2013-03-19

「入院手続きは本来、担当医が入院申し込みの書類をファイルにとじて、書類を別の医師が見て入院手続きを始めるが、このケースは書類が残っていなかった」

 名古屋大病院(名古屋市)は2013年3月13日、二〇〇八年に口の中にがんが見つかった愛知県の三十代患者に対し、手術が必要なのに三年以上放置し、その後に死亡したことを明らかにした。外部専門家らでつくる調査委員会は「予定通り手術が行われれば完治した可能性が高い」と指摘した。

 病院によると、患者は〇八年三月に受診し、がんの疑いが高いと診断された。担当医は手術の必要性を説明し、患者は入院と手術を申し込んだ。病院は「入院日が決まったら連絡する」と伝えていたが、院内で入院申込書を紛失し、その後患者に連絡はなかった。

 患者自身は、自覚症状がなかったことなどから、ただちに手術が必要ではないと受け止め、再受診することはなかった。一一年四月に痛みが悪化して再受診。この時に初めて、手術が行われていないことが発覚した。

 病院はただちに手術などをしたが、同年八月に肺への転移が拡大し、昨年四月に呼吸不全で死亡した。

 調査委は「連絡体制や、情報管理体制の不備による事務手続きのミスが原因」と指摘。病院はその後、入院予約システムの電子化と複数の部署で共有する仕組みをつくった。病院は患者の遺族に謝罪し、和解している。
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名古屋大学医学部付属病院で、がんの手術が必要な患者に入院予定日の連絡をしないまま3年間放置し、患者が死亡していたことがわかった。
名大病院によると、死亡した愛知県内の30代の患者は、2008年3月、口腔(こうくう)内にがんの疑いがあると診断され、入院・手術の手続きに入ったものの、その後、病院側が患者に入院予定日などを一切連絡しなかった。
2011年に患者が病院に訪れた際に、放置していたことが発覚し、すぐに手術が行われたが、患者は2012年4月に死亡した。
病院内の連絡態勢に不備があったことが原因で、早期の手術で治っていた可能性が極めて高かったという。
名大病院は、「申し訳ない気持ちでいっぱい」だとコメントしている。
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名古屋大病院(名古屋市)は2013年3月13日、外来で口腔内のがんの疑いと診断し、手術が決まっていた愛知県の30代患者に2008年から約3年間、入院の連絡をしないまま放置していたことを明らかにした。患者はその後手術を受けたが、がんが肺に転移し、翌年に呼吸不全で死亡した。

 名大病院は同日、連絡をしなかった原因に関し、第三者の調査委員会の検証結果に基づき、外来の担当医が連絡に必要な書類を紛失した可能性が高いと発表。調査委は、手術が当初の予定通り行われていれば、がんは完治していた可能性が高いと指摘した。

 松尾清一院長は記者会見で「患者と家族には謝罪した。申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と話した。遺族とは示談が成立したという。

 名大病院によると、患者は08年3月、歯科口腔外科で外来受診し、患部の部分切除が必要との説明を受けた。検査で初期のがんの疑いが濃かったものの、担当医は「グレーゾーン」などと説明。

 患者は手術が必要とは受け取らず、連絡もなかったことから、名大病院を受診する前に通院していた別のクリニックでの治療を続けた。しかし口の中の痛みが悪化し、11年4月に名大病院を訪れて放置が発覚した。

 病院はすぐに手術を実施。患者は経過が良好で同年6月に一時退院したが、約2カ月後に肺への転移が見つかり、12年4月に死亡した。

 名大病院は入院予定の患者を電子カルテで把握するなど、再発防止策をとったという。
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名古屋大病院(名古屋市)は2013年3月13日、口腔(こうくう)内がんの疑いと診断し、手術が必要とされた愛知県の30代患者を入院手続きのミスで約3年間放置した結果、がんが肺へ転移し呼吸不全で死亡したと発表した。初診時は初期がんだったため、予定通りに手術していれば根治していた可能性がある。
 松尾清一病院長は記者会見し、「亡くなられた患者さんには心から哀悼の意を表します」と謝罪。遺族には賠償金を支払うという。
 名大によると、患者は2008年3月、かかりつけ医の紹介で同病院を受診した。担当医はがんの疑いがあると診断。手術の必要性も説明し、「入院日が決まったらまた連絡する」と話したが、連絡していなかった。入院手続き書類の一部を担当医が紛失し、患者のことを失念していた可能性が高いという。
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名古屋大病院:がん3年放置 30代患者、肺に転移し死亡

毎日新聞 2013年03月13日 12時22分(最終更新 03月13日 18時03分)

 名古屋大病院(名古屋市昭和区)は13日、口腔(こうくう)内のがんと診断して手術をすると決めていた愛知県の30代患者に、08年から3年間入院の連絡をしないまま放置し、患者が死亡したと発表した。病院が賠償金を支払うことで遺族と示談が成立しており、記者会見した松尾清一病院長は「ご遺族に心より謝罪する。病院全体のシステムを見直す」と話した。

 病院によると、患者は初期のがんで、予定通り手術をしていれば完治していたという。

 患者は08年3月にかかりつけ医からの紹介で名大病院を受診。担当医はがんの疑いと診断し、手術をすることを説明して「入院日が決まったら連絡する」と伝えたが、その後連絡していなかった。

 患者は連絡がないまま、かかりつけ医で治療を受けたが、病状が悪化したため、11年4月に名大病院を再び受診した。その際に入院手続きがとられていないことが発覚し、翌月に手術を受けた。だが、がんの肺転移による呼吸不全のため12年4月に死亡した。

 入院手続きは本来、担当医が入院申し込みの書類をファイルにとじて、書類を別の医師が見て入院手続きを始めるが、このケースは書類が残っていなかったという。担当医は当時の経緯について病院に「記憶にない」と話しているという。【岡村恵子】
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