2011-12-28

アドルノ『自律への教育−講演およびヘルムート・ベッカーとの対話一九五九〜一九六九年 』

自律への教育-講演およびヘルムート・ベッカーとの対話一九五九~一九六九年
Erziehung zur Mündigkeit: Vorträge und Gespräche mit Hellmut Becker
1959 bis 1969

アドルノ テオドール・W.【著】;原 千史;小田 智敏;柿木 伸之【訳】
Theodor W. Adorno (Autor), Gerd Kadelbach (Herausgeber)
初版発行日2011/12/10
判型A5判ページ数232ページ定価3360円(本体3200円)ISBNコード 978-4-12-004315-4
ISBN:9784120043154
ISBN:4120043150

■内容紹介

学校における教育、そしてメディアを通じた教育はいかにあるべきか。4つの講演と4つのインタヴューからなる本書は、教育やメディアに関心を寄せる人たちはもちろん、アドルノの思想に初めて触れる人たちによって、今なお読み継がれている。実践に対して禁欲的と見られてきた従来のアドルノ像に修正をせまる重要な記録でもある。


■目次
1 過去の総括とは何を意味するのか
2 哲学と教師
3 テレビと教育
4 教職を支配するタブー
5 アウシュヴィッツ以後の教育
6 教育は何を目指して
7 野蛮から脱するための教育
8 自律への教育

2011-11-22

『マニエリスムのアメリカ 』

出版社 南雲堂
著者 八木 敏雄
価格 5,250円(税込)
発売日 2011年11月18日
ページ数 500P
ISBN 9784523293194 (4523293198) C-CODE 3098
サイズ A5ハードカバー

■内容紹介
アメリカ文学再考! 神によって創造された「自然」の模倣をやめ、神の創造そのものを模倣する技法をマニエリスムと呼ぶならば、それこそがアメリカン・エクリチュールの流儀だ!


■目次
序章 アメリカン・マニエリスムとは何か?
1 花開くアメリカン・ルネサンス
2 アメリカン・エクリチュール
3 アメリカン・インディアン
4 アメリカン・マニエリスム
5 消尽と変身の文学
年譜的書誌
あとがき
索引

高山宏オススメ『ドイツ文学の短い歴史』Die kurze Geschichte der deutschen Literatur. Hanser, München; Wien 2002

ハインツ・シュラッファー 著
和泉雅人/安川晴基 訳
四六判・330頁
ISBN978-4-8102-0065-2
2,940円 (本体2,800円)
単行本: 334ページ
出版社: 同学社 (2008/08)
ISBN-10: 4810200655
ISBN-13: 978-4810200652
発売日: 2008/08
商品の寸法: 18.8 x 13 x 1.4 cm

Die kurze Geschichte der deutschen Literatur. Hanser, München; Wien 2002


■内容紹介
ドイツの作家は文学で稼いで生きていたわけではない。
文学のために生きていたのである。
 2002年に出版された本書は、発売と同時にドイツの読書界にセンセーションを巻き起こした。「ドイツ文学」は「千年以上にわたる歴史ではなく、きっかり200年、1750年から1950年までの歴史しか持たない」との主張は、ドイツ文学研究者を挑発しただけでなく、メディアお抱えの文芸評論家などの痛いところをもついた。著者の直弟子フュルンケースの解説と、基礎的なドイツ文学のデータを含む、多数の訳注を付した。文学史の流れが一目で分かる年表付き。

■目次
第1章 「ドイツ的」とは何か
第2章 うまくいかなかった始まり
 見失われた中世
 遅れてきた近世
第3章 うまくいった始まり―十八世紀
 牧師の息子たち、美神の息子たち
 新しい言語
 不滅のポエジー
第4章 進展、回帰、終焉
 進展―十九世紀
 回帰と終焉―二十世紀
第5章 文学の歴史

■訳者等
フュルンケース,ヨーゼフ
慶應義塾大学大学院文学研究科独文学専攻教授

和泉 雅人
慶應義塾大学大学院文学研究科独文学専攻教授

安川 晴基
慶應義塾大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

2011-11-21

産經新聞 2011年11/13(日)に掲載された書評

■絶望名人カフカの人生論
 飛鳥新社 フランツ・カフカ著、頭木弘樹編集、頭木弘樹翻訳 価格:¥1,500
 評 天沼春樹(ドイツ文学者)

テオドール・W・アドルノ(細見和之訳)『始まりの本 哲学のアクチュアリティ 初期論集』

始まりの本 哲学のアクチュアリティ 初期論集
四六変型判 タテ191mm×ヨコ130mm/200頁
定価 3,150円(本体3,000円)
ISBN 978-4-622-08345-0 C1310
2011年11月10日発行

■目次
哲学のアクチュアリティ
自然史の理念
哲学者の言語についてのテーゼ
音楽アフォリズム

DIE AKTUALITAT DER PHILOSOPHIE/
DIE IDEE DER NATURGESCHICHTE/
THESEN UBER DIE SPRACHE DES PHILOSOPHEN/
MUSIKALISCHE APHORISMEN

訳者あとがき

■内容紹介

初期アドルノの根幹であり、現代思想の原点をなす1920年代の画期を伝える重要な二講演「哲学のアクチュアリティ」「自然史の理念」を軸に、初めての邦訳「哲学者の言語についてのテーゼ」、長短44の断片「音楽アフォリズム」を収録する。初期の重要論考4編、はじめての公刊。

「哲学に与えられているものといえば、存在者の謎めいた形象およびその不可思議な絡まり合いから、一瞬生じては消えてゆく、さまざまな暗示のみです。哲学の歴史とは、このような形象の絡まり合いの歴史にほかなりません。だからこそ、哲学には「成果」というものが与えられていません。だからこそ、哲学はたえず新たに始めなければなりません。だからこそ、哲学は以前の時代に紡がれたどんなわずかの糸もなしで済ますわけにはゆきません。ひょっとすればその糸は、件の暗号を一つのテクストに変容させてくれる、罫線を補ってくれるかもしれないのですから。」


■テオドール・W・アドルノ
Theodor W. Adorno
1903年ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。同市の大学およびウィーン大学に学び、フランクフルト大学で講義していたが、ナチス政権時代、イギリスを経てアメリカに亡命、1949年帰国。翌年から同大学教授。ホルクハイマーとともに研究所を再建した。哲学・社会学・美学の領域を統合しながら、フランクフルト学派の代表的思想家として知られるいっぽう、アルバン・ベルクについて作曲を学び、作曲を重ねたほか、現代音楽に関する理論および批判を展開した。著書『キルケゴール』(1933、みすず書房1998)『啓蒙の弁証法』(ホルクハイマーと共著、1947、岩波文庫2007)『新音楽の哲学』(1949、平凡社2007)『ミニマ・モラリア』(1950、法政大学出版局1979)『プリズメン』(1955、ちくま学芸文庫1996)『認識論のメタクリティーク』(1956、法政大学出版局1995)『不協和音』(1956、平凡社ライブラリー1998)『文学ノート』(1958、1961、1968、みすず書房2009[全2巻])『マーラー』(1960、法政大学出版局1999)『音楽社会学序説』(1961、平凡社ライブラリー1999)『三つのヘーゲル研究』(1963、ちくま学芸文庫2006)『批判的モデル集』(1963、1969、法政大学出版局1971[全2巻])『楽興の時』(1964、白水社1979)『本来性という隠語』(1964、未來社1992)『否定弁証法』(1966、作品社1996)『アルバン・ベルク』(1968、法政大学出版局1983)。没後に編集刊行されたものとして、『美の理論』(1970、河出書房新社2007)『ヴァルター・ベンヤミン』(1970、河出書房新社1972)『ベートーヴェン』(1993、作品社1997)。また、『アドルノ=クシェネク往復書簡』(みすず書房1998)、『ベンヤミン/アドルノ往復書簡』(晶文社1996)『社会学講義』(作品社2001)『道徳哲学講義』(作品社2006)『否定弁証法講義』(作品社2007)など、書簡集や講義の一部も禹訳されている。ほかに渡辺裕編『アドルノ
音楽・メディア論集』など日本での独自編集の本もある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。


■細見和之
ほそみ・かずゆき
1962年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了、現在
大阪府立大学人間社会学部教授。博士(人間科学、大阪大学)。ドイツ思想専攻、詩人。主な著書に『アドルノ』(講談社)『アドルノの場所』『ポップミュージックで社会科』(以上、みすず葛房)『アイデンティティ/他者性』『言葉と記憶』『ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」を読む』(以上、岩波書店)『「戦後」の思想』(白水社)『永山則夫』(河出書房新社)。主な訳者に、べンヤミン『パサージュ論』全5巻(共訳、岩波現代文庫)、アドルノ『否定弁証法講義』(共訳、作品社)、ヨーナス『生命の哲学』(共訳、法政大学出版局)、ローゼンツヴァイク『救済の星』(共訳、みすず書房)。主な詩集に『言葉の岸』(思潮社)『ホッチキス』(書肆山田)『家族の午後』(澪標)など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

2011-11-10

小澤京子『都市の解剖学』(ありな書房、2011)。都市論であり身体論であり文学論でもある、きわめて刺激的な本。

都市の解剖学 建築/身体の剥離・斬首・腐爛
ANATOMIA URBIUM : Separatio, Decapitatio, Corruptio Aedeficiorum / Corpotium
toshinokaibougaku

