末もこの反復なのかもしれない。膨大な資料を駆使して描く世紀末論。86年刊の新装版。

パニックの美学。「終末」の原風景。畸形の庭園を逍遙し、厄災画や廃墟イメージの死臭に酔いしれ、眩暈を誘う速度とスペクタクルに我を忘れた18世紀末
—。現代の我らの世紀末もまた眼差しの刺戟を求め、「驚異」の数々を世界の果てまで渉猟した、18世紀末の偏奇な感性の反復にすぎないのではないか。厖大な資料を駆使して描く全く斬新な世紀末論。

2010-06-10

田中純『政治の美学—権力と表象』(東京大学出版会、2008.12)

田中純『政治の美学』

東京大学出版会,2008年


ISBN978-4-13-010109-7, 判型:A5, 624頁

税込5250円/本体5000円

政治的暴力が美化される情動の論理を,芸術や学問と政治が交差する領域において探求する表象文化論のスリリングな実践.政治的情動と官能的な美が共犯関係を結ぶ過程を,テクスト分析・イメージ分析によって探る.時代論,政体論,結社論,表象論の四部構成.

目次

I 一九七〇年代のナチ・テロル・ロック ——時代論

序「ファシズムの美学」再考 ——スーザン・ソンタグ「魅惑するファシズム」

美と腐敗 猥褻な理想と暴力のエロス化


1 キッチュな黙示録 ——ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』

ヒトラー映画『没落』 死のキッチュとその累乗 集団的記憶の徹底操作——ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』(一)
導入部の分析——ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』(二) 人形による悲哀劇——ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』(三)
審美主義の逆説


2 白い恐怖、赤い亡霊 ——クラウス・テーヴェライト『男たちの妄想』と一九七〇年代ドイツ

観客のまなざしとファシズム──パゾリーニ『サロ、あるいはソドムの一二〇日』 堤防としての身体──テーヴェライト『男たちの妄想』(一)
生まれきらなかった男たち——テーヴェライト『男たちの妄想』(二) もうひとつの皮膚──テーヴェライト『男たちの妄想』(三)
歴史認識と無意識──テーヴェライト『男たちの妄想』(四) 自伝から同時代史へ 赤軍派の亡霊 「抽象急進主義」と芸術


3 自殺するロックンロール ──デヴィッド・ボウイにおけるロック・イデオロギー

ロック・イデオロギーの「呼びかけ」 分身という戦略──『ジギー・スターダスト』 ロックの「時間」と「夢」
総合芸術作品のメディア力──『ダイアモンドの犬たち』 ロックの臨界点──『ロウ』


第I部・結び──亡霊的権力あるいは権力の亡霊


II 権力の身体 ——政体論

序 権力の三つの身体 ——聖体から革命の身体へ

聖体の超実在性 国家という怪物の身体 理想的身体とその脆さ


1 ギリシア幻想の身体 ——ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンと古代の模倣

禁忌の土地 完全な身体というファンタスム 寓意的解体のまなざし 古代を「もどく」


2 レヴィヤタン解剖 ——カール・シュミットにおけるイメージ・表象・身体

カール・シュミットのイコノロジー 時間の政治的イコノグラフィー 表象の過剰補償 近代的政治の身体あるいは肉 獣人としての主権者の肖像


3 子午線のデザイン ——カール・シュミット『大地のノモス』

ヨーロッパの美的政治とその解体 子午線の彼方──シュミットとコジェーヴ


4「英霊」の政治神学 ——橋川文三と「半存在」の原理

二つの生命 幽顕思想と祖霊信仰 天皇制政治神学の教理問答 「死のメタフィジク」と「死に損い」——橋川文三の思想的根拠(一)
「超越者としての戦争」——橋川文三の思想的根拠(二) 「美」に抗する「歴史」——橋川文三の思想的根拠(三)


第II部・結び──芸術家という「王」たち


III 男たちの秘密 ——結社論

序 男性結社のエロス ——三島由紀夫と結社論の諸問題

恋する結社 ドイツにおける男性結社論の系譜 脆弱な男性性 稚児と幼童天皇 絶対者との契り


1 主権の秘密 ——オットー・ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』とその周辺

『年齢階梯制と男性結社』から『古ゲルマンの青年入社式と男性結社』へ
社会・文化的症候としての神話学──ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』(一)
エクスタシー的儀礼からの国家秩序の生成──ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』(二) ギンズブルグによるヘフラー批判とその盲点
狼たちの結社——ヘフラー周辺の議論から カネッティの群衆論と『ゲルマン人の祭祀秘密結社』


2 戦士の到来 ——社会学研究会とジョルジュ・デュメジル

秘密結社と「冬の風」 戦士と魔術師──一九三〇年代のデュメジル(一) 生ける神話──一九三〇年代のデュメジル(二)
聖社会学と「政治の審美化」 戦士の罪──デュメジルとクラストル


