2012-06-28

『変身』後の姿が、「虫」である理由を探る一助となるかも・・の本

「腹の虫」 の研究
日本の心身観をさぐる
長谷川雅雄/辻本裕成/ペトロ・クネヒト/美濃部重克 著
定価/本体価格 6,930円/6,600円
判型 A5判・上製
ページ数 526頁
刊行年月日 2012年
ISBNコード 978-4-8158-0698-9
Cコード C3047

■書籍の内容

「虫が知らせる」 「虫の居所が悪い」といった表現の根底には、日本特有の 「虫」 観がある。心と身体、想像と現実のはざまに棲み着いた 「虫」
の多面的な姿を、かつての医学思想、文芸作品、民俗風習などを横断的に読み解くことで明らかにし、日本の心身観を浮彫りにしたユニークな研究。

■目次

はじめに

  第�部

第1章 言葉を発する 「虫」 —— 「応声虫」 という奇病
     1 「応声虫」 の事例
     2 創作文芸に見る 「応声虫」
     3 医書の 「応声虫」 論
     4 「応声虫」 とは何か —— 精神医学的検討

第2章 「虫」 の病と 「異虫」
     1 「虫証」
     2 姿を現す 「異虫」 たち
     3 顕微鏡の登場とその波紋
     4 顕微鏡による 「異虫」 の観察

第3章 「諸虫」 と 「五臓思想」
     1 「諸虫」
     2 「五臓思想」
     3 「離魂病」
     4 「五臓」 と 「虫」

第4章 「虫の居所」 —— 「腹の虫」 と 「胸の虫」
     1 「腹の虫」 と 「胸の虫」
     2 「癪」 —— 「腹」 と 「胸」 の病
     3 「癪の虫」
     4 「虫の居所」 としての 「腹」 と 「胸」

第5章 「疳の虫」
     1 文芸作品の 「疳の虫」 とその周辺
     2 医家による見解
     3 「疳」 の病症変遷 —— 「疳」 と 「労」
     4 「疳」 と 「労」 の 「虫」 像

第6章 「疳の虫」 の民間治療
     1 江戸時代の 「疳の虫」 の治療法
     2 「虫封じ」 の民俗誌
     3 現代の 「虫封じ」
     4 「虫封じ」 の社会における意味

  第�部

第7章 「虫」 病前史 —— 「鬼」 から 「虫」 へ
     1 「霊因」 と医の領域
     2 「鬼」 と 「尸」
     3 「伝尸」 と 「伝尸虫」

第8章 「虫」 病の誕生
     1 室町・戦国期の日記と 「虫」 所労
     2 わが国特有の 「虫」 病
     3 「胸虫」 から 「積虫」 へ

第9章 「虫」 観・「虫」 像の解体と近代化
     1 「脳・神経」 学説とその影響
     2 「虫」 の発生思想とその変容
     3 近代医学と 「虫」 病の解体

第10章 教科書と近代文学に見る 「五臓」 用語と 「脳・神経」 表現
     1 初等教育用教科書に見る心身観
     2 近代文学に見る 「脳・神経」 と 「虫」
     3 消え去ることのない 「腹の虫」

おわりに