小澤京子:著, 田中純:解題
発行:ありな書房
A5判 264ページ 上製
定価:4,800円+税
ISBN 978-4-7566-1119-2 C0070
奥付の初版発行年月:2011年10月 書店発売日:2011年10月07日

■内容紹介

ピラネージ、カナレット、ルドゥー、ユベール・ロベール、そしてゴーティエ/ユイスマンスへ、建築/身体の表層を剥がし、あるいは切り刻んで組みあわせ、あるいはおぞましい下層を浮かびあがらせ、皮膚/骨格の、外/内のあわいを、可視/不可視の境界を、実在/不在の幻界を無効にする、イメージの想像力の視覚化/表象を追う。

解題から。「このテクストの身体、本書という「言葉の建築」の皮膚上に、著者はいくつかの紋章を結晶化した血膿──肌に咲く硬質の薔薇──のように象嵌したのだと考えてみたい。建築史の解剖的ブラゾン、あるいは、都市表象の剥離模型(エコルシェ)。」

視線という擬似的なメスによって、皮膚を剥がされつつある都市――本書を貫くのは、このイメージである。ここで言う皮膚とは、単なる被覆物や表層の擬人的メタファーではない。内部と外部とが互いに絶えず陥入しあい、可視的なものと不可視のものとが反転をくりかえす、撞着と葛藤のトポスである。表層の崩落は、終焉の予兆であり、あるいは凋落と頽廃の反映である。カナレットの描いたヴェネツィア、ピラネージが再現しようとした古代ローマ、……ルドゥーが不遇の晩年に夢見たユートピア、フランス革命期のアポカリプティックな建築表象、そして一九世紀文学が描きだした比喩としての腐爛の皮膚と血膿。ここで問題となるのは、建築や身体そのものではなくそのイメージである。

都市の解剖学 剥離・切断・露出 | 小澤京子
Urban Anatomy: Exfoliation, Amputation, and Exposure | Kyoko Ozawa
掲載『10+1』 No.40 (神経系都市論 身体・都市・クライシス) pp.218-224
http://db.10plus1.jp/backnumber/article/articleid/633/

■目次
序 章 建築の解剖学──その皮膚と骨格
第1章 都市の「語り」と「騙り」──カナレットのヴェネツィア表象にみる都市改変の原理
第2章 「起源」の病と形態の闘争──ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージによる古代ローマ表象
第3章 適合性と怪物性──クロード=ニコラ・ルドゥーの両極的性質
第4章 建築の斬首──フランス革命期の廃墟表象における瞬間性と暴力性
第5章 石の皮膚、絵画の血膿───一九世紀文学における「病める皮膚」のモティーフ
エピローグ 眼差しのディセクション

参考文献
解 題 廃墟の皮膚論──あるいは、紋章の解剖/解剖の紋章 田中純
あとがき
人名索引

■著者
小澤京子(オザワキョコ)

都市表象文化論の若手研究者
1976年8月 生
東京大学( 法学部 第2類) 1999 (卒業)
東京大学 修士( 超域文化科学専攻表象文化論コース) 2004 (修了)

修士論文
2003(平成15)年度
小澤 京子 18世紀ヴェネツィアの都市表象:カナレットのヴェドゥータが内包する都市観の変貌
http://repre.c.u-tokyo.ac.jp/programs/master.html


ブルゴーニュ大学 修士( 美術史) 2008 (修了) フランス

仏ブルゴーニュ大学修士(第2学年)論文, 2008年10月
«L'origine contaminée et les conflits des figures : La représentation
de Rome chez G.B. Piranesi»


東京大学 博士( 総合文化研究科 超域文化科学専攻 表象文化論コース) 2010 (単位取得満期退学)
東京大学21世紀COE「共生のための国際哲学研究センター」リサーチアシスタント(2006年4月-2007年3月)
東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」リサーチアシスタント(2009年10月-2011年3月)
東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」特任研究員(2011年4月-)
表象文化論学会広報委員(2010年-)
日仏美術学会実行委員(2011年-)

田中純(タナカジュン):日本の都市表象論の第一人者 表象文化論全般を専門にする

2011-11-09

民魂の音を聴く——東欧ユダヤ民族音楽〈クレズマー〉と現代世界

「民魂の音を聴く——東欧ユダヤ民族音楽〈クレズマー〉と現代世界」

チラシ:http://gcoe.hus.osaka-u.ac.jp/111127workshop1.pdf

<趣旨>
 来る11月27日(日)、神戸ユダヤ文化研究会並びに大阪大学
との共催企画として、東欧ユダヤ民族音楽〈クレズマー〉の調べを
とともに、踊りあり、トークあり、コンサートありという盛り沢山
のイベントを開催いたします。
 第1部「イディッシュダンス・ワークショップ」では、ベルリン
にてユダヤ舞踏家の下で研鑽を積まれている吉田佐由美さんを講師
にお迎えして、オルケステル・ドレイデルの生演奏をバックに、東
欧ユダヤ・ダンスの舞を参みなさんにも実体験していただきます。
 第2部「『クレズマーの文化史』を横断する」では、黒田晴之さ
ん(松山大学)の新著『クレズマーの文化史——東欧からアメリカ
に渡ったユダヤの音楽』(人文書院)の刊行を記念して、音楽評論
家の平井玄さん、チンドンからクレズマーまで弾きこなすクラリ
ネット奏者の大熊ワタルさん、サントリー学芸賞を受賞した『中東
欧音楽の回路』の伊東信宏さん(大阪大学)をゲストに、東欧ユダ
ヤ民族音楽〈クレズマー〉の現状と展望について縦横無尽に語って
いただきます。
 第3部は今回の目玉企画として、国内外で知る人ぞ知る世界音楽
隊シカラムータの特別編成「ジンタらムータ」によるライヴ演奏を
存分に堪能していただきます。コンサートの終盤には、即席生え抜
きの「イディッシュ・ダンス隊」の飛び入り参加で大団円を迎える
かも?
 3・11の原発震災による〈大破局〉[khurbm]の年、〈修復〉
[tikun]に向けたささやかな機会になればと願っています。
 ぜひお見逃しなく!

<日時>2011年11月27日(日)13:00〜18:30

<場所>大阪大学(豊中キャンパス)
  21世紀懐徳堂スタジオ(イ号館・2階)
    会場地図:http://21c-kaitokudo.osaka-u.ac.jp/access

≪参加無料・事前登録不要≫

<主催>神戸ユダヤ文化研究会、大阪大学グローバルCOEプログ
ラム「コンフリクトの人文学国際研究教育拠点」、「イディッシュ
語文化圏における芸術活動の研究」(文部科学省科学研究費:基盤
研究B)、大阪大学MCE研究会

<プログラム>

◆12:30 開場

◆13:00〜15:15
�.イディッシュダンス・ワークショップ
  講師:吉田佐由美
  演奏:オルケステル・ドレイデル
     樋上千寿(クラリネット)
     白石雅子(アコーディオン)

◆15:30〜17:00
�.「クレズマーの文化史」を横断する
  ゲスト:平井玄
      大熊ワタル
      伊東信宏
      黒田晴之

◆17:10〜18:40
�.ジンタらムータ・コンサート
  演奏:ジンタらムータ
     大熊ワタル(クラリネット)
     佐藤芳明(アコーディオン)
     磯部舞子(バイオリン)
     ギデオン・ジュークス(テューバ)
     こぐれみわぞう(ちんどん太鼓)

<プロフィール>

・吉田佐由美
ベルリン在住、グラフィックデザイナー。イディッシュ・ダンスを
Walter Zev Feldman, Michael Alpert, Helene Domergueら欧米第
一線のダンサーに師事。クレズマー音楽&イディッシュ・ダンスを
最もよく知る数少ない日本人の一人。

・オルケステル・ドレイデル
リーダーの樋上千寿が、シャガールの描く楽士が奏でる音楽を追究
する中でクレズマーに出会い、2003年春に白石雅子と結成。シャ
ガール芸術の源泉のひとつとなったイディッシュ文化との関連で伝
統的なクレズマー音楽を紹介する演奏&講演活動を続けている。

・平井玄
1952年新宿生まれ。群衆思想/音楽文化論。中学でロックを棄て、
ジャズの深海に溺れる。40歳で浮かび上がるとクレズマーの小舟に
救われる。今夏、ロンドン暴動でソニーの倉庫が炎上した。そこか
ら音楽を考え直したい。著書に『愛と憎しみの新宿』『千のムジ
カ』『ミッキーマウスのプロレタリア宣言』『引き裂かれた声』
『暴力と音』『破壊的音楽』『路上のマテリアリズム』など。

・大熊ワタル
シカラムータ/ジンタらムータの他、ソウルフラワーモノノケサ
ミットや演劇とのコラボなど幅広い活動。ロックバンドでの活動開
始後、20代半ばでチンドン屋に弟子入りし、クラリネットを街頭で
修行。東京のシーンでクレズマーを演奏した最初期の一員でもあ
る。

・伊東信宏
1960年生まれ。大阪大学文学部、同大学院修了。大阪大学大学院文
学研究科教授(音楽学)。博士(文学)。著書に『バルトーク』、
『中東欧音楽の回路』(サントリー学芸賞)など。朝日新聞、
NHK-FMなどで解説、批評を担当。