3 亡命者たちの山 ——日本における男性結社論の系譜

「無縁」な者たちの「組合」——中沢新一『芸術人類学』からの遡行(一) 王と山伏──中沢新一『芸術人類学』からの遡行(二)
『古日本の文化層』と「日本とゲルマンの祭祀秘密結社」 新羅花郎とその変容 亡命の民たち


第III部・結び──保田與重郎『萬葉集の虗藭』とカントロヴィッチ「秘密のドイツ」


IV 建築と政体 ——表象論

序 建築空間の政治学 ——ミース、アールト、ル・コルビュジエ

帝国・小国・遊牧民


1 近代というナルシス ——ル・コルビュジエの遡行的問い

水上のユートピア パルテノン神殿と建築の決定的瞬間 幾何学と起源 建築と表象


2 小国民の建築 ——アルヴァ・アールトの「小さな人間」

建築の戦い 小国民の政治と芸術 ヘテロトピア・触覚性・遊牧民


3 ファシズムの表象 ——ジュゼッペ・テラーニの倒錯的合理主義

裏返された「ガラスの家」──カーサ・デル・ファッショ 古代との闘争——ダンテウム 建築と政治


4「どうしようもないもの」との葛藤 ——堀口捨己における日本・近代・建築

「様式なき様式」の形容矛盾 庭という夢の舞台 パルテノンの女神 「ほのかなる かそけきもの」へ


第IV部・結び──ナルシスたちの闘争と逃走


エピローグ


附録

年表

書誌・フィルモグラフィ・ディスコグラフィ

図版一覧

索引

ゲーテ ボヘミアの森

74歳のゲーテが19歳の女性にフラれて、馬車の中で「マリーエンバートの悲歌」を書いた。

「『マリーエンバートの悲歌』と訳されるからおごそかだが、マリーエンは『マリアの』といった意味だ。聖母マリアである。バートは温泉、『悲歌』の原語『エレギーエン』はエレジーのドイツ語。観音温泉エレジー、つまりは『湯の町エレジー』である。
 ついでながら温泉町マリーエンバートの恋は一八二三年のことである。ナポレオンの没落のあと帝国全土にわたり、宰相メッテルニヒによる監視体制がととのっていた。湯治町にはワケありな人物が出入りするので、とりわけ監視の目が厳しい。老ゲーテの恋愛のことも、当局に報告が届いていた。当局の指示は『特に調査の要なし』。老人が小娘にいいよってフラれたという、笑うべき一件として処理されたらしいのだ。」
池内紀『ゲーテさん こんばんは』

『ゲ−テ地質学論集 〈鉱物篇〉』

ちくま学芸文庫
ゲ−テ地質学論集 〈鉱物篇〉

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲ−テ 木村直司
筑摩書房 (2010/06 出版)

502p / 15cm / 文庫判
ISBN: 9784480092939

地球の生成と形成を探って岩山をよじ登り洞窟を降りる詩人。鉱物・地質学的な考察や紀行から、新たなゲーテ像が浮かび上がる。文庫オリジナル。

収録作品 ページ
形態学的序論 27−96
ハルツ山地 99−119
テューリンゲンの森 120−141
ボヘミアの森 142−208
地球の生成理論 233−285
山々の観相学的考察 286−339
岩石の水成論と火成論 340−399
地層構造学的試論 400−430


ゲーテ全集 新装普及版 第14巻(全15巻)
自然科学論
■ 著者名: ゲーテ /著
木村直司 /訳
前田富士男 /訳
野村一郎 /訳
高橋義人 /訳
永野藤夫 /訳
轡田収 /訳
■ カテゴリ名:書籍/全集・著作集
■ 発刊日:2003年06月05日
■ 判型:B6判
■ ページ数:562
■ 税込価格:2,100 円(本体 2,000 円)
■ ISBNコード:978-4-267-01674-5
■ Cコード:0398
目次:
科学方法論 木村直司訳
形態学序説 前田富士男訳
植物学 野村一郎訳
動物学 高橋義人訳
地質学 永野藤夫訳
気象学 轡田収訳
色彩論 木村直司訳
訳注
解説
付・ゲーテの自然科学文献書誌

2010-06-09

『ウィーン—多民族文化のフーガ』

書名: ウィーン 多民族文化のフーガ
うぃーん たみんぞくぶんかのふーが

ISBN(10/13桁): 978-4-469-21328-7

著者名: 饗庭孝男、伊藤哲夫、加藤雅彦、小宮正安、西原稔、檜山哲彦、平田達治
著(あえばたかお、いとうてつお、かとうまさひこ、こみやまさやす、にしはらみのる、ひやまてつひこ、ひらたたつじ)

