2011-11-21

テオドール・W・アドルノ(細見和之訳)『始まりの本 哲学のアクチュアリティ 初期論集』

始まりの本 哲学のアクチュアリティ 初期論集
四六変型判 タテ191mm×ヨコ130mm/200頁
定価 3,150円(本体3,000円)
ISBN 978-4-622-08345-0 C1310
2011年11月10日発行

■目次
哲学のアクチュアリティ
自然史の理念
哲学者の言語についてのテーゼ
音楽アフォリズム

DIE AKTUALITAT DER PHILOSOPHIE/
DIE IDEE DER NATURGESCHICHTE/
THESEN UBER DIE SPRACHE DES PHILOSOPHEN/
MUSIKALISCHE APHORISMEN

訳者あとがき

■内容紹介

初期アドルノの根幹であり、現代思想の原点をなす1920年代の画期を伝える重要な二講演「哲学のアクチュアリティ」「自然史の理念」を軸に、初めての邦訳「哲学者の言語についてのテーゼ」、長短44の断片「音楽アフォリズム」を収録する。初期の重要論考4編、はじめての公刊。

「哲学に与えられているものといえば、存在者の謎めいた形象およびその不可思議な絡まり合いから、一瞬生じては消えてゆく、さまざまな暗示のみです。哲学の歴史とは、このような形象の絡まり合いの歴史にほかなりません。だからこそ、哲学には「成果」というものが与えられていません。だからこそ、哲学はたえず新たに始めなければなりません。だからこそ、哲学は以前の時代に紡がれたどんなわずかの糸もなしで済ますわけにはゆきません。ひょっとすればその糸は、件の暗号を一つのテクストに変容させてくれる、罫線を補ってくれるかもしれないのですから。」


■テオドール・W・アドルノ
Theodor W. Adorno
1903年ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。同市の大学およびウィーン大学に学び、フランクフルト大学で講義していたが、ナチス政権時代、イギリスを経てアメリカに亡命、1949年帰国。翌年から同大学教授。ホルクハイマーとともに研究所を再建した。哲学・社会学・美学の領域を統合しながら、フランクフルト学派の代表的思想家として知られるいっぽう、アルバン・ベルクについて作曲を学び、作曲を重ねたほか、現代音楽に関する理論および批判を展開した。著書『キルケゴール』(1933、みすず書房1998)『啓蒙の弁証法』(ホルクハイマーと共著、1947、岩波文庫2007)『新音楽の哲学』(1949、平凡社2007)『ミニマ・モラリア』(1950、法政大学出版局1979)『プリズメン』(1955、ちくま学芸文庫1996)『認識論のメタクリティーク』(1956、法政大学出版局1995)『不協和音』(1956、平凡社ライブラリー1998)『文学ノート』(1958、1961、1968、みすず書房2009[全2巻])『マーラー』(1960、法政大学出版局1999)『音楽社会学序説』(1961、平凡社ライブラリー1999)『三つのヘーゲル研究』(1963、ちくま学芸文庫2006)『批判的モデル集』(1963、1969、法政大学出版局1971[全2巻])『楽興の時』(1964、白水社1979)『本来性という隠語』(1964、未來社1992)『否定弁証法』(1966、作品社1996)『アルバン・ベルク』(1968、法政大学出版局1983)。没後に編集刊行されたものとして、『美の理論』(1970、河出書房新社2007)『ヴァルター・ベンヤミン』(1970、河出書房新社1972)『ベートーヴェン』(1993、作品社1997)。また、『アドルノ=クシェネク往復書簡』(みすず書房1998)、『ベンヤミン/アドルノ往復書簡』(晶文社1996)『社会学講義』(作品社2001)『道徳哲学講義』(作品社2006)『否定弁証法講義』(作品社2007)など、書簡集や講義の一部も禹訳されている。ほかに渡辺裕編『アドルノ
音楽・メディア論集』など日本での独自編集の本もある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。


■細見和之
ほそみ・かずゆき
1962年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了、現在
大阪府立大学人間社会学部教授。博士(人間科学、大阪大学)。ドイツ思想専攻、詩人。主な著書に『アドルノ』(講談社)『アドルノの場所』『ポップミュージックで社会科』(以上、みすず葛房)『アイデンティティ/他者性』『言葉と記憶』『ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」を読む』(以上、岩波書店)『「戦後」の思想』(白水社)『永山則夫』(河出書房新社)。主な訳者に、べンヤミン『パサージュ論』全5巻(共訳、岩波現代文庫)、アドルノ『否定弁証法講義』(共訳、作品社)、ヨーナス『生命の哲学』(共訳、法政大学出版局)、ローゼンツヴァイク『救済の星』(共訳、みすず書房)。主な詩集に『言葉の岸』(思潮社)『ホッチキス』(書肆山田)『家族の午後』(澪標)など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。