・黒田晴之
松山大学経済学部教員。なぜか20世紀中頃のドイツ文学をいつもア
ウトサイダー(ヤーン、カネッティ、H・フィヒテ)から追ってい
る。ただいまの脳内サウンドシステムでは、ダブとクラウトロック
をクレズマーに接続させる。第37回ドイツ語学文学振興会奨励賞を
受賞。著書に『クレズマーの文化史——東欧からアメリカに渡った
ユダヤの音楽』など。

・ジンタらムータ
チンドン・ジンタをバックボーンに、ロック・ジャズの最前線で世
界の街頭音楽をシャッフルし、実験性・即興性がシンクロした独自
の祝祭的音楽で、国内外で評価の高い「シカラムータ」。そのア
コースティック版・出前ユニットがジンタらムータ。地中海〜バル
カン〜東欧や、中南米などの民衆音楽を中心に、オリジナル曲も交
えて、コンサート会場だけでなく、街頭パレードや、結婚式のパー
ティーなど、神出鬼没で活動する。

2011-11-07

『ファルスの世界 15〜16世紀フランスにおける「陽気な組合」の世俗劇』

川那部和恵
2011年度学術振興会助成
版型:A5
ページ:330
価格:4,410(本体4,200+税)円
発行日:2011年11月25日
ISBN978-4-86327-160-9
Cコード:C3076
渓水社

■目次

はじめに

1 概説

 一 ファルスとは何か
  (一)世俗劇とファルス
  (二)世俗劇の五つのジャンル
  (三)ジャンルにまつわる問題
 二 世俗劇の起源と成立
  (一)「新生の諸ジャンル」
  (二)ファルスの起源
  (三)その他のジャンルの起源
 三 ファルスの笑いと時代
  (一)三つの笑い
  (二)ルネサンスの祝祭的笑い
  (三)ルネサンス知識人と笑い
  (四)笑いと「救済」
 四 ファルスの上演現場
  (一)資料について
  (二)上演の機会
  (三)上演の場所
  (四)役者と作者
  (五)観客
 五 上演集団「陽気な組合」
  (一)バゾッシュ(高等法院職員組合)王国 Royaume de la Basoche(パリ)
  (二)呑気な子どもたちEnfants-sans-Souci(パリ)
  (三)阿呆の母とその歩兵隊Mere Folle et son lnfanterie Dijonnaise(ディジョン)
  (四)コナールの僧院Abbaye des Conards(ルーアン)
 六 世俗劇のテキスト
  (一)一六世紀の四大選集
   1 『トレップレル選集』/2『大英博物館選集』/3『コーアン選集』/4『ラ・ヴァリエール写本』
  (二)現代の校訂版選集


2 作品と解題

 一 『市価で/にタマゴをわたすマユエ』
  解題
  (一)二つのテキスト
  (二)登場人物について
   1 人物定型バダン/2 愚か息子と母/3 町のごろつき
  (三)笑いの技法
   1 身振りによる笑い/2 意味のとり違いの笑い/3 構造的な笑い「だました奴がだまされる」
 二 『洗濯桶』
  解題
  (一)テキスト
   1 古版/2 現代版
  (二)成立の背景
   1 あらすじ/2 『洗濯桶』は写実劇か/3 素材の問題
  (三)作品の意図
   1 父権的社会のただ中で/2 妻の抵抗とフェミニズムの芽/3 母の平和主義
  (四)洗濯桶と巻紙
   1 巨大な洗濯桶/2 二部構成の中で
 三 『全世界のモラル』
  解題
  (一)テキスト
   1 写本・校訂本/2 制作年代/3 作者と上演団体
  (二)登場人物・ジャンル
   1 人物名の訳語について/2 ジャンルの曖昧さ
  (三)作品の解釈をめぐって——寓意劇を読み解く
   1 変装劇/2 社会批判/3「全世界」の意味するもの
 四 『地獄の悪魔に魂をもっていかれた粉屋』
  解題
  (一)テキスト
   1 写本・校訂本/2 アンドレ・ド・ラ・ヴィーニュ(一四五七頃─一五二七頃)
  (二)セール市における初演
   1 「上演報告書」/2 『盲人とびっこのモラリテ』
  (三)農夫から粉屋へ
   1 ファブリオーの伝統/2 なぜ粉屋か
  (四)幕間劇として
   1 聖と俗/2 悪魔狂言
 五 『酒盛りの陽気な説教』
  解題
  (一)テキスト
  (二)「分割された」説教
  (三) 饗宴と聖なるもののパロディ
  (四) パロディ説教の構造
 六 『三人のギャランと一人のバダン』
  解題
  (一)テキスト
   1 写本・校訂本/2 作品のジャンル/3 作・上演/4 制作年
  (二)バダンと「阿呆」の王国
  (三)道化裁判
  (四)「コカーニュの国」構想
  (五)ユートピア世界への旅

 おわりに
 主要参考文献
 和出一覧
 索  引

『作品は「作者」を語る—アラビアン・ナイトから丸谷才一まで』

ソーントン不破直子・内山加奈枝(編著)
2011年10月
3000円(税込)
四六判並製・334頁
装丁:矢萩多聞
ISBN 9784861102929

■内容

ロラン・バルト以後の「作者」とは何か?
『百年の孤独』に深い影響を与えた『アラビアン・ナイト』、ヘミングウェイの身体性が抜きがたく刻み込まれた『ニック・アダムズ物語』、時空を越えた幽霊としての作者を示した丸谷才一『輝く日の宮』など、8つの視点から「作者」を探究する。

■目次

第1章 『アラビアン・ナイト』—「作者の死」とシェヘラザードの語り 【小泉 泉】
第2章 ヒエロニモの沈黙—『スペインの悲劇』における作者と権力 【佐藤達郎】
第3章 模倣と剽窃の異国ロマンス—アメリカ・ジャポニスム小説と「作者」 【中地 幸】
第4章 夏目漱石が現代批評に与える「生きたもの」—『こころ』における主体と倫理 【内山加奈枝】
第5章 メタフィクション「大きな二つの心臓のある川」を書いたのは誰か?—ヘミングウェイと「作者」の身体 【小笠原亜衣】
第6章 リチャード・ライト『ブラック・ボーイ』が語る「作者」像 【升田光子】
第7章 ジェフリー・ダーマーを描くことはできるのか?—ジョイス・キャロル・オーツの『生ける屍』における作者観 【森井美保】
第8章 「作者」という幽霊、「読者」という未来—丸谷才一『輝く日の宮』の作者観 【ソーントン不破直子】


■著者

小泉 泉(こいずみ・いずみ)
日本女子大学、跡見学園女子大学、武蔵野大学、首都大学東京非常勤講師
佐藤達郎(さとう・たつろう)
日本女子大学文学部英文学科准教授
中地 幸(なかち・さち)
現在都留文科大学文学部英文学科教授
内山加奈枝(うちやま・かなえ)
日本女子大学文学部英文学科講師
小笠原亜衣(おがさわら・あい)
玉川大学工学部ソフトウェアサイエンス学科准教授
升田光子(ますだ・みつこ)
日本女子大学、慶応義塾大学非常勤講師
森井美保(もりい・みほ)
山梨学院大学、東京都市大学、日本女子大学非常勤講師
ソーントン不破直子(そーんとんふわ・なおこ)
日本女子大学名誉教授

英国十八世紀文学叢書 [全6巻]

十八世紀から「文学」の全てが始まった

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英国近代文芸の原点は十八世紀にあり、「古典」の呼び名にふさわしいタイトルが綺羅星のごとく並ぶ。
小説の始祖といわれるデフォーやリチャードソンが活躍しただけではない。
スウィフトの『ガリヴァー旅行記』は世界中で知らぬ人がない読み物となり、
さらにはゴシック小説、黒人文学も出現し、ポルノグラフィの古典まで密かに書かれた。
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 [2011年12月下旬刊行開始 ・初回2冊同時配本]


「あの人はついに本性を現したのです」——英国小説はユウワクで幕を開ける。

【第1巻 メロドラマ】
パミラ ——淑徳の報い
サミュエル・リチャードソン 〔著〕  原田範行 〔訳〕

四六判 上製 770頁/予価5,775円(本体5,500円+税)
ISBN 978-4-327-18051-5 C0397

2011年12月21日発売予定

 英国小説の出発点といわれる作品のひとつ。美しく無垢なメイドが、紳士面をして近づいてきた若主人のセクハラにあい、監禁されてしまう。貞操を守るための必死の闘いを、登場人物の手紙のみで綴り、そのスリリングな展開は今なお十分に面白く読める。大胆な現代風の新訳で刊行する。


奇跡、幻影、魔法、予知夢——あらゆる超自然が信じられていた、暗黒の時代の物語

【第4巻 ゴシック】
オトラント城
ホレス・ウォルポール 〔著〕  千葉康樹 〔訳〕

崇高と美の起源
エドマンド・バーク 〔著〕  大河内 昌 〔訳〕

四六判 上製 350頁/予価3,360円(本体3,200円+税)
ISBN 978-4-327-18054-6 C0397

2011年12月21日発売予定

 『オトラント城』は最初のゴシック小説であり、今日のホラー小説の原点である書。格調は損なわずに斬新な新訳で刊行する。『崇高と美の起源』は、そのゴシック美学をはじめて理論化したエッセイ。


