カフカシキレンシュウチョウ
定価
:1785円(税込)
ページ数
:400ページ
判型
:四六判上製カバー装
初版発行日
:2012年04月20日
ISBNコ−ド
:9784163813301
Cコード
:C0093
■本書はカフカに倣って、保坂和志が「練習帳」に書き記した無数の断片から成る「長篇(ちょうへん)小説」である。「思いついたらいつでも書けるように家の中のあちこちにノートを置いておいてその場で書き出す」。もとは文芸雑誌に連載されたものだが、そうしてあちこちのノートに書かれた断片を、編集者がデータ入力して掲載していったのだという。途中からは携帯電話のメール機能によるテキストも混じり出すが、作者自身にも、もはやその区別がつかないらしい。何というユニークな書き方だろうか。しかしこれはあくまでも保坂氏が自ら選択した方法なのであって、それでもちゃんと「小説」になるのだという自信と確信がなければ、こんなやり方は採れはしない。
■担当編集者から一言
永遠に謎の作家・カフカは、一篇の小説としてまとまっていない、魅惑的な断片をたくさん遺しました。保坂和志さんの、『カンバセイション・ピース』以来となる長篇は、それにならい、様々な小説の断片、文学作品の引用、作家の思考の軌跡や何げない日常が渾然一体となった、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような新しい小説世界へ読者をいざないます。冒頭から読むもよし、ページを開いたところを気ままに読むもよし。読むたびに新らしい発見がある不思議な小説です。(NK)