A5判/上製/624頁
初版年月日:2013/08/20
ISBN:978-4-7664-2061-6
(4-7664-2061-6)
Cコード:C3010
税込価格:5,460円
著者:蔭山 宏(かげやま ひろし)
1946年生まれ。1968年 慶應義塾大学経済学部卒業。1974年
一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学法学部専任講師、助教授を経て、1987年より教授。2011年退任。慶應義塾大学名誉教授。
内容:本書は、ウェーバー、ベンヤミン、アドルノ、シュミット、ユンガー、ジンメル、トーマス・マンなどが次々と登場するドイツ思想史の入門書だが、彼ら一人ひとりの思想の概略は論じられない。本書の主題は人びとの経験であり、その崩壊である。19世紀末から20世紀半ばまで、現代の起点となるこの時代は、議会を中心とした領域を超えて政治が「拡散」したことに特徴がある。そのような時代において、彼ら思想家たちが、人びとの経験の崩壊、そして「崩壊の経験」という、現代にまでつながる問題とどのように向き合ったのかが論じられる。圧倒的なボリュームによる異色の入門書!
崩壊の経験(仮)
現代ドイツ政治思想史講義
目次
序論
第一部 市民層の社会意識—現代思想の前提
第一章 「資本主義の精神」とルター派
第二章 「文明化」と「文化」—市民層と貴族
第三章 市民層の社交形式
第四章 一九世紀ドイツにおけるブルジョアジーの思想
第五章 保守主義とロマン主義
第二部 〈崩壊〉の始まり—世紀転換期から一九二〇年代へ
第六章 「文明化」の挫折とウェーバーの宗教社会学
第七章 社会の多様化—大衆の成立とブルジョアジーの政治化
第八章 モダニズム、ファシズム、市民層の崩壊
第九章 生と形式—経験の貧困化と大都市の精神状況
第一〇章 ダダイズムから新即物主義の時代へ
第三部 ワイマール・崩壊の経験—ワイマール時代の「政治思想」
第一一章 〈ポストロマン主義の世界〉と市民層—マン、ウェーバー、シュミット
第一二章 ワイマール期の世代対立
第一三章 政治思想の諸類型—現実像との関連
第一四章 「複製論」とメディアの世界
第一五章 政治イメージの両極化—政治の「点化」と「溶解」
第一六章 ワイマール時代における「保守」と「革命」
第一七章 保守革命論とナチス
第一八章 ティリッヒの政治思想とナチ、保守革命
第一九章 「真剣さ」の時代—シュトラウスとシュミットの「ニヒリズム」論
第四部 おわりに—崩壊のあとに
第二〇章 教養と経験—レーヴィットとアドルノの「始まりの意識」
第二一章 文化産業とテクノロジーの支配—アドルノとアンダース
あとがき
文献紹介
索引