[続  刊]

【第2巻 諷刺】 ガリヴァー旅行記  ジョナサン・スウィフト 〔著〕  高山 宏 〔訳〕

【第3巻 災厄のドキュメンタリー】 ペストの記憶  ダニエル・デフォー 〔著〕  武田将明 〔訳〕

【第5巻 マイノリティ】 イクイアーノの生涯の興味深い物語  久野陽一 〔訳〕

【第6巻 ポルノグラフィ】 エロチカ・アンソロジー  小林章夫 〔編訳〕

ニューヨークに拠点を置く名門 のノードラー画廊(1857年設立)が1869年〜1946年に刊行した展覧会カタログ 898冊が、デジタル化されオンラインで公開

ニューヨークに拠点を置く名門
のノードラー画廊(1857年設立)が1869年〜1946年に刊行した展覧会カタログ
898冊が、デジタル化されオンラインで公開


http://libmma.contentdm.oclc.org/cdm/landingpage/collection/p15324coll8

ニューヨーク市内美術図書館連合の横断検索サイト(nyarc/arcade)
http://tinyurl.com/4yomehd
で、表示されている
knoedler digital project
という語に続けて作家名などを入れると検索しやすいようです。

『シオニズムの解剖 現代ユダヤ世界におけるディアスポラとイスラエルの相克』

著者 臼杵 陽 監
赤尾 光春 編
早尾 貴紀 編
出版年月日 2011/10/10
ISBN 9784409230473
判型・ページ数 A5
定価 本体4,200円+税


■内容紹介

近代ヨーロッパの「ユダヤ問題」から今現在につづく「パレスチナ問題」まで

ディアスポラとイスラエルのねじれを読み解き近現代世界の民族紛争の理解に多くの視点を示す。

近年、ユダヤ人の歴史や文化に関する研究は日本でも発展の一途を辿っているが、シオニズムを中心に扱った研究となると意外にも少ない。現代イスラエルをめぐる諸問題については、中東紛争やパレスチナ人が置かれた深刻な状況に対する関心の高まりから、それ相応の理解が進んでいるのはたしかだ。しかし、イスラエルという「ユダヤ人国家」を生み出した思想・政治運動としてのシオニズムに関する一般の理解は、その歴史的重要性にもかかわらず、いまだに初歩的な段階に留まっていると言わざるを得ない。そこで本書が第一の課題とするのは、シオニズムをとりまく諸問題を多角的に読み解き、近現代のユダヤ理解におけるこうした不均衡を問い直すことである。(本書「序章」より)

■目次
序章 シオニズムを解剖する 赤尾光春・早尾貴紀

� 帝国の衰退とユダヤ政治の展開
忘れられた世代と場所 鶴見 太郎
「イディッシュ労働者」運動としてのブンド 西村 木綿
民族自治から主権国家へ 森 まり子

� ホロコーストからイスラエル建国へ
アメリカ・ユダヤ人とシオニズム 池田有日子
カタストロフィ・シオニズム 野村 真理

� ナクバという遺産
国家の起源にどう向き合うか 金城 美幸
〈イスラエルの原罪〉を書けるか 村田 靖子

� 入植のエートスとイデオロギー
一〇〇度目の流刑地としてのエレツ・イスラエル 赤尾 光春
死と贖いの文化——フロンティアのメシア主義者 今野 泰三

� ユダヤ文化産業におけるヘゲモニーとカウンター・ヘゲモニー
シオニズムの映画的表象 四方田犬彦
クレズマーはシオニズム(と資本主義)に抵抗するか ? 平井  玄

� 現代思想とイスラエル問題
バイナショナリズムの思想史的意義 早尾 貴紀
現代思想におけるシオニズムと反シオニズム 合田 正人

日本におけるシオニズムへの関心の端緒 臼杵 陽

2011-10-31

"Ornament und verbrechen" 訳書

タイトル 装飾と犯罪 : 建築・文化論集
責任表示 アドルフ・ロース[著]
責任表示 伊藤哲夫訳
個人著者標目 Loos,Adolf (1870-1933) 詳細
個人著者標目 伊藤, 哲夫 (1942-)‖イトウ,テツオ
版表示 新装普及版
出版地 東京
出版者 中央公論美術出版‖チュウオウコウロンビジュツシュッパン
出版年 2011.5
形態 270p ; 22cm
内容細目 ウィーン・プラターの旧万国博覧会、ロトンダ展示会場において展示された室内空間について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 デラックスな馬車について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 建築材料について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 被覆の原則について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ポチョムキンの都市 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 女性と家 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 建築における新・旧の二つの方向 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 馬具職人 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ウィーンにおける最も素晴らしい内部空間、最も美しい貴族の邸館、最も美しいが近々取り壊しの運命にある建築物、最も美しい新建築、最も美しい散歩道
/ アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 住居の見学会 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 余計なこと(ドイツ工作連盟) / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 文化の堕落について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 装飾と犯罪 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ミヒャエル広場に面して立つ建物についての二つの覚え書とその補章 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 建築について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 私の建築学校 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ベートーヴェンの病める耳 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 カール・クラウス / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 郷土芸術について / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ペーター・アルテンベルクとの別れにあたって / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 住まうことを学ぼう! / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 シカゴ・トリビューン新聞社社屋 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 アーノルト・シェーンベルクと同時代人達 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 近代の集合住宅 / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 ヨーゼフ・ファイリッヒ / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 オスカー・ココシュカ / アドルフ・ロース著 ; 伊藤哲夫訳
内容細目 訳註・解説
ISBN 978-4-8055-0658-5
入手条件・定価 3500円

『師弟のまじわり Lessons of the Masters』

師弟のまじわり

Harvard University Press
THE CHARLES ELIOT NORTON LECTURES
Lessons of the Masters


ジョージ・スタイナー
高田 康成 訳
■体裁=四六判・上製・カバー・288頁
■定価 3,150円(本体 3,000円 + 税5%)
■2011年10月27日
■ISBN978-4-00-023499-3 C0098


■内容紹介
人類の知の歴史は,同時に教える者と教わる者の歴史でもあった.知の伝達にあたって,師は誰に何をどのように受け渡そうとするのか.弟子は師に対していかに臨み,何を求めるのか.権威と反逆,敬愛と嫉妬,信頼と裏切り…….古今の例を自在に引きながら,教育という場に生まれる数々のドラマを描きだしたユニークな文化史.

When we talk about education today, we tend to avoid the rhetoric of
"mastery," with its erotic and inegalitarian overtones. But the
charged personal encounter between master and disciple is precisely
what interests George Steiner in this book, a sustained reflection on
the infinitely complex and subtle interplay of power, trust, and
passions in the most profound sorts of pedagogy. Based on Steiner's
Norton Lectures on the art and lore of teaching, Lessons of the
Masters evokes a host of exemplary figures, including Socrates and
Plato, Jesus and his disciples, Virgil and Dante, Heloise and Abelard,
Tycho Brahe and Johann Kepler, the Baal Shem Tov, Confucian and
Buddhist sages, Edmund Husserl and Martin Heidegger, Nadia Boulanger,
and Knute Rockne.

Pivotal in the unfolding of Western culture are Socrates and Jesus,
charismatic masters who left no written teachings, founded no schools.
In the efforts of their disciples, in the passion narratives inspired
by their deaths, Steiner sees the beginnings of the inward vocabulary,
the encoded recognitions of much of our moral, philosophical, and
theological idiom. He goes on to consider a diverse array of
traditions and disciplines, recurring throughout to three underlying
themes: the master's power to exploit his student's dependence and
vulnerability; the complementary threat of subversion and betrayal of
the mentor by his pupil; and the reciprocal exchange of trust and
love, of learning and instruction between master and disciple.

Forcefully written, passionately argued, Lessons of the Masters is
itself a masterly testament to the high vocation and perilous risks
undertaken by true teacher and learner alike.

■訳者・高田康成の紹介文

同じ事柄でも,それを学ぶ先生によって,その事柄はまったく異なる見え方をするものです.個人的体験で恐縮ですが,小津次郎先生に出会う幸運がなかったならば,私はシェイクスピアの研究者にはなりませんでしたし,その反対に,ある師の存在ゆえにその分野に対する興味が失せてしまったという経験もあります.同様の体験は,誰にでもありましょう.
 師弟関係というのは,つまり,両者の間で伝承される事柄と,両者の間に醸成される人間的な親和力との,繊細にして微妙な組み合わせから成ります.ただし,伝承される事柄を中心にした師弟関係は,制度的にも明確であるのに対して,親和力に依拠した師弟関係は,恋愛関係に似て,心の深奥に触れるにもかかわらず,客観的にそれを保証するものがありません.しかも,師弟関係は本質的に封建的な上下関係という権力構造をもちます.
 ここから,師弟間の美談もさることながら,おぞましくも醜悪な人間模様が繰り広げられることになります.翻ってしかし,人類の文明と文化は,師弟関係という事態を抜きにして考えることはできません.とすれば,歴史を遡って,この抜きさしならぬ事態を考察してみたらどうかという誘惑に駆られます.しかしその容易でないことは,誰の目にも明らかです.
 ご存じジョージ・スタイナーが,晩年の一作品として書き上げた本書は,その興味深くも困難な主題を扱って,あたかも一篇の詩であるかの如く,美しく歌い上げます.