定価: 2,520円(四六判・370頁)

都市形成と文化醸成のダイナミズムを探る
内容説明:
ヨーロッパの十字路に位置するウィーン。そこは、各地から多様な文化が流れ込み独自の融合を遂げた文化形成の舞台となった。多民族の文化がフーガのようにからみ合い、いかにして20世紀をリードした豊穣なポリフォニック文化が形成されたのか。都市形成と文化醸成のダイナミズムを多彩な視点から解明する。

主要目次: まえがき

オーストリア=ハンガリー帝国地図

1910年頃のウィーン主要部地図

1 多民族文化の都(加藤雅彦)
一 混血都市ウィーン
二 ウィーン宮廷へ豊穣の西欧文化
三 ドナウ多民族帝都
四 世紀末文化の多民族性

2 ウィーンの都市空間と建築(伊藤哲夫)
一 古代ローマ期——ゲルマンに対する防衛拠点
二 ロマネスク期——ヨーロッパ交易の十字路として発展
三 ゴティク期——帝国の宮廷都市へ
四 ルネサンス期——トルコとの戦いと宮廷の整備
五 バロック期——繁栄する多民族の帝都
六 新古典主義・ビーダーマイヤー期——勃興する市民が支えた都市文化
七 近代都市形成期——世紀末文化が花開いたメトロポリス

3 ウィーン・バロック——その形態と思考(饗庭孝男)
一 感性の祝宴としてのバロック
二 ウィーン・バロックの呼び水——反宗教改革と対トルコ戦の勝利
三 ウィーン・バロック建築探訪
四 バロック期に培われたウィーン人の死生観
五 イタリア人芸術家に先導され、独自の定着をみたウィーン・バロック

4 「音楽の都」ウィーンの秘密——宮廷と「多民族」音楽都市(小宮正安)
一 ウィーン・フィルの「調和」
二 帝国の音楽
三 「宮廷音楽家」列伝
四 壁の中の音楽
五 「音楽都市」のトポロジー
六 ドイツ音楽の中心として

5 劇場都市ウィーンとオペラの世界——ジングシュピール文化の形成を中心に(西原 稔)
一 オペラという理想
二 ウィーンのオペラ様式の成立
三 モーツァルトとオペラ

6 学際都市ウィーン(檜山哲彦)
一 新たな時代の風
二 閉塞する伝統に挑む
三 強靱な自己観察が切り拓く新たな時代

7 文化メトロポーレ・ウィーンの光と影——シュニッツラーの作品に映し出された十九世紀末ウィーン(平田達治)
一 城塞都市から文化メトロポーレへ
二 世紀末の円形都市ウィーンを舞台にした『輪舞』

あとがき
写真・図版出典一覧
著者紹介

ウィーンは古来ヨーロッパにおける東西南北を結ぶ交通の要衝に位置し、ローマ帝国の北辺の前線基地としてローマとゲルマンの接点となったことから始まり、近世にはオスマン・トルコと西欧キリスト教世界が対峙したときの最前線となり、冷戦時代には東西両陣営の接点ともなった。そこでは、ゲルマン、スラヴ、イタリア、ハンガリー、トルコなどの文化が、食生活など日常的なレベルでもまじりあい、さらに宮廷を通してブルグントやスペイン、フランスの文化も流れ込んだ。異文化がせめぎあう中にあって、それらが共存し融合するための舞台という役どころが、まるでこの都市の遺伝子のようになってしまっているかのようにすら見える。本書は、こうした多彩な要素がからみあった文化が生み出されたウィーンの文化土壌がいかなるものであり、そこで都市の遺伝子がどのように発現したのかを、「多民族文化」をキーワードに、分野を異にする七人の執筆者の視点から探ったものである。(『まえがき』より一部抜粋)

この本の
キーワード: オーストリア、ハンガリー、ドナウ、西欧文化、バロック、オペラ、文化メトロポーレ、宮廷都市、音楽都市、劇場都市、学際都市、円形都市、城塞都市

『チェコ民族再生運動 —— 多様性の擁護,あるいは小民族の存在論 ——』

■体裁=A5判・上製・函入・528頁
■定価 12,075円(本体 11,500円 + 税5%)
■2010年5月27日
■ISBN978-4-00-023861-8 C3022

著者の紹介文
http://www.kobe-u.ac.jp/info/book/1005_03.htm

目次(pdf)
http://www.iwanami.co.jp/.PDFS/02/2/0238610.pdf

より詳細な概要については石川達夫のホームページ (http://web.cla.kobe-u.ac.jp/staff/ti/index)
を参照されたい。また、岩波書店のホームページ
(http://www.iwanami.co.jp/hensyu/tan/index_t.html) で最初の30ページを無料閲覧できる。