阪神ドイツ文学会第212回研究発表会のご案内
阪神ドイツ文学会会員以外の方のご参加も歓迎致します。
参加費は無料です。
日時: 2013年7月6日(土)13時30分より(土曜日開催です)
場所: 大阪商業大学4号館4510教室〒577-8505 大阪府東大阪市御厨栄町4丁目1-10 Tel (06)6781-0381(代)
近鉄奈良線(準急・区間準急・普通)「河内小阪」駅下車、北東へ徒歩約5分。
大学正門を入って左手の建物です。
発表2:奥田誠司(関西大学非常勤)題目:ふたたびフランツ・カフカの『変身』について
司会:宇佐美幸彦(関西大学)
発表要旨:カフカの『変身』が書かれて100年が経過した。1912年はカフカの創作活動にとって、決定的な転換点となった。この年の9月、『判決』によって自己の文学的可能性を発見したカフカは、およそ2か月後に『変身』の執筆にとりかかる。『判決』では「ロシアの友人」に代表される作家的存在に、『変身』では対照的に人間的過去への執着に重点が置かれており、この書くために必要な孤独への内的志向と、共同体にたいするやむことのない憧れとが、カフカの作品を貫く重要なライトモティーフを形成しているのである。
20年程前に初めて公にした拙論が、『変身』をテーマにしたものであった。カフカについての研究・評論はいまなお際限がない。そのような多義性がカフカ文学の魅力でもあるわけだが、どんな小品、断片にいたるまでも作者の生の姿を投影しているというのが、一貫した私の考えである。本発表ではふたたび『変身』を取りあげ、この物語に秘められた核心的主題を私なりに読み解いてみたい。