■目次
謝辞

第一章 起源の存続
第二章 火の雨
第三章 偉大な師
第四章 思考の師匠
第五章 新世界にて
第六章 不老の知性

結語
訳者あとがき
人名索引

Introduction

1. Lasting Origins

2. Rain of Fire

3. Magnificus

4. Maîtres à Penser

5. On Native Ground

6. Unaging Intellect

Afterword

Index


■著者
ジョージ・スタイナー(George Steiner)
1929年生まれ.文芸批評家.ジュネーヴ大学比較文学教授,ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジ・エクストラオーディナリー・フェローを歴任.英仏独語とギリシア語・ラテン語に通じ,古典古代から現代までの文学・哲学・芸術・科学にわたる該博な知識を駆使して旺盛な執筆活動を展開する.邦訳著書に,『マルティン・ハイデガー』(岩波書店),『言語と沈黙』(せりか書房),『青ひげの城にて』(みすず書房),『バベルの後に』(法政大学出版局)ほか多数.

高田康成(たかだ やすなり)
1950年生まれ.東京大学大学院博士課程中退.専攻,英文学・表象古典文化論.東京大学大学院総合文化研究科教授.著訳書に,『キケロ――ヨーロッパの知的伝統』(岩波新書),『クリティカル・モーメント――批評の根源と臨界の認識』(名古屋大学出版会),Classics
and National Cultures (Oxford University
Press,共著),イーグルトン『文芸批評とイデオロギー』(岩波書店),グリマル『キケロ』(白水社),ドロンケ『中世ヨーロッパの歌』(水声社)ほか.

『退屈 息もつかせぬその歴史』

退屈
息もつかせぬその歴史

[原題] BOREDOM : A Lively History

ピーター・トゥーヒー 著 篠儀 直子 訳
201109刊/四六判/246頁
C0010 定価2310 円(本体2200 円)
ISBN978-4-7917-6621-5

■内容紹介


退屈はもっともありふれた、もっとも価値のある感情。
古代キリスト教の隠者のエピソードから、有名なデューラーの銅版画、サルトルの
『嘔吐』、さらに最新の脳科学や動物行動学の成果まで、古今東西ありとあらゆる事例をもとに語られる、人間と退屈のまったく退屈しない物語。

In the first book to argue for the benefits of boredom, Peter Toohey
dispels the myth that it's simply a childish emotion or an existential
malaise like Jean-Paul Sartre's nausea. He shows how boredom is, in
fact, one of our most common and constructive emotions and is an
essential part of the human experience.

This informative and entertaining investigation of boredom—what it is
and what it isn't, its uses and its dangers—spans more than 3,000
years of history and takes readers through fascinating neurological
and psychological theories of emotion, as well as recent scientific
investigations, to illustrate its role in our lives. There are
Australian aboriginals and bored Romans, Jeffrey Archer and caged
cockatoos, Camus and the early Christians, Dürer and Degas. Toohey
also explores the important role that boredom plays in popular and
highbrow culture and how over the centuries it has proven to be a
stimulus for art and literature.

Toohey shows that boredom is a universal emotion experienced by humans
throughout history and he explains its place, and value, in today's
world. Boredom: A Lively History is vital reading for anyone
interested in what goes on when supposedly nothing happens.

■目次

序文

1 退屈を位置づける

2 慢性的退屈とその仲間たち

3 人間、動物、監禁状態

4 真昼の消耗

5 退屈に歴史はあるか

6 退屈へと帰還する長い歩み

文献
謝辞
訳者あとがき

人名索引
図版一覧

■著者

[著者] ピーター・トゥーヒー(Peter Toohey)
西洋古典学者。モナシュ大学(オーストラリア)卒業、トロント大学(カナダ)で博士号取得。現在、カルガリー大学(カナダ)芸術学部ギリシア・ローマ学科教授。著書に
Melancholy,Love,and Time : Boundaries of the Self in Ancient
Literature、Epic Lessons : An Introduction to Didactic Poetry など。

[訳者] 篠儀直子(しのぎ・なおこ)
名古屋大学大学院(西洋史学)・東京大学大学院(表象文化論)を満期退学後、東京大学などで非常勤講師。訳書に、『フレッド・アステア自伝』、『グローバル権力から世界をとりもどすための13人の提言』、『ネット・バカ』、『寄生虫のはなし』(ともに青土社)など多数。

2011-10-27

「カフカ」というバンド

カフカ are
Daishi Fujii : Drums , Chorus
Naoya Yoshimi : Bass , Chorus
Kouta Kaneko : Vocal , Guitar (L-R)

http://www.ka-fu-ka.net/

高橋悠治『カフカノート』『カフカ/夜の時間——メモ・ランダム』(2011年10月21日発行)

『カフカノート』
A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/224頁
定価 3,360円(本体3,200円)
ISBN 978-4-622-07640-7 C0073
2011年10月21日発行

■内容紹介
「この本はカフカのノートブックから集めた36の断片の束であり、カフカについてのノートでもある。1990年の批判版全集のテクストにより、ドイツ語原文と日本語のどちらでも上演可能。日本語訳は、パラグラフ、句読点、歌の場合は音節数もできるだけ原文に近づけた」

構成・作曲を手がけた舞台「カフカノート」にむけて書かれたスコア、対訳台本、制作ノートを収録。
カフカはピアニスト高橋悠治をささえる影の思索者。すすみ、停まり、曲がり、途絶えてはまたつづく、その書きかたをなぞるように翻訳されたカフカ。ことばの向こうにカフカの姿が見えてくる。

■目次
I カフカノート(スコア)

II 掠れ書き(制作ノート)
「カフカノート」の準備
カフカのことばを歌う
「カフカノート」の作曲
テクストと音楽……遅延装置
「カフカノート」の後に

III カフカ断片(対訳台本)


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『カフカ/夜の時間——メモ・ランダム』
A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/208頁
定価 3,360円(本体3,200円)
ISBN 978-4-622-07641-4 C0073
2011年10月21日発行


■内容紹介

夜のこわさ。夜でないこわさ。
ひとことでいい。もとめるだけ。空気のうごきだけ。きみがまだ生きている、待っているというしるしだけ。いや、もとめなくていい。一息だけ。一息もいらない。かまえだけ。かまえもいらない。おもうだけで。おもうこともない。しずかな眠りだけでいい。
……………カフカ

はじまりは病室の闇で読んだカフカ。読みなおされ、書きなおされ、翻訳しなおされてゆくカフカとの濃密な時間が、まじりけのないことばで書き留められている。高橋悠治の書きかた、音楽のつくりかたの秘密にみちた一冊。

晶文社より出版された初版(1989年)に「「カフカ」ノート 2」を加え、「新版へのあとがき」を付して新たに刊行。

■目次
夜の時間(カール・クラウス)


病気・カフカ・音楽
「カフカ」ノート 1
可不可
「カフカ」ノート 2

 ii
明恵上人 夢記切(声明のために)
レナード・バーンステインの「平和のためのミサ」によせて
水牛 1
水牛 2
パイクラッパー——ナムジュン・パイクの「風呂敷天下」

 iii
「馬の頭は永遠に向った」作曲ノート
音に向かって
メモ・ランダム
グレン・グールドの死の「意味」?
ランダム・アクセス・メモリーとなった音楽
「カルメンという名の女」(ゴダール)
写真集「ベイルート」(ゾフィー・リステルヒューバー)
「アンナ・マグダレーナ・バッハの日記」(ストローブ=ユイレ)
「緑のアリが夢見るところ」(ヘルツォーク)

あとがき
新版へのあとがき

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■著者 高橋悠治 たかはし・ゆうじ ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
1938年東京に生まれる。作曲家・ピアニスト。桐朋学園短期大学作曲科中退。柴田南雄、小倉朗、ヤニス・クセナキスに作曲を師事。ドイツを経てニューヨークに渡り、コンピュータによる作曲を研究、そのかたわら欧米各地で演奏活動を行う。1973年に一柳慧、柴田南雄、武満徹、林光、松平頼暁、湯浅譲二とともにグループ「トランソニック」を組織、季刊誌「トランソニック」を編集。1978年タイの抵抗歌を日本に紹介するために水牛楽団を結成し、月刊「水牛通信」を発行。現在はウェブサイト「水牛」http://www.suigyu.com/内で執筆。CDに『バッハ:ゴルトベルグ変奏曲』『クセナキス&メシアン:ピアノ作品集』『solo』『モンポウ:沈黙の音楽』『ブゾーニ:ソナティナ集』『高橋悠治』1-4『猫の歌』(歌:波多野睦美、2011)など。著書に『音の静寂
静寂の音』(平凡社、2004)『きっかけの音楽』(みすず書房、2008)『高橋悠治
対談選』(ちくま学芸文庫、2010)『カフカノート』(みすず書房、2011)など。

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■2冊の刊行を記念したトークイベント「カフカ×高橋悠治×保坂和志 わたしたちの書きかた/つくりかた」

2011年10月22日(土)、神楽坂から神保町に移ってきたスタジオ・イワトにて

それぞれの作品から、創作する意志の根底に通い合うものがあるのがわかる。
ふたりのなかにはいつもカフカがいる、というわけで、「カフカ×高橋悠治×保坂和志 わたしたちの書きかた/つくりかた」のトークが実現したのでした。
高橋さんのピアノ伴奏と声楽家・波多野睦美さんによる「夜の時間」(作曲:高橋悠治、ことば:カール・クラウス)の演奏で始まったこの日。
ことばが表すイメージをなぞるように言葉を選びながら問いかけあう2時間は、あっという間に流れていきました。そのごく一部をご紹介します。

* 保坂: (「文學界」の連載「カフカ式練習帳」のことを考え始めていた)2008年は、僕がはじめて高橋さんに直にお目にかかった時で。
そのシューベルトのコンサートの時に、譜めくりの人がめくりそびれたんですよね。
実際に「カフカ式練習帳」が始まったのは、譜めくりをめくりそびれた人を書きとめたことが始まり。
で、なにかと縁が深い(笑)。


* 高橋: やっぱり、人の失敗の方が面白いわけですよね。
ピアニストっていうものは、暗譜して弾くというのがいつからか常識になってるんですよね。
だけどその前(19世紀中頃以前)はどうしたかというと、自分でめくってた。
それで、めくるときに手が離れるから止まると、お客さんはそれを待っていた。
だからあわててパッとか、めくりそこなうとか、そういうことはあり得なかったんですよ。
落ち着いてめくって、また次をやればいいわけです。

* 保坂: カフカの書いたものを読んでると、自分で文章書く時に接続詞を使うことがすごい嫌な感じがするんですよ。
なぜかっていうと、何か書いて、「しかし」とか「だから」ってすると、次に書く内容は「しかし」に該当する内容になっちゃう訳ですよね。
接続詞っていうのは、読者のためにというよりも、書いている自分を救うというか、ちょっと安心させるためについ使っちゃうんじゃないか。
書いている自分に「すこし文章を俯瞰できる位置に自分はいるんだぞ」って安心させるための訓練を子供の時から受けてるから。
だから、最近、できるだけ接続詞っていうのを使いたくないんですよね。
だけど、使わないと不安なんですよね。
それは読者に対する不安っていうんじゃなくて、自分に対する不安なんだと思うんですよね。
でも、あんまり使わないで書いてたら、頭がおかしくなっちゃうかなって気もするんですよ。(…)

* 高橋: 音楽でいうとね、20世紀の初めに、並列式のつくり方っていうのができたと思うんですがね。
ストラビンスキーとかそうなんだけど。
その前のマーラ—とかブルックナーとかワーグナーとかそういうものは、連続してうねりながらどっかへ行く。
そういういことではなくて、ひとつのものがあって、途切れて、違うものが出てきて、そういうようなつくり方ですよね。
それは入れ替えてもいいわけだけど。
入れ替え自由ってことになると、20世紀の中ごろ、たとえばケージとか、これやって、これやって、その逆でもいいし、あるいはやらなくてもいいし、そういうチョイスがあるみたいな。
だけどそれは演奏する側、あるいは作曲する側のチョイスで、音楽聞く側にはチョイスがない訳ですよ。

* 高橋: カフカは事柄の中心からいきなり始まるって言われるでしょ。
中心から始めちゃった場合、そこから出ていくしかないでしょ、そういうやり方っていうのは新しいんですか?


* 保坂: 知らないです。(笑)


* 高橋: 伝統的なやり方っていうのはあるんですよね、書院づくりというのがある。
部屋があって、部屋を出ると別の部屋があって、その度に違う空間に入っていくわけです。
全体というものがない、部分しかない。
それから回遊式庭園。それは池のまわりをめぐっていって、茂みがあって、別の風景になる。
だからそれはけっこう伝統的なつくり方でもあるっていう。

* 保坂: 小説は、ヌーヴォーロマンとかごく一部をのぞいてすごく保守的で。
音楽とか美術にくらべてすごく狭い。


* 高橋: そうですかね? それは保坂さんがっていうことでしょ?
自分がみんなであるっていう幻想がどこかにあるわけでしょ?
だから書いていられるわけでしょ?

* 保坂: カフカがほとんど点も打たずにバーッと書きつづけた。
万年筆のすべりをすごく気にしたっていうぐらいで。
『判決』を一晩で書くというのはものすごい早いんですよね。
カフカの場合には、カフカが書いた早さで読者は読めるのかなって。
よく、「もっと読者のことを考えよ、書き手の思うように書くだけじゃないんだ」みたいな言いかたを小説に対してするんです。
だけど、どんなに書き手が読者のことを考えていないかのようであっても、読者はとにかく小説として完成されたものを読めるわけだから、それはもう十分読者の側に立ってるんですよね。
それはカフカが一気に書くっていうことを考えるまでは考えなかったことなんだけど。
もし、これからパソコンで小説を書く場合に、パソコンの容量がすごく増えたら、著者が書いていく通りの時間で読者は小説が見れるんですよね、読めるっていうか。(…)

* 高橋: 即興演奏するでしょ。
弾いてる速度で作ってるとも言える訳ですよ。
字を書くよりも音を出してる方が、手は簡単だけど。
カフカの書くものを、原稿の写真版とかで見ててね、こうペンが動いていく、その速度で書いているっていうことは、もうすでに読者の側にそれが立ってるっていうふうに思うんですけどね。
たとえば入眠時幻覚がありますよね。
彼が役所勤めから帰ってきて、散歩かなんかして、疲れて。
疲れきってなきゃいけないんだよね、それは。
それはね、疲れきってないといけないと思うんです。
疲れきってないと、身体が抵抗している。
自由になれない。
ちょっと話がずれますがね、クセナキスの曲を弾く時にね、ちょっと普通じゃ弾けないような感じで難しい訳でしょ、それをある速度でやっている。
そうするとコントロールよりちょっと上の何かが起こるわけ。
そうするとね、もう疲れきっちゃうわけですよ。
で、疲れきったときに手がすごくよく動くようになるわけ、軽くなってね。
そうした時にはじめて弾けるようになるんですよ。
だからね、コントロールしてやろうと思っている、その時はできないわけ。
だからね、たぶんイメージが浮かぶのだって、疲れきって、横になって、眠りかかった時に浮かぶものというのは、机に向かって、書こうとして、何かを思い浮かべて、ってそういうレベルじゃないわけですよ。
そこで書き出すわけでしょ、書き出すと今度手が動き出して、それでなんだか知らないけど話ができていく。
それでそれに付いて行く。「作家がペンについていく」って言い方しますよね。
「随筆」ってことばがあるでしょう。
だからそういうものなんですよね。
なんか、こう、思ってちゃいけないわけ。
それで、そういうことは、割と音楽的なアイデアだと思うんですよ。
演奏するときにこうやろう、なんて思ってちゃいけないわけ。
そのままなにも考えずにやらないと、なにもできなくなるのね、自分の考えに縛られて。
だから普通と逆というようなことになるんだけど、ものを論じる人っていうのは、そうやってあれこれ考えてから対象を論じようとするから、分からないんじゃないかと思うんですよ。
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『音楽と数学』でセイレーン神話を実証的に検証し、ポジターノの沖合、「セイレーンの島」と呼ばれるガッリ諸島である実験をした

フリードリッヒ・キットラー、2011年10月18日没

「ムーサ、ニンフ、そしてセイレーン」CD(ドイツ語)
Musen, Nymphen und Sirenen
mit Friedrich Kittler
Konzeption und Regie: Klaus Sander
Erzähler: Friedrich Kittler
Aufnahme und Schnitt: Anja Theismann
Mastering: Piethopraxis Tonstudio Köln
Produktion: supposé 2005

Audio-CD, 56 Minuten
ISBN-10: 3-932513-64-9
ISBN-13: 978-3-932513-64-0
Euro 18,00

BESTELLUNG

"Zwei Münder vereinigen sich zu einer schönen Sangstimme. Weil sie
alles wissen und weil sie alle Lust versprechen,die möglich ist, soll
Odysseus das Schiff anlegen, an der Insel. Das sind die beiden
Sirenen,die in der späteren ikonographischen Tradition auf den Vasen
immer drei sind und immer schreckliche Mischwesen: oben Jungfrauen mit
Busen, unten Krallen und Vögel - bei Homer sind es einfach zwei schöne
Nymphen."
Friedrich Kittler betreibt experimentelle Philologie, bereist die
Sireneninseln und verlebendigt so die Geschichte des Odysseus. Er
erzählt von den honigsüß summenden Stimmen der Frauen, der Geburt der
Musen, den Ausschweifungen Kirkes, läßt Göttinnen auftreten, Huren und
Nymphen - über allem aber schwebt Musik und die Erotik der
Mathematik... Es geht um Verzauberung und die Grausamkeit der
Verführung, um das "Lächeln im unsterblichen Gesicht" (Sappho) und das
Fortdauern des Namens durch die Zeiten, bis er heute seinen Eintrag im
"Sprechbuch" findet. Kittler beschwört unser griechisches Erbe,den
Ursprung aller Wissenschaften.

Prof. Dr. Friedrich Kittler, geboren 1943, Literaturwissenschaftler
und Inhaber des Lehrstuhls für Ästhetik und Geschichte der Medien am
Institut für Ästhetik der Humboldt-Universität zu Berlin.

Stimmen der Kritik:

"Der Berliner Kulturwissenschaftler Friedrich Kittler ist nach Italien
gereist, auf die Sireneninseln, und hat dort, wie er behauptet, die
Philologie nach 2800 Jahren endlich einmal auf eine experimentelle
Basis gestellt 'statt immer nur auf eine Textwichserei'." (Berliner
Zeitung)

"Das Hörbuch ist die Einführung des Punk in die deutsche Philosophie
beziehungsweise Philologie. Kittler liest keinen wohl formulierten
Text stur betont daher, er erzählt, was ihn an Odysseus, den Sirenen
und dem griechischen Denken fasziniert und warum er sich auf die Reise
der Empirie begeben hat. Man sollte das Kennzeichen "Punk" hier aber
nicht mit den berühmten drei Akkorden, die endlos hintereinander
geschrammt werden, verwechseln. Kittler ist überaus belesen, der
griechischen Sprache so mächtig, daß er bekanntere Philosophen wie
Theodor W. Adorno oder Michel Foucault in Nebensätzen als Laien der
griechischen Sprache entlarvt. Kittlers technische Fähigkeiten sind
die eines Jazzmusikers, um im Musikbild zu bleiben, dem auch nach 56
Minuten Spiel die machbaren Ideen nicht ausgehen. Punk meint vielmehr
im Zusammenhang dieses großartigen Hörspiels, das es erlaubt, einem
Denker bei seiner Arbeit zuzuhören, daß er mit dem geprochenen Text
des Hörspiels hinter die geschliffene Schrift zurückgeht, oder auch
die Art und Weise, wie er das Einfache, das Klare griechischen Denkens
unter dem Schleier von 2000 Jahren christlicher Verblendung
hervorholt." (Cord Riechelmann, mare)

"Lust und Wissen sind für Friedrich Kittler eins, weshalb er die
Wissenschaft wieder erotisieren will - ein Unterfangen, bei dem man
nur viel Glück wünschen kann. Jedenfalls ist es ein Vergnügen, Kittler
über den im Griechischen versagenden Adorno spotten oder ein Fragment
Sapphos interpretieren zu hören. Mit Alexander Kluge gesprochen: Für
alle Neu- wie Altgierigen: ein Muß!" (Knut Cordsen, Bayern 2 Radio)

"Das Hörbuch, auf dem er mit hörbarer Begeisterung Sapphos einziges
vollständig erhaltenes Gedicht rezitiert, führt vorzüglich in Kittlers
Griechenland ein." (René Aguigah, Literaturen)

"Kittler zitiert, rekapituliert, rekonstruiert, ja, er reanimiert die
Geschichte des Odysseus und die ihn umschwirrenden Gestalten wie die
Nymphen und die Sirenen. Auf seiner Reise zu den Sireneninseln dringt
Kittler mit scharf geschliffenem Bohrer direkt ins Hirn der
altertümlichen Literatur ein, die, so sein Credo, in der griechischen
Variante das Erbe aller Menschen und den Ursprung der Wissenschaften
in sich trägt. Er hat die Angst vor der Berührung mit den hehren
Künsten des Altertums und seiner nachfolgenden Protagonisten
entheiligt. Alleine deshalb lohnt es sich schon, ihm eine Stunde lang
zuzuhören." (Klaus Hübner, Jazzthetik)

"Mit diesem Sprechbuch, wie Kittler es nennt, geht er hinter die
geschliffene Schriftsprache zurück, zum mündlichen Erzählen, woraus
alle Literatur entstanden ist. Anders als sein Kollege Peter Wapnewski
mit seinen Nacherzählungen des Nibelungenlieds und anderer
mittelalterlicher Epen, liest Kittler keinen wohl formulierten Text
ab. Er strolcht auf Seitenwegen durch die griechische Mythologie und
erzählt gegen jeden Lehrplan, was ihn an den griechischen Helden,
ihren Göttern und dem antiken Denken fasziniert. Beiläufig, im
Konversationston, plaudert er vor sich hin, zündet sich eine Zigarette
an, trinkt, verfertigt hörbar die Gedanken beim Reden, gönnt sich
Pausen, ganz so, als säße er am Tisch unter Freunden. Geschliffen
Scharfes mischt sich mit krausem Kauderwelsch. Dabei geht es um nichts
weniger als um die griechische Variante des Erbes der Menschheit und
den Ursprung der Wissenschaften. Es ist amüsant, man fühlt sich gut
unterhalten. Kittler benimmt sich wie ein Archäologe, der ein paar
Scherben gefunden hat, und so tut, als ließen sie sich zu einer Tasse
zusammensetzen. Am Ende steht da ein ganzes Service, man schmeckt
förmlich die Getränke, hört die Gespräche, sieht ganze Gastmähler vor
sich. Das ist fröhliche Wissenschaft!" (Edelgard Abenstein,
Deutschlandradio Kultur)

"Einer der aufregendsten Denker dieser Tage ist der Berliner
Medien-Professor Friedrich Kittler, dessen aktuelles Projekt den
Sirenen gilt. Die Medienwissenschaft werde ihm langsam langweilig,
erklärt er auf Musen, Nymphen und Sirenen. Vor einiger Zeit reiste
Kittler nach Italien, um nachzuweisen, dass Odysseus an der Insel der
Sirenen nicht nur vorbeischipperte, sondern dortselbst an Land ging.
Und davon erzählt er nun in angenehm plauderndem Tonfall, als säße man
bei Wein und Zigaretten am Tisch und machte sich mit ihm einen schönen
Abend. Kittlers intellektuelle Verve, seine Graecomanie und sein
Talent zum blitzenden Kurzschluss sind über die Maßen faszinierend."
(Katrin Schuster, Freitag)

アドルフ・ロース(Adolf Loos, 1870-1933)全著作集日本語版刊行運動開始

書名:アドルフ・ロース著作集1『虚空へ向けて』
著者:アドルフ・ロース
翻訳:加藤淳  監修:鈴木了二・中谷礼仁  訳注:早稲田大学中谷研究室
解題:ヴァルター・ループレヒター(Dr.Walter Ruprechter) 解題訳:安川晴基
編集発行:編集出版組織体アセテート

世紀末ウィーンに鳴り響く悪態のマッス!
20世紀建築史上もっとも倫理的な建築家による犯罪的文化論。
非建築のかなたへ。

「刑法125条から133条にいたる条文は僕たちにとってもっとも信頼できるモード誌だ」
                         ────「淑女のモード」より


2011年刊行予定

1898年、世紀末ウィーン。後に20世紀建築史に深いトラウマを与えることになる建築家アドルフ・ロースは、いまだ建築家ではなかった。
装飾を断罪した初の近代建築理論といわれる「装飾と犯罪」はどのように育まれたのか?
「紳士のモード」「淑女のモード」など、「装飾と犯罪」にならぶ重要論文を収録したアドルフ・ロース初期論文集が日本語版初登場。世紀転換期のウィーンから、一世紀にわたり眠り続けてきたモダニズムのパンドラ。
編集出版組織体アセテートによる、ロース全著作集日本語版刊行運動開始。

◆アドルフ・ロースとはだれか
◆「虚空へ向けて(INS LEERE GESPROCHEN)」とは?
◆なぜ非建築論か?

◆アドルフ・ロースとはだれか



アドルフ・ロース(Adolf Loos, 1870-1933)
19世紀末から20世紀初頭にかけ、ウィーンを中心として活動した建築家。
同時に世紀末ウィーンにおける近代文化の批判者としての側面をもった。初期モダニズム建築の巨匠となるコルビュジェやミース、ライトらより一世代前の生まれ。
1908年に執筆された論文「装飾と犯罪」(Ornament und
Verbrechen)は、装飾を犯罪行為と言い切り、その過激さゆえにロースを一躍有名にした。到来する近代に対する洞察の圧倒的鋭さによって後に多大な影響を与えたにもかかわらず、あるいはその早さゆえか、ロースはモダニズム移行期の人物として常に過小評価されてきた。

1870年、モラヴィアの地方都市ブルノに生まれる。ドレスデン工科大学に学ぶが一年で中退。シカゴ・コロンビア万国博覧会訪問のため1893年単身渡米。皿洗いや新聞記者の見習いなど、様々な職種で食いぶちを稼ぎながらアメリカに滞在する。1896年、三年間のアメリカ滞在の後、イギリスを経てオーストリアへ帰国。ウィーンにて建築家としてのキャリアを開始するが、この頃同時に建築にとどまらず広く文化・芸術・風俗を批判する批評家として活動し始める。アメリカ・イギリス滞在中に得た知見を紹介しつつ、爛熟したウィーンの世紀末文化を批判した。→続きを読む


◆「虚空へ向けて(INS LEERE GESPROCHEN)」とは?



アドルフ・ロースの著作は現在ドイツ語圏において三巻本の全集として刊行されている。
それらはロースの生前に著者自身のセレクションのもとに出版された論文集二冊、および死後にそれ以外の遺稿を集めた補稿集である。編集出版組織体アセテートでは今後これらすべての著作を、売っては発行資金を回収しながら継続的に発行する予定としている。
本書『虚空へ向けて』の底本Ins Leere
Gesprochenは主に1897年から1900年までのわずか4年、それもロースの批評家としてのキャリアの最初期に書かれた論文を集めたものであり、ロースの存命中に発行された(1921)。
1898年、アメリカから帰国した後、設計の仕事の傍らにぼちぼちと批評の仕事をこなしていた27歳の青年ロースに大きな仕事が舞い込む。この年、ウィーンでは1848年3月の革命??つまり皇帝フランツ・ヨーゼフの即位50周年を記念する展覧会が開催される。ロースはこの一大国家事業のレビューを半年にわたり連載する機会を得るが、この連載こそが本書『虚空へ向けて』のヴォリュームの中心をなすものである。ウィーンにおける都市生活を近隣諸国に知らしめるという国揚的な性格をもった展覧会のレビューという条件も手伝い、結果からみれば論考の題材となったのは工芸、家具、インテリア、そしてファッションといった、当時転換期にあったウィーンの近代的都市生活を「装う」様々な意匠についてであった。
執筆当時、ロースは本書『虚空へ向けて』のタイトルを現在とは別のもの、『近代的神経とその装い』として構想していた。数々の非建築的題材のなかでも、当時のロースの関心を最も占めていたのは明らかにファッション(=モード)の問題であり、そしてそれは後のロースの問題構成を一挙にカバーする題材だった。ロースにとってモードは近代的神経の症候を最も端的に表す指標であった。→続きを読む

◆『虚空へ向けて』目次

 ●はすべて本邦初訳
 初版への序文...●  Vorwort Zur Erstausgabe...●
 第二版への序文...●  Vorwort Zur Zweiteausgabe...●
 美術工芸学校の学校展覧会...●  Schulausstellung Der Kunstgewerbeschule...●
 オーストリア美術館におけるクリスマス展示...●  Weihnachtsausstellung Im Österreichischen Museum...●
 美術工芸の展望1...●  Kunstgewerbliche Rundschau I...●
 美術工芸の展望2...●  Kunstgewerbliche Rundschau II...●
 オーストリア美術館におけるイギリス派...●  Die Englischen Schulen Im Österreichischen Museum...●
 ジルバーホフとその界隈...●  Der Silberhof und Seine Nachbarschaft...●
 紳士のモード...●  Die Herrenmode...●
 新しい様式とブロンズ産業...●  Der Neue Stil Und Die Bronze-INDUSTRIE...●
 室内...●  Interieurs...●
 ロトンダの室内  Die Interrieurs In Der Rotunde
 椅子...●  Die Sitzmöbel...●
 ガラスと陶土...●  Glas und Ton...●
 デラックスな馬車  Das Luxusfuhr Werk
 鉛管工...●  Die Plumber...●
 紳士の帽子...●  Die Herrenhüte...●
 靴...●  Die Fussbekleidung...●
 靴職人...●  Die Schuhmacher...●
 婦人のモード...●  Damenmode...●
 建築材料  Die Baumaterialien
 被覆の原則  Das Prinzip der Bekleidung
 下着...●  Wäsche...●
 家具...●  Möbel...●
 1898年の家具...●  Die Möbel Aus Dem Jahre 1898...●
 印刷工...●  Buchdrucker...●
 オーストリア美術館における冬期展覧会...●  Die Winterausstellung Im Österreichischen Museum...●
 オーストリア美術館の散策...●  Wanderungen Im Österreichischen Museum...●
 ウィーンのスカラ座...●  Das Scala-theater In Wien...●
 メルバとのステージ・デビュー...●  Mein Auftreten Mit Der Melba...●
 ある貧しい裕福な男について...●  Von Einem Armen, Reichen Manne...●
 あとがき...●  Nachwort...●

◆なぜ「非建築」論か?

講演をもとにした論文「装飾と犯罪」は、モダニズム建築における装飾の排除を言明したものとして一般に理解されがちであるが、しかしこの理解はロースの思考の射程にとっては片手落ちである。なぜならロースの著作において、いわゆる建築論の比率はきわめて少ないからである。「建築家」ロースの言葉を、非建築論として再読することが求められている。
「装飾と犯罪」で、ロースは日用品からの装飾の排除を説いた。しかしそれは、芸術における装飾の根源性と、同時にそれが避けがたいことを彼が深く意識していたからである。造形芸術の起源を犯罪者の刺青や便所の卑猥な落書きに求めるロース。彼はそれをヒトに本来的な、エロティックな衝迫として認めつつ、しかし同時にそれを近代人においては克服されるべき欲動として断罪する。人間の本性を超えようとする超人理論としての「装飾と犯罪」。近代芸術における装飾をめぐる問題はロースによってケリをつけられたどころか、この論文によって初めて設定されたといってよい。→続きを読む


◆翻訳者プロフィール

加藤淳(かとう・じゅん)
フリーライター/慶応大学文学部卒。ベルリン工科大学中退。在ベルリン10年。通訳、翻訳、現地コーディネーターなど職業を転々として2008年春帰国。虚空へ向けて時代のアドルフロースを彷彿とさせる人物。10年の肉体的知性にもとづき渾身の翻訳活動を開始。


◆監修者プロフィール

鈴木了二(すずき・りょうじ)
建築家。鈴木了二建築計画事務所主宰。早稲田大学教授/1944年東京都生まれ。1968年早稲田大学理工学部建築学科卒業。竹中工務店、槇総合計画事務所を経て、1977年早稲田大学大学院修了後、fromnow建築計画事務所を設立。1983年鈴木了二建築計画事務所に改称。現在、早稲田大学教授。1977年「物質試行37
佐木島プロジェクト」で日本建築学賞作品賞を受賞。また2005年、本書の対象である「物質試行47
金刀比羅宮プロジェクト」が第18回村野藤吾賞に輝く。美術家とのコラボレーションや映画の制作も行う。ICC企画展「バベルの図書館」において「物質試行39
Bibiloteca」(1988)、16mmフィルム「物質試行35
空地・空洞・空隙」(1992)。主な著書に「建築零年」(2001)や「非建築的考察」(1998)ほか。

中谷礼仁(なかたに・のりひと)
早稲田大学理工学術院建築学科准教授/1965年生まれ。歴史工学。特異な活動で知られる建築史家.近世大工書の編纂,古代から現在までの土地形質の継続性と現在への影響の研究,最近では90年前に今和次郎が訪れた民家すべてを再訪し,その変容を記録する活動を主宰.編集出版組織体アセテートを作り,レアで普遍的な他人の著作を刊行.著書に『セヴェラルネス
事物連鎖と人間』(鹿島出版会,2005) 『国学・明治・建築家』(一季出版、1993) など.


◆解題者プロフィール

ヴァルター・ループレヒター(Walter Ruprechter)
首都大学東京都市教養学部教授/1952年オーストリアMatrei
Osttirol生まれ。1972年インスブルック工業専門学校建築学専攻。アビトゥアー(大学入学資格)取得。1973-1983年ウィーン大学でドイツ文学、美術史、(歴)史学を学ぶ。博士学位を取得し卒業。出版社Medusa.Berlin
.Wienの企画・編集に携わる。1985-1987年日本大学講師。1987-1992年
ウィーン大学講師。1992年より現職。出版物に関しては、オーストリア現代文学、オーストリア文化史(ウィーン近代を中心に)、文化交流の現象と理論(特に日本と西洋の間をめぐって)についての論文を執筆。出版物に、オーストリア現代文学「文化学的転回のトポスとしての「日本の家」研究ー西洋と日本を結ぶ建築家の言説」(2009年度-2010年度)。


◆解題訳者プロフィール

安川晴基(やすかわ・はるき)
千葉工業大学社会システム科学部助教/1973年広島県生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科独文学専攻博士課程単位所得退学。2004-2007年、ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生としてベルリン自由大学博士課程に在籍。専攻、ドイツ文学。

2011-10-24

『絶望名人 カフカの人生論』

著者 フランツ・カフカ 著
頭木 弘樹 編訳
http://ameblo.jp/kafka-kashiragi/
出版年月日 2011/10/20
ISBN 9784864101158
判型・ページ数 4-6・240ページ
# 単行本
# 出版社: 飛鳥新社
# 言語 日本語
# ISBN-10: 4864101159
# ISBN-13: 978-4864101158
# 商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 2.4 cm

■内容説明
「絶望の名言集」

将来に、世の中に、自分の弱さに、結婚に、人づきあいに、不眠に、学校に、そのほかありとあらゆることに絶望したときに読む本!

カフカの絶望の言葉には、不思議な魅力と力があります。読んでいて、つられて落ち込むというよりは、かえって力がわいてくるのです。——編・訳者まえがきより

「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」——カフカ

右ページにカフカの文章、左ページに編訳者の頭木さんによる解説という形式で、見開き完結。

カフカの文章は、短いものは2-3行、長いもの8-9行程度


■目次

・頑張りたくても頑張ることができない
・手にした勝利を活用できない
・人生のわき道にそれていく
・気苦労が多すぎて、背中が曲がった
・散歩をしただけで、疲れて三日間何もできない
・やる気がすぐに失せてしまう
・死なないために生きるむなしさ
・親からの見当違いな励まし
・教育は害毒だった
・会社の廊下で、毎日絶望に襲われる
・愛せても、暮せない